第321話 価格転嫁のノウハウ共有で利益を大幅に増加させる
2026-09-02

山口にある業務用消耗品を扱っているB社では、1人の営業社員の価格転嫁のやり方を全社員に共有化したことで、営業利益を369万円から約1億円にまで増やしました。
今、世間では中小企業の生産性向上のために価格転嫁、つまり取引先に対して値上げすることに取り組んでいます。しかし、長い付き合いの取引先との関係維持や、競合との価格競争といった背景から、価格転嫁をすることは簡単ではないというのが定説です。
しかし、中小企業の中にはこの価格転嫁ができない限り、企業の時間粗利(1時間あたりの粗利益、生産性指標)を高めることはできず、賃上げ原資を確保することはできない会社もあるでしょう。2026年、価格転嫁は優先順位の高い経営課題になりました。
企業全体で見ると価格転嫁に苦戦しているように思えますが、組織原則2:6:2の視点でよく考えてみると、中には上手に値上交渉を実施している社員がいます。それを知った経営者は「みんなも同じようにやればできる!」と考え、通常は他の社員に対して叱咤激励をするでしょう。
ところが、上手に値上交渉ができていない社員は、社長の咤激励を冷ややかな視線で聞いています。「そんな簡単に価格転嫁できるお客様ならいいが、自分が担当しているお客様はそうはいかない」と考えているのでしょう。
そこで、この経営者はその値上交渉を社員の「期待成果」とし、その業務のやり方を成長シートで可視化して共有化したのです。実際にその業務で価格転嫁を実現している社員がいると知ることで、全社員が「やれないことはない」と考えて取り組むようになります。そして、その結果として冒頭で説明した企業のように全体の利益を上げることができるのです。
どの企業にも成果を上げる社員がいて、成果の上がっていない社員がいます。私たち経営者としては、どうしても成果の上がっていない社員に対して頑張ってもらいたいという気持ちになります。
しかし、では実際にどうやってその成果を上げるのか、それを具体的に指導することが後回しになっていることがほとんどでしょう。そのため、成果の上がっていない社員に対しては厳しい指導が続き、場合によってはモチベーションを落とし退職することになるかもしれません。
どのような経営環境であっても、成果を上げている社員はいます。大切なことは、マネジメント階層の人たちが「何をすれば成果を上げられる」のかを可視化できるかどうか、そこにかかっています。それが分かれば、通常の企業でやっているような「ハッパをかける」は必要ないでしょう。
すべての社員は成長したい、成果を上げたいと考えています。成果が上がらないのは、具体的に何をしたらいいのかが分かっていないだけです。値上交渉は難しいと考えている企業でも、たった1人でも値上交渉ができているのであれば、そのやり方を全員で共有すれば、全ての社員が値上交渉することができます。
社員の成果を上げられる方法を共有化するには、社員を評価すること、そしてそれを分かりやすく処遇に反映させることです。それができなければ、継続して社員はチャレンジすることはありません。また、他の社員にそのやり方を教えることも評価しなければならないでしょう。
評価と処遇が一致する仕組みをつくることはとても重要なことです。これによって社員は安心して成長し、企業の業績は簡単に上がっていくことになります。
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