第328話 部下指導に必要なのは、マネジメント力より現場理解です
2026-10-28

部下の指導には、マネジメント力が最も重要というわけではありません。
このことを意外と思われるかもしれません。
経営者は「企業全体の業績を上げるためには、上司である社員のマネジメント力を向上させることが必要だ!」と考えているかもしれません。しかし、実際に日本で業績を上げている企業に、なぜ業績を上げているのかと聞いても「マネジメント力が強いから」だけで説明されることはありません。
社員が成果を上げるための仕組みがあることも必要ですが、それ以上に大切なのは、業績を直接上げているのはマネジャーではなく、現場の社員であることを理解していることです。
現在マネジメントをしている上司も、例えば10年前は一般階層で現場の社員として優秀でした。その当時の経営環境に合わせて顧客の対応を行い、成果を上げていたからこそ、優秀な社員として評価され上司となったのでしょう。
しかし、10年前と現在では、事業を取り巻く経営環境は大きく変化しています。顧客が求めている商品やサービスといった、ニーズも大きく変わっています。現在の環境で顧客満足度を高めつつ成果を上げている社員がいるなら、その方法は上司が10年前に成果を上げていたこととは全く異なっている可能性があるのです。
現場の社員が顧客満足度を高めながら成果を上げている理由を、その上司が理解しているかどうかが重要です。このことを理解しないまま部下指導をすると、上司は自分が10年前に成果を上げていたことを基準に指導してしまいます。そうなると、部下である社員は上司の指導を受け入れません。「現場の状況を理解していない上司の話を聞く必要はない」と感じる社員もいるかもしれません。
現在、業績を上げている企業は、現場で成果を上げている社員が何をしているのかを的確に把握しています。そして、その情報を他の社員にも共有しています。
部下や組織を動かして成果につなげるマネジメントスキルは、もちろんあったほうがよいでしょう。しかし、その大前提にあるのは上司が現在の現場で成果を上げている社員が何をしているのかをしっかり把握していることです。
一度、現場の社員はどのようなことを行って成果を上げているのか、その上司に確認してみてください。その内容が、実際に成果を上げている現場社員の行動と一致していれば問題ありません。もし一致していなければ、早急に現場のやり方を調査・分析し、成果につながる行動を明確にする必要があります。そして、その成果につながる行動を全社員に広めていくのです。これが、経営者にとって大切な仕事です。
今の現場で社員が何をやって成果を上げているのか、そしてその最新のやり方を一日でも早く共有するために「人事制度」があります。この人事制度について解説した拙著『社員が成長し業績が向上する人事制度』は現在19刷のベストセラーとなり、発行から10年経った今でも中小企業の経営者を中心に支持され続けているロングセラーにもなっています。
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