第118話 社員の65歳以降の雇用のためにこれから準備すること
2022-07-12
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70歳までの雇用が努力義務になり、企業は65歳以降の継続雇用について取り組む必要がでてきました。しかし、中小企業では推定4割以上の企業で70代の社員を実際に雇用しているのに対し、厚生労働省の調査によると、大手企業ではわずか2割程度しか対策をしていません。中小企業よりも随分遅れていることが分かります。
ここで大事なことは、どのような仕事をしてもらうのかを考える前に、65歳以上の社員に求める成果の種類を明らかにすることです。
一般的に、会社では社員を何らかのシートで評価をし、そしてその評価を基にして賃金を決めます。もし、上げるべき成果が分からなければ、社員は取り組むべき仕事内容を的確に知ることは困難でしょう。これでは具体的な成長を評価することはできません。つまり、成果の種類を明確にしなければ賃金を決めることはできないのです。
仮に、社員の成長を確認できる成長シートがあれば、「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」この4つの構成要素で社員の成長確認をすることができます。
・専門的な技術を持って行う仕事でどのような「成果」をあげるのか。
・後進に仕事を教えることでどのような「成果」を上げるのか。
・マネジメントをすることで、どのような「成果」を上げるのか。
この成果の種類を明らかにせずに65歳以上の社員の働き方を考えてしまうと、賃金との連動ができなくなってしまいます。65歳以上の社員を評価し賃金を決めるためには、現在在職している社員の評価と賃金をまずは一致させることが最も重要であることに気がつくでしょう。
この考え方があれば、65歳を過ぎた時、または70歳を過ぎた時に、その成長シートの期待成果の大きさが基本的に社員の賃金を決める大きな判断基準になります。
いまだ65歳以上の雇用に関してはかなり未知数であり、そのことが阻害要因になっています。悩むことが多いでしょうが、こればかりは実践してみない限り、結果は分かりません。
あらゆる社員はこの会社で成長して世の中に貢献する。そしてその評価を組織の中で決め、処遇に反映させる。この考え方に基づいて仕組みを動かしながら、徐々に見直すことが必要でしょう。
元々私は人事制度を構築して運用するときには60%の品質でスタートすることを勧めています。もちろんこの段階では処遇の決定には活用できません。最も大事な「社員の成長」を考えれば、見直しする箇所が相当あります。
65歳以上の雇用はこれからどんどん進んでいくでしょう。「社員のために」という目的でつくるこの人事制度についても、最初から完璧を目指すのではなく、運用しながら見直すことを考えて実践してください。
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