第122話 最低賃金を気にしなくて済む経営への挑戦
2022-08-09
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2022年8月1日、中央最低賃金審議会は最低賃金を前年から31円上げることを決めました。全国平均は961円になります。
特に中小企業はこの賃上げによってパートさんの時給を31円上げることになり、既存パートさんとの賃金バランスもあって経営に大きな負担になるでしょう。たとえば現在、時給940円のパートさんが勤務していた場合、最低賃金が961円になると、940円のパートさんの時給も961円以上に賃上げしなければなりません。だからといって、新しく採用したパートさんと同じ時給961円という訳にもいかないでしょう。
政府は「全国平均1,000円を目指す」と発言していますので、これからさらに約40円は上がることになります。その覚悟と準備が必要になります。
パートさんは、往々にして単純作業をする従業員という固定概念があるかもしれません。単純作業であれば確かに時給1,000円の支給は難しいかもしれませんが、正社員がやっている仕事に挑戦をするなら、時給1,000円は決して高くありません。現在の東京の高卒初任給は17万円ぐらいです。仮に所定労働時間が160時間だとすると、高卒の新入社員の1時間あたりの単価は1,111円になります。ここでのパートさんと正社員の違いは、能力の違いではなく労働時間の長短だけです。
私は前勤務先の魚屋で新規事業(寿司事業)を立ち上げた経験がありますが、このとき主力となった従業員はパートさんでした。それまでパートさんは単純な作業をしていましたが、このときは寿司職人と同じ寿司ネタの切り込みをする仕事をしてもらいました。
もちろんこれは通常正社員の仕事です。しかしこれをパートさんにしてもらうことで、時給を大幅に上げてもいいほど成果を上げました。驚くことに労働分配率30%の新規事業が実現できました。
今、単純な仕事を任せているままで時給を上げれば、その分利益は減少すると想像はつきます。近い将来また最低賃金が上がることは分かっています。そうであれば最低賃金を上げざるを得ないパートさんに関して、この機会に今までの仕事よりもっと難易度の高い仕事に挑戦してもらうことが必要でしょう。
これから労働力不足の時代が続きます。パートさんでも難易度の高い仕事に挑戦したいという方は少なからず存在しています。その挑戦をしてもらうことで、例えば一般職層の正社員の最高の賃金が30万円であれば、同じ仕事をしているのであれば1,800円でも支給可能です。問題に追いかけ回されるよりもその問題を我が社の根本的な解決策を講じることによって、パートさんも良い、会社も良い、お客様も良い、三方良い解決方法になります。
パートさんを含めた非正規雇用者を、単純作業からもっと難易度の高い仕事に挑戦させる仕事の見直しが必要であると言えるでしょう。
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