第280話 なぜか、一般的な目標管理は社員の成長を阻害しています
2025-10-22

「赤信号みんなで渡れば怖くない」という話があります。企業経営においては、これと同じようなことがたくさんあるのです。
「どの企業もやっていることだから…」といって、何の疑いもせず導入する仕組みがあります。その代表的な仕組みの1つが「目標管理」です。
目標管理をすれば社員を自立的に成長させることができるとして、多くの企業が導入しています。このとき、社員を評価する結果指標は「目標達成率」です。しかし、高い目標を実現するためには何をしたらいいのかは、社員本人が考えることになっています。
目標達成率を上げること自体は、決して難しい問題ではありません。低い目標を掲げればいいだけです。それに気付いた社員は、毎年達成できる低い目標を掲げるようになってしまうでしょう。
「それでは困る」と考えた企業は、会社全体の経営目標を各社員に割り振ることになります。これを「ノルマ」といいます。ノルマはロシア語です。ノルマは、戦後の不法なシベリア抑留によってノルマを課されていた日本人が日本に伝えた言葉です。
今では社員にノルマを課すことは一般的な目標達成手法となっています。「ノルマを達成することではじめて小さなパンのひとかけらを手に入れられる」といった暗い過去を持つ言葉であると知っている人は、もうあまりいないのかもしれません。
ノルマを課されて喜ぶ社員は存在しないでしょう。だからこそ、ノルマではなく社員自らが高い目標を立てるような目標管理の仕組みが必要です。
私たちが生まれてきた理由の一つは、世の中に貢献をするためです。多くの人たちが世の中にたくさん貢献したいと考えているでしょう。これは高い目標であることは間違いありません。
そういった世の中に貢献したいという人たちが高い目標を設定しないのであれば、その仕組みは最初から間違っていることを意味します。このことを大手企業も含めて理解していないのは、とても残念な状況であると言わざるを得ないでしょう。
成果の大きさは世の中に貢献した結果です。世の中にたくさん貢献することで高い成果を上げることができます。まずは高い成果を上げるために何をすればよいのか、これを全ての社員に説明してください。
どの会社でも、既に社内には高い成果を上げている優秀な社員がいます。その社員本人は何をすれば成果が上がるのか分かっているでしょう。しかし、現時点ではそれが暗黙知になっていて、言語化もされていないために、他の社員に周知することが難しい状態であることがほとんどです。
そこで、この暗黙知を「成長シート」というツールで可視化することで、全ての社員が優秀な社員と同じように高い成果を上げることができます。
社内で優秀な社員が、成果を上げるために何をやっているのか。それを成長シートに「重要業務」として記載します。仮に今成果が低い社員であっても「重要業務」を遂行すれば、必ず高い成果を上げることができると理解するのです。
私たちは多くのことを先達から学んできました。その学んできたことを口頭だけではなく仕組みとして可視化することで、社員の誰もが困らずに高い成果に向かって進むことができます。
目標設定も「成長シート」で行います。社員の誰もが高い目標を掲げるようになる目標管理の仕組みです。
例えば、入社してから日が浅い社員の近い将来の目標は、まずは社員として1人前になることでしょう。1人前の社員とは成長シートで80点以上を取ることであれば、80点以上を取れる社員として成長することが目標になります。この目標を掲げない社員は、基本的に1人もいないでしょう。
成長シートを活用している会社は、社員が「成長目標」を設定します。仮に入社1年目で20点の社員が、1人前となる80点を目標に設定しても、たった1年で60点も成長できないことは分かっているでしょう。1人前になるには相当な年数が必要です。しかし、この高い目標を掲げた社員は意欲的に挑戦していくことになります。このこと自体は何も問題ありません。
重要なのは目標を立てた1年後です。この80点の目標を掲げた社員が1年後、40点であったとしても目標達成率で評価することは絶対にしません。この社員の評価は40点ですから、昇給・賞与も「40点」で決めてください。
達成率で評価するのではなく、実際の点数(成長点数)で評価する。これにより、社員は次の年も80点以上の高い目標を設定するでしょう。
目標設定は大切なので、達成率では評価しません。成長シートによって高い目標を実現するための重要業務(プロセス)を知ることで、具体的に何をすればいいのかが明確になります。さらに、成長シートを見れば目標にどれほど近づいたのか確認することもできるため、目標管理として最高のツールになるのです。
この成長シートを活用すれば、目標管理をしている会社の社員も楽しく目標を設定し、挑戦するようになります。この仕組みをつくりたい方は成長塾にお越しください。お申し込みは簡単です。
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