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弊社代表の松本の記事が東洋経済オンラインに掲載されました!

2023-03-08 [記事URL]

2023年3月7日に、弊社代表の松本が執筆した記事が「東洋経済オンライン」に掲載されました!

記事はこちらからご覧ください
残業続きで疲弊「生産性が低い」会社が陥る悪循環
-増員しても残業は減らない、どう対応すべき?


第149話 上司が部下指導を上手にできない根本的な理由

2023-03-07 [記事URL]

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社員が成長し業績が向上する人事制度
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1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション
その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

部下を持つ上司に対して、経営者は「部下をしっかり指導して成長させてほしい」と心から思っているでしょう。しかし残念なことに、実際のところ上司はなかなか上手に部下指導ができていないのが実情です。

ところが、その上司に対して部下指導が上手にできるようにと指導をしようと思っても、どのような指導をしたらいいのかよく分からない経営者がほとんどです。そのため、経営者は外部の研修機関を頼り、上司が部下指導できるようにしたいと研修に参加させることが往々にしてあります。

しかし、その研修の効果を十分に感じている経営者は少ないと思います。この効果を上げる方法があります。それは、”あること”を思い出すことです。日本で社員に部下を持たせることは、一般階層(プレーヤー)の階層から中堅階層(プレーイングマネジャー)の階層にステップアップしたことを意味します。この社員をステップアップさせるとき、経営者は「この社員の何を見て判断したか?」を思い出さなければなりません。

部下指導が上手だから中堅階層にステップアップさせた会社は、基本的に日本では大手企業も含めて一社もないでしょう。経営者は、一般階層で社員が一人前になったと判断して中堅階層にステップアップさせます。部下指導は中堅階層にステップアップしてから初めて取り組むことになります。

マネジメントができる人に部下を持たせる欧米と、一般階層から中堅階層に上げてから部下指導の経験のない社員に部下指導をさせる日本とは、この根本的な違いがあります。

そのため、社員は「部下指導」という重要業務を中堅階層になって初めて行うことになりますが、このときの成長基準は基本的に1点です。つまり、部下指導をやったことがないところからスタートします。このことを経営者は中堅階層にステップアップした社員に説明しなければなりません。それは次のような説明です。

「あなたは一般階層で優秀な社員になり、一人前になりましたので中堅階層にステップアップしてもらいました。これから部下指導を行なってもらいますが、最初の「部下指導」の評価は1点です。つまり、部下指導ができないところからスタートします。仮に中堅階層にステップアップするのに10年かかったとすれば、部下指導ができるようになるためには10年以上はかかると考えてください。これから徐々に部下指導ができるように指導していきますので、決して焦らず取り組んでください」

このような説明をしておかなければなりません。上司には「部下指導」がすぐにできないのは能力がないからと誤解をさせないことが大切です。

私たちは部下指導ができるから中堅階層にステップアップさせたのではない。これを知っておかなければなりません。これからじっくりと部下指導に取り組んでもらわなければなりません。

そして、実際に部下指導ができるようになったか確認するためには、部下が重要業務をできるようになったか、知識技術が身についたのか、そして勤務態度を守るようになったのかを確認することです。

これらの部下の成長のプロセスを明確にし、部下の成長を確認することで部下指導が上手にできているか上司が分かるようになります。この部下指導できている上司が分かることにより、少しずつ部下指導のやり方を社内に共有することができるようになるでしょう。

まずは、部下指導が上手にできているか分かるような仕組みをつくることが必要でしょう。上司が部下指導できるようになったことを確認する仕組みはあるでしょうか?


4/3(月)~4/7(金)の営業について

2023-03-06 [記事URL]

弊社では誠に勝手ではございますが、下記の期間中、社内研修のため、通常の業務をお休みさせていただきます。

◆ 休業期間 2023年4月3日(月)~4月7日(金)

期間中はお電話をお受けすることができません。折り返しご連絡させていただきますので留守番サービスへ伝言をお残しいただくか、メールフォームからお問い合わせください。

各種お申込みや商品の発送につきましては順次対応させていただきますが、通常よりも日数がかかる場合がございます。ご了承ください。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


株式会社プレテック・エヌ様(産業用機械の設計・製造等 新潟県)

2023-03-01 [記事URL]

「中堅階層の係長のモチベーションが向上し、会社全体にやる気が感じられます。人事制度構築・運用システム『riyaku(りやく)』にも期待しています」株式会社プレテック・エヌ 代表取締役 永井宏明 氏

優秀な従業員を可視化し、公平に評価できる人事制度を構築したいと考え、成長塾で人事制度づくりを学ばれた株式会社プレテック・エヌ 代表取締役 永井 宏明氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 株式会社プレテック・エヌ
代表者 代表取締役 永井 宏明
所在地 〒940-2045 新潟県長岡市西陵町221-28
従業員数 57名
事業内容 産業用機械の設計・製造、各種切削・研削による精密金属部品加工、車載用部品製造
URL  https://www.pretech-n.co.jp/

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1.産業用機械や車載用メータ一の製造に携わる

――株式会社プレテック・エヌの会社概要をお聞かせください。

1916年(大正5年)に、曾祖父が設立した永井鉄工所が当社の始まりです。設立当時は、長岡市で石油が掘り当てられたこともあって、それにともなう採掘機械の製造・保守・メンテナンスの需要が増加し、永井鉄工所も主に石油掘削機の部品などを製造していました。以来、金属加工をはじめとして、精密性が要求される機械部品の製造、さらには設計や組立を含む産業用機械の一貫生産へと領域を広げてきました。

工場内部の写真
確かな技術でお客様のニーズに対応しています

具体的には、工場の生産力アップや省力化に役立つ、安全で使いやすい産業用機械を製作しています。設計はもちろん、お客様からお預かりした図面をもとに製作することも可能です。これまで、食品・印刷・医療機器・航空機部品など、さまざまな分野のお客様に当社の産業用機械をお使いいただいています。

また、国内有数の計器・センサーメーカーからの依頼により、二輪車を中心とした車載用メータ一部品やスピードセンサーの組立にも携わっています。部品加工、製造、検査、納入それぞれの過程で厳密な品質管理を実施。高品質な製品を長年にわたり遅延なく製造・納入することで、現在も高い信頼をいただいております。

当社の商号、プレテック・エヌの由来は「正確・精密(PRECISE)なモノ造り」「優れた技術力(TECHNOLOGY)の開発・提供」「次代への新たな(NEW)挑戦」。この商号をモットーに、100年にわたる歩みのなかで磨き続けてきた技術と、常に改良を重ねてきた品質管理体制を活かし、お客様と地域のために社員一丸となって業務に取り組んでいます。

――永井様の経歴をお聞かせください。

大学卒業後、2年ほど東京のIT企業で働き、2000年に新潟に戻ってプレテック・エヌに入社しました。事業承継が既定路線とはいえ、知識も理解も不足していましたから、会社経営は大きな不安でした。そこで、当時の代表取締役である父の勧めもあって、2011年に独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する「中小企業大学校東京校」で、経営後継者研修を受講。経営のイロハはもちろん、講師や参加していた後継者との交流を通じて、事業承継への意識を高めていきました。その後、2018年に代表取締役に就任し、現在に至っています。

2.年功序列型の給与体系に疑問を感じる

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

入社した当時から、評価と処遇(昇給・賞与)に疑問を感じていました。いわゆる年功序列型の処遇で年齢によって基本給が決まり、昇給に関しては一律、賞与総額に関しては業績をベースに算出していました。一見すると公平に見えますが、頑張っても頑張らなくても給料は同じ。極端な話、適当に働いていても給与は下がりませんから、公平とは言えません。

「給料をもらえれば、それだけでいい」という従業員には、とても居心地が良い会社だったと思います。逆に上昇志向の強い優秀な従業員は、いくら頑張っても頑張らない従業員と給与は変わりませんから、当社に見切りをつけて辞めていきました。こういう状況だったため、社内は殺伐としており、活気がありません。この状況を打開し、活気溢れる生産性の高い会社にしたいと常々思っていました。

――そうした給与体系を改善する施策は行ったのでしょうか。

2013年に、経営コンサルタントを招いて人事制度を構築しました。年齢だけでなく、業務の評価、技術手当を含めて総合的に評価する人事制度を導入することができました。しかし、評価方法に問題がありました。基準となる従業員を選定し、その従業員と評価対象の従業員を比較する相対評価だったため、従業員への説明に困窮。「あの従業員と比べてあなたはこうだから」とは言えません。当然、従業員から賛同を得られるわけがなく、私自身もこの人事制度に納得することができませんでした。

3.松本先生のセミナーを受講し、人事制度に共感

――成長塾と出会ったきっかけをお聞かせください。

中小企業大学校を含め、さまざまな研修を通じて知り合った方々に、おすすめの人事制度を伺う日々が続きました。そんなとき、懇意にさせていただいた経営者から紹介してもらったのが松本先生の成長塾でした。早速、松本先生が講師を務められていた2016年5月開催の「トップセミナー(2) 業績向上型人事制度~人事制度の見える化~」を受講。その際「経営者の想いと従業員の働き方を可視化して仕組みにする」という松本先生の人事制度に共感し、率直に素晴らしいと思いました。

作業中の写真
既定の技能検定や資格を取得した場合は、規定の技能手当を支給

ますます興味が湧き、7~9月にかけていくつかの松本先生のセミナーを受講。そのなかで松本先生とお話しする機会を得て、当社の人事制度の問題点を相談させていただきました。すると「早急に改善が必要です。成長塾を受講すれば解決できるはずですから、すぐに受講してください」というお言葉をいただきました。それを受け、その年の12月に成長塾を受講しました。

――成長塾受講の感想を教えてください。

成長シートを通じて「経営者の想いと優秀な従業員を可視化して仕組みにする」を実践できる点に感銘を受けました。しかも、相対評価ではなく絶対評価ですから、従業員にも分かりやすく説明することができます。あらためて、この人事制度を導入したいと思いました。

4.係長が成長シートを作成し、運用しながらブラッシュアップ

――受講後の運用状況を教えてください。

当時、期末は2月でしたから、新しい期が始まる2017年3月から仮運用を始めました。成長シートについては、私が現場のことをしっかり把握できていないこともあり、一般階層の従業員向けの成長シートづくりは、中堅階層である係長に任せることにしました。係長を評価する成長シートについては私がつくりました。

具体的には、9部門の係長を集めて成長シートの説明を行い、まずはたたき台をつくってもらってから会議で議論を数回繰り返し、成長シートの精度を高めていきました。以前導入した人事制度は、従業員一同からかなり反発がありましたが、成長塾の人事制度は優秀な従業員を可視化して評価する仕組みということもあって、すんなりと受け入れられた感覚がありました。

作業中の写真
工場内では女性従業員も活躍しています

その後、部門の統廃合がありましたが、部門ごとに成長シートを運用し続けてブラッシュアップを実施。成長シートの評価を賞与に反映させたのは2019年からで、給与との連動は2022年7月からです(現在は6月が期末、7月が期初)。ようやく本運用が始まったと安堵しているところです。

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

人事制度導入後の2019年7月~2020年6月、2020年7月~2021年6月、2021年7月~2022年6月の3年間を比較した定量的効果を以下に示しました。

※クリックで拡大

2019年7月~2020年6月はコロナ禍が始まったときで、売り上げが落ち込みました。その後も部品調達に時間がかかるなど、コロナ禍の影響はあったものの、2020年7月~2021年6月、2021年7月~2022年6月は売り上げが回復。人事制度導入による効果もようやく出始めてきていると感じていますので、今後は会社も従業員も大いに成長できると確信しています。

5.係長の高いモチベーションが従業員にも波及

――どのようなところで人事制度の効果を感じますか。

もっとも感じるのは、係長のモチベーションです。成長シートの「期待成果」「重要業務」「知識技術」によって優秀な従業員が可視化され、本当の意味で部下を公平に評価できるようになったことが係長のモチベーションにつながったと理解しています。

実際、3カ月に1回、私を含めて役職者が全員参加して行う成長支援会議では、係長が従業員の評価に対して積極的に発言する姿が見られます。とくに勤務態度については、部門が違えど階層ごとに同じ基準を使っているため、部門を超えて従業員の評価が可能。自分の部門以外の従業員に対しても「こういうところがとても良かった」「こういうことがあったので注意した方がいい」など、係長が積極的に発言してくれます。成長塾の人事制度を導入する前までは、こういった積極的な発言はありませんでしたから、意識は大きく変わったと言えると思います。

係長と部下のフィードバックにおいても、やる気が感じられます。例えば、フィードバックの内容はフィードバックシートに記載して成長支援会議内で議論し、最終的な評価につなげていますが、その際も、部門を問わず「その評価はおかしい」「もっと評価を上げてもいいと思う」といった係長の意見が飛び交います。熱い議論のなか、最終的には成長支援会議の参加者全員が納得して評価を決定している状況ですから、これまでにない良い傾向だと感じています。

――一般の従業員への効果はいかがですか。

現場の従業員と関わる機会が少ないため、成長支援会議などのなかで係長から従業員の話を聞くようにしていますが、それによると係長のモチベーションの高さが従業員にも波及し、今まで以上に成長している従業員が増えたとのこと。業務の詳しいことは私が知識不足のため、割愛させていただきますが、従業員の成長が売り上げアップにつながっていると考えています。

また、不平不満を言う従業員がほとんどいなくなったと聞いています。確かに以前は不満をもらす従業員が少なからずおり、前述したような殺伐とした雰囲気を感じることがありましたが、現在はそういった雰囲気はありません。むしろ、穏やかな中でもやる気に溢れた雰囲気が漂っています。フィードバックや成長支援会議を通じ、従業員も納得感が高まったのかもしれません。また、成長シートをもとに、どこに取り組みどこを頑張れば処遇(昇給・賞与)に反映されるか、具体的に認識できたのが大きいと考えています。

6.2023年初頭から「riyaku(りやく)」を本稼働

――人事制度構築・運用システム「riyaku」を導入されたと伺っています。

当社はMicrosoft Teamsなどを導入しており、ITシステムの利用に抵抗がありませんから、2022年11月に「riyaku」の契約をさせていただきました。もちろん、機能面も高く評価して導入しています。具体的には、今年の年末に支給する冬季賞与の計算について、これまでのExcelの場合と「riyaku」で比較・検証させていただきました。その結果、ほとんど差がなかったため、実用的に利用できると判断しました。また、当社は3階層ではなく4階層で運用していますが、「riyaku」はオプションによって4階層で運用することが可能という点も評価しています。

現在は過去の成長シートのデータを入力するなど、データを「riyaku」に集約している状況で、成長戦略会議でも「年明けの2023年から本格的に使っていきます」と告知済みです。ただし、本格的に運用するには、製造現場の従業員がスマートフォンやタブレットなどで入力できる環境が必要になります。タイミングを見計らいながら、環境整備も行っていきたいと考えています。

7.人事制度に悩んでいる経営者には松本先生の書籍がおすすめ

――人事制度に悩んでいる中小企業に向けて、アドバイスがあればお願いします。

成長塾の人事制度に感じるのは、経営者が心身ともに楽になれる仕組みだということ。これまで悩んでいたことが、ウソのように晴れやかになります。

もちろん、それだけではありません。当社の場合、中堅階層の係長を通じて従業員の成長、そして会社の成長も期待できます。人事制度に悩んでいらっしゃるなら、まずは松本先生の書籍をおすすめします。興味が湧いたら、ぜひ成長塾を受講してみてください。

――最後に一言お願いします。

全国大会やお客様の視察会など、松本先生とお会いし直接お話を伺える機会をとても楽しみにしています。残念ながら、コロナ禍以降はそういった機会が減りましたが、またいつかお会いできる日を期待しています。その際には、いつものように豊富な見識や的確なアドバイスがいただけたら幸いです。今後とも何卒よろしくお願いいたします。


やりがいや面白さを感じることができる会社です

株式会社プレテック・エヌ様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※株式会社プレテック・エヌ様のホームページ(https://www.pretech-n.co.jp/)
※取材2022年12月


第148話 生産性を上げる最も大切な1つの条件

2023-02-28 [記事URL]

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経営者も学者も専門家も、賃金を上げるためには生産性向上が必要であると発言しています。誰一人このことを疑わないでしょう。

日本では元々、1人当たりの獲得する付加価値を生産性として見てきました。そのため、残業をして成果を上げれば、生産性が上がるようなイメージがあったでしょう。

「残業するのは当たり前だ」という時代も確かにありました。現在40代以上の人たちは、あるCMを否定せずに受け入れてきました。

「24時間戦えますか! ○ゲイン!」というCMです。今の時代ではこのテレビCMは流すことができないかもしれません(笑)。

残業する社員を褒めるような時代が確かにあったのです。これはとにかく長時間働くことで、組織全体の生産性が上がっているようにすら見えます。実際、1人当たりの労働生産性が生産性指標であれば評価されるでしょう。

しかし、時間外労働の上限規制が中小企業でも始まった2020年からは、社員の評価を「売り上げ」「契約件数」「工事高」「生産高」といった成果の大きさから、別の成果の種類に切り替える必要がでてきました。それは「1時間当たりの労働生産性」です。従業員が1時間働いて稼ぎだした付加価値、ここでは粗利益としますが、その金額の大きさで評価することが必要になりました。

※ 1時間当たりの労働生産性 = 付加価値(粗利益) ÷ 総労働時間

たまたま私は以前小売業に勤めていましたので、40年前からこの1時間当たりの労働生産性を「人時生産性」と表現し、常にこの人時生産性を高める活動をしてきました。人時生産性が高い店舗の優秀な社員は、2つの行動を取っています。1つは粗利益を増やす行動、もう1つは労働時間を減らす行動です。これは同時に行っています。

現在、日本全体が残業時間を短縮する方向に進んでいるように感じますが、これは間違った方向性です。「残業時間を減らす」のではなく、「生産性を高める」としなければ、残業時間を短縮した社員は優秀な社員になってしまいます。残業時間を短縮したからといって、必ずしも粗利益が増えているとは限りません。これでは賃金は増やせません。

今、それぞれの会社に評価シートがあると思います。そしてその評価シートの中にはその社員に求める成果の種類が書いてあるでしょう。これからは、その成果の1つに「1時間当たりの労働生産性」を入れなければならなくなりました。これを評価の対象にすることが、生産性向上の絶対条件です。

そしてもう1つ大事なことは、会社には生産性の高い社員と生産性の低い社員が混在していることです。今スグこの生産性の高い社員のやり方を可視化、共有化することです。生産性を高めるやり方を全社員が真似すれば、今スグ生産性を上げることができます。これはとても簡単ですが、効果のある取り組みです。

今、生産性の高い社員は誰であるか、そしてその生産性の高いやり方を把握していますか? そして、あなたの会社ではその生産性の高いやり方を全社員に共有していますか?


第147話 中途採用時の賃金の決め方による問題点

2023-02-21 [記事URL]

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日本では賞与・退職金を決めるときには、基本給をベースに決めることが一般的です。しかし、この決め方には大きな問題があることに、経営者はあまり気が付いていません。

日本では労働基準法があるために、中途採用した社員の賃金は採用時点で決定しなければなりません。しかし、その社員が実際どれくらいの仕事ができるのか、3か月から6か月間仕事をしてもらわないと分からないでしょう。

つまり、中途社員の賃金は採用してから半年後に初めて評価に見合った賃金を決めることができるのです。

ところが、入社の段階で賃金を決めなければならないとなると、採用面接時の応募者の話から基本的に高い評価になり、基本的に高い賃金で採用することになります。このため、中途採用をしている社員の90%以上は賃金を払い過ぎています。

中途採用時に賃金を決める仕組みがない会社は、この払い過ぎている金額すら把握することはできません。

賃金を払い過ぎている金額が基本給に入っているとしたら、その払い過ぎている金額も含めている基本給をベースに賞与を支給するのでしょうか。退職金の計算をするときもこの基本給で計算するのでしょうか。これでは毎月の賃金ばかりか賞与と退職金も払い過ぎてしまいます。

中途採用をしている会社は、賞与の計算を基本給ベースにすることは問題があるでしょう。
賞与は、基本給を使わずに社員の成長によって支給する方法に変更する必要があります。

同じように退職金の計算を基本給ベースにすることは問題をさらに大きくすることになります。
退職金はその社員の組織貢献度に合わせて支給する方法にしなければなりません。

新卒社員の場合は一律で初任給が決まるため、賃金を払い過ぎることはありませんので、中途採用した社員の昇給・賞与を払い過ぎている問題は見逃すことができないほど、年々大きくなっていきます。

この問題を解決することができなければ、労働分配率を悪化させる一方です。払い過ぎているという問題が分からないこと自体大きな問題ですが、今後の採用難の時代には、この基本給を払い過ぎているという隠れた問題を早く把握し、問題解決に取り組まなければなりません。

決して難しいことでありません。これからの日本では社員の成長と賃金が一致してなければ、ますます高騰する社員の賃金を公正公平に支給することはできなくなるでしょう。

社員の定着率を高めることも、また成長を促進することもできません。この問題の解決に取り組んいますか?


第146話 中小企業も賃上げ可能な理由

2023-02-14 [記事URL]

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賃上げ率が3%以上になりつつあるのは、日本では約30年ぶりと言えるでしょう。最近のこの大手企業の賃上げに合わせて、中小企業も賃上げを検討せざるを得ない状況になりました。

賃上げには中身が2つあります。「ベースアップ」「昇給」です。どちらも賃上げ原資は同じです。そのため、同じ財布からベースアップにするか、昇給にするか決めなければなりません。

ベースアップは会社の業績に関係なく物価高騰に対応するため、社員に一律で支給します。「物価上昇に対応してベースアップします」と一度社内に発表したら、業績とは関係なくベースアップをすることになります。これは中小企業では基本的にできないでしょう。

そのため、中小企業では「昇給」を中心に考えなければなりません。現実問題として、中小企業の賃上げ率は大手企業と比べて低い傾向があります。しかし決して「社員の賃金を上げたくない」「低く抑えたい」と考えているわけではありません。結果として大手企業と比べたら低いというだけです。

そこで、中小企業でも高い賃上げができることを、前もって社員に発表しておく必要性があるでしょう。

例えば、今期の経営目標が実現できたら3%の賃上げが可能である。またはそれ以上に業績がよかった場合には賃上げ率は5%にできる。業績が向上したら、大幅な賃上げも可能です。このことを事業年度の最初に発表しなければなりません。

業績の結果責任は経営者・経営幹部が一番大きいと言えるでしょう。だからと言って社員は何もせず賃金が上がる訳ではありません。社員の成長も必要なのです。

「こんなに頑張っても賃上げ額が少ない…」という社員の嘆きを聞く前に、賃上げ率を高めることは可能である、そのために会社の業績はどのくらい上げなければならないのか。このことを経営目標の発表時に行う必要があります。

賃上げ率は事前に計算できます。全社員がそれぞれその成長によって昇給額は異なります。その金額を合計して自社が支給できる昇給額かどうか確認することができます。決して難しい計算ではありません。業績が良ければ十分に払えると確認できれば、事前に社員に発表しなければならないでしょう。

そしてその業績を高める方法は経営計画書の中に書かれているかもしれません。しかし大前提があり、この経営目標を実現するための一番有効な方法は全社員が成長することです。

そして社員の行動で大事なことは優秀な人がそのやり方を成果の上がっていない人に教えることです。教える社員と教えられて成長する社員。その職場の雰囲気はとても良好だと言えるでしょう。

職場の雰囲気が良いことは業績の良い企業に共通する企業風土です。
この賃上げをする方法を社員に説明しているでしょうか?


株式会社インハウス久永様(建材・住宅設備機器の卸売業/インテリアショップ/ホームセンター 鹿児島県)

2023-02-07 [記事URL]

「社員の成長で売り上げや粗利益が大きくアップ! 加えて社員同士で教え合う風土ができあがったり、新卒の応募動機に繋がったりと良いこと尽くめです」株式会社インハウス久永 代表取締役社長 久永祐司 氏

成長シートを活用して、社員同士が教え合う風土を作り上げると共に、売り上げや粗利益を大きく向上させた株式会社インハウス久永の代表取締役社長 久永 祐司 氏に、成長塾での学びやその魅力について伺いました。

●会社プロフィール
社名 株式会社インハウス久永
所在地 〒891-0123 鹿児島市卸本町8-16
設立 1953年(創業 1858年(安政5年))
社員数 65名
事業内容 建材・住宅設備機器の卸売業/インテリアショップ/ホームセンター
URL  https://www.inhouse-hisanaga.jp

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1.建材や住宅設備機器を取り扱っている江戸時代創業の老舗商社

――インハウス久永の会社概要をお聞かせください。

インハウス久永は、内装仕上げ材を中心とした「建材」「住宅設備機器」を取り扱っている商社です。鹿児島県にある本社の他、九州各地に営業拠点を持ち、主に内装屋さんや畳屋さん、リフォーム店さんに、商品の卸売りを行っています。
また卸売業の他にも、鹿児島県内に2店舗のインテリアショップ「インハウス久永with LIVING HOUSE」と、鹿児島県と宮崎県にそれぞれ1店舗ずつあるホームセンター「現金問屋ダイコク」を運営しており、こちらでは一般消費者の方々に向けた販売も行っています。

創業は1858年で、元々は襖や掛け軸を作る「表具師(ひょうぐし)」と呼ばれる職人からスタートしました。その後、大正時代に襖の材料の卸売業をスタート。また戦後からは、日本の生活様式の変化に合わせて、壁紙やカーテン、絨毯など洋風の室内装飾なども取り扱うようになり、少しずつ事業を拡げていった形です。

インテリアショップである「インハウス久永 with LIVINGHOUSE」は、鹿児島県最大の繁華街・天文館(写真左)と、200店舗以上が軒を並べるイオンモール鹿児島店(写真右)にそれぞれ所在。

 

2.社員の成長と定着率アップを期待して成長塾を受講

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

弊社では約10年前まで、社労士さんの指導の下、「職能資格制度」に基づく人事評価制度を導入していました。しかしその制度では、なかなか社員が上手く育ってくれず、また退職してしまう人が多かったことから、人事制度の刷新を検討するようになりました。

そんな折、顧問税理士さんから紹介されたのが成長塾でした。「共に成長する」という理念を掲げている弊社なら、成長塾で学べる人事制度が向いているのではないかと考えて、紹介してくださいました。

そこでまずはセミナーを受講して、松本先生のお話を聞いてみることにしました。
そして「社員同士がお互いに育て合う」ことが大切だというお話を伺い、確かに松本先生の考えは弊社の理念にもピッタリ合うと思い、受講することを決めました。

3.人事制度導入・運用・浸透のために行った工夫とは

――人事制度の導入や運用、また社員へ浸透させていくにあたって、工夫した点などあれば教えてください。

それぞれの過程で工夫した点は次の通りです。

●導入:社員へのヒアリング

成長塾で学んだ成長シートの特徴は、優れた社員の優れたやり方を可視化、共有化して全社員を優秀な社員に育てていくものです。
導入にあたってまずは、私自身が全職種の仕事を理解するために、各職種の社員にヒアリングをしていきました。営業ひとつ取っても複数の職種があるので、膨大な時間が掛かりましたが、その分、成長シートに記載すべき要素が整理出来ました。

●運用:日々のブラッシュアップ

ヒアリングの結果、一定のレベルの成長シートは完成した訳ですが、それで100点となる訳ではありません。完璧な成長シートは存在しないと思っていますし、時代と共に評価すべき点は変化していくと思っています。そのため弊社では、毎月のリーダー会議で必ず部下の優れたやり方を発表、共有化を図り、成長シートに落とし込んでいく作業を行っています。
そのため弊社の成長シートは、場合によっては3ヶ月単位でブラッシュアップしています。

●浸透:繰り返し説明する

成長シートの運用を始めた当初は、多くの社員から反発がありました。この成長シートはうちの部署に不平等だとか、要素が多すぎるとか、いろいろ言われました。しかしその度に繰り返し、評価する点の説明をしたり、成長シートの目的や意義を伝え続けていたところ、少しずつですが理解してくれる社員が増えてきました。
また同時に成長シートによって自分たちの成長を実感したり、実際に成果が出てきたことで、最終的には皆、前向きに取り組んでくれるようになりました。

4.社員の成長によって売り上げが6億円アップ

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

2012年7月~2013年6月をBefore、2021年7月~2022年6月をAfterとし、成長塾受講前後を比較した定量的成果を以下に示しました。またこれらの数値に加えて、部署ごとの売り上げや経費などはすべて公開して、社員にも共有しています。

※クリックで拡大

導入から10年で、売り上げは約6億円、粗利益は約1億4000万円伸びました。その要因は、やはり社員の成長です。成長シートで社員が成長してくれたことが、こうした伸びに繋がっていると感じています。

また2012年当初は正確な数字を測っていないものの、概算で人時生産性は1000円以上アップ。また離職率も二桁代だったのが5%以下になったり、生産性の向上により残業代もゆるやかながら減少傾向にあったりと、様々な部分で効果を実感しています。

5.社内の風土や新卒採用にも好影響

――その他、数値化できない定性的な効果としては、どんなものがありましたか?

定性的効果としては、次のふたつが挙げられます。

●社員同士が教え合う風土になった

弊社は営業会社ですから、かつての人事評価や給与決定は、どちらかと言えば営業の成果だけを見ていました。そのため社員同士が教え合うという考え方そのものが、存在していませんでした。
しかし成長シートの特徴は、優れたやり方を可視化し、それを共有化したうえで、「惜しまずに優れたやり方を教えた社員」を一番評価するものです。評価する点がガラリと変わったこと、またそれを徹底することで、社内には社員同士がお互いに教え合い、育て合う風土ができあがりました。これは大きな変化だと感じています。
また社員同士のコミュニケーションが活発になったことで、上司や部下、部署同士といった縦と横の人間関係も非常に良好になりました。

●新卒採用時の応募動機に繋がった

弊社の人事制度が、学生さんたちの応募動機に繋がってくれたことも、導入効果のひとつです。
具体的には、新卒採用の会社説明会や面接で、人事制度、成長シートの説明をするようにしたところ、学生さんたちから非常に好評を得たのです。努力をすれば評価され成長できる点、またどんなスキルを身に付ければステップアップできるかが明確な点などが、学生さんたちにとっては分かりやすかったようです。
また、そうした説明を受けて入社した学生さんたちは、成長シートにとても期待してくれています。人事制度を非常に前向きに受け入れてくれたメリットもありました。

6.「自分の中に答えがある」というアドバイスの真意

――「成長塾」を受講して感じた率直な感想をお聞かせください。

松本先生のお話を直接伺える点が、非常に良かったと感じています。
大学教授やコンサルタントなど、人事制度を教えてくれる人は世の中にたくさんいます。しかしそういう人たちの話は、綺麗にまとまってはいるものの、あくまで机の上だけの話で実践が伴っていません。
その点、松本先生が提唱する人事制度は、ご自身でしっかりした体験や実践を経て、その成功事例をベースに仕組み化されています。そのため言葉には非常に説得力がありますし、信頼できます。

――なにか印象に残っている言葉はありますか?

「あなたの中に答えはあります」という言葉ですね。松本先生になにか相談すると、アドバイスと共に、この言葉をくださいます。
これは一見、突き放しているような言葉に聞こえますが、決してそんなことはありません。人事制度や成長シートの方向性は結局、経営者の考えが一番正しいということ。つまり自分の中に答えを持っていることを教えてくれている言葉なのです。
「必ずこうしなさい」という決まりや一般論に捕らわれる必要ないと気づかされたのは、とてもありがたかったですね。

――久永社長にとって成長塾はどんな存在だと言えますか?

私の経営哲学を人事に落とし込むにあたって、要素を絞り込む「フィルター」であり、形にしていくための「型」のような存在です。

私は成長塾の他にも、ENTOENTOさんが主催されているセミナーを幾度か受講しています。その度に関心するのが、人事のトレンドにもしっかり対応されているという点です。「社員を成長させる」という軸はブレずに、しっかり時代と共に変化・成長を続けて、それを受講者に伝えてくださるので、いつも本当に助かっています。

7.社長や役員クラスが自ら動くことが学びを活かすコツ

――既に10年近く実践を続けている立場として、成長塾の学びを活かすためのコツがあれば教えてください。

成長シートを最初に作るのは、社長や役員クラスといった、会社全体を理解している公平な人にすることをオススメします。
リーダークラスの人に任せると、どうしても自分の部署に有利な発想、自分の立場からの目線で作ってしまいます。私も導入当初、一度部下に作成を任せてみたことがあります。そうしたところ、成長シートの項目に「部下が自分の言うことを聞くかどうか」という、成長とは関係ない項目を作ってきて、大変驚きました。
人事制度の運用がスムーズに進み、みんなが社長の考えを理解できるようになった後は、リーダーに任せても良いですが、そうなるまでは会社全体を見渡せるトップクラスの人間でないと、分からないことがあるようですね。

8.会社の成長のためには「社長の分身」を増やすことが必須

――今後の展望をお聞かせください。

弊社は、今年の3月にふたつの会社をM&Aしまして、今は3つの会社を運営しています。その3社の合計売り上げ36億円を、将来的に100億円にしようと頑張っています。
またM&Aしたことによって、社内の業種や部門が増えました。それを活かして、もっと社内の人材交流を盛んにしつつ、いろんなキャリアを積んでいける仕組みを作ることも目指しています。

そうした目標の達成のためには、いろんな判断を自ら下せる幹部社員……いわば「私の分身」をもっと増やすことが大切だと考えています。
もちろん社内でも中堅階層、管理階層の育成には注力していますが、社外の人から教えを聞くことで、より吸収しやすくなると思うので、ENTOENTOさんには、リーダー格の人をもっと育てていくためのセミナーを開催したり、そのための指針をいただけることを期待しています。


本社で撮影した社員との集合写真。人事制度を導入し、密なコミュニケーションを重ねたことで、社員同士はもちろん、社長と社員との関係性もより良好なものへと変化しました。

株式会社インハウス久永様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※株式会社インハウス久永様のホームページ(https://www.inhouse-hisanaga.jp)
※取材2022年11月


第145話 卵が先かニワトリが先か、賃上げ理論

2023-02-07 [記事URL]

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物価高に対応して賃金を上げる企業が増えてきました。中小企業でも賃金を上げようと考えている経営者が増えています。

賃上げは、将来にわたって人件費を増やすことになります。賃上げすると関連する人件費が増えます。例えば、残業代が増えます。賞与が増えます。退職金が増えます。社会保険料が増えます。毎月社員に支払う賃金が増えるだけではなく、賃上げに関連して現金で支給しない人件費である法定福利費も増えることをしっかりと把握しておかなければなりません。

そのため、一度自社の総額人件費における所定内賃金の割合を計算することをおすすめします。これを「人件費係数」と言います。人件費係数は、総額人件費を所定内賃金で割って計算します。

人件費係数=総額人件費÷所定内賃金

例えばこの人件費係数が1.6のとき、10,000円賃上げすると16,000円人件費が増えることになります。思った以上に人件費が増えることに驚く経営者が多いでしょう。

そして賃上げの最大のリスクは、賃上げした金額は簡単に下げられないことです。そのため、リスクが少ない賃上げ方法を考えなければなりません。

それは、今回は基本給を上げずに「インフレ手当」を支給することです。手当の支給目的は経営者が自由に決めて良いのです。法律で定められている手当は超過勤務手当だけです。物価高に対応し、社員の生活のためにインフレ手当を支給するのであれば、賞与や退職金に影響を与えることはありません。

そして、手当は目的を達成した段階で廃止しても良いです。例えば、企業の創業時に精皆勤手当を支給する企業が多いでしょう。それは社員の欠勤や遅刻早退を無くすのが目的ですが、遅刻や早退・欠勤する社員がいなくなれば精皆勤手当を廃止しても問題はありません。

もっとも、このインフレ手当の支給を廃止すると実質的に社員の賃金が下がるため、基本給に算入する場合もあるでしょう。

そこで、インフレ手当の支給時に経営者が社員に教育しなければならないことがあります。それは、手当で賃金を上げた分をまかなえるほど業績を向上させなければならないことです。

業績が向上しないのにインフレ手当を支給し続けると、労働分配率が悪化し、企業の利益がその分減少することになります。これでは企業経営が継続できません。そのため、全社員を教育して成長させなければなりません。そして社員が成長したタイミングでインフレ手当を基本給に参入するのです。

経営者にとって大事なことは賃金を上げること以上に、賃金を上げても良いように社員を成長させることです。この教育はこの時期が最もふさわしいでしょう。

賃上げは企業の利益を減少させることになり、結果として社員の賞与が減少することになってしまいます。それで良いと思っている経営者はいませんが、このことを社員にしっかりと教育している企業はあまり多くないようです。そのため、インフレ手当の分業績を上げるよう社員が成長していかなければ、いつまでもこのインフレ手当を支給し続けることはできないと説明しなければなりません。

業績と賃金の関係は全社員に理解させなければならない教育の一つです。社員にこの教育をしているでしょうか?


第144話 上司の評価の仕方を間違えると成長しない

2023-01-31 [記事URL]

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「部下を成長させて欲しい」多くの経営者が全ての上司に対してその想いをお持ちでしょう。そのため、部下を持つ上司にマネジメントの本を読ませたり、セミナー・研修に参加させたりしています。では、この上司の成長をどのような数字で評価しているでしょうか。

私の前職である小売業では、部下を持つ中堅階層の役職は「店長」でした。日本全体の小売業界において、店長を評価するものは何でしょうか。ほとんど例外なく「売り上げ」でしょう。

売り上げで評価すると、店舗の売り上げの高い店長が優秀だと評価されます。例えば、1日の売り上げが30万円の店舗の店長、100万円の店舗の店長、500万円の店舗の店長の中で誰が一番褒められるでしょうか。もちろん、経営者は1日の売り上げが500万円の店舗の店長を褒めるでしょう。これは正しい評価でしょうか。売り上げの違いは、店長の部下指導より実際は立地や店舗規模による場合の方が大きいです。

この上司を何で評価するかがとても大事です。そして常に社員は評価されるように行動します。上司である店長も評価されるように育っているのです。売上高で評価されるのであれば、店長は優秀な社員だけを自分の部下にしようとします。それは自分の店の売り上げを上げるためには優秀な社員が部下にいた方が有利だからです。あまり優秀ではない部下が店舗にいたら、他店に異動してもらいたいという気持ちになるかもしれません。

このときに「売り上げ」で評価せずに「部下を成長させたこと」で評価されると分かれば、店長の行動はガラリと変わります。経営者からの想いは「社員を成長させてほしい」です。部下を成長させたことを評価するのであれば、優秀でない社員が配属されても嫌な顔はしません。

では、部下の成長は何を見れば分かるでしょうか。それは部下が成果を上げるための(A)やるべきこと(重要業務)をやることです。そして重要業務をやるための(B)知識技術を身に付けることです。そしてこの会社にふさわしい(C)勤務態度を守ることです。

部下が重要業務を遂行できるようになった。知識技術が習得できた。勤務態度を守れるようになった。全てこれは上司の部下に対する指導による結果です。例えばある重要業務が5段階評価で評価される場合、評価1点から評価2点、3点と成長させたら素晴らしいと評価しなければなりません。

この評価ができることによって、上司は部下指導に本気で取り組むようになるでしょう。なぜなら自分の評価は部下に重要業務、知識技術、勤務態度といった要素を成長させることで評価されることが分かったからです。

そしてこの上司の評価の仕方にすることで、我が社の中で一番部下を成長させている優秀な上が分かります。さらに良いことが、優秀な上司の部下指導の仕方を全上司が共有化し、全上司を優秀にすることができることです。

今我が社で、どの上司が部下指導が上手かお分かりでしょうか。


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