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株式会社カネコ様(特殊ネジ、リベットの製造等 千葉県)

2022-11-10 [記事URL]

「」氏

従業員の誰もが納得する昇給・賞与を決定する仕組みをつくるため、成長塾で人事制度づくりを学ばれた株式会社カネコ 代表取締役社長 金子雅一 氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名 :株式会社カネコ
代表者 :代表取締役社長 金子 雅一
従業員数:34名(正従業員25名、パート9名)
所在地 :千葉県浦安市千鳥15-37
事業内容:特殊ネジ、リベットの製造、冷間圧造部品の二次加工、
カム式旋盤のアフターサービス
URL
コーポレートサイト: http://www.e-neji.co.jp/
特殊ネジ・リベット製造.com: https://www.fastener-parts.com/

 

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1.特殊ネジ・特殊リベットの製造・販売を手掛ける

――株式会社カネコの会社概要をお聞かせください。

カネコ様_製造中の写真
卓越した技術と設備でニーズに応えています

当社は創業以来60年以上に渡って、冷間圧造(金属の塑性を活かし、圧力を加えて変形させる成形技術)部品の切削二次加工などに携わってきました。そのほとんどは特殊ネジ・特殊リベットの製造・販売で、ネジやリベットのメーカーに対して「穴を開ける」「溝をつける」といった切削二次加工のサービスを提供しています。用途としては自動車関係が多く、そのほか建築、弱電、医療など、さまざま領域のネジやリベットの切削二次加工を行っています。

創業は私の祖父で、二代目は父、私は2015年に三代目として代表取締役社長に就任しました。私自身は大学を卒業後、大手の機械要素部品メーカーに入社して、営業職に携わりながら家業につながる製造業界の知識や技術を習得。さらに、その会社では「モノを売ることがゴールではなく、お客様の困りごとを解決すること」を徹底的に叩き込まれました。この経験を経てネジ業界に入ったわけですが、ちょっとしたカルチャーショックを覚えました。

カネコ様_製造部品の写真
冷間圧造(ヘッダー)+二次加工で完成品としても納品が可能

そもそもネジ自体、世の中に登場してから姿形が変わっていないこともあって、生産や取引形態にイノベーションが起きにくいという特色があります。それを踏まえつつ、あくまでも私見ですが、自ら積極的にアクションを起こす業界ではないと感じました。当社には、下請けだけでは存続できない危機感がありますから、それなら自らお客様に向けて積極的にアピールしてもいいのではと考え、数年前に「特殊ネジ・リベット製造.com」を立ち上げました。

「特殊ネジ・リベット製造.com」は、完成品をワンストップで製造・販売するメーカーのスタンスを取り入れた特殊ネジ・リベットのオーダーメイドサイトです。これまで、数十年間20~30社の取引会社で続けてきましたが、「特殊ネジ・リベット製造.com」を立ち上げてからは、取引社数は約200社へと大幅に増えました。売り上げに関しても、切削二次加工のサービスが約7割、「特殊ネジ・リベット製造.com」が約3割のところまできました。

ビジネスモデルは変化しても、お客様の要求に応えるため、高品質・低コスト・短納期での安定した供給を目指し、日々挑戦し続けていくことに変わりはありません。引き続き、ご愛顧いただけますと幸いです。

2.賞与・査定において従業員が納得する仕組みづくりが必要

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

2つの課題がありました。ひとつは賞与の決め方です。前職の経験やビジネス書籍の知識および知り合いの話などを参考に自分なりのやり方で賞与を算出。自分ではその数字に自信がありました。ところが直訴はありませんでしたが、不満を持つ従業員が少なからずいたようです。不満げな空気感や、回り巡って不満の声が耳に入ってくるような状況でした。

私も説明したいところですが、すべては私の頭の中で算出していますから、なかなか納得してもらえる説明の仕方が思いつきませんでした。やはり、頭の中を可視化して仕組みにする必要があると常々感じていました。

カネコ様_機会を操作して製造している様子
実際に製品をつくる加工現場

もうひとつは、従業員の能力・技量を確認する方法です。そもそも当社が採用する従業員は中途採用がほとんど。しかも、工業高校や理系大学出身者、あるいは製造業の経験がある人を優先して採用していますから、即戦力とは言わないまでも、ある程度の成果を期待しています。ところが本人の頑張りと私の期待にギャップがあり、納得する評価を与えることができませんでした。私の厳しい評価に辞めてしまう従業員もいました。今となっては同じ製造業で括るのは早計だと分かりますが、当時は私も未熟だったため、成果を求め過ぎていました。辞めていった従業員には申し訳なく思っています。

評価と処遇(昇給・賞与)に関してお互いに納得する仕組みがない限り、この2つの課題は解決できないと考え、人事制度の構築を決意しました。

3.従業員を成長させる人事制度に感銘

――成長塾と出会ったきっかけをお聞かせください。

成長塾を受講する前、他社の専門家と一緒に当社に合った制度づくりに取り組んだことがあります。等級制度を設計し、具体的に説明できることを期待して、定期的に打ち合わせを続けていましたが、その専門家の知識だけでは終わりが見えてきませんでした。

書籍『社員が成長し業績が向上する人事制度』何か良い人事制度がないかと模索していたとき、知り合いの経営者から紹介されたのが松本先生の成長塾でした。こちらも本気でしたから、まずは松本先生が提唱する人事制度のことを知りたいと思い、『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会出版局)を購入。この本に感銘を受けて、次は松本先生のセミナーを受講させていただきました。

そのセミナーでは、松本先生がおっしゃっていた「賃金も大事だけど、それよりも従業員は成長するところに喜びがある」という言葉に感銘を受けました。しかも、松本先生はそれを人事制度として仕組み化しています。このタイミングで巡り合えたのは運命だと思い、セミナーのあとはすぐに成長塾を受講しました。

――成長塾受講後の進捗状況を教えてください。

最初に受講したのは2019年5月(183期)です。しかし、営業畑の人間が初めて人事を学ぶわけですから簡単ではありません。そこで、2019年8月(185期)に第1・2講座のみをオンラインで受講しました。その後、もう一度対面で2021年9月(202期)に3回目を受講しました。

――受講後、すぐに運用されたのでしょうか。

2019年10月から仮運用を始めました。しかし、現在も人事制度と昇給はリンクしておらず、賞与のみがリンクしている状況です。そういう意味では、「今も仮運用期間」と言えるかもしれません。

「今も仮運用期間」と言ったのは、人事制度をすべて回せてないところにあります。従業員と上司のフィードバックも3カ月周期では実施できていません。半年周期で実施できれば良しとしている状況です。成長支援会議を含め、まずは、計画通りに人事制度のタイムテーブルを回して本運用に移行させるのが目標です。

そもそも人事制度を回せていないのは、工場全体がフル稼働中というのが大きな理由です。工場特有の納期への対応がありますから、そういった案件をいくつも抱えてしまうと設備を止めることができません。

業務優先は仕方ないにしても、こうした状況で人事制度を回せていないのは私自身のマネジメント不足もあると思っています。幸い、従業員は今回の人事制度導入を好意的に捉えていますので、なるべく早く本運用に移行できるようにマネジメントしていきたいと考えてます。

――成長シートはどのように作成されているのでしょうか。

当社の場合、製造部門、品質管理部門、生産管理部門の3つに分けて成長シートをつくっています。中身は「期待成果」のところは少し似てますが、「重要業務」と「知識・技術」は部門で異なるため、しっかり分けています。ちなみに成長シートに関わっているのは、私と5名の幹部スタッフの計6人。成長塾で学んだ知識を幹部に伝授している最中です。

4.人事制度が定着率に貢献

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

仮運用期間ではありますが、人事制度導入後の2019年4月~2020年3月、2020年4月~2021年3月、2021年4月~2022年3月の3年間を比較した定量的効果を以下に示しました。


※クリックで拡大します

直近の2021年4月~2022年3月は、売り上げが大きく伸びているのが分かると思います。これは、コロナ禍が当社にとって追い風となりました。リモートワークにともなう運動不足を解消するため、世界的に自転車の需要が高まり、そのなかで当社は自転車の変速機に必要な部品製作に関わらせていただいております。

現在も多くの受注をいただいており、設備はフル稼働の状況。加えて「特殊ネジ・リベット製造.com」も順調で、月平均30~40件の問い合わせから5社前後ずつ顧客が増えています。こういった状況ですから、なかなか人事制度の運用まで手が回らず、現在も仮運用期間のままとなっています。

それでも、人事制度の成果が上がっていると言えるのは定着率です。人事制度導入後は定着率100%を実現。誰も辞めていません。明らかに会社の雰囲気が変わり、居心地が良くなっていると思います。このまま、企業文化として根付いていくことを期待しています。

5.教える文化が根付き始めている

――雰囲気が変わったことについて、もう少し詳しく具体的にお聞かせください。

以前はニンジンをぶら下げて「頑張れ」とお尻を叩くだけでしたが、人事制度導入後は「賞与原資は粗利の10%」ということを従業員全員に伝えました。当然、粗利が増えれば増えるほど個々の賞与は増えますから、賞与原資を大きくすることが従業員全員の明確な目的意識になりました。

会議で売り上げや粗利の数字を公開しているため、業績への関心も大きく高まっていると感じます。実際、私が言わなくても夜間に設備を無人で動かす設定を行うシーンが多くなりました。夜間に回せば稼働率が向上し、短納期への対応が可能。原価が下がり、利益にもつながります。

このほか、以下の点でも変わったと感じています。

<教える文化>

カネコ様_教え合う様子
現場は従業員同士のコミュニケーションも活発

教えるという文化が根付いてきました。以前までは、「背中を見て覚える」という代々受け継がれてきた日本の職人気質のスタンダードな姿が当社でも見受けられましたが、「やってみせる」「やっているところを見る」「アドバイスをする」というのが当たり前になっています。なぜなら「人に教えることが自分の評価、成長点数につながる」からです。しかも、教えることで部下が成長し、粗利益が増えるという成果が出れば、賞与に反映されます。

今では自発的に勉強会を実施するようになりました。より良いやり方を共有し、従業員みんなが成長する環境になってきたと心から実感しています。

<勤務態度の変化>

カネコ様_食事会の様子
和気あいあいとした食事会も開催しています

当社は体育会系の会社ではありませんが、技術がものをいう工場では、どうしても高圧的な態度をとってしまう従業員を見かけることがあります。しかし、成長シートでは「勤務態度」で、そうしたコミュニケーションの仕方はマイナスの評価となってしまいます。しかも、教えるという文化が根付いてきたことでギスギス感がなくなり、工場全体に和気あいあいとした雰囲気が漂うようになりました。

――金子社長ご自身の定性的効果があれば教えてください。

以前は何をどう指導すべきかが分からず「とにかく頑張れ」でした。今は自分が思う「重要業務」「知識・技術」を落とし込んだ成長シートというツールがあるため、かなり気持ちが楽になりました。思考の整理に役立ちましたし、すべてが可視化されていますから何を教えたらいいのか明確になりました。

6.従業員と企業の成長を考える経営者にはぜひ成長塾を受講してほしい

――人事制度に悩んでいる中小企業に向けて、アドバイスがあればお願いします。

企業の規模に関係なく、従業員の成長なくして企業の成長はないと考えています。大企業・中堅企業であれば人事部門主導で体系化された人事制度のもと、従業員の成長を期待できるでしょう。しかし、日本の全企業数のなかで99.7%(総務省と経済産業省による平成28年経済センサス-活動調査より)を占める中小企業の大半は、人事部門が設置されていません。つまり、社長の頭の中の人事制度だけでは、従業員の成長を期待するのは難しいと言えます。

そんな中小企業の皆様には、成長塾の人事制度をお勧めします。経営者の頭の中を可視化するだけですから、敷居は高くありません。中小企業にこそ導入してほしい人事制度だと思います。

――最後に一言お願いします。

コロナ禍で恵まれた部分はありましたが、松本先生と成長塾の人事制度に出会えていなければ、たくさん受注しても数をこなすことは難しかったと思っています。良いタイミングで出会うことができ、本当に感謝しています。「従業員が成長する仕組みづくり」に奔走されている松本先生の想いに応えるため、当社もその想いを形にできるように努力してまいります。今後ともご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

カネコ 金子社長

株式会社カネコ様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※株式会社カネコ様のホームページ
※取材2022年9月


第134話 新卒採用で大手企業に負けない時代の到来

2022-11-08 [記事URL]

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「大手企業であれば一生安泰」という時代ではなくなりました。大手企業が次々と早期退職のニュースを発表しています。また、「働かないおじさん」のニュースも続いています。

さまざまな大手企業の問題が明らかになるにつれて、中小企業は今までとは全く違い、大手企業よりも有利に採用ができるようになりました。これほど新卒採用で大手企業と互角に戦える時代が来ると誰が想像したでしょうか。

ただし、中小企業というだけで採用が有利になるわけではありません。中小企業であっても次の五つの条件を準備できなければなりません。

一つ目は「評価と賃金が一致していること」です。
大手企業の中には、評価と賃金が一致してない企業があることが最近明らかになってきました。その現象の一つが「働かないおじさん・おばさん」が存在していることです。評価と賃金が一致する人事制度があれば「当社には評価と賃金が一致する制度があります。そのため、一部の大手企業と違って働かないおじさんやおばさんはいません」と発言できることは、応募する学生にとって安心できる会社と言えます。

二つ目は「終身雇用であること」です。
今の新卒の学生は、年金の問題を詳しく知っており、自分の将来に不安を持っています。もし、60歳を過ぎても70歳を過ぎても継続して働ける人事制度があれば、その分だけ将来の年金を心配しなくてすみ、終身雇用を明言できます。

三つ目は「早期退職制度がないこと」です。
最近大手企業の2,000人、3,000人の早期退職に関するニュースがマスコミを賑わせています。つまり、大手企業にはさまざまな理由によって社員早期退職をしている実態があります。そのため、新卒採用の社員に対して「当社は早期退職制度がありません」と宣言できることは、安心して人生設計ができる会社といえるでしょう。

四つ目は「全社員が一緒に出世できること」です。
中小企業は大手企業に向かう途中であると言えます。つまり、社員が成長することで企業は規模を拡大していくことになります。つまり、現在いる社員は全員出世できると考えても良いのです。そのため、大手企業と違って出世する社員が限られていることはありません。入社した社員に「当社は全社員が出世できる会社です」と明言できることはとても重要です。その仕組み(昇格基準)も説明できなければなりません。

そして五つ目に「自分のモデル賃金を自分で自由に設計できること」です。
入社してから40年間どのように賃金が増えるかを明確にすることができます。毎年の具体的な昇給の金額が分かることはとても重要です。

応募してくる学生に、必ずこの五つの安心できる会社の条件を説明してください。そして会社を選ぶ時、この五つの条件は応募する学生にとっても重要であることも併せて説明してください。これから応募する会社、今まで応募した会社にこの五つの条件がなければ、安心して就職できる会社ではないと判断することができます。そうした意味で、中小企業で五つの条件を整備している企業は、一部の大手企業と違って安心して成長できる会社であることが大学生には分かるでしょう。

とても面白い時代になりました。最近希望通りの人数を採用できていますか?


第133話 生産性向上のために自社の中で宝探し

2022-11-01 [記事URL]

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「賃金を上げるためには生産性を向上させなければならない」と、経営者、学者、専門家の意見が一致しています。

それでは生産性を上げるためにどうしたらよいか? その解決策について、全ての企業に活用できる具体的な方法がいまだに出てきていません。それほどまでに生産性の向上は難しいことなのでしょう。

しかし、生産性の向上はそれほど難しいことではありません。それはあらゆる企業の中に生産性の高いやり方が既にあり、生産性が高い社員や拠点(店舗、営業所など)が存在しているからです。

一度、社員間または拠点間で生産性を算出してみると分かります。私は前職の小売業の会社で「人時生産性」という生産性指標を活用していました。3店舗のとき、会社全体の人時生産性は2,600円でした。ところがこの2,600円は会社全体の平均値です。ここが重要ですのでもう一度言います。【平均値】です。店舗ごとに生産性は違います。同じ業種ですので、生産性の数字は店舗間で比較することができます。

それにとどまらず、同じ店舗であっても、ある日は2,600円、次の日は3,000円、さらに次の日は2,200円と生産性指標は日々変動します。これはやっていることが日々違っていることを意味しています。これを因果関係と言います。「やっていること」が違うから、結果としての「生産性」が違うのです。

1か月間の平均は2,600円だとしても、3,000円の日があるのであれば、その日にやっていたことを店舗全体で共有化することで、少なくとも毎日3,000円の店舗にすることができます。難しいことでしょうか。生産性の向上ができていない理由は、それぞれの会社の中にある生産性の高いやり方が可視化、共有化されていないだけです。

このやり方の共有化を行い、人時生産性が2,600円から当時の小売業界で日本一の5,600円になりました。

生産性を高めると言うと大上段に構えて何か目新しい、難しいことを行わなければ実現できないというイメージがどうもまかり通っているような気がします。難しいことは続きません。難しいことをやり続けるのであれば2,600円の生産性を5,600円にすることは到底無理だったでしょう。社員が楽しく和気あいあいと続けることができたからこの5,600円という生産性を実現することができたのです。

どうぞ自社の生産性指標を明らかにし、日々やっていることの違いを明らかにしてください。

また、拠点が増えれば増えるほど、拠点によって生産性の違い、やっていること(業務)の違いも増えていきます。それを全組織に共有するのが経営者・経営幹部の仕事です。だから「生産性を上げろ」と言う必要はありません。「こういうことをすれば生産性が高くなる」と社員に説明するだけです。そうした共有をすることで、全社員が一緒に生産性の高い社員として成長することができます。

難しいことではありません。一度そのやり方に挑戦してみませんか?

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第132話 悩むほど社員から不平不満が出る業務がある

2022-10-25 [記事URL]

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経営者の中で最も生産性の低い業務、そして社員から最も納得してもらえない業務があります。それが「昇給・賞与を決めること」です。

過去1,347社の人事制度構築のコンサルティングをしましたが、ある経営者は賞与を決めるために1か月悩んでいたと聞いたことがあります。残念なことに、この昇給・賞与を決める時間が長ければ長いほど複雑になっています。

その結果、昇給・賞与を決めた理由について社員から質問を受けても説明することはできません。もし説明しようとしても「いろいろ考えて決めた」となるでしょう。

この生産性が低い「昇給・賞与を決める」業務は、最終的に「社員の昇給額、賞与額を決める」ことです。つまりこれは金額を決めることであり、昇給・賞与の決め方は計算式で示すことができるのです。

経営者が昇給・賞与を決める時に考えている要素はたった二つしかありません。

「会社の業績が良いかどうか」

「社員が成長しているかどうか」

一つ目は昇給・賞与の原資を決めること、二つ目は社員の成長を確認すること、
この二つです。

この二つの要素で昇給・賞与を決めているのであれば、今まで考えてきたことを全部書き出し、それを基に計算式で表すことができます。そしてその計算式を昇給・賞与の仕組みにすることで、社員に説明することができます。

この仕組みを事前に社員に見せることで、社員は次のように理解します。

「昇給・賞与を増やすためには業績が良いことが重要だ」

「業績を上げるためには社員がお互いに成果を上げるやり方を教えることがとても大切だ」

「それぞれの社員がしっかりと成長していくことが大事だが、成果の上がっていない社員は成果の上がっている社員からそのやり方を学び、素直に取り組んでいって成果を上げることが必要だ」

たくさん昇給・賞与をもらいたい。これはほとんどの社員の願いでしょう。しかし、そのためには社員が成長して会社の業績が良くなければなりません。このことは何回も経営者が発言してきたことだと思います。しかしその根拠となる昇給・賞与の計算式を示していないために、社員にとっては単なる謳い文句(リップサービス)としてしか理解されていない可能性があります。

この計算式を明確にすることによって、社員は真実を知ることができます。真実が分かった社員は会社の経営目標に反対することはなくなります。経営目標は社員の昇給・賞与を増やすための大切な目標であることが分かるからです。

もう昇給・賞与で悩むことはやめてください。悩んで昇給・賞与を決める苦労は社員の誰も分かりません。

そしてそのことがはっきり分からないままでは、不平不満が解消されずに成長することはありません。 昇給・賞与を計算式にして、ボタン一つで昇給・賞与を決める仕組みをつくり、社員に安心して成長に進めるようにしなければなりません。御社では社員の皆さんは安心して成長していますか?


第131話 賃金制度の本来の役割は不安を取り除くこと

2022-10-18 [記事URL]

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経営者が人事制度をつくる目的の一つは、社員の賃金に関する不平不満の解消です。

例えば、賞与を支給した日に社員から「この賞与はどうやって決めたのですか?」という質問を受けることがあります。これは自分の賞与が少ないという不平不満に基づく質問です。この質問に、経営者はなかなか本人が納得する内容で答えることができません。

このような社員からの質問が次から次へと続くようでは、経営者にとっても逆に納得できない状況が続くことになります。経営者が悩みながらしっかりと考えて賞与を決めていても、社員はその決定プロセスを知らないため、質問がある度に答えなければならないからです。

自分でも納得する答えができない経営者のストレスが、経営に影響を与えることも少なくありません。そこで人事制度をつくり、そして賃金制度をつくるようになります。

この質問に答えるために賃金制度をつくると、つくった後の経営者の発言はほぼ同じものになります。それは「この会社で頑張ったら昇給・賞与が増える」という発言です。この経営者の発言により、社員は頑張ったら賞与が増えることを、その制度で理解しようとします。しかし、実際の賞与の具体的な金額の計算方法は分かりません。そのため、社員の中にはどうしても納得できない部分が残ってしまいます。

賃金制度は経営者の今までの決め方を可視化してつくることが大原則です。そのため、もともと賞与を決めていた方法を全て計算式にして、明確にすることで不平不満は無くなります。

しかし、今までの賞与の決め方を計算式で示すことによって、決め方が納得できなかった過去の不平不満の問題よりも、もっと大きく潜在的な問題を解決することができます。それは、社員の定着率の向上です。

社員は会社に40年以上勤める間、自分の賃金、いわゆる昇給・賞与がどう増えていくのか分からなければ、不安に駆られます。
「本当に自分はこの会社で成長していったら昇給・賞与は増えていくのだろうか?」
「賃金は増えていくのだろうか?」
このことがはっきりしないままでは、自分の人生設計を立てることができません。

つまり、賃金制度は社員の人生設計の元である経済的な部分について、安心してもらうようにつくるものであると知って頂く必要があるでしょう。これが明確になることによって、社員は賃金のことを心配せずに自分の目の前による仕事に集中することができます。そして成長することができるのです。

賃金制度の役割は社員のモチベーションを上げるためではなく、不平不満を解消させるための制度でもありません。社員が40年以上この会社で「安心」して活躍できるようにするための役割を持っていることを理解することが必要でしょう。

もし、社員から賃金制度に関しての質問があったら、それはとてもありがたいものだと思ってください。経営者の皆さんは社員の賃金に関する質問に、自分の言葉で答えることができるでしょうか?


10/14の日本経済新聞に書籍の広告が掲載されました!

2022-10-14 [記事URL]

本日10月14日の日本経済新聞二面に、弊社代表 松本順市の書籍『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会)の広告が掲載されました!

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第130話 生産性は業務内容ではなくまずは数字で語ること

2022-10-11 [記事URL]

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最近、多くの経営者が語っているように日本の賃金は上がっていません。この問題を解決したいと考えている経営者は少なくありません。

しかし、賃金を上げるためには会社の業績を上げる必要があります。今までであれば業績を判断する数字に売り上げ、粗利益、営業利益などが活用されてきましたが、この激動の時代には必ずしも売り上げや粗利益が上がるとは限りません。下がることも十分考えられます。

そのような環境でも「生産性」は上げることは可能です。「生産性」を数字で見ることによって、的確な経営判断をすることができるようになります。ここで最も大事なことは、実際に生産性をどの数字で判断するかです。

そもそも日本全体で生産性を上げようとする話はかなり前から出てきています。日本が豊かであり続けるためには、生産性の継続的な向上が必要です。このように、長年生産性のテーマは取り上げられていますが、残念なことに生産性の向上をどのような指標で判断するかという話は出てきていません。

私は40年前に「人時生産性」という生産性指標を知ることができました。40年前にペガサスクラブの渥美先生に直接教えて頂きました。それによって、一生懸命仕事した結果、生産性が高まっているかどうかを毎日現場で確認することができました。一生懸命取り組んでも生産性が上がらなければ、その業務は行っても仕方ないことが現場で分かります。生産性が低いことは、やる気の問題ではありません。やっていることが生産性の向上に繋がっていないだけです。その判断ができる指標があったために、現場では常に生産性を高めることを意識して業務ができるようになりました。その結果、とても高い生産性を実現することができたのです。

今までであれば「1人当たりの粗利益高」「1人当たりの売上高」という生産性指標もあったかもしれません。しかしこれからの日本においては「1時間当たりの労働生産性」を意識することが必要になっています。残業の問題が残っているからです。

全ての企業は生産性を上げずに存続発展することはできません。その生産性が上がったかどうか判断できる、生産性指標を考えることが必要になりました。

最近は製造業やサービス業でも「人時生産性」を生産性指標にしている会社が増えてきました。「人時生産性」を指標としている経営者からは「残業時間も含めて人時生産性を計算しており、やっていることが生産性向上に貢献しているか、結果がすぐ分かって良い」という意見が多くなってきました。

大事なのは、頑張ること以上に頑張ったことがきちんと成果に結びつくか判断できる指標を持つことです。この指標を持った会社だけが業務改善のスピードが速くなります。

まだこの生産性指標が決まっていない会社は、至急決めることが必要になってきました。生産性指標を確認できる仕組みをつくることだけで、社員が生産性を上げるためにどれほど業務を改善・改革していくか、その変化に驚くでしょう。

この指標がなければ、今日の社員の行動は生産性が高かったのか判断できませんね。


株式会社小林時計店様(高級ブランド時計の正規販売代理店・メンテナンス 福岡県)

2022-10-07 [記事URL]

「成長シート導入後は4つのチームそれぞれのコミュニケーションが活発化。まだまだこれからですが、一千万円プレーヤーの従業員育成を目指し精進してまいります」株式会社小林時計店 代表取締役社長 小林 康弘氏

多忙で人事制度の運用にかけられる時間が少なくなり、以前から従業員の業務を「可視化してシステムに落とし込む」ことを真剣に考えていた株式会社小林時計店 代表取締役社長 小林 康弘氏。それを実践するため、成長塾で人事制度を学ばれた経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名 株式会社小林時計店
所在地 〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町一丁目3-6
代表者 代表取締役社長 小林 康弘
社員数 24名
事業内容 高級ブランド時計の正規販売代理店・メンテナンス
URL https://kobayashi-tokeiten.com/

 

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1.高級ブランド腕時計の正規取扱販売店を3店舗運営

――小林時計店の会社概要をお聞かせください。

小倉本店外観
小林時計店の旗艦店となる小倉本店

当社は今年90周年を迎える高級ブランド腕時計の専門店です。祖父が創業し、その後祖母、母親と続いて私が四代目になります。

社長に就任する前は、学生時代を含めて10年ほど東京にいました。学生時代は家業を継ぐ意識はあまりなかったのですが、やはり親に乞われてというのもありますし、店をなくしてしまうのももったいないですから、しばらくサラリーマンとして働いた後、地元に戻って跡を継ぐ決心をしました。

創業当時のことはよく分かりませんが、私が戻る直前は時計よりも貴金属やジュエリーの扱いが多かったと思います。私が戻ってきてからは時代の流れもあり、高級ブランド腕時計の正規取扱販売店へシフトしていきました。本店は福岡の北九州小倉で、2018年9月に2店舗目となる大分店をオープン。2022年8月には小倉本店のすぐそばに3店舗目がオープンしました。地元のお客様を中心にご愛顧いただいておりますが、小林時計店オンラインストアを通じて日本全国の方々にも各種ブランド腕時計の販売を展開。これらの店舗を70代2名、50代4名、40代9名、30代4名、20代5名の計24名の従業員で運営しています。

販売からメンテナンスまで、当店が「一生モノ」のパートナー選びのお手伝いをさせていただくことができれば幸いです。

2.多忙で人事制度の運用にかけられる時間がどんどん削られてしまう

――成長塾受講の背景をお聞かせください。

成長塾を受講する前までは、あらゆる人事制度の書籍を読み漁り、使えそうなものをチョイスして当社用にカスタマイズしながら、独自の人事制度を構築・運用していました。とはいえ、給与・賞与は「これだけの売り上げが見込めるから、これだけの給与・賞与が出せる」という私の頭のなかにある数字と人事評価を掛け合わせて算出したもの。はたから見れば、どんぶり勘定と言われても仕方ありません。ただ、決算書上のバランスシートを見たとき、これはこれで辻褄は合っていました。その当時はなぜか分かりませんでしたが、成長塾で松本先生がおっしゃっていた「経営者の頭の中にあることに間違いはなく、事業が存続できていることを鑑みれば合っている」の言葉に納得しました。

大分店内装
2018年9月にオープンした大分店

問題は多忙になるにつれ、人事制度の運用にかけられる時間がどんどん削られていったことです。人事制度の運用の時間が少なくなると、どうしても評価がおざなりになってしまいます。そうなると、従業員一人ひとりが納得できる評価を開示できません。幸いにも、業務内容や働き方、給与で不平不満を訴えてくる従業員はいませんでしたが、従業員自身のなかに溜めているだけかもしれませんから、この状況を早く打開したいと考えていました。

そこで、前々から思い描いていた「可視化してシステムに落とし込む」ことを真剣に考えるようになりました。成果と重要業務の因果関係を可視化し、それをシステムに落とし込むことができれば、自ずと納得感のある給与が算出されるのではないかという考えが、以前から私の頭のなかにありました。

――成長塾との出会いを教えてください。

「可視化してシステムに落とし込む」を実現すべく、数人のコンサルタントに「そういったシステムを組んだらいくらかかる?」という話をさせていただきました。すると、見積りは高額で当店の規模から考えると、導入は不可能でした。

何か良い手立てがないか思案しているなか、偶然、ある大手ビジネス誌の広告メールに「可視化する」というタイトルを目にしました。そのタイトルは私が渇望していたワードでしたからすぐに再確認しました。それが成長塾を受講するきっかけとなった、大手ビジネス誌主催の松本先生のセミナーでした。もちろん、藁をもつかむ思いでそのセミナーに参加しました。

魚町店外観
2022年8月にオープンした魚町店

セミナーでは、成長シートを使った人事制度のシステムの話をされていました。システムとして優秀だと感じ、使いこなすことができれば大きな武器になると思いました。ただ、セミナーではシステムの話まででしたから、具体的な運用方法までは分かりませんでした。もっと知りたいと思い、すぐに成長塾に申し込んで2019年11月に受講しました。

3.学んだのは従業員とのコミュニケーションの重要性

――実際に成長塾を受講し新たな発見などはありましたか。

セミナーとは違い、人事制度の根幹と成長シートの使い方を徹底的に叩き込まれました。印象に残っているのは「3カ月に1回、上司と部下で行う評価フィードバックにおいて、いかに部下が楽しみにするか、そういう評価フィードバックにしなければなりません」という言葉。上司は部下を常に見ている意思表示をすること、そして、部下を成長させるためのコミュニケーションを取っていくことが大事と頻繁におっしゃっていました。

主観になりますが、成長塾の人事制度は「評価を通じていかに従業員とコミュニケーションを取るか」そこに尽きるような感じを受けました。その過程で「やるべきことを成長シートに可視化する」ことが成長塾の大きな一面だと思った次第です。

――運用はいつから始められたのでしょうか。

受講後、すぐに仮運用をスタートさせました。当社期末の5月までの半年間ほど仮運用を行い、2020年~2021年期から本格的な運用に移行しました。ただ、仮運用から1年目までの成長シートについては、規定の評価項目を参考に私が単純に文章化しただけでしたから、従業員の大半が3点の評価になっていました。1点や2点、4点や5点はどんなときなのか、それを1年目の本運用のなかで煮詰めていった感じです。おかげさまで、本運用2年目の2021年~2022年は、当社の実務に合った形に成長シートをかなりブラッシュアップすることができました。

4.粗利益が向上したのは人事制度導入の効果

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

成長塾の人事制度導入前の2018年6月~2019年5月をBefore、2021年6月~2022年5月Afterとして比較した定量的成果を以下に示しました。加えて、2019年6月~2020年5月の仮運用期(仮運用は2019年12月~2020年5月まで)も記載させていただきました。


※クリックで拡大します

数字を見て分かる通り、2019年6月~2020年5月の仮運用期は売り上げを落としました。理由は新型コロナウイルス感染症の影響です。緊急事態宣言が発令された直後の期末は、当社でもっとも売り上げが多い繁忙期にあたります。それが1~2カ月間まったく営業することができなかったため、売り上げに大きな影響が出ました。

人事制度を導入したわけですから、本来なら売り上げを上げて昇給につなげていきたいところですが、逆に売り上げが激減してしまい、昇給を考えられる状況ではありませんでした。結局、昇給できない前提で店舗を運営するしかありませんから、どうしても人事制度のシステムとの整合性にズレが生じてしまいました。とはいえ、世界的なパンデミックでどうしようもありませんので、従業員からの不満はありませんでした。

腕時計画像
高級ブランド腕時計を、自信を持って提案しております

ただ、2021年6月~2022年は2019年6月~2020年5月ほどではないものの、売り上げは回復してきました。特に注目してほしいのは、粗利益のところです。2021年6月~2022年は2019年6月~2020年5月よりも粗利益があり、粗利益率も伸びています。まだまだコロナ禍が収束していないなかでこの数字ですから、十分に評価できるのではないでしょうか。

売り上げよりも粗利益で話ができるようになったのは、まさに成長塾のおかげですね。ただし、決算を終えたばかりということもあり、具体的な要因までは分析できていません。しかも、もともと当社は残業がほとんどなく、年間で5時間あるかどうかという程度。より良い働き方を追及していきたいと考えていますから、どういったところで業務の効率化が図られたのか、時間をかけてでも分析する必要があると思っています。

5.チームでのコミュニケーションが活性化

――定性的効果もお聞かせください。

前述させていただいたコミュニケーションのところが大きいと感じます。一人のリーダーの下に5~6名の部下がいるチーム体制をとっており、計4チームが稼働していますが、どのチームも活発なコミュニケーションが取れていると思います。

とくに大分店の店長は、以前の職場で成長塾の成長シートを使い、上司として従業員を指導していた経験があります。運用の仕方を理解しているため、大分店ではフル活用ができています。そういった状況ですので、私から成長シートの内容や運用方法に問題がないか意見を求めることもあります。現在のところは「この通りで問題ございません」という返答で、とくに問題はないようです。

もう一人、成長シートの内容を把握している優秀なリーダーがいます。彼には人事管理の仕事のほか、新店舗の立ち上げにあたって採用した新人の育成を成長シートにそって行ってもらっています。新人ですから「何をどうしたらいいか分からない」状態ではありますが、余白のスペースが大きい分、「どうやったら売れていくのか」というノウハウが詰め込んだ成長シートは浸透しやすいと感じています。3~4点の点数を目指していけば、良い結果が期待できるのではないでしょうか。

――今後、運用していくうえで課題などはありますか。

マインドを変えられない従業員がいることです。人事制度の導入にあたって従業員から異論はありませんでしたが、いざ導入してみると「これまでの働き方に慣れてしまっている」従業員は、受け入れるのがなかなか難しいようです。ただ、成長シートをもとに従業員を成長させる人事制度を中心に会社を運営していくこと以外は考えていませんから、長い目で見ていきたいと思っています。

社員様の画像
笑顔でお客様をお出迎えします

もうひとつ、私が多忙なこともあって、一般の従業員向けの成長シートしか用意できていないことも課題です。「中堅、管理職の成長シートは、一般の従業員向けのアップグレード版でも問題ない」と松本先生にはおっしゃっていただいていますが、当社の業務を考えると大きく変える必要があると思っています。私自身の課題ですので、とにかく早急に時間を見つけて中堅、管理職向けの成長シートを作成してまいります。

6.優秀な従業員を1,000万円プレーヤーに育てたい

――今後の展開をお聞かせください。

目標は従業員のなかに1,000万円プレーヤーをつくることです。我々の業界で業績を伸ばしている店はたくさんあって、そういう店は給与面の待遇も良いと聞いています。ですから当社も「優秀な従業員の収入をいかに上げていくか」これをテーマに掲げています。

もちろん、1,000万円プレーヤーというのは難しいテーマです。そもそも我々の業界で1,000万円の収入を得ようとしたら、年間3億円を売らなければなりません。しかも、当社が店舗を構える小倉エリアは市場規模が小さく、高級なブランド腕時計という商材に興味を持つ方自体少ないのが現状です。大きな市場がある博多なら現実的に考えられますが、小倉というローカルエリアではかなり難しいと言えます。

ただ、市場規模を言い訳にしていては、当社を支えていく現在および将来の従業員にアピールできません。ローカルといえども、優秀な従業員に魅力的な店舗であることをアピールするためにも、早く1,000万円プレーヤーを育てていきたいと考えています。現在の従業員にも1,000万円プレーヤーの話は公言していますので、中堅、管理職向けの成長シートを作成してひと段落したら、松本先生と相談しながら具体策を考えていきたいと思っています。

――最後に一言お願いします。

ENTOENTOの導入事例を拝見させていただいたところ、3~5年目ぐらいから軌道に乗ってくるという話が非常に多いと感じました。当社もその時期にきていますから、松本先生からのアドバイスはぜひともいただきたいところです。

人事制度で悩む日本全国の中小企業の指導のため、まずは健康に留意してください。引き続きよろしくお願いいたします。

小林時計店 小林社長

株式会社小林時計店様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※株式会社小林時計店様のホームページ
※取材2022年8月


第129話 社員の成長に欠かせないのが「失敗を経験すること」

2022-10-04 [記事URL]

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最近、インターネット上で「社員にはたくさんの失敗をさせることが必要」という話題が増えています。その理由は、この激動の時代に社員は失敗を恐れず挑戦することが必要であると感じているからでしょう。

確かに、新しいことに挑戦する社員がだんだん少なくなってきたように思います。特に、今までにない経営環境の中で、逆に挑戦をためらう社員が増えてきているようにさえ思います。

この原因は大手企業と中小企業では若干違うかもしれません。大手企業の社員さんたちと話をすると「失敗はできない」と断言する人は意外と多いのです。それは失敗すると減点評価をされ、場合によっては昇給・賞与に大きく影響することが分かっているからです。簡潔に説明すると、失敗したら昇給と賞与が減る可能性が大きいのです。これではどんなに高い賃金をもらっていたとしても、新しい挑戦に関しては二の足を踏むでしょう。

米国のある有名な経営者が日本でセミナーを開催した際、参加者から質問を受けました。

「あなたは会社を飛躍的に成長させましたが、成功のコツはあるでしょうか?」

この質問に対して講師の経営者は次のように答えました。

「ご質問頂いた方は、私は成功する確率が高いとお考えになって質問したように思います。しかし、成功の確率は質問して頂いた方と私とではさほど違いはないと思っています。それでも成功していると感じる最大の違いは、挑戦する数の違いだと思います。例えば、私は1年間に100の挑戦をし、30成功して70失敗しています。ご質問頂いた方は、もしかすると年間10の挑戦をして3つ成功し、7つ失敗しているかもしれません。つまり、成功の確率は30%で同じですが、成功の数は10倍違います。その違いこそ、当社が成長した理由と言えるでしょう!」

つまり、失敗も10倍多いのです(笑)。ここがポイントですね。

経営者は組織の中で一番失敗が多いでしょう。社員にも多くの失敗を経験してもらうことは、数多くの挑戦をしてもらうことと同義です。つまり、まずは「社員にたくさん挑戦してください」と指導しなければなりません。

経営者は余程の失敗をしない限りは役員報酬が下がることはないと思いますが、例に挙げた大手企業のように失敗したことによって昇給や賞与が減るのであれば、社員は挑戦に取り組むことはできません。

そこで、説明する際に必要な条件があります。それは社員の評価は成長シートで行い、その成長点数を調整せず、ストレートに処遇を決める仕組みをつくることです。

社員には様々な挑戦をしてもらいますが、その挑戦がうまくいかなかった、つまり失敗したとしても成長点数をマイナスすることはありません。つまり、失敗によって処遇が悪くならないことを明確にしなければならないのです。これによって多くの企業が考えられないほど社員の成長が早まっています。それは社員が沢山挑戦して成長したからに他なりません。

「なぜ挑戦しないのだ」「挑戦してたくさん失敗をしてほしい」。経営者の気持ちはわかりますが、それを受ける社員の気持ちを考えて、挑戦による失敗が処遇に反映されないような仕組みをつくることが必要なのです。


第128話 「配属ガチャ」で会社を辞める時代を危惧する

2022-09-27 [記事URL]

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最近のトレンドになった言葉に「配属ガチャ」があります。それは新卒入社の社員が対象の言葉です。新卒社員が希望の職種に配属されなかったことがショックで会社を辞めることがあるようです。

もしこの傾向が強まると大きな問題になるでしょう。なぜなら、日本の中小企業はメンバーシップ型雇用をしているからです。メンバーシップ型雇用とは採用前に業務内容を限定せずに雇用することです(メンバーシップ型雇用については拙著『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』をご参照ください)。

ある大手スーパーマーケット会社が新卒を採用した時に、様々な部門の中でどの部門の配属を希望するかアンケートを取っていました。一番嫌がる部門がどうも鮮魚部門らしいのです。採用した以上は誰かをこの鮮魚部門に配属しなければなりませんが、鮮魚部門を希望していない社員を配属させるときに大変苦労したという話を経営者から何度も聞いてきました。しかしその配属が嫌だからといって辞めたという社員はいなかったそうです。

日本のこのメンバーシップ型雇用は欧米のジョブ型雇用とは違い、とても理にかなっていると私は思っています。

私は前勤務先で人事制度をつくりましたが、新卒採用の取り組みや決算書の作成、パソコンでビックデータの分析など、他の業務も経験してきました。店舗では刺身の盛り合わせを作り、販売やレジ打ちもしました。商品センターでは商品管理や全店のマグロ加工を一括で行い、輸配送する仕事にも取り組み、ブロック長として各店舗の指導をしたこともあります。新規事業として寿司事業を立ち上げたこともあります。色々な仕事を経験することができました。

そもそも大学で学んだことと勤めた会社で実際にやったことは、ほとんど関係していませんでした。様々な仕事を経験することによって、自分が思っていた得意分野と様々な仕事をやった上で分かった得意分野にはギャップがあることが分かりました。

通常は自分の特性を自分なりに理解し、こんな仕事が向いているのではないかと自己判断をしていましたが、様々な仕事を経験することによって色々な自分を確認することができ、結果的に自分の特性を最大限生かすことができたと今では思っています。

「マグロの解体ができるコンサルタント」。これが私のセミナーの最初のアイスブレーキングの話ですが、様々なことを経験することが自分の人生においてとても大切であると今でも思っています。

それゆえに今、何かやりたい仕事があって、それ以外の仕事をする部署に配属されたら辞めてしまう「配属ガチャ退職」が流行してしまったら、折角のチャンスを無駄にすることになると思います。

日本には日本特有の長年の雇用形態があります。欧米型のジョブ型雇用がいいのか日本のメンバーシップ型雇用がいいのかは、これから長い年月をかけて検討されることになるでしょう。

どちらがいいのか判断基準は決まっています。日本では社員が定着し、成長し、そして業績向上につながっていく雇用方法が良いのです。それをこれから私たちの世代から次の世代、またその次の世代と、多分100年ぐらいかけてこの問題は検討されていくことになるでしょう。もちろん、検討は評論家に任せ、私たちは自分の判断で実践していきましょう。

ただ、この問題を知って頂くために書いた私の書籍はとてもお役に立ちますのでお読み頂ければと思います。理論を振りかざす内容ではなく、実践書である『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』です。


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