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第121話 中小企業が初任給を引き上げるために絶対必要な準備

2022-08-02 [記事URL]

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その他の著書に関しては、書籍のご案内を参照ください。

毎日のようにマスコミから新卒の初任給引き上げのニュースが報道されています。初任給を上げるためには、その原資が必要です。その原資は、生産性の向上によって生み出すことが可能です。

日本の大手企業と中小企業には生産性に大きな違いがあります。この理由は何であるかご存知でしょうか。

大手企業の生産性が高い理由は、生産性を上げる仕組みが多くあることです。大手企業には優秀な社員がいるため生産性が高いと考える方もいるかもしれませんが、それは違います。長い歴史の中で仕組みを多くつくってきたため、新入社員でも生産性の高い仕事ができるようになっているのです。

そのため、これから続くであろう初任給の見直しのために、中小企業でもやらなければならないことがあります。それは仕組みをつくっていくことです。

「ではその仕組みをどうやってつくればいいですか?」と質問をしばしば受けますが、決して難しく考える必要ありません。成長シートをご存知の方は、成長シートの構造を思い出してもらいたいと思います。

成長シートは優秀な社員をモデルにつくります。例えば、生産性の高い社員が何をしているのか、その業務を「重要業務」として特定します。この段階の成長シートにある重要業務は、あくまでも仮説です。高い生産性を上げている社員の重要業務が、成長シートを見ると分かります。そして、他の社員はその重要業務を知らず実施していなかったために生産性が低かった理由が分かります。

その重要業務が成長シートに可視化されると、高い生産性を実現したいと考える多くの社員がその重要業務に取り組むようになります。そしてその重要業務を遂行することによって高い生産性を実現できれば、初めてこの重要業務は仮説から多くの社員の検証を通じて実証されたことになります。

全ての社員がこの重要業務に取り組むことで、生産性が同じように高くなります。その時、この成長シートに書かれていた重要業務はすでに成長要素の役割を終えたことになります。そして、成長シートから外します。なぜなら、全ての社員がこの重要業務をやっているからです。

この重要業務を成長シートから外した時に、経営者・経営幹部はこの重要業務を仕組みにしなければなりません。この重要業務を仕組みにするとどういうことが起きるでしょうか。新入社員が入社してきても、この仕組みを使うことによって先輩社員が上げていた高い生産性を意識せずに実現することができるのです。

我が社の生産性の高いやり方を全社員が実行し、確かにその通りだと思ったことが仕組みになれば、全社員が喜んでその仕組みを使って高い生産性を実現することができます。この時にはもう「生産性を上げよう」という意識を持たなくても、その業務を行うことによって高い生産性を実現することができるようになっています。中小企業はその仕組みを次から次へと多くつくることが求められます。

仕組みがあれば、通常は一人前になるためには10年かかる新入社員が、入社時点で高い生産性を上げることができるようになります。この仕組みをつくることを継続して行うと、新卒の初任給は毎年上がっていく可能性がありますが、それを補えるほど生産性を上げられますので心配はいりません。

これからの時代は、中小企業であったとしても新入社員が入ってくる前に多くの仕組みをつくっておくことが必要であると思ってください。生産性は頑張れば上がるわけではありません。仕組みによって生産性を上げることで、継続的に生産性の向上を実現することになります。


サンフウ精密株式会社様(金属部品加工業 山形県)

2022-07-29 [記事URL]

「オンラインコンサルティングで松本先生からご指導いただきながら、仮運用の成長シートをブラッシュアップ。本運用をスタートさせた今年度からは、人事制度の自走を目指してまいります」サンフウ精密株式会社 代表取締役社長 奥山 崇 氏
従業員の業務量・成果と給与をリンクさせることが会社の存続と成長につながると考え、成長塾で人事制度づくりを学ばれたサンフウ精密株式会社 奥山 崇氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 サンフウ精密株式会社
代表取締役社長 奥山 崇
所在地 〒990-0850 山形県山形市くぬぎざわ西1-5
資本金 3,830万円
設立 1966年5月
従業員数 52名
事業内容 航空機部品加工、ボールネジ・LM ガイドの部品加工、工作機械の部品加工、
印刷機械部品加工およびユニットの組み付けなど
URL  https://sanfu-seimitu.com/

 

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1.多品種少量生産の機械部品加工・製造に特化

――サンフウ精密株式会社の会社概要をお聞かせください。

サンフウ精密様の工場外観
工場はアメニティ(心地よさ・快適さ)を重視。常に一定の室温とオフィスと比較して2倍の明るさを確保。広々とした洗面所や見晴らしのいい食堂、休憩室まで完備している。

当社は1966年、機械部品を加工・製造する川西精密工業所(1981年に川西精密株式会社)として義理の父が創業しました。当社の特徴は、創業時から現在も変わらない多品種少量生産の機械部品加工・製造に特化したスタイル。大量生産を行う機械部品は、労働力が安価な海外の工場で加工・製造されていることからも分かる通り、我々の金属加工業は斜陽産業に位置していると考えています。

しかし、当社は工作機械や直動システム、デジタル印刷機、飛行機のランディングギアなど、産業用機械分野で求められる多品種少量生産の機械部品加工・製造に特化して取り組んできたからこそ、現在も多くのお客様にご愛顧いただけていると自負しています。

私自身は東京の製薬会社で働いた後、地元の山形に戻ってから100人規模の機械工具メーカーの管理部門担当を経て、2007年に専務として川西精密株式会社に入社。翌2008年、代表取締役に就任しました。畑は違いましたが、これまでの経験を生かしつつ、従業員を路頭に迷わせてはいけないという思いとともに、がむしゃらに舵を取ってきました。

代表就任当時の従業員数は25名前後だったと思いますが、おかげさまで現在は倍以上。売り上げも約2.5倍に増加しました。2017年には山形市に念願の新工場を新築、2019年には現在のサンフウ精密株式会社に社名変更を行いました。そして現在、多様化するお客様のニーズにダイレクトに応える企業になるべく、日々精進しております。

2.業務量・成果と給与をリンクさせるのに苦労

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

機械工具メーカーの管理部門担当の頃から、常々従業員の給与査定は難しいと思っていました。まず、業務量・成果と給与をリンクさせるのにいつも苦労しました。その理由は、中小企業の場合、どうしても個人の能力差が足枷になるからです。もちろん、能力差があるのは仕方がないことで、従業員もある程度は理解していると思います。だからといって、一律の昇級プログラムに当てはめてしまうと、格差が思いのほか大きく、過剰評価になってしまう傾向があります。

幸いにも当社は順調に業績が伸び、給与もアップしていましたから、結果だけ見ると従業員から給与に関しての不満は出ていませんでした。しかし、会社を成長させるには、新卒や中途を問わず、優秀な人材を採用して育ていく必要があります。その人材育成のなかで大事なのは、業務量・成果と給与をリンクさせ、従業員に納得感を持ってもらうこと。納得感がなければ従業員は辞めてしまうでしょう。しかし、客観的な視点で業績を評価し従業員の給与に反映させていくのは至難の業。従業員が増えてくればくるほど、難しさは増す一方でした。

サンフウ精密様の工場内部
基準値以上にクリーンな環境を実現した工場内部。

中小企業の当社には人事課はありません。拠りどころは、私の頭のなかにある独自の給与計算基準のみ。このままでは私が引退したとき、私の頭のなかにある給与計算基準を誰も引き継げません。そこで、私の給与計算基準を可視化したうえで、業務量・成果と給与をリンクさせることができる人事制度の仕組みづくりが必須と考えた次第です。

――成長塾受講の前、別の評価制度を導入していたと伺っています。

成長塾の前、2013年に読んだある本をもとに2014年から評価制度を導入しました。中堅管理者にも評価の仕方を勉強させ、つい最近まで取り組んできましたが、残念ながら従業員の給与にリンクさせることはできませんでした。ただ、評価結果をもとに中堅管理者と部下の個人面談は定着させることができました。そういう意味では、人材育成や教育面で一定の成果は得られたと思っています。

――成長塾を受講された経緯を教えてください。

書籍『社員が成長し業績が向上する人事制度』成長塾の受講は、松本先生の本『社員が成長し業績が向上する人事制度(日本経営合理化協会出版局)』を読んだことがきっかけです。最初に読んだときには「なるほど」という印象でした。当社に導入してみたいと思っていた矢先、成長塾で詳しく学べることを知り、受講することにしました。

3.リモートおよび対面でも成長塾を受講

――成長塾受講の進捗状況をお聞かせください。

受講したのは2020年9月で、コロナ禍の真っ只中。リモートでの受講でした。理解することはできましたが、松本先生が「もう一回対面で行います」とおっしゃっていたので、せっかくならと2021年9月に対面でも受講させていただきました。これにより、成長シートづくりだけでなく、成長シートから財務への結びつけ方なども学ぶことができました。

加えて、リモートでの受講を終えた後、別途、月2回のオンラインコンサルティングも行っていただきました。1年間しっかりオンラインコンサルティングでご指導いただいたおかげで、成長塾の人事制度を深く理解することができました。

――そうすると、人事制度を導入したのは2021年9月以降ですか。

おっしゃる通りで、2022年5月から本運用をスタートさせました。ですので、残念ながら人事制度導入前後の定量的効果を示すことができません。申し訳ございません。

しかし、リモートでの受講後から、本運用がスタートするまでの約1年半の間に3カ月間×4回、約1年におよぶ仮運用は実施しました。最初の仮運用は従業員数が多い製造部門の一般職および中堅管理者を中心に実施。1年後には、営業や生産管理部門の一般職、中堅管理者まで展開していきました。

4.オンラインコンサルティングなどを通じて成長シートをブラッシュアップ

――仮運用の感想をお聞かせください。

まずは成長シートづくりが大変でした。一般職、中堅職、管理職のポジション別、さらに製造や品質管理、営業、管理部門などの職種別を加え計15種類の成長シートを作成。3カ月ごとに成長支援会議を行い、成長シートを少しずつブラッシュアップさせながら仮運用を続けてきました。

オンラインコンサルティングによる松本先生のアドバイスや、成長シートで評価した従業員から意見を募ったことで、多少の問題を認識しながらの仮運用でしたが、本運用前にはかなり精度を高めることができたと思っています。

――多少の問題とは具体的にどういったことでしょうか。

成長シートで1~5点の評価をつけるわけですが、「基礎的なことができる」「応用的なことができる」などの区分が業務によっては難しく、どこまでが3点で、どこからが4点なのか迷いました。すでに評価制度で点数付けは経験済みとはいえ、成長塾の成長シートは勝手が違います。最終的には松本先生や従業員の意見を聞き、根本的な部分を確認しながら、全体の精度を高めていきました。もちろん、本運用後もすべての問題が解消しわけではありませんが、今後も運用しながらブラッシュアップできればいいと思っています。

5.「優秀な従業員のやり方を真似る」に感動

――成長塾の人事制度に何を期待していますか。

まずは業務量・成果と給与をリンクさせることですね。従業員に「これからは評価と給与がリンクする」という話はしていますから、頑張り次第で自身の給与が決まると真剣に捉えてくれているはずです。まさにこれからが本番だと思っています。

サンフウ精密様の作業風景1
多品種少量生産や短納期対応、これまで経験のない難しい仕事にも挑戦し続けている。

また、「会社のなかの優秀な従業員を明らかにし、そのやり方を真似れば従業員のレベルが上がる」という松本先生の言葉に感動しました。これはぜひ、人事制度のなかで実践していきたいと考えています。

6.従業員の約8割が国家検定1~2級の資格を持つ技術者集団

――「やり方を真似る」とは、技術のことを指しているのでしょうか。

おっしゃる通りです。やはり精度の高い部品加工を行うには、工作機械を自由自在に操る技能は欠かせません。ですから、技術力を高める教育については、人事制度とは別にこれまでさまざまな取り組みを行ってきました。

サンフウ精密様の作業風景2
現場技術者の8割が国家資格を取得。すべての技術者が個人目標を持ち、日々取り組んでいる。

最も大きな取り組みは、9年前から実施している国家検定資格取得の推奨です。我々が言う国家検定資格とは機械加工技能士のことで、そのなかには数値制御旋盤やマシニングセンタ、フライス盤などの技能別に1級、2級があります。取得すれば、客観的にスキルが認定されるわけですから、我々としても教育の成果、個人の技術として分かりやすく評価することができます。

資格を取得すれば5~10万円の一時金を支給する企業が多いようですが、当社は1級取得で毎月2万円~の技能手当を支給するようにしています。30万円前後、年収がアップするわけですから、従業員は頑張って取得に励みます。結果、現在は従業員の約8割が1~2級の資格を取得。おかげさまで正々堂々、技術者集団と名乗ることができるようになりました。

ただし、現場のなかで学ぶOJTだけですと、新卒が1級の資格を取得するのに約10年かかります。ビジネスサイクルが加速し続けている現在、さすがに10年は長過ぎます。また、資格を取得した従業員は大雑把なところの8~9割までは技術を伝授しますが、肝心要はなかなか教えたがらない傾向が見られました。これでは、せっかく獲得した技術が個人のなかで消費されて終わってしまいます。

そこで注目したのが、成長塾の「やり方を真似る」方法です。できる従業員も、そのやり方を教えなければ成長点数の5点を得ることができません。つまり、教えた方が得をするのが、この人事制度というわけです。本当に素晴らしいと感銘しています。

7.地域でナンバーワンの企業を目指していく

――会社として今後の目標や展開をお聞かせください。

サンフウ精密様の休憩所
工場内に設置された休憩所で適度な休憩を取り、生産性の向上を目指している。

山形という片田舎で小さな町工場を営んでいるわけですが、斜陽産業であることを加えて考えると、一般的には業績が下がり続け、どこで事業縮小するのか、あるいは転換するのか思案しないと存続が難しいのが現実です。しかし、当社は約10年前に「地域の中堅優良企業の仲間入り」を目標に頑張り続け、結果オーライではありますが、多くのお客様に支えられながら、その目標を達成することができました。そして、現在も多くのお客様から厚い信頼を得ている状況です。

これを踏まえ、次の10年に向かう当社の中長期計画は「雇用を守り、納税をして、地域に貢献していきたい」を最大の目標に掲げ、地域でナンバーワンの企業を目指していきます。

社内的には人事制度の自走を目指します。体力的に考え、いつまでも私が会社の経営に携わり続けることはできませんから、息子に事業承継できる体制づくりを進めるためにも、人事制度の自走は必須。「仕組みさえつくってしまえば自走できる」と仮運用で手ごたえを掴んでいますから、これから数年間が人事制度づくりの勝負だと思っています。

――最後に一言お願いします。

当社にジャストフィットする人事制度をつくるには、松本先生が持っているさまざまなノウハウが欠かせません。今後は各論のところも伺い、ブラッシュアップしていきたいと考えています。引き続きよろしくお願いいたします。

サンフウ精密 奥山社長

サンフウ精密株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


サンフウ精密株式会社様のホームページ
※ 取材 2022年4月


第120話 人生100年時代には、40年間の○○賃金計画が必要

2022-07-26 [記事URL]

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厚生労働省は公的データを民間開放し、将来の年金額を簡単に試算できるアプリの開発を後押しするようです。これにより資産形成の助言を受けやすくし、貯蓄から投資への流れを加速させようとしています。

老後2000万円問題などに対応できる、新たな動きといえるでしょう。この厚生労働省の公的データの開放は、若い人たちにとってとても役に立つ情報になるでしょう。

現在は65歳から年金を受給できますが、近い将来、この受給年齢が70歳以降になることは間違いありません。それ以上に「年金が支給されるとしても、果たして生活できるほどの金額が受給できるかどうか」が、今の若い人たちの悩みです。

この悩みを解決する方法を構築することは、企業にとって若い社員を採用できるチャンスだと私は考えています。特に中小企業で終身雇用制を採ることは、新卒採用の大きな武器になります。

ここで大事なことは、社員に自分の生涯賃金はどのくらいか、事前に分かるようにしなければならないことです。基本的に賃金は会社の業績が良い時に増えていきます。会社の業績と社員の成長、この二つの要素によって賃金は増えます。これは企業の大小にかかわらず、全て同じです。そのため、今までの昇給を基に分析をして、全ての社員がその会社での生涯賃金が計算できるようにしなければならないでしょう。

そして、生涯賃金には賃金と賞与が含まれています。生涯賃金を計算する時には、転職をしないことを大前提として計算します。

日本企業では、転職して一年目の賞与は満額出ないのが一般的です。そのため、転職する=生涯賃金を増やすことではないと、会社は社員教育をしなければならないでしょう。この会社で成長し、一般・中堅・管理職としてステップアップする。そして世の中に大きな貢献をすることで、自分の生涯賃金を増やすことができると説明する時が来たように思います。

人生100年時代に向けてどのように蓄財をしていけばいいのか、それを考えるためのデータが必要になってきます。生涯賃金を把握することで、初めて自分の将来の年金支給額が分かるでしょう。

将来の年金支給金額は、今の自分の生涯賃金がいくらであるか分からなければ計算はできません。決して難しい計算ではありません。今まで昇給してきた過去を分析しながら、社員が自分の生涯賃金を計算できるソフトを作成することをおすすめします。

このソフトだけであれば簡単にエクセルで作成できます。そのエクセルでつくった生涯賃金計算ソフトを、ぜひ若い社員を採用するための武器にしてもらいたいと思います。

単純に初任給の賃金を上げて採用する時代から、将来のことを考え、人生を計画する社員を採用する時代が来たことを忘れないでもらいたいと思います。


夏期休業のお知らせ

2022-07-25 [記事URL]

平素より大変お世話になっております。ENTOENTOです。
弊社では誠に勝手ではございますが、本年度の夏期休業日につきまして、以下の通りとさせていただきます。

◆ 休業期間 2022年8月13日(土)~2022年8月21日(日)

【セミナー・研修へお申込みいただいた際】のご請求書の郵送につきましては、以下の通りとなります。

8月9日午前8時までにいただいたお申込みにつきましては、12日(金)までにご請求書を発送いたします。
8月9日8時以降のお申込みにつきましては、22日(月)以降に順次請求書を発送させていただきます。

【ご注文いただいた商品の発送】につきましては、以下の通りとなります。

(1)【代金引換便】でのお申込の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までに発送いたします。
※在庫切れの場合にはその限りではございません。ご了承ください。

(2)【銀行振込】でのお申込の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までにご請求書を発送いたします。
8月9日8時までにご入金が確認できた商品につきましては、12日(金)までに商品を発送いたします。

(3)【払込書】でのお申込(小冊子)の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までに発送いたします。
8月9日8時以降のお申込みにつきましては、22日(月)以降に順次発送させていただきます。

なお、夏期休業中もFAXやEメールによるお問い合わせは受付けておりますが、9日8時以降のお問い合わせ等につきましては、22日(月)以降に順次対応させていただきます。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がおありでしたら、お気軽にお問い合わせください。


第119話 賞与の配分の仕方が社員の成長を左右する

2022-07-19 [記事URL]

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ある大手企業が、ホームページ上で賞与の配分の仕方をオープンにしていました。そこには「賞与は成果の大きさで配分する」と示されています。この配分の仕方はバブル崩壊の時に問題を発生させた成果主義の考え方のままです。大至急、改革が必要です。

賞与は成果の大きさで配分すると知った社員の次の行動はどうなるでしょうか。全ての社員は賞与をたくさんもらいたい気持ちがあるため、一生懸命成果を上げる努力をすることになるでしょう。企業はそれを狙っていると思います。

社員は成果を上げるための業務を行うようになるでしょう。中でも、成果の高い社員はその業務を優れたやり方で行っています。もっとも、それが優れたやり方かどうかは社員本人も十分に認識していない可能性もあります。

ところが、成果の高い社員が「自分は成果が高いからたくさん賞与がもらえる」と分かると、できるだけ他の社員よりも高い成果を上げた方がいいと考えるようになります。そのため、残念なことに自分より成果の低い社員がいる状態を密かに維持しようと考えるでしょう。

仮に成果を上げるやり方が分かったとしても、それを他の社員に教えてしまえば、自分の成果と他の社員の成果のギャップが少なくなります。極論を言うと全員自分と同程度の成果になってしまうと、自分の賞与の金額は増えないと考えるようになるでしょう。

そのため、明らかに優秀な社員は他の社員に成果を上げるやり方を教えようとはしません。自分がいかに高い成果を上げたかを会社にアピールし、自分だけ高い賞与をもらおうとします。この社員は組織の中で尊敬される社員になれるとは思えません。しかし実際成果さえ上がっていれば、この社員が賞与をたくさんもらうことになります。そして、他の社員より早く昇進昇格するでしょう。

賞与は配分の仕方よりも大切なことがあります。それは賞与の原資を増やすということです。賞与の原資は会社の業績によって決まります。業績が良ければ全社員の賞与が増え、業績が悪ければ全社員の賞与は減ります。

このことを社員に教育しなければなりません。仮に成果を上げている優秀な社員が、そのやり方を全ての社員に教えることができて、全ての社員が成果を上げたとすると、会社全体の業績はとても高くなります。つまり、全社員の受け取る賞与は増えることになります。

そして大切なポイントは、その成果を上げる重要業務のやり方を教えた社員に、賞与をもっとも高く配分することです。そのためには成果の大きさだけではなく、この重要業務の遂行度の違いを明確に評価する仕組みを持たなければなりません。

その仕組みによって、教えた社員がたくさん賞与をもらえたとき、他の社員はそれをどう見るでしょうか。
「あなたが一番高い賞与で私も嬉しい。あなたのおかげで私もたくさん成果を上げることができて、賞与をたくさんもらえた」
教えたこの社員は他の社員から尊敬されることになります。そしていつか上司になって多くの部下を成長させることができるようになるでしょう。

賞与の配分は、その会社の社員がどのように成長するかを決定します。もう一度配分の仕方を見直してください。


第118話 社員の65歳以降の雇用のためにこれから準備すること

2022-07-12 [記事URL]

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70歳までの雇用が努力義務になり、企業は65歳以降の継続雇用について取り組む必要がでてきました。しかし、中小企業では推定4割以上の企業で70代の社員を実際に雇用しているのに対し、厚生労働省の調査によると、大手企業ではわずか2割程度しか対策をしていません。中小企業よりも随分遅れていることが分かります。

ここで大事なことは、どのような仕事をしてもらうのかを考える前に、65歳以上の社員に求める成果の種類を明らかにすることです。

一般的に、会社では社員を何らかのシートで評価をし、そしてその評価を基にして賃金を決めます。もし、上げるべき成果が分からなければ、社員は取り組むべき仕事内容を的確に知ることは困難でしょう。これでは具体的な成長を評価することはできません。つまり、成果の種類を明確にしなければ賃金を決めることはできないのです。

仮に、社員の成長を確認できる成長シートがあれば、「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」この4つの構成要素で社員の成長確認をすることができます。

・専門的な技術を持って行う仕事でどのような「成果」をあげるのか。
・後進に仕事を教えることでどのような「成果」を上げるのか。
・マネジメントをすることで、どのような「成果」を上げるのか。
この成果の種類を明らかにせずに65歳以上の社員の働き方を考えてしまうと、賃金との連動ができなくなってしまいます。65歳以上の社員を評価し賃金を決めるためには、現在在職している社員の評価と賃金をまずは一致させることが最も重要であることに気がつくでしょう。

この考え方があれば、65歳を過ぎた時、または70歳を過ぎた時に、その成長シートの期待成果の大きさが基本的に社員の賃金を決める大きな判断基準になります。

いまだ65歳以上の雇用に関してはかなり未知数であり、そのことが阻害要因になっています。悩むことが多いでしょうが、こればかりは実践してみない限り、結果は分かりません。

あらゆる社員はこの会社で成長して世の中に貢献する。そしてその評価を組織の中で決め、処遇に反映させる。この考え方に基づいて仕組みを動かしながら、徐々に見直すことが必要でしょう。

元々私は人事制度を構築して運用するときには60%の品質でスタートすることを勧めています。もちろんこの段階では処遇の決定には活用できません。最も大事な「社員の成長」を考えれば、見直しする箇所が相当あります。

65歳以上の雇用はこれからどんどん進んでいくでしょう。「社員のために」という目的でつくるこの人事制度についても、最初から完璧を目指すのではなく、運用しながら見直すことを考えて実践してください。


第117話 出社かテレワークか。どちらにするかは判断基準が必要になる

2022-07-05 [記事URL]

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テスラのイーロン・マスク氏がテレワークを認めない考えを示し話題になりました。日本では、NTTが社員3万人をテレワークにすることを発表し話題になっています。「出社」がいいのか「テレワーク」がいいのか、まだまだ多くの企業がどちらの働き方にするか決めかねているようです。

どちらがいいかは企業の業種・業態によって違い、一概に説明することはかなり難しいテーマではありますが、大切なのは「生産性指標」で判断することです。生産性を判断できる指標があれば、どちらの働き方がいいのか簡単に分かります。

しかし面白いことに、大切な経営判断にもかかわらず具体的な生産性指標を示している企業はほとんどありません。生産性は感覚で語るものではなく、数字で語るものです。具体的な数字で判断しなければ、社員に説明しても納得することはありません。企業として考えるときには、必ず判断するための指標を決めてディスカッションすることです。

「出社がいい」という社員もいれば、「テレワークがいい」という社員もいるでしょう。さらに「社員の定着率」や「社員の成長率」を比べて、どちらが社員は働きやすいか判断する必要もあるでしょう。

しかし、どちらにしても生産性指標を明確にせずに決めてしまえば、反対する人たちは納得しません。納得しなければ「辞めてもらって構わない」という考えもあるでしょうが、これでは残った社員も疑問を持ったまま仕事することになります。必ず生産性指標を明確にして、どちらが良いのか判断しなければなりません。

今後の様々な経営環境の変化に合わせて、一度決まったことも途中で変更することはありえます。しかし今後、「出社」か「テレワーク」について様々な企業が意見を発表し、マスコミを賑わせたとしても、その話題に振り回されてはいけないのです。我が社は我が社なりの指標を明らかにし、経営判断をしてもらいたいと思います。

この問題は、この機会に全ての社員を巻き込んでこの「生産性」「定着率」「成長率」を考えることができれば、素晴らしいことです。今後ますます生産性向上のヒントを掴むことができるでしょう。

一度、この機会に我が社の生産性指標を考えてください。


臨時休業のお知らせ

2022-07-04 [記事URL]

平素より大変お世話になっております。ENTOENTOです。
今年の成長塾第17回全国大会(オンライン大共有大会)開催に伴い、次の日程で臨時休業させていただきます。

◆ 休業日 2022年7月14日(木)~2022年7月15日(金)

ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。


有限会社グリーンフィールド様(農産物の生産、加工、販売 沖縄県)

2022-07-01 [記事URL]

「新卒の正社員が納得する人事制度を構築。今後は自社農場の沖縄ファーム、そしてアルバイトやパート、技能実習生を含め全従業員の頑張りも評価できるようにしたいと考えています」有限会社グリーンフィールド 代表取締役社長 大城 洋 氏、常務取締役 大城 千賀子 氏お二人の写真
新卒採用の正社員が安心して長く働ける会社にするため、成長塾で人事制度づくりを学ばれた有限会社グリーンフィールド 代表取締役社長 大城洋 氏と、常務取締役 大城千賀子 氏にその経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 有限会社グリーンフィールド
代表取締役社長 大城 洋
所在地 〒900-0001 沖縄県那覇市港町4丁目2番地
資本金 1,735万円
設立 2005年 8月
従業員数 180名(アルバイト、パート、技能実習生を含む)
事業内容 農産物の生産、加工、販売
URL  https://114.co.jp/

 

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1.安心・安全に配慮したカット野菜・カットフルーツを製造・販売

――グリーンフィールドの会社概要をお聞かせください。

グリーンフィールド様のカット野菜とカットフルーツの画像
真心がこもっている安心・安全なグリーンフィールドのカット野菜、カットフルーツです。これは自慢の沖縄県産カボチャです。

大学卒業後、沖縄県内で肉の卸の仕事をしているとき、野菜の仲卸業を営んでいた父から、カット野菜の製造・販売を手掛ける会社を立ち上げるから加わってほしいと声をかけられたのがグリーンフィールドの始まりでした。そこで父と私、そして叔父を加えた3人で、2005年に有限会社グリーンフィールドを立ち上げました。

ところが、カット野菜に関する知識は誰も持っていません。そのため、私が福島県のカット野菜専門の会社で1年間修行し、技術とノウハウなどを持ち帰ってようやく事業がスタートしました。最初は苦戦しましたが、従業員一丸となってカット野菜、カットフルーツの品質と生産能力を高めることにまい進。その結果、現在は大手外食企業や大手スーパーマーケット、学校給食など、数多くの顧客を獲得するまで成長することができました。

原材料となる野菜やフルーツに関しては、当初は契約農家から仕入れていましたが、現在は私が代表を努める自社農場、有限会社沖縄ファームで賄っています。これにより、生産から製造・出荷まで一気通貫のワンストップ体制で、皆様のもとに新鮮で美味しいカット野菜、カットフルーツをお届けしています。

当社は「野菜に新しい価値を吹き込み、野菜でゆとりと活力を提供する。」をサービステーマに、子供から若い共働き世帯、そして年配の方々の輝くライフスタイルの創造に貢献していきたいと考えています。そのために大切なのは、品質と美味しさにこだわった安心・安全な食品をお届けすること。細心の注意を払い、衛生管理基準をクリアしたものだけをお客様のもとに届ける生産工程の構築に研鑽を重ねてきました。おかげさまでその努力が実り、数ある食品安全規格のなかでも難易度が高い食品安全システム認証の国際規格「FSSC 22000(Food Safety System Certification)」認証を取得することができました。

FSSC22000認定を受けた品質管理部の写真
FSSC22000認定を受けた品質管理部

有限会社沖縄ファームにおいても、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる事実上の国際標準「GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)」認証を沖縄で初めて取得。この認証の取得に満足せず、これからも当社は大いなる夢を持ち、地域社会と皆様に愛される会社づくり、人づくりに精進してまいります。

2.優秀な新卒社員が安心して長く働ける会社を目指す

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

新卒で入社した従業員が納得して働くことができる環境づくりを求め、成長塾を受講させていただきました。そもそも創業して10年ほどは従業員の数は揃っていましたが、ほとんどがパートやアルバイト。正社員を雇う財務的な余裕がありませんでした。

事業が軌道に乗った10年目、大学を卒業する新卒を正社員としてようやく数名採用することができました。そうした新卒の子たちと一緒に働いて思ったのは「本当に優秀」だということ。物覚えにしても段取りにしても、さまざまな業務の場面で「やっぱり新卒社員は違う」と感心させられました。そうなると、今後も毎年数名ほどの新卒を採用し、人材育成・成長支援に注力していきたいと思うようになります。

また同時に、そうした新卒社員が辞めることなく、誇りを持って安心して長く働ける会社を目指さなければならないと考えるようになりました。そのためには、就業規程の整備はもちろん、「何を頑張ったら給与が増えていくのか」が分かる仕組みが必要になります。そこで求めたのが、透明性が高い人事制度でした。

――成長塾受講の前、別の人事制度の導入を検討されたと伺っています。

まずは社労士のコンサルティングのもと、独自の人事制度を1年かけてつくりました。ところが完成した人事制度は、何等級の何段階という等級制度や賃金テーブルなどが非常に複雑で、我々は本当にこの人事制度を運用できるかという不安でいっぱいでした。

複雑というだけでなく、幹部に求められるレベルが高すぎたというのも導入を躊躇する要因でした。人手不足で現場の兼任業務も多いなか、一般企業の課長や部長と同一のスキルを求められてもすぐには対応できません。もちろん、一般論で言えば幹部にはそうしたスキルが必要だというのは理解できます。

ただ、制度というものがほとんど存在しないところに、いきなり杓子定規の人事制度導入は厳しいというのが正直な気持ちでした。完成され過ぎていた人事制度ゆえに、当社には合わなかったという感じでしたね。

3.成長塾の人事制度なら自社に合った人事制度がつくれる

――成長塾を受講された経緯を教えてください。

前述した人事制度の導入に躊躇していたとき、お世話になっているキムタカ税理士法人から、松本先生が主催している成長塾を紹介されました。中小企業向けの人事制度では全国有数の実績があるとのことで、タイミング良く松本先生の沖縄講演に足を運ぶことができました。その後、2017年10月163期生として成長塾を受講させていただきました。

――受講後の率直な印象をお聞かせください。

成長塾の人事制度は「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」のさまざまな成長要素を成長シートに展開するわけですが、これをすべて自分たちが可視化していくのが素晴らしいと感じました。これなら、当社に合った人事制度がつくれるのではないかと大きな期待を抱きました。

さらに感銘を受けたのは、競争ではなくて共有するという点です。優れたやり方をシェアするという考え方は、まさに目から鱗でした。会社の組織づくりを行ううえで、これまでは結果だけを見てしまいがちでしたが、受講してからは考え方が180度変わったような気がしました。

――人事制度を運用するうえで苦労はありましたか。

従業員のほとんどは製造部門に属していますから、細かく成長シートを分ける必要がないのは助かりました。しかし、自分の頭のなかにある成長基準を可視化する作業は四苦八苦しました。これまで感覚に頼っていた成長基準だったため、客観的な成長基準をつくるには時間を要しました。

実際、成長塾を受講してすぐに人事制度を導入しましたが、2年間は仮運用期間に据えていました。本格的な運用を開始したのは3年目からになります。

また、導入当初のフィードバックの面談では、成長塾を受講した私たちが必ず同席するようにしました。それまで面談自体ほとんどありませんでしたから、いきなり「成長シートに基づいたフィードバックの面談を実施しましょう」と言っても、何をすればいいか分からないと思ったからです。

面談の指導だけでなく、従業員一人ひとりに「プロセスを評価している」こと、そして人事制度の解釈に共通の認識を持ってほしかったというのもあります。人事制度を導入してから新卒社員が増えていきましたから、単純に労力という意味で大変でした。

4.正社員の定着率が向上

――人事制度の導入後、どのような定量的効果を得ることができましたか。

2017年4月~2018年3月をBefore、2020年4月~2021年3月をAfterとし、成長塾受講前後を比較した定量的成果を以下に示しました。

グリーンフィールド様の定量的成果の表
(クリックで拡大します)

注目してほしいのは定着率です。48%が75%ということで、一見すると低いと思われるかもしれません。そもそも当社の従業員数は繁忙期になると180名にのぼり、その多くはアルバイトやパート、外国からの技能実習生で占めています。現在、正社員は33名です。つまり、表の定着率は家庭の事情や技能実習生という立場で退職せざるを得ない従業員を入れた全体数で、正社員だけに絞れば約89%という高い定着率になります。

正社員が辞めないのは、人事制度のPDCAサイクルが機能するようになったこと、それとともに福利厚生が整備されてきたのが大きな要因だと考えています。

5.情報を共有し良いことを伝える文化が定着

――人事制度の導入による定性的な効果をお聞かせください。

人事制度を導入した当初は、多くの正社員が評価を受ける側でしたが、現在はそのなかからリーダーが育ってきています。そして、今はそのリーダーが自分の部下を指導するフェーズに入ってきました。すると、リーダーは以前に幹部から言われてきたこと、幹部ならではの悩みなどをようやく理解したようで、積極的に部下の成長を支援する動きが見え始めてきました。まさにそれはPDCAがうまく回り、人材育成の文化が根付いてきたと感じる瞬間です。

最初に感銘を受けた優れたやり方を共有する考え方は、成長シートのなかだけでなく、教え合う仕組みとして定着しつつあります。成功を全員で共有するのはもちろん、その成功を手にしたいと思う部下の能力を引き出すことができるリーダーが増えてきました。

同時に良いことを伝える文化も根付いてきたと感じます。例えば、褒められればどんなに小さなことでもうれしいもの。本人にとっては大したことではないやり方でも、リーダーや幹部からの言葉を通じて賞賛はしっかり本人に伝わっています。我々にも聞こえているわけですから、それは間違いありません。

また、フィードバックの面談が社内の雰囲気を変えてくれました。リーダーや幹部が部下に関心を持って勤務態度や仕事ぶりを評価しますから、自ずとコミュニケーションの量が増えていきます。コミュニケーションの量が増えると社内の風通しが良くなり、それが会社全体の雰囲気につながっていきます。実際、会社に活力がみなぎっていると思うときが度々あります。

6.グローバル化に対応する成長シートをつくりたい

――今後の展開をお聞かせください。

最終的には、すべての従業員が「グリーンフィールドなら安心して30~40年働ける」と思える会社にしたいと考えています。そういう意味では、これからも人事制度のブラッシュアップは必要だと思っています。ブラッシュアップのひとつとして考えているのは、グローバル化に対応する成長シートです。

限られた時間のなかで技術の習得を目指す外国からの技能実習生なども在籍していますから、当社としても実務にあたってから適職を見極めていく従来型のメンバーシップ型雇用では対応しきれません。スキルや実務能力を適正に判断し、専門性の高い人材を雇用する方法へのシフトチェンジが必須で、成長シートもそれに対応するグローバル化が求められます。

また、今後は冒頭で紹介させていただいた自社農場、沖縄ファームをグリーンフィールドに吸収する構想があります。その際には、すべての正社員を成長シートで成長の確認をする仕組みを構築できればと考えています。また、正社員だけでなく、パートやアルバイトを含めた全従業員の頑張りも成長シートを通じて可視化できるようにしたいと思っています。

例えば、現在は賞与原資をオープンにしていますが、「誰がいくらもらえるのか」までオープンにする施策を模索しています。競争を促すのではなく、成長等級と成長点数が賞与に反映されることを把握してほしいという想いからですので、従業員の理解は得られると思っています。

沖縄ファーム様のキャベツ畑の写真

沖縄ファーム産のキャベツは11月から6月にかけて収穫期を迎えます。新鮮なままカットされ、お客様の食卓へお届け

7.5~6割程度の完成度でもスタートさせることが重要

――人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

人事の問題は多くの経営者が悩むところで、一人では解決できない部分も多くあるかと思います。当社が良かったのは、私、大城 洋と大城常務が二人三脚で人事制度の導入を推進したこと。相談し合いながら、より良い人事制度の構築を目指したことで、悩みを抱え込むようなことがありませんでした。心にゆとりを持って人事制度の構築・導入に取り組めたと思います。

あとは完璧を求め過ぎないことですね。考え過ぎてスタートが遅れてしまっては前に進みません。当社の場合「運用しながら、その都度ブラッシュアップをすればいい」と考え、とりあえず5~6割程度の完成度でスタートさせました。実際、最初の段階はころころと変わったため、現場は混乱したと思いますが、そこは理解を求めながら完成度を高めていきました。

もちろん、先ほども申し上げた通り、今後もブラッシュアップは必要ですが、全従業員に納得してもらえる人事制度を構築できたと自負しています。

――最後に一言お願いします。

松本先生の「労って、褒めて、認めて、感謝する」という言葉が今でも心に残っています。今いる従業員に感謝する気持ちを忘れないように、いつもその言葉を反芻しています。

それと、松本先生のちょっとした冗談は沖縄にぴったり合いますね。いつも笑わせてもらっています。これからもご活躍をお祈りしています。

グリーンフィールド様の集合写真

有限会社グリーンフィールド様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


有限会社グリーンフィールド様のホームページ
※ 取材 2022年4月


第116話 賃金は社員の成長の後からついてくる

2022-06-28 [記事URL]

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「賃金を上げてください…」社員の心の声が伝わってくるようです。

次から次へと様々な商品の価格が上昇しています。原材料費が高くなれば、当然企業側も売価をその分高くしなければなりません。これは世界の常識です。

このままでは生活が大変なので「賃金を上げてください」という社員の思いは強くなっていることでしょう。この時、経営者がどう考え、どう行動するかによって社員の成長は大きく左右されます。

日本では元々ベースアップという賃上げの方法があり、消費者物価指数が上がったときに社員の賃金を一律で上げてきました。しかし、この先行き不透明で混迷な時代に、物価指数が向上したからといって単純にベースアップをすることは難しいでしょう。

賃金を上げるために、まずは「賃金原資」を増やす必要があります。賃金原資は売り上げ・粗利益の中に存在しています。つまり、この売り上げ・粗利益を増やさない限りは賃金を増やすことはできません。このことを社員に明確に教育する必要があります。

賃金原資を増やすためには業績を上げることです。業績を上げるためには、社員間の成果の違いを生みだしている「やっていることの違い」を共有化することです。このような時代だからこそ、社員間で成果の大きさに差がついていることにお気づきでしょうか。その成果の違いを生みだしているやり方を、全ての社員に教育をすることができれば業績を上げることができます。

もしこの教育ができれば、厳しい環境であっても社員は具体的な仕事の仕方を教えあい、全社員が一緒に成長していくことになるのです。1社の例外もありません。このことは大切な社員教育です。

この会社で賃金を上げるためには、全社員で全社員の成長を願いながら、支えながら教え合うこと。これによって会社の業績は間違いなく向上します。

今までのような、成果の高い社員だけ賃金が増えることをモチベーションにして、さらに成果を上げさせようとする、個人主義の考え方ではこの時代を切り抜けることは難しいでしょう。

今までの賃金の考え方に対する大きなターニングポイントだと理解して頂く時が来ました。社員にしっかりと教育してもらいたいと思います。


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