第55話 新規事業立ち上げの千載一遇のチャンスは今

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第55話 新規事業立ち上げの千載一遇のチャンスは今

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この新型コロナの影響で厳しい環境でありながら、多くの経営者が逆に「この時代はチャンスがたくさんある」とつぶやいています。その通り、10年後には新しい業界が生まれているでしょう。そのきっかけは、2021年にあります。

ところが残念なことに「社員はその話を何度聞いても行動を起こそうとはしません。場合によっては、その新規事業に反対するような感じすら受けます」という経営者の悩みはとても大きいです。幸運の女神には前髪しかありません。どうしてこうなるのでしょうか。

この社員の対応の理由に気が付いている経営者はあまりいません。

私はこの話を40数年前から、たくさんの経営者から悩みとして聞いています。そして、幹部社員ですら何故新規授業に取り組もうとしないのか、その理由も分かりました。

それは新規事業の成功確率がまず問題です。成功率は最大で3割、場合によっては1割程度でしょう。つまり、圧倒的に失敗する確率が高いのです。誰も失敗したいと思っていませんが、やはり新規事業に失敗はつきものです。

この新規事業での失敗を、経営者がどのように評価し、そして処遇に反映させるのかについて、明確に説明している会社はほとんどありません。

多くの会社が、新規事業で失敗した場合にその失敗を評価に反映させ、処遇を決めています。つまり、新規事業での失敗は、昇給・賞与が悪くなることを意味します。

この新規事業で失敗し処遇を下げられた社員の話を聞いた社員は、どのようなことがあっても次の新規事業の立ち上げで手を挙げることはないでしょう。独身ならいざ知らず、家庭があり毎年のその賞与も生活費の一部だとして考えるようになっている社員にすれば、新規事業で失敗して賞与が減ったら生活がままなりません。

しかし、もし新規事業に失敗しても評価が下がらず、昇給・賞与が下がらないと約束をしたらどうでしょうか。

きっとたくさんの手が挙がるでしょう。

誰もが新規事業という言葉に胸をときめかせるでしょう。1人の社員が1回の人生で新規事業を担うチャンスはそれほどありません。だからやってみたいという気持ちはあるでしょう。ところがどうしても、そのマイナス評価があるために、手を挙げることができないのです。

それを、「当社は新規事業をやろうとしない、意欲のない社員が多い」という表現の仕方をしてはだめなのです。本当であれば手を挙げるはずなのに挙げていないとすれば、当社にその社員の意欲を妨げる何かの阻害要因があると考える方が、筋が通っています。

もし成長シートがあって、成長点数だけで評価され処遇が決まるとしたら、この会社は新規事業で失敗したことをマイナス評価しないことがはっきりわかっていますので、ガラリとその社員の反応がプラス方向に変わります。

社員の行動をおかしいと思わずに、我が社の何か評価や処遇の決め方に問題があると考えた方が、楽に問題を解決できるでしょう。

「全社員の反応がおかしい」と思ったら、一度、我が社の阻害理由を考えてみてください。



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