第261話 「優秀な社員」を中途採用しても自社では活躍できない理由
2025-06-04
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日本における中途採用のテーマは「優秀な社員を獲得すること」です。優秀な社員を採用するために高い賃金を準備している企業も多いでしょう。
ところが、中途採用した社員で「前の会社では優秀だった」という評判とは裏腹に、いざ採用してみると思っていたほど活躍しないケースがあります。なかには採用当初の期待を相当下回る場合もありますが、多くの企業ではその原因が分かっていません。それは大切なことを理解していないからです。
成果の種類が分かりやすい営業職を例に説明すると、営業社員に求められている成果は「売上高」や「新規開拓件数」などでしょう。しかし、この期待されている成果の種類は同じでも、会社によってやっている業務は全く違います。
「新規開拓件数」を増やすために、A社では「電話でのアプローチ」を行っているが、B社では「既存顧客に紹介依頼」を行っているなど、業種と職種が同じであっても会社によって成果を上げるための業務の内容は全く異なるのです。
ENTOENTOの人事制度(成長制度)では、社員に求める成果を「期待成果」として、その成果を上げるために行っている業務を「重要業務」として1枚の評価シート、「成長シート」としてまとめます。
これまで1400社以上の成長シートの作成に携わって約50年が経ちますが、業種と職種が同じでも成長シートの内容が全て同じだったことは一度もありません。期待成果が同じだったとしても、1社1社その成果を上げるためにやっている重要業務は全く異なります。
このように、中途採用した社員にとって「前の会社で成果を上げるための業務」と「転職先で成果を上げるための業務」は全く違う可能性があるのです。
前の会社の成果を上げるやり方のままでは、当然その成果は落ちることになります。前の会社で優秀だと評価されていた社員を採用したとしても、自社では全く成果が出せない理由はここにあるのです。
最悪の場合、前の会社でやっていた業務を一度全て忘れてもらったうえで、自社のやり方を一から学んでもらうことになります。
新入社員であれば一から教えていくことになりますので抵抗されることはありません。中途社員の場合は前の会社では優秀だと評価されていたがゆえに、今までやっていたことを全て消し去って一から新しく学ぶことは、大いなる抵抗感を招きます。
これらを踏まえて、中途で採用することの難しさを感じていることでしょう。しかし、中途でも「自社において優秀な社員」を採用することができる方法があります。それは、中途採用の面接時点で自社の「成長シート」に記載されている業務ができるかどうか判断することです。
「成果が高い」だけで判断してしまえば、中途採用した社員が「この会社で成果を上げる業務はこれまでとは違う可能性がある」ことを全く理解していないまま採用することになります。
今後、中途採用するときには必ず自社で成果を上げるための業務ができるかどうかを確認したうえで採用することが必要でしょう。場合によっては、その業務を一から学んでもらうこともあると説明しなければなりません。
優秀であれば自社の重要業務もすぐできるようになるでしょうが、それまでの期間中はあまり成果が上がらない可能性もあるということを説明したうえで採用しなければなりません。
自社の成長シートをつくっておかなければ、中途採用した際に問題が発生する恐れがあります。特に、成果が高いからといって高い賃金を約束してしまうと、社内全体に影響を及ぼすほど大きな問題を引き起こします。
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※「成長シート」はENTOENTOの登録商標です。
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