第269話 人事制度は簡単かつ明瞭でなければならない
2025-07-30
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人事制度は、さまざまな人がさまざまな人事制度を提案しているため、種類が数多く存在しています。この人事制度の種類は大きく2つに分類することができます。1つは「会社のため」につくる人事制度、もう1つは「社員のため」につくる人事制度です。
おおむね、大手企業では「会社のため」に人事制度をつくっています。会社として社員の評価を決めて処遇を決めるのが目的であり、社員本人からの質問に十分納得できる回答をすることなく運用しています。そのため、人事制度の中身について社員がよく知ることはできません。特に、この会社の社員として40年間成長することで昇給・賞与がどれだけ増えるのかが明確に分からないのです。
その一方で、中小企業の経営者は人事制度を社員の物心両面の豊かさのため、つまり「社員のため」につくることが多いと感じています。「社員のため」につくる人事制度であれば、社員がすぐ理解できるような簡単かつ明瞭なものでなければなりません。
そのための条件が2つあります。1つは社員が「自分はどのように会社から評価されているのか」が分かること。もう1つは社員が「その評価(成長確認)によってどれだけ昇給・賞与が増えるのか」が分かること。この2つについて社員が簡単に理解できるようになっていなければなりません。つくった人事制度の中身を、社員が見てもよく分からないのであれば、役に立つことはほとんどないでしょう。特に相対評価はダメです。社内競争を生み出します。
実際、多くの中小企業の経営者は社員が成長して業績が向上すれば、その社員の成長に合わせて昇給・賞与を増やしてきたと思います。今までは経営者の勘で決めていた、昇給・賞与を増やした理由や確認していた要素を全て明らかにすれば、最高の人事制度として仕組みにすることができるのです。
そこで、人事制度は社員に「会社の業績が○○であり、社員としての成長が○○であれば昇給・賞与がいくらになるか」が簡単に分かるようなものでなければなりません。そしてこの人事制度を通じて社員に説明し、その経営者の想いを理解してもらう必要があるのです。一生懸命つくっても、社員から「意味が分からない」と言われれば役に立たない人事制度であることは明らかです。
私もかつて、前勤務先でこの人事制度をつくりましたが、つくった人事制度をいかに社員に理解してもらいやすくするかを考えるのが私の役割でした。これは、相当な努力が必要です。
社員が人事制度について理解することで初めて、自分たちが成長することが業績の向上につながり、そしてその成長に合わせて昇給・賞与が増えると明確になります。その結果として前勤務先の社員は「いい会社に入社できた」と笑顔になり、驚くほど成長したのです。
こうして成長していった結果、前勤務先は上場を遂げました。決して優秀な社員を採用できていたのではありません。お互いに教え合って成長を支援したことで、高い業績を実現しました。これは、人事制度を通じて一部の個人が成果を上げるよりも、会社全体で成果を上げることで昇給・賞与が高くなることを全ての社員が理解したからです。
これから人事制度をつくる方は、とにかく社員にとって分かりやすく、理解できる人事制度をつくってください。必ず経営者の想いが伝わる人事制度になります。100%間違いなく社員が成長することは間違いありません。
社員が成長して業績が向上する人事制度(成長制度)をつくりたい方は成長塾にお越しください。
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