第264話 何をやっても長く続かない理由はコレ
2025-06-25
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経営者と話をしていると、同じような嘆きの声を多く聞きます。それは「社内で何か新しいことをやっても長く続かない」という嘆きです。そしてその続かない原因は「社員」にあると捉えている場合が多いと感じています。
しかし、これは社員の問題ではなく会社の仕組みに問題があると考えてもらわなければなりません。なぜ新しいことに取り組むのか、会社がその目的を社員に説明していないから続かないのです。
基本的に、新しいことに取り組む目的は何かの成果をより上げるためです。そうした取り組みは、往々にして経営者や幹部が社外のセミナーや研修に参加した後に始めることが多いでしょう。このことに社員は既に気づいているため、誰かがセミナーや研修に行くことを知った瞬間に「また何か始めるつもりだろう」と陰で話しているかもしれません。
会社からすれば、社員の成果を上げるために新しいことに取り組もうとしていますが、この目的を社員に説明していません。この取り組みによって具体的にどのような成果が上がるのかを説明しなければ、社員が積極的に新しいことに取り組むことはないのです。
また、このとき上がる成果については「売上高」や「粗利益」のような大項目ではなく、できる限り細かく分解した項目で説明してください。
例えば「売上高」は「客数×客単価」に分解できます。もし、その新しいことに取り組んで「客単価」は増えても、悪天候など別の原因で「客数」が減少すれば、結果として「売上高」は増えません。新しい取り組みの成果を「売上高」で判断すると、失敗になってしまいます。この繰り返しでは「やっても結果が出ない」と、やがて社員は新しいことに取り組む意欲を失っていくでしょう。
これから取り組むことは「客数」を増やすことなのか、「客単価」を増やすことなのか、新しい取り組みによって上がる成果の種類を分解し、具体的に説明しなければなりません。
また、新しい取り組みによって高い成果を上げた社員がいたとしても、そのことを社員にフィードバックすることを怠っています。新しい取り組みで高い成果を上げることは評価の対象であり、昇給・賞与にも反映されると社員に明示することが必要です。
社員の立場で考えれば、新しい取り組みが評価の対象になっているかどうかはとても重要なことです。そしてそれによって評価が高まり、昇給・賞与に反映されることが明確になっていれば、途中で止めることはありません。
もっとも、どの企業にも「組織原則2:6:2」があるため、新しい取り組みによって成果を上げている社員が、必ず上位に2割存在しています。そこで、この高い成果を上げている社員は新しい取り組みによって高い成果が出たという情報を全社員に共有するのです。
まだまだ成果の上がっていない真ん中の6割と下の2割の社員は、その情報を得ることで成果を上げるイメージを持つことができ、新たな取り組みを続けるようになるでしょう。
組織の中で新しいことに取り組むことは、当然今以上に高い成果を上げるためであり重要なことです。しかし、こうしたことを前もって説明していなかったために途中でうやむやになり、新しい取り組みが止まってしまっていたのです。これを繰り返すことは、組織にとって大きなダメージになります。
そして、新しい取り組みを始めたときの「成果が出なかったから止める」という判断や「成果が上がったので全社で継続して取り組み、もっと大きな成果につなげる」といった判断は会社がしなければなりません。
そこで、新しいことを始めた段階で「継続する」のか「止める」のかを判断する基準を設けることが必要です。成果が上がらない取り組みをいつまでも続けることはできません。経営者はこの判断基準を持ったうえで、社員に新しい取り組みをさせてください。
今後も大きく変化する時代に向け、ますます会社全体で新しいことに取り組む必要性が出てきます。そのためにも、新しい取り組みを評価や昇給・賞与を決める仕組みにきちんと反映させ、前もって社員に説明することを怠ってはいけません。
今までとは全く違う新しい取り組みに挑戦しなければ、組織の存続に大きな影響を与えることを経営者・経営幹部は肝に銘じて取り組まなければならないでしょう。
成長制度で構築する仕組み「成長シート」があれば、こうした新しい取り組みをきちんと評価し、賃金にまで反映させることが可能です。成長制度をまだ導入されていない方は成長塾にお越しください。
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