ブログ記事一覧

ダントツ日本一の人事制度支援数
過去20年間で支援実績1,387
042-542-3631
お問い合わせ 資料請求

第155話 新卒社員の教育の守るべき手順がある

2023-04-25 [記事URL]

最新情報
【4月更新】最新のインタビュー記事をアップしました! 詳細はこちらから
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

新卒社員が入社すると、会社は一日も早く成果を上げられるようになってもらいたいと思うでしょう。そのため、必要な知識技術を学ばせ、仕事ができるように教育します。

しかし、最初に教育すべきことは勤務態度であることを忘れている会社が多いように感じます。それぞれの会社にはそれぞれ特有の企業風土、組織文化があります。会社ごとに長い間時間をかけて当たり前だと言われてきたことが、その会社の文化として醸成されています。

企業経営の中で醸成されたこの企業文化を守ってもらうことがとても大事です。この文化が守れない社員は会社に定着しません。そのため、成長シートがある会社は入社の段階で成長シートの勤務態度を見せ、これを守ってもらうことがとても重要であることを説明しなければなりません。

知識技術、重要業務は入社して一から「学ぶ」ことになります。しかし、この勤務態度は「学ぶ」のではなく「守る」ことになります。なぜなら、高校時代、中学校時代に何度も何度も繰り返し聞いてきたことでしかないからです。初めて学ぶことは1つもありません。

「会社で明示している勤務態度の成長要素が大切だと思えるか?」
これは会社の価値観に共感できるかどうかの質問といえます。
勤務態度が守れない社員は、残念ながら守ろうとする気持ちがないのです。そのため、入社前に勤務態度が守れるかどうかハッキリと確認しなければなりません。これが守れないと言う人は採用しないことです。

そして、入社したらすぐに勤務態度を守ることをしっかりと指導し、成長を確認しなければなりません。通常は、新卒社員は入社1年後には勤務態度の成長基準が4点以上になります。それは、守ろうと思えば守れることだからです。これが1年経っても4点以上にならない、つまり勤務態度を守れていない社員の場合、その教育は困難を極めます。

勤務態度を守れるようになったら、次に知識技術を学ばせる。そして最後に、重要業務を学ばせることになります。重要業務ができるようになれば、結果として期待成果が上がります。

このとき、知識技術は必ず重要業務を遂行するために必要であると説明をしてください。知識技術と重要業務には密接な関係があります。この関係を説明しなければ、社員は知識技術を積極的に学ぶことはありません。

「知識技術はこの会社に必要だから身につける必要がある」という説明では学校と同じです。知識技術を身につける目的が分からず、社員は知識技術を学ぶ必要性を感じないのです。
「知識技術は、重要業務を遂行するために必要である」と説明がしっかりとされていれば、社員は知識技術を積極的に学ぶようになります。知識技術が身につかなければ重要業務ができないことが分かるからです。そして、同時に成果を上げることができないことも分かるからです。

一般的に、入社した社員に会社で必要なものを学ぶよう教育しようとしますが、この関係性を説明しておかないと、社員は本気で身につけようとしません。大切なことは、勤務態度を守ることはこの会社の社員として絶対条件であり、知識技術は重要業務を遂行するために必要であり、重要業務ができたら必ず成果が上がることを説明しなければなりません。この説明ができているでしょうか?


第154話 新卒社員が昇給に感謝する賃金制度とは

2023-04-18 [記事URL]

最新情報
【4月更新】最新のインタビュー記事をアップしました! 詳細はこちらから
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

新卒社員に入社後最初に教えるのは学校と会社の違いです。

新卒社員は高校時代も、大学時代も、学校ではさまざまなことを学んできました。ただ、この学んだことが実社会において何に役立つかは明確ではありません。学校時代には授業料を払っていたにもかかわらず、多くの場合、学校で学んだことがストレートに社会で役に立つことは少ないでしょう。

しかし、これから会社で学ぶことは、実社会で役に立つ一生ものの力を身につけることになります。稼げる人間に育て上げるという言い方もあるでしょう。もちろん「稼ぐ」とはお客様の役に立つことであり、「お役に立った分だけ稼げるようになった」という意味合いです。

会社で学ぶことには順序があって、まずは「勤務態度」、次に「知識技術」、そして「重要業務」、この順番で学んでいきます。これらを学ぶことによって成果を上げることができるようになるのです。このように、この会社で学ぶことは一生涯役に立つ自分にとって大切なことを身に付けることだと、しっかりと教育しなければなりません。

ところが社員に勤務態度を守らせ、知識技術を習得させ、重要業務をできるように教育指導するにもかかわらず、会社は授業料を請求することはありません。

会社の学びは自分のためであり積極的に学ぶことが必要でしょう。身に付いたものが奪われることはありません。仮にどんなに財産を持っていたとしてもとられてしまえばゼロになります。しかし身に付けたものは一生ものであり、それは奪われることはありません。そんな素晴らしいものを身に付けさせてくれる会社であると社員に教育しなければなりません。

さらに、この会社の賃金制度もしっかりと説明する必要があるでしょう。多くの会社では新入社員も入社1年後に昇給をしているでしょう。この1年後に昇給する理由は何でしょうか。

この昇給は、新卒社員が組織貢献をしたから昇給しているのではありません。まだ成果を上げることができていないにもかかわらず1年後に昇給するのは、新卒社員は一から会社で学ぶことを大前提として採用しているからです。そのため一人前になる間、例えば10年間は新卒社員の生活を保障するために賃金が昇給されるのです。

会社によって支給項目はさまざまだと思いますが、例えば年齢給は現代では「生活保障給」という目的となるでしょう。会社によって違う標準昇格年数(5年~10年)の期間中は、生活保障給として昇給するという説明が必要です。

それによって社員は会社で仕事を教えてもらっているにもかかわらず授業料を払わなくていいことと、毎年この生活保障給が昇給されることに対して、大いに感謝の気持ちを持つことになるでしょう。

この教育をしておかないと、1年経って昇給をしても感謝することなく、ただ単に3000円、4000円昇給したことを聞くだけになります。

新卒社員は入社して、一から学びますが、「授業料を払うことなく会社から生活保障給として年齢給を昇給します」と説明しているでしょうか。


第153話 既存社員に反対されないために新卒採用の前に取り組むべきこと

2023-04-11 [記事URL]

最新情報
【4月更新】最新のインタビュー記事をアップしました! 詳細はこちらから
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

これから日本の中小企業にとって、新卒採用はとても難しくなります。

大手企業でさえ新卒採用が難しい時代になりました。その影響は、中小企業の採用に大きな影を落としています。今でもなかなか新卒採用は難しい時代ですが、これからはその何倍も採用が難しい時代になっていきます。

その新卒採用に取り組む前に、中小企業がやっておかなければならないことがあります。

通常、企業には採用した新卒社員が一般階層を卒業する、いわゆる優秀な社員になるまでにかかる標準的な年数があります。それを「標準昇格年数」と表現します。

例えば標準昇格年数が10年の会社であれば、22歳で入社した新卒社員が一人前になる、つまり一人で仕事ができて成果を上げるまでには10年、32歳までかかります。その間は自分の賃金を賄うだけの収益を上げることは出来ません。

そのため、新卒採用をするためにはしっかりとした準備が必要です。その準備とは、新卒が入社しても仕組みによって成果を上げられるようにすることです。

新卒社員は全て一から学んでいく場合、入社後10年間は既存社員が上げた収益から新卒社員の賃金を払うことになります。そうであれば、既存社員の賞与が減ることは明々白々です。そのため、既存社員が「新卒社員の採用を反対した」という話はそう珍しいことではありません。

既存社員に反対されないためには、新卒社員が入るまでにさまざまな仕組みをつくる必要があります。今までベテランの社員がやっていたことを、入社したばかりの新卒社員でもできるような仕組みをつくっておくのです。

私の前勤務先の鮮魚小売業を例に仕組みを2つ説明します。店長やベテラン社員でも難しいとされていた発注業務を仕組みにすることによって、新入社員でも発注できるようにしました。この発注業務は通常、入社して10年以上経たないとできない仕事の一つでした。
また、鮮魚小売業の会社に入社した新卒社員が包丁技術を習得するためには、一般的に業界では10年はかかると言われています。この包丁技術を習得する方法を仕組みにすることによって、わずか1年で約8割の包丁技術を身につけられる仕組みをつくりました。

こうした仕組みがあれば、新卒社員を採用しても、採用した年からベテラン社員のやっていた仕事ができるようになります。

新卒社員が、自分の賃金をある程度仕組みで稼げるような企業にしてから新卒を採用しなければなりません。特に新卒の場合は、基本的に一から教えることになります。教えるのに標準昇格年数をかけるとなると、どうしてもその年数の間は既存社員の賃金・賞与をセーブすることになります。労働分配率の悪化を伴うこともあるでしょう。

そうならないためにも今の業務を仕組みにして、新人でもできるよう仕組みを構築してから新卒採用をしなければなりません。

新卒採用をしている会社は、この仕組みはできているでしょうか?


第152話 令和5年、社員を成長させるための最も大切な社員教育

2023-04-04 [記事URL]

最新情報
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

日々、賃金の見直しを検討している経営者は増えていますが、悩むだけでは社員の賃金を上げることはできません。

社員の賃金を上げたいと考えている経営者は、社員に「賃金はどうしたら上がるか」を教育する絶好のチャンスが来たと考えるべきです。

最も大事なことは、業績が向上しないと賃金は上がらないことです。
例えば経営目標を発表した会場で、全ての社員が「その経営目標は必達だ!」と発言することは通常ありえません。組織原則2:6:2の通りに、2割の社員は意欲的に、6割の社員は様子見、そして2割の社員は最初から否定的な考え方を持っています。このままでは経営目標を実現することは不可能だと言わざるを得ないでしょう。

では、「この経営目標が達成できたときこそ賃金がアップできる」と説明できている会社はどのくらいあるでしょうか? 例えば「今期の経営目標を達成したら、賃上げ率は平均5%になる」くらいの説明は必要です。

まずは業績と昇給・賞与の関係を説明しなければなりません。それによって経営目標は社員の昇給・賞与を高めるためにあることを社員に理解させなければならないでしょう。

そして経営目標を達成するためには、成果の高い社員のやり方を全社員で共有化して実行することです。

昇給・賞与に対する社員の考えは「自分はたくさんもらいたい」でしょう。それはいつも経営者が「頑張った社員にはたくさん昇給・賞与を出す」と言っていることを社員がそのまま理解している結果なのです。つまり、言い方を変えると「頑張って、自分だけはたくさんもらおう」となります。

昇給・賞与を増やす最も大切なことは会社全体の業績を上げることです。業績の大きさによって昇給・賞与はどうなるか、事業年度の最初に発表しなければなりません。

(A)業績がいいときにはどのくらいの昇給・賞与、(B)業績がまあまあのときはどのくらいの昇給・賞与、(C)業績が悪いときはどのくらいの昇給・賞与になるか、事業年度の最初に発表することです。それによって、社員は経営目標の実現によって自分の昇給・賞与がいくらになるか、1年前に分かるようになります。

昇給・賞与が少なくなってもいい社員は一人もいません。全社員が少なくとも前年より昇給・賞与を増やしたいと考えているでしょう。そのためには業績を前年より上げなければなりません。

ではどうやって業績を上げたらいいのかと社員が考えたときに、「優秀な社員をモデルにしてつくった成長シートに書いてある重要業務をみんなで遂行すること」と考えることができれば、全社員が成長すること=会社の業績を上げることだと分かるでしょう。

そして、特に優秀な社員が成果の上がっていない社員に積極的に教えることが、会社全体の業績を上げることへの一番の近道だと理解できるでしょう。この発想ができる社員は、さらに優秀になることはどの会社においても同じです。

この教育を今こそしていかなければなりません。今年の事業計画書、経営目標の発表時にはこの教育から始めてもらいたいと思います。

今、あなたの会社は、昇給・賞与は業績の向上によってこそ増えるということを社員に理解させているでしょうか。


有限会社中井レストラン企画様(飲食店の経営、酒類の製造および販売等 大阪府)

2023-04-03 [記事URL]

「人事制度の導入によって従業員の成長を促すことに成功。おかげさまで、独立した元従業員ともビジネスパートナーとして良い付き合いができています」有限会社中井レストラン企画 代表取締役 中井 深氏

働くポジションや昇給および賞与に関して従業員の納得度を高めるため、成長塾で人事制度づくりを学ばれた有限会社中井レストラン企画 代表取締役 中井 深氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名:有限会社中井レストラン企画
代表者:代表取締役 中井 深
従業員数:20名(正社員5名、アルバイトパート15名/2022年6月現在)
所在地:〒541-0053 大阪市中央区本町1-7-1 三星本町ビル
事業内容:
飲食店の経営、ビール・発泡酒・その他酒類の製造および販売、
飲食店の企画・運営、飲食店の経営コンサルタント業務、
食料品および飲料品の販売、通信販売
URL:http://www.dolphins.co.jp/

contents.gif

 

1.ベルギービールを提供する居酒屋を展開

――有限会社中井レストラン企画の会社概要をお聞かせください。

私が29歳のときに独立し、1985年4月に飲食店を開業、1990年3月に現在の有限会社中井レストラン企画を設立しました。店舗は私のビール好きが高じた、ビールがメインの居酒屋です。創業当時は世界各国のビールを提供していました。

途中からベルギービールの専門店にシフトしましたが、その理由はたまたま訪れたビール専門の講習会でベルギービール専門店舗のブースに出会い、興味を持ったからです。初めは「飲みやすい」「フルーティー」だけでなく「濃い」や「酸っぱい」など、バラエティに富んだ味が面白いと思いました。もっとベルギービールを勉強したいと考え、現地にも足を運びました。

いくつものビール醸造所を見学させてもらい、それぞれに非常に深いバックボーンがあることが分かりました。とくにさまざまな文化が交じり合ったベルギーの歴史と風土は興味深く、現地のビール醸造所はそのバックボーンを味に反映させていました。そこで、あらためてベルギービールの味を日本の皆さんに知っていただきたいと思い、ベルギービールの専門店にシフトした次第です。

店舗写真
カフェでコーヒーを飲む感覚でベルギービールを楽しめる店DOLPHINS Umeda

現在はご存知の通り、コロナ禍の影響で飲食業界全体が大打撃を受けてしまいました。もちろん、当社も例外ではありません。一時は6つあった店舗も一店舗は閉店、もう一店舗はのれん分けを行うなどして規模を4店舗に縮小しました。しかし、ただ縮小するだけでなく、4店舗のうち、ひとつの店舗は自社製クラフトビールのビール醸造所にチェンジし、新たなビジネスモデルを構築中。このビール醸造所には、クラフトビールを提供するブルワリーパブも併設する予定です。

激動の飲食業界ですが、当社はコロナ禍の先に向け、新たなチャレンジにまい進してまいります。

2.キッチンとホールも兼任できる体制を構築したい

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

店舗写真
美味しいベルギービールと料理が楽しめる店内

もっとも大きな理由は好き嫌い、もしくは得意不得意でポジション(キッチン/ホール)が決まってしまい、店舗運営の効率化・活性化につなげることができなかったためです。

確かにキッチンが得意で接客が苦手な従業員の場合、あまりホールに出たくない気持ちは分かりますが、忙しい時間帯で人手が足りないときはホールにヘルプが必要です。そうした場面で頑なにキッチンにこだわる従業員がいると、店舗をスムーズに運営することができません。

しかも、私が「キッチンも大事、ホールも大事」だと従業員に浸透させることができずにいたため、ポジションにこだわる我儘がまかり通っていました。しかたなく、ホールを回すためにアルバイトを雇い、無駄な人件費を支出していました。

もうひとつ、昇給や賞与の決定にも苦労していました。基本的には私の一存で決まるわけですが、従業員と面談し、お互いに顔色を伺って昇給や賞与の額を決める状況でしたから、一人ひとりに時間がかかります。

しかも、提示する昇給や賞与は、面談時の場当たり的な数字。根拠があるわけではありませんから、従業員に対する説得力がありません。納得してもらうためにも気を使うため、私にはとてつもなく重労働でした。毎回、従業員が納得する昇給や賞与を簡単に算出できる方法はないかと考えていました。

――先ほどの問題を解決するための施策などはされたのでしょうか。

中小企業家同友会の研修会の旗を前に撮影された写真
大阪府中小企業家同友会での新人社員研修会のシーン

大阪府中小企業家同友会に所属する経営者仲間と相談しつつ、さまざまな施策を思案しました。例えば、従業員を交えた戦略会議もそのひとつです。

会議自体は盛り上がり、決定した事項を実行しようとするのですが、しばらくすると従業員は「会社には良いかもしれないけど、自分たちにはどんなメリットがあるのか」という考えが頭をよぎってしまうせいか、長くは続きませんでした。要は私が「どう頑張れば給与が上がるのか」を示せないため、従業員のモチベーションが続かない状況でした。

――成長塾に出会った経緯をお聞かせください。

あるとき、大阪府中小企業家同友会の経営者仲間の一人が、とても清々しい顔をされていたので「どうかされましたか?」と伺いました。すると、松本先生が主催する成長塾を受講したとのこと。さらに、成長塾の人事制度を導入して以降、会社が劇的に変革し始めたと聞き、これは当社もその人事制度を導入したいと思い、2010年12月に成長塾を受講しました。

3.成長シートづくりを再確認するため2回目の成長塾を受講

――2014年にもう一度受講をされていますが、その理由を教えてください。

最初の受講後、すぐに成長シートを作成して運用したところ、2010~2013年までは非常に上手くいきました。従業員も「期待成果」や「重要業務」などの成長点数が自身の成長につながること、昇給や賞与にもつながることを理解できていました。そして、私や幹部もフィードバックや成長支援会議を行い、人事制度の運用に力を注いでいました。実際、そうした人事制度の導入が業績にも成果として表れていました。

ところが、従業員が成長しているはずなのにも関わらず、2014年は業績が芳しくありませんでした。そこで、従業員と一緒に成長シートを見直したところ、「当社で言うところの優れたやり方は、他店では普通もしくは当り前なのかもしれない」という結論にたどり着きました。もちろん、私自身の経営戦略にも問題があったかもしれませんが、現状の状況を打破したいという想い、そして、成長シートづくりをあらためて確認、ブラッシュアップしたいという気持ちがあって、再度受講することにしました。

――2回受講されて人事制度は明確になりましたか。

もちろん、明確になりました。2回目の受講以降は、成長支援会議のなかで「重要業務」「知識・技術」の定義を毎回見直すようになりました。これにより、良い意味で成長点数の基準がシビアになるため、従業員を次のステップへ促せるようになりました。

4.正社員だけでなく、アルバイトは成長シートのスモール版で評価

――人事制度を導入して良かったところを教えてください。

多くの効果がありましたが、主だったところでは以下が挙げられます。

<成長と処遇(昇給・賞与)がリンク>

自身の成長が処遇(昇給・賞与)につながるということを説明できるようになりました。とくにキッチンとホールの両方を重要業務に位置付けたことが大きく、この両方をこなすことが成長への第一歩であることが、ようやく従業員に理解してもらえました。

<教えることが当り前の環境に>

優れたやり方を他の従業員に共有して成長させることが5点という考え方は、とても素晴らしいと感じています。これこそが、私が求める理想の従業員像です。こうした高い成長点数は処遇(昇給や賞与)につながっていきますから、従業員も教えることに抵抗がなくなっています。もっと教えることが当り前の環境になれば、店舗の雰囲気はより和やかになるのではないかと期待しています。

<給与に納得感>

人事制度による評価と業績がリンクしているため、従業員から給与に対する不平不満の声がなくなりました。従業員も納得感があるようです。そして、私も楽になりました。

以前は昇給時期になると時間がかかるため、とても憂鬱でしたが、今は成長点数をベースに算出するだけですから、まったく時間はかかりません。

<新卒の採用に成長シートを活用>

以前は中途採用ばかりでしたが、人事制度導入後は成長シートでキャリアプランを説明できるようになったため、新卒の採用を決意。新卒の合同説明会などの場で成長シートを大いに活用し、実際に新卒を採用することができました。

<アルバイトには成長シートのスモール版を利用>

当社にも多くのアルバイトが在籍していますが、彼らの働きに対しても成長シートを応用できないかと思案し、成長シートのスモール版をつくることにしました。1項目あたりの成長点数は最高4点に設定。ビールとワインの持ち運びに関する項目を例にすると、「ビールもしくはワインをオーダーの席に持っていく」だと1点、「ビールとワインを一緒にオーダーの席に持っていく」では2点になります。2点を獲得すると研修が終わり、「素早く正確に」などが付くと3点になり、時給が上がるというシステムです。こういった項目を30前後用意しました。

アルバイトの業務を定量的に評価し、時給に反映できるため、非常に重宝しています。

5.一般的な外食産業よりも離職率が低い

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

人事制度導入前後の2010年9月~2011年2月、2011年3月~2012年8月という6カ月で比較し、以下に示しました。人事制度導入前の2010年9月~2011年2月の売り上げ100%とした場合、人事制度導入後の2011年3月~2012年8月は業績が向上しているのが分かると思います。

また、2016年度の離職率を以下に示しました。長く働いてくれる従業員を確保するのが難しい飲食業界ですが、人事制度導入後の当社は従業員、アルバイトともに平均就業年数が長く、離職率が少ないというデータになりました。人事制度導入の効果は確実に得られたと考えています。

6.コロナ禍で辞めた元従業員と良好な関係性を築く

――冒頭でコロナ禍の影響をおっしゃっていましたが、もう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

コロナ禍は、飲食業界および当社に大きな打撃を与えました。そもそも最初の非常事態宣言時は営業自体できなかったため、売り上げは最大97%ダウン。現在はようやく6~7割ぐらいまで回復してきたところです。しかし、依然としてコロナ禍前の状況には戻っていません。

また、「営業ができない」「売り上げがない」となると、自ずと従業員は削減するほかありません。コロナ禍で十人前後の従業員が辞めていきました。残った従業員に対しては、成長シートを「今何をやるべきか」に絞り、コロナ禍仕様に変更して対応しました。ようやく現在は、コロナ禍前の成長シートに戻しつつあるところです。

幸いにも、当社を辞めた従業員の多くは円満退職で、独立して自分の店を持つ元従業員も少なくありません。そういった元従業員は、有り難いことに頻繁に当社の店舗に遊びきてくれます。もちろん、お互い遺恨などもありません。こうしたフランクな付き合いができているのは、人事制度による成長支援とアットホームな環境が少なからず影響しているのではないかと推測しています。

私も飲食業が好きですから、同じ飲食業を志す元従業員をしっかり応援したいと思っています。

――人事制度に悩んでいる飲食業に向けて、アドバイスがあればお願いします。

当初は「従業員みんなが定年退職まで勤める会社にしたい」と思っていましたが、大きなチェーン店ならともかく、当社のような規模の小さな会社では難しいというのが正直な感想です。

それでもコロナ禍を除き、当社が外食産業の平均よりも離職率が低いのは、成長塾の人事制度のもと、従業員の成長を促すことができたからだと思っています。仮に辞めても、成長シートを通じて自力で生きていく力が身についていれば、同じ飲食業の仲間として協業していくことも可能です。事実、これから当社がつくるクラフトビールを元従業員が経営する店舗に置いてもらう話を進めています。

私から言えるのは、会社に都合の良い成長シートにしないこと。繰り返しますが、従業員の成長を促すことに重点を置いた成長シートを作成すれば、長く付き合える飲食業の仲間になるのではないかと考えています。それを念頭に、飲食業の経営者も成長塾を受講することをおすすめします。

――最後に一言お願いします。

実は最初の受講のとき、重い病気にかかってしまい、計6講座の講義の4講座目を受講することができませんでした。病気のこと、4講座目を受講できないことを松本先生に伝えると「とにかく病院に行ってしっかり直し元気に帰ってきてください」と安心する言葉をかけていただきました。

病院では、松本先生に用意していただいた教材と電話でのコンサルティングにより、4講座目の講義をクリア。退院後は5講座目の講義に出席することができました。こうした松本先生のフォローは本当に有り難かったですね。こうした対応には感謝しかありません。これからも、引き続きよろしくお願いいたします。


従業員は同じ飲食業で働く大事な仲間

有限会社中井レストラン企画様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※有限会社中井レストラン企画様のホームページ(http://www.dolphins.co.jp/)
※取材2023年1月


第151話 この時代に経営者が最も優先すべき教育の重要性

2023-03-28 [記事URL]

最新情報
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

社員の賃金を検討することはとても重要な経営課題です。特に今は物価高により、社員の生活は厳しさが増すばかりです。賃金が上がらなければ、物価高になった分、可処分所得が減少したに等しい状況になります。その状況を見過ごすわけにはいきません。そのため、多くの経営者は社員の賃金を上げることを検討しているでしょう。

賃上げには「昇給」と「ベースアップ」の二つの方法がありますが、賃金の底上げをしたいとベースアップを考える経営者は増えています。確かに賃金を上げることは大事でしょう。しかし、賃金を上げる以上に重要なことがあります。

それは「賃金を上げられるように社員を成長させる」ことです。つまり、稼げる社員に成長させることです。

稼ぐことの本質は、目の前にいるお客様のお役に立つことです。社員が目指す成長の方向性は、お客様のお役に立つ社員として成長することです。社員がそのように成長することで、賃金を上げることができる可能性は高まっていきます。

しかし、日本の中小企業の黒字化率は約30%と言われていますので、そんなに簡単ではないでしょう。ですが、決して無理なことではありません。やることはたった二つです。

一つ目は「成果を上げている優秀な社員が何をしているか可視化する」こと。二つ目は「その可視化したやり方を成果の上がっていない社員に教える」こと。この二つだけです。

全ての中小企業にも組織原則2:6:2があります。優秀な社員が2割、まあまあの社員が6割、これからの社員が2割います。この組織原則で考えれば、優秀な社員の2割が何をして成果を上げているのかを可視化するのが一つ目です。

二つ目は可視化した「成果を上げるやり方」を他の社員に教えます。このとき、教えられた社員が教えた通り実行しなければ意味がありません。そのため、成果の上がっていない社員は成果が上がるやり方を素直に真似することです。

「学ぶ」の元々の意味は「真似る」からスタートしています。成果の上がっていない社員が素直に成果を上げるやり方を真似してもらう教育、これは最も重要な教育の一つでしょう。

「やる気を出せ!」と言う指導よりも、「この『成果を上げるやり方』は、成果を上げた人たちがさまざまなことに挑戦してやっと見つけたものです。これを真似することで、何年もの時間を短縮して同じように成果を上げることができます。その短縮した時間を利用して、成果の上がるやり方を学んだ先、それ以上の成果を上げるやり方を考える。そのように成長することが大事です」と、成果の上がっていない社員に教育する最も大切な時期と言えるでしょう。

この二つができれば、社員が全員成長する組織になります。社員が全員成長している組織で赤字になることはありません。是非この二つを取り組んでもらいたいと思います。

今、全ての社員が成長しているでしょうか? またその成長するための仕組みをつくっているでしょうか?


第150話 優秀な人材をスカウト採用から守る唯一の方法

2023-03-14 [記事URL]

最新情報
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

最近の中途採用は、求人広告を出して社員を募集する方法から、スカウトサイトに登録している中から社員を採用する方法に徐々に変化してきています。

これにより、社員は転職を考えたときに初めて求人広告を見るという時代から、今すぐ転職する気はなくてもスカウトサイトに登録する時代になりました。

スカウトサイトに登録している社員は、今の会社の評価や賃金に満足していない社員が多いでしょう。評価と賃金は一致していることを、社員が納得できるよう分かりやすい説明をしている会社は少ないのが現状です。

例えば年収400万円の社員がスカウトサイトに登録し、年収500万円のスカウトを受ければ、心が動くのは当然でしょう。そのため、我が社の優秀な社員が他の会社に転職しないための方法を考える必要があります。同じくらい優秀な社員を採用することは、ほぼ不可能です。

社員の物心両面の豊かさを考えている経営者は、社員を一生懸命成長させ、そして賃金を上げたいと考えているでしょう。しかし、世の中にいる経営者が全てそう考えているわけではありません。スカウトサイトで、必要な人材を高い年収でスカウトする会社は「社員の今後の成長を考えて」だけではなく、「今不足している人材を至急求めている」ケースの方もあるでしょう。つまり、その社員の人生を考え、そして物心両面の豊かさまで考えて採用しないことも想定されます。

我が社の社員にはしっかりとした教育が必要です。それは我が社には成長階層が一般階層・中堅階層・管理階層があり、その階層を上がるように成長してもらうことを考えており、その成長によって賃金はどう増えていくのか説明することです。社員が将来のことを考えられるよう、賞与も含めた年収が分かるようにするとより良いでしょう。経営者はこれを社員に明示して教育しなければなりません。

経営者が社員の物心両面を豊かにしたいと思っていても、明確な仕組みが無ければ社員はその想いを理解することができません。そのため、3階層の成長シートをつくり、その階層にステップアップするための基準を明確にし、そして会社の業績がいいことを前提として社員が成長していったらどのように年収が増えていくのか、仕組みをつくり説明しなければなりません。

賃金に関して社員から不平不満がないという会社がほとんどでしょう。しかし、日本人は世界の中で一番賃金交渉をしない国民であることが分かった以上、安心することはできません(出典:リクルートワークス研究所⦅2020⦆「5か国リレーション調査」)。

この社員の40年間の賃金がどう増えていくか説明できることが、本当に社員のことを思っている、物心両面豊かにしたいと考えている証明にならざるを得ないようになりました。

特に優秀な社員はスカウトサイトから常に誘いを受けているという感覚を持ってください。その対策をしているでしょうか。


2023/3/10~3/12に発生したクラウド版トータルサポートシステム障害について

2023-03-10 [記事URL]

※3/13 9:30更新

2023/3/10 10時~2023/3/12の間、クラウド版トータルサポートシステムにアクセスできない事象が発生しました。
原因は管理しているサーバー障害で、現在は無事復旧していることを確認しました。ご迷惑をお掛けし大変申し訳ございませんでした。

※新システムriyakuは障害発生しておりません


弊社代表の松本の記事が東洋経済オンラインに掲載されました!

2023-03-08 [記事URL]

2023年3月7日に、弊社代表の松本が執筆した記事が「東洋経済オンライン」に掲載されました!

記事はこちらからご覧ください
残業続きで疲弊「生産性が低い」会社が陥る悪循環
-増員しても残業は減らない、どう対応すべき?


第149話 上司が部下指導を上手にできない根本的な理由

2023-03-07 [記事URL]

最新情報
【5月開始】成長塾213期申し込み受付中!
書籍のご案内
Amazon小売部門で第1位!(2022/10/14)大好評17刷ベストセラー!
社員が成長し業績が向上する人事制度
NHKラジオでも取り上げられた今話題の一冊! Amazonで3部門第1位!
1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

部下を持つ上司に対して、経営者は「部下をしっかり指導して成長させてほしい」と心から思っているでしょう。しかし残念なことに、実際のところ上司はなかなか上手に部下指導ができていないのが実情です。

ところが、その上司に対して部下指導が上手にできるようにと指導をしようと思っても、どのような指導をしたらいいのかよく分からない経営者がほとんどです。そのため、経営者は外部の研修機関を頼り、上司が部下指導できるようにしたいと研修に参加させることが往々にしてあります。

しかし、その研修の効果を十分に感じている経営者は少ないと思います。この効果を上げる方法があります。それは、”あること”を思い出すことです。日本で社員に部下を持たせることは、一般階層(プレーヤー)の階層から中堅階層(プレーイングマネジャー)の階層にステップアップしたことを意味します。この社員をステップアップさせるとき、経営者は「この社員の何を見て判断したか?」を思い出さなければなりません。

部下指導が上手だから中堅階層にステップアップさせた会社は、基本的に日本では大手企業も含めて一社もないでしょう。経営者は、一般階層で社員が一人前になったと判断して中堅階層にステップアップさせます。部下指導は中堅階層にステップアップしてから初めて取り組むことになります。

マネジメントができる人に部下を持たせる欧米と、一般階層から中堅階層に上げてから部下指導の経験のない社員に部下指導をさせる日本とは、この根本的な違いがあります。

そのため、社員は「部下指導」という重要業務を中堅階層になって初めて行うことになりますが、このときの成長基準は基本的に1点です。つまり、部下指導をやったことがないところからスタートします。このことを経営者は中堅階層にステップアップした社員に説明しなければなりません。それは次のような説明です。

「あなたは一般階層で優秀な社員になり、一人前になりましたので中堅階層にステップアップしてもらいました。これから部下指導を行なってもらいますが、最初の「部下指導」の評価は1点です。つまり、部下指導ができないところからスタートします。仮に中堅階層にステップアップするのに10年かかったとすれば、部下指導ができるようになるためには10年以上はかかると考えてください。これから徐々に部下指導ができるように指導していきますので、決して焦らず取り組んでください」

このような説明をしておかなければなりません。上司には「部下指導」がすぐにできないのは能力がないからと誤解をさせないことが大切です。

私たちは部下指導ができるから中堅階層にステップアップさせたのではない。これを知っておかなければなりません。これからじっくりと部下指導に取り組んでもらわなければなりません。

そして、実際に部下指導ができるようになったか確認するためには、部下が重要業務をできるようになったか、知識技術が身についたのか、そして勤務態度を守るようになったのかを確認することです。

これらの部下の成長のプロセスを明確にし、部下の成長を確認することで部下指導が上手にできているか上司が分かるようになります。この部下指導できている上司が分かることにより、少しずつ部下指導のやり方を社内に共有することができるようになるでしょう。

まずは、部下指導が上手にできているか分かるような仕組みをつくることが必要でしょう。上司が部下指導できるようになったことを確認する仕組みはあるでしょうか?


PAGE TOP




MENU

CONTACT
HOME