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第129話 社員の成長に欠かせないのが「失敗を経験すること」

2022-10-04 [記事URL]

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最近、インターネット上で「社員にはたくさんの失敗をさせることが必要」という話題が増えています。その理由は、この激動の時代に社員は失敗を恐れず挑戦することが必要であると感じているからでしょう。

確かに、新しいことに挑戦する社員がだんだん少なくなってきたように思います。特に、今までにない経営環境の中で、逆に挑戦をためらう社員が増えてきているようにさえ思います。

この原因は大手企業と中小企業では若干違うかもしれません。大手企業の社員さんたちと話をすると「失敗はできない」と断言する人は意外と多いのです。それは失敗すると減点評価をされ、場合によっては昇給・賞与に大きく影響することが分かっているからです。簡潔に説明すると、失敗したら昇給と賞与が減る可能性が大きいのです。これではどんなに高い賃金をもらっていたとしても、新しい挑戦に関しては二の足を踏むでしょう。

米国のある有名な経営者が日本でセミナーを開催した際、参加者から質問を受けました。

「あなたは会社を飛躍的に成長させましたが、成功のコツはあるでしょうか?」

この質問に対して講師の経営者は次のように答えました。

「ご質問頂いた方は、私は成功する確率が高いとお考えになって質問したように思います。しかし、成功の確率は質問して頂いた方と私とではさほど違いはないと思っています。それでも成功していると感じる最大の違いは、挑戦する数の違いだと思います。例えば、私は1年間に100の挑戦をし、30成功して70失敗しています。ご質問頂いた方は、もしかすると年間10の挑戦をして3つ成功し、7つ失敗しているかもしれません。つまり、成功の確率は30%で同じですが、成功の数は10倍違います。その違いこそ、当社が成長した理由と言えるでしょう!」

つまり、失敗も10倍多いのです(笑)。ここがポイントですね。

経営者は組織の中で一番失敗が多いでしょう。社員にも多くの失敗を経験してもらうことは、数多くの挑戦をしてもらうことと同義です。つまり、まずは「社員にたくさん挑戦してください」と指導しなければなりません。

経営者は余程の失敗をしない限りは役員報酬が下がることはないと思いますが、例に挙げた大手企業のように失敗したことによって昇給や賞与が減るのであれば、社員は挑戦に取り組むことはできません。

そこで、説明する際に必要な条件があります。それは社員の評価は成長シートで行い、その成長点数を調整せず、ストレートに処遇を決める仕組みをつくることです。

社員には様々な挑戦をしてもらいますが、その挑戦がうまくいかなかった、つまり失敗したとしても成長点数をマイナスすることはありません。つまり、失敗によって処遇が悪くならないことを明確にしなければならないのです。これによって多くの企業が考えられないほど社員の成長が早まっています。それは社員が沢山挑戦して成長したからに他なりません。

「なぜ挑戦しないのだ」「挑戦してたくさん失敗をしてほしい」。経営者の気持ちはわかりますが、それを受ける社員の気持ちを考えて、挑戦による失敗が処遇に反映されないような仕組みをつくることが必要なのです。


第128話 「配属ガチャ」で会社を辞める時代を危惧する

2022-09-27 [記事URL]

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最近のトレンドになった言葉に「配属ガチャ」があります。それは新卒入社の社員が対象の言葉です。新卒社員が希望の職種に配属されなかったことがショックで会社を辞めることがあるようです。

もしこの傾向が強まると大きな問題になるでしょう。なぜなら、日本の中小企業はメンバーシップ型雇用をしているからです。メンバーシップ型雇用とは採用前に業務内容を限定せずに雇用することです(メンバーシップ型雇用については拙著『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』をご参照ください)。

ある大手スーパーマーケット会社が新卒を採用した時に、様々な部門の中でどの部門の配属を希望するかアンケートを取っていました。一番嫌がる部門がどうも鮮魚部門らしいのです。採用した以上は誰かをこの鮮魚部門に配属しなければなりませんが、鮮魚部門を希望していない社員を配属させるときに大変苦労したという話を経営者から何度も聞いてきました。しかしその配属が嫌だからといって辞めたという社員はいなかったそうです。

日本のこのメンバーシップ型雇用は欧米のジョブ型雇用とは違い、とても理にかなっていると私は思っています。

私は前勤務先で人事制度をつくりましたが、新卒採用の取り組みや決算書の作成、パソコンでビックデータの分析など、他の業務も経験してきました。店舗では刺身の盛り合わせを作り、販売やレジ打ちもしました。商品センターでは商品管理や全店のマグロ加工を一括で行い、輸配送する仕事にも取り組み、ブロック長として各店舗の指導をしたこともあります。新規事業として寿司事業を立ち上げたこともあります。色々な仕事を経験することができました。

そもそも大学で学んだことと勤めた会社で実際にやったことは、ほとんど関係していませんでした。様々な仕事を経験することによって、自分が思っていた得意分野と様々な仕事をやった上で分かった得意分野にはギャップがあることが分かりました。

通常は自分の特性を自分なりに理解し、こんな仕事が向いているのではないかと自己判断をしていましたが、様々な仕事を経験することによって色々な自分を確認することができ、結果的に自分の特性を最大限生かすことができたと今では思っています。

「マグロの解体ができるコンサルタント」。これが私のセミナーの最初のアイスブレーキングの話ですが、様々なことを経験することが自分の人生においてとても大切であると今でも思っています。

それゆえに今、何かやりたい仕事があって、それ以外の仕事をする部署に配属されたら辞めてしまう「配属ガチャ退職」が流行してしまったら、折角のチャンスを無駄にすることになると思います。

日本には日本特有の長年の雇用形態があります。欧米型のジョブ型雇用がいいのか日本のメンバーシップ型雇用がいいのかは、これから長い年月をかけて検討されることになるでしょう。

どちらがいいのか判断基準は決まっています。日本では社員が定着し、成長し、そして業績向上につながっていく雇用方法が良いのです。それをこれから私たちの世代から次の世代、またその次の世代と、多分100年ぐらいかけてこの問題は検討されていくことになるでしょう。もちろん、検討は評論家に任せ、私たちは自分の判断で実践していきましょう。

ただ、この問題を知って頂くために書いた私の書籍はとてもお役に立ちますのでお読み頂ければと思います。理論を振りかざす内容ではなく、実践書である『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』です。


第127話 事業承継をするときに必要な仕組みがある

2022-09-20 [記事URL]

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日本は今、後継者がいないことが問題になっています。2025年には70歳以上の経営者が245万人、その半分の127万社は後継者不在による廃業や倒産の危機に直面すると予測されており、問題が表面化しています。

事業承継が問題になっている会社のほとんどは、後継者以外の問題はありません。例えば、累積赤字がある、競合に負けている、商品開発ができない等々の問題がある訳ではありません。今後の「事業存続」が難しい会社では、そもそも「事業承継」の問題は俎上に載りません。この問題は顧客に存在を求められている会社に発生しています。この会社には顧客がいて、その顧客に対して十分満足をしてもらっている商品・サービスがあります。

しかし、後継者が存在している残りの118万社にも、事業承継のときに大きな問題になることがあります。それは、創業経営者の今までの評価や処遇の決め方が本人の頭の中にあり、後継者にその経験を引き渡すことができないことです。

しばしば、弊社で開催している成長塾に後継者だけ参加することがあります。その後継者は評価や処遇の決め方を自分で考えて、人事制度を構築しようとします。しかし、これでは社員が納得する人事制度にはならないでしょう。

創業経営者の評価や処遇の決め方があるからこそ、今まで事業が存続発展してきたのです。それが可視化されていない、仕組み化されていないために、社員が理解できないことが問題なのです。

それが理解されていないにもかかわらず、社員が定着して成長し、成長した幹部がいることは、評価や処遇の決め方に社員が納得しているからです。ただ、この決め方が明確になっていないために、後継者がその創業経営者の評価や処遇を変えてしまう暴挙に出る可能性があるのです。あえてここで暴挙と申し上げたのは、これまでの評価や処遇の決め方は、創業経営者が実践の中で生み出した経験則であり、それを否定して上手くいくはずがないからです。

そのため、創業経営者は今までの評価と処遇の決め方を可視化して後継者に渡し、このように伝えなければなりません。

最低5年間は、この評価と処遇の決め方を可視化した人事制度を遵守してください。変えたいという気持ちが湧く可能性がありますが、一切それはまかりなりません。それは私の長年の経験の中で生み出されたものであり、経験の少ないあなたに違和感があるのは当然です。そしておかしいと思ったら、必ず私に聞きに来てください。理由を説明します」

「そして5年ほど過ぎたあたりから、自分はここはこうしていきたいという小さな改善案が生まれてくるでしょう。それを社員や幹部に説明しながら見直しをしていってください。全てのことは“守・破・離“です。最初はこの人事制度をそっくりそのまま守ってください。そして少しずつ見直しをしていってください」

「さらに10年ほど経つと、あなたが経営する中で、私が可視化した人事制度とは全く違った新しい人事制度に生まれ変わっている可能性もあるでしょう。そのときでも今まで私についてきた社員、幹部は、あなたについていくでしょう。それは評価も処遇も守ってくれた後継者であることが分かったからです」

この評価や処遇の決め方を可視化した人事制度をつくることが、創業経営者のとても大事な仕事です。


第126話 生産性と定着率には大切な関係がありますね。

2022-09-12 [記事URL]

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社員を成長させて業績を向上し、そして昇給・賞与をたくさん出してあげたいと思っている経営者は多いでしょう。このことを実現させるためには1つの大前提があります。それは社員の定着率を高めることです。

成長塾で人事制度をつくった会社は、人事制度を導入した結果、定着率が高まることが1つの成果としてあります。定着率が100%になった会社も続出しています。その理由は、社員がこの会社でどのように成長が評価されているか、そしてそれがそのままストレートに処遇に反映されていることが可視化されたからです。これにより、この会社で社員が安心して定着し、成長できる環境をつくったことになります。

一般的には、この評価や処遇の内容が明確になっていないため、自分の将来に不安を持って転職することを考えるようになりますが、転職しても同じような不安が続く恐れがあるでしょう。

社員は会社に定着することで、勤務態度を守り、知識技術を身につけ、重要業務が遂行できるようになり、その結果、継続して成果を上げることができます。その社員の成長を可視化したのが「成長シート」です。期待成果、重要業務、知識技術、勤務態度の「成長要素」が示されており、その成長を「成長点数」として可視化することができます。

例えば、一般階層を卒業するためには標準で10年かかるとすれば、その間は成長点数が20点、40点、60点、80点と10年かけてじっくりと成長していくことになります。成長点数で自分の成長が確認できますので、社員本人はとても安心し、落ち着いて仕事ができるようになり、結果として社員は定着し、さらに成果も上げられるようになります。

その成果の一つに「生産性」があります。生産性を高めるためには、生産性を高めるための知識技術、重要義務が必要です。社員が定着することで成長し、この生産性を高めていくことができます。そして、それぞれの社員の成長点数が高まっていくことは、結果として会社全体の生産性が高まることになります。

最近、日本は労働者の移動が少ないために欧米に比べて生産性が低いというニュースが報道されていました。もし社員がどんどん転職してしまったら、生産性は上げづらくなります。
メンバーシップ型雇用の日本とジョブ型雇用の欧米では、もともと違いがあることを知っておく必要性があるでしょう。

欧米では、自分でそのスキルを向上させ、転職しながら賃金を上げていくのが基本的なスタイルです。ところが日本では、同じ会社で様々な職種にチャレンジして成長し、賃金が上がります。

もっとも、日本においては同じ職種であったとしても、経営者が違えば取り組む内容にも違いがあります。A社の営業職とB社の営業職は同じ営業職でもやっていることが全く違っていて、転職しても、必ずしも今まで以上の高い成果を上げることはできない可能性があります。つまり、転職するための環境が日本では整っていないのが実情です。

これからの日本では最も優先すべき成果である生産性を高めることが必要になります。まずは社員の定着率を高めることが重要であることをご存知でしょうか?


第125話 稲盛和夫氏と同じ想いの経営者は多い

2022-09-06 [記事URL]

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先日亡くなられた稲盛和夫氏は、経営の目的を「全従業員の物心両面の幸福の追求」としていました。同じ想いを持っている中小企業の経営者は多いでしょう。自分の役員報酬を増やすことよりも、業績を高めて社員に少しでもたくさんの昇給・賞与を出してあげたいと考えている経営者は多いと私は感じています。今まで1,347社の人事制度の構築支援をしましたが、この構築を最後まで諦めずに取り組んだ経営者は全員、間違いなくこの想いを持っていると断言できます。

ところがその一方で残念なことがあります。それは経営者がそのように社員の幸福を考えていると、社員は信じていない可能性があることです。もし社員が「我が社の社長は社員の幸福を考えている」と信じていたら、余程の事情がない限り会社を辞めることはないでしょう。

最近の様々なニュースから、社員の幸せを考えていない経営者がいることも分かっています。こういったニュースを社員が見聞きすると、もしかすると我が社の経営者もその一人と考えてしまう恐れがあります。つまり、経営者の想いそのものはなかなか社員に伝わることはないと知っておかなければなりません。そのため、経営者のこの想いを可視化することがとても重要です。その想いを可視化したものが人事制度なのです。

もっとも、一般的な人事制度は社員の評価を決めて賃金を決めるものであり、それ以上でもそれ以下でもありません。しかし、経営者の本当の想いは賃金を決める以上に、賃金をたくさん出してあげたい、そして幸せにしたいという想いが強いです。その想いを込めて人事制度を可視化しなければなりません。

経営者によって何を評価するかは違いがあります。また経営者によって評価をどのように賃金に反映させているかも違います。しかし、社員を成長させて幸せにしてあげたいという方向性は全く同じです。それを私は1,347社の経営者全員から学ぶことができました。その経営者の想いを可視化して人事制度をつくれば、社員は経営者のその想いがはっきりと分かります。

社員を成長させることは会社の業績を向上させることになる。会社の業績が向上することによって社員の賃金を上げる原資を増やすことができる。そしてこの会社にいる全ての社員の賃金を上げることができる。さらには幸せを考えている。そのことが人事制度で確認することができます。

良い経営者は「当社は良い会社だ」と言っても社員に理解されることはありません。社員を大切に成長させ、業績を向上させて昇給・賞与をたくさん出し、さらに幸せにしようとしていることが分かる人事制度をつくる。つまり、可視化して社員に見られるようにしてあげることが大事です。

可視化することによってどのような効果があるでしょうか。それは今までのたくさんの経営者から報告があるように、飛躍的に社員の定着率が高まり、成長のスピードが向上します。その理由は経営者が変わったからでも会社が変わったからでもありません。単純に今までの経営者の想いを可視化することによって、しっかりと社員にその想いを伝えることができたからです。

「もっと頑張れ!」や「根性出せ!」と言うよりも、今の経営者の想いを形にすることによって、今のこの大変な時代においても社員の物心両面の幸福を実現することができます。このことを社員に可視化して示し、安心して社員が成長できる環境をつくるべきです。

経営者の100の発言は1つの可視化にしかずです。


株式会社八幡自動車商会様(モビリティ事業・教育事業)

2022-09-02 [記事URL]

「ENTOENTOの人事制度を取り入れたことで社内に成功事例を教え合う風土が出来ました。お陰で優秀な社員が増え、直近4年だけで売上高5億円、人時生産性1,000円アップしました」株式会社八幡自動車商会様

人事制度の明確化、可視化を目指して成長塾を受講した株式会社八幡自動車商会の代表取締役社長 池田 等 氏と人事部長 斉藤 大地 氏。そんな両氏に、成長塾でどんなことを学び、どう活かして会社や社員を成長させていったのか、詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名   株式会社八幡自動車商会(スポーク・ホールディングス グループ)
所在地  〒990-2492 山形県山形市鉄砲町2-21-37 2F
設立   1962年4月
社員数  120名(グループ全体)
事業内容 モビリティ事業・教育事業
URL   https://spoke-holdings.com

 

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1.「自動車」にまつわる多種多様な事業を展開!

――八幡自動車商会の会社概要をお聞かせください。

八幡自動車商会は、創業から60年以上にわたって、自動車の整備や販売といったモビリティ事業に携わってきた会社です。山形県内にて「車検のコバック」、「鈑金のモードリー」、軽未使用車販売の「fino」といった店舗の運営を行っています。

2022年2月からは、この八幡自動車商会を軸に「スポーク・ホールディングス」という持ち株会社を立ち上げまして、グループ全体で「車」にまつわる多種多様な事業に取り組み始めました。

自動車部品の輸出入を行う会社や、カーシェアリングの会社、レンタカー会社、ジャガー・ランドローバーのディーラー、外国人実習生に車検の教育を行う組合など、現在は7つの法人で構成されています。
また山形だけでなく、秋田、東京、宮城、静岡、さらには海外と展開するフィールドも大きく広がってきました。

ちなみにカーシェアリングのサービスについては、AIやIoTを駆使したり、特許を取ってフランチャイズを展開させたりと、先進的な試みに挑戦しています。
海外展開にも積極的で、シンガポールではオートバックスさんとジョイントベンチャーを立ち上げて、車検技術を教える会社の運営も行っています。

――成長塾で得た学びは、八幡自動車商会の中で活かされているのでしょうか?

はい。今後はグループ全体にも、成長塾で学んだことを取り入れていく予定です。

2.社員からの相談で「人事制度」の構築を決意

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

きっかけは社員からの相談です。
ある日、社員から「将来の自分の姿が想像出来ません」「どうすれば給与が上がったり、役職者になれるのか分かりません」と言われました。
その時に、確かにうちの会社には明確な人事制度がないため、社員にとっては将来が見えにくい会社になっているかもしれないと感じたのです。

そこでたくさんの知人に、人事制度について相談したところ、二人の経営者から教えて貰ったのが「成長塾」でした。
その二人から「絶対に受講した方が良い」という強い推薦があったこと、またその二人が経営する会社が、「成長塾」で学んだ人事制度を導入して実際に良い結果を出しているということから、受講することを決意しました。

――「成長塾」の他に、なにか別のコンサルティングを検討したり、他の人事制度を取り入れたことはありましたか?

いいえ。人事制度については、一番最初が「成長塾」で、今もその学びをベースにブラッシュアップを図りながら、ずっとお世話になり続けています。

インターネットを探すと何十個も、人事制度を提供しているコンサルタント会社は出てきますが、多すぎてどれが良いか判断出来ませんし、実際に結果が出るものかも分かりません。
その点、知人が実際に結果を出していることが分かっている「成長塾」であれば、信頼出来ると思いました。

――ちなみに池田様は2010年と2012年の2回、斉藤様は2019年に1度受講されています。複数回、参加されたことにはどういった意図があったのでしょうか?

それぞれ、人事担当が変わったタイミングで、担当スタッフと共に受講しています。やはりまた聞きよりも、実際に受講した方が学べる深さが変わってきますので。

3.「品定め」ではなく「成長を促す」ための人事制度

――人事制度をどのように運用しているのか教えてください。

部門ごと、階層ごとに社員を評価するための「成長シート」をつくり、その項目に基づいて、リーダー格以上の上司が部下を評価します。
そして月に1回、および四半期ごとに1回、上司と部下の面談において、評価のフィードバックを行い、どうすればより成長出来るかを伝えています。

また四半期に1回の面談タイミングでは、リーダー格以上の社員が集まって「成長支援会議」を実施しています。ここでは主に社員の成長を促すための方策を示したり、人事評価の統一などを行っています。

――人事制度を導入、運用するにあたって苦労した点はありましたか?

導入当初は、評価者たる上司同士の目線が合っていなかったため、そこを擦り合わせながら約100人の社員の評価を行うのに、丸3日近くを費やしていました。これほど長い時間が掛かっていたため大変でしたね。
ちなみに現在は、上司の目線が揃って評価にも慣れてきたため、1日で評価が決まるようになりました。

――そこまで時間のかかる成長支援会議をやることについて、上司から反発などはありませんでしたか?

それはありませんでした。
というのも、新たな人事制度の目的が「社員の成長のためにやっていること」だと、繰り返し上司や一般の社員に伝えるようにしていたためです。

品定めのための人事制度ではなく、全員が成長して、その結果として給与も上がっていく仕組みをつくる。そのための制度だということを、各社員がしっかり理解してくれていたと感じています。

4.直近4年で売上高5億円、人時生産性1000円アップ!

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

八幡自動車商会様の定量的成果一覧
(クリックで拡大します)

直近の4年間だけでも、売上高が約5億円アップ、粗利益は約2億円アップなど大きな効果が得られました。すべての数字は中堅職以上の社員にはすべて共有して、一般社員も見たければいつでも見られる状態にしています。ただ一般社員については、売上高や粗利益よりも、本人がお客様から依頼された品目の数や売上単価といった、より分かりやすい部分をかみ砕いて成長シートで伝えるようにしています。

――たくさんの効果がある中で、特に大きいと感じている部分はどこですか?

残業時間を減らしながら、人時生産性を約1000円もアップしたことです。要因は、成長シートの運用によって優秀な社員の可視化と、それを横展開出来るようになったことですね。そのおかげで効率良く、高いレベルで仕事が出来る社員が増えてくれました。

――優秀な社員の可視化と横展開とは、具体的にどんなことをやられているのですか?

例えば、優秀な社員の接客の様子は、ロールプレイングで再現して動画で撮影、それを全社員に共有しています。またそのやり取りを文字に起こして、いつでも見返せるようにしています。
しっかりしたお手本があるため、的外れな接客をする社員はいなくなり、接客能力の底上げに繋がりました。

5.受講と実践を経て感じた「成長塾」の優れている点とは?

――「成長塾」の中で得た学びで、特に優れていると感じた点を教えてください。

私たちが感じた「成長塾」の優れている点は、次の3点です。

●社員同士が「教え合うこと」を重視している

「成長塾」では、「成長シート」を用いて社員を5段階で評価するように教えています。1~4段階までは社員自身の成績に関わる評価ですが、最後の5段階目だけは「優れたやり方を他の社員に教えていた」という、少し違う点で評価しています。

そうすることで、社員は評価を上げるためには、自分だけ結果を残せば良い訳ではないことを理解出来ます。また同時に、自ら進んで他の社員に教えてくれるようにもなりました。いわば「教える文化」が社内に出来上がったのです。この考え方と手法には衝撃を受けました。

●仕事と時間の大胆な管理方法を学べる

仕事に優先順位を付けて、取捨選択する方法を学べた点も大きかったです。

マネジメントの世界には「パレートの法則(2対8の法則)」と呼ばれる分析方法が存在しています。「TTM研修」では、これを活用した「2割の仕事で8割の売り上げを上げる」という考え方を元にしたタイム&タスクマネジメントを教えています。つまり10個の仕事があった時、大きな成果に直結するのは、その中の2個しかないこと。そして他の8個を捨ててもその2個をしっかりと特定し実行することが大事だということです。

極端な話ですが、社内の掃除だけをしている人と、営業の電話を掛け続けている人では、当然ながら後者の方が売り上げに繋がりますよね。掃除も大切ですが、時間は有限です。だからこそ仕事に優先順位を付けて、必要な仕事に注力する。この考え方を学べた事は、私たちにとって非常に大きなことでした。

●全社員を成長させてくれる

組織というのは、どうしても社員をふるいに掛けてしまうところがあります。例えば2割の社員だけが優秀だったら、その2割だけを優遇してしまう。しかし「成長塾」では、全員を5段階評価の5点に持っていくことを目標としています。そして全社員が評価5点になれば、会社の業績も向上するため、社員に高い給与を払えるという考え方なのです。

社員をふるいに掛けているか、全社員を成長させようとしているか、そんな会社のスタンスは必ず社員にも伝わります。全社員を成長させて高いレベルに連れて行きたいと会社が考えるようになった頃から、社員はより成長しようと頑張ってくれるようになったと感じています。

――「人事制度」の導入、運用によって社員の意識はどのように変化しましたか?

前向きに仕事に取り組んでくれるようになりました。「人事制度」のお陰で、社員は自分がどうなれば評価されるのかが明確になりました。そのため自分自身で目標を設定して、動いてくれるようになったのです。

「成長塾」の中で松本先生が、「成長したくない、優秀になりたくないなんて社員はひとりもいない」と仰っていましたが、本当にその通りだと思います。

6.「社員を成長させる」というブレない軸が魅力

――「成長塾」に対する率直な評価をお聞かせください。

とにかく松本先生の教えが素晴らしいですね。たくさんのことを教えていただきましたし、常に「社員を成長させる」という軸がブレません。日本であれだけ「人事制度」に情熱を注いでいる方は、松本先生以外にいないのではないでしょうか。

また松本先生は講義の中で必ず、まるで漫談のように笑えるエピソードを話してくださいます。私たちも含めて受講生は皆、そのエピソードを聞くのを毎回楽しみにしていると思いますよ。相談もたくさんさせていただきました。松本先生は百戦錬磨なので、どんな相談でもすぐに適切な解決策を提示してくださるので、そこも非常に助かっています。

例えば1年ほど前に給与制度の改定を行った時に、現状のままだと給与が下がってしまう社員が複数人出てしまいました。どう対応するか迷って松本先生に相談したところ、猶予期間を設けて、その間に設定した目標を達成したら、給与は下がらなくて済むようにしなさいと教えてくださったのは、ありがたかったですね。

給与を下げることが目的ではなく、「給与に見合う成果を出すために、どう支援するか」という軸がしっかりあるから、こうした対処法がすぐに出てくるのだと感じています。

7.成長塾で学んだことをグループ全体に展開したい

――今後の展望を教えてください。

「スポーク・ホールディングス」全体としては、今後さらなる拡大を予定しています。部門や店舗はどんどん増えていきますので、そこに「成長塾」で学んだ「人事制度」を展開していきたいですね。

事業拡大する上で、「成長塾」で学んだ「成功事例を教え合う」という考え方は大きな武器になると考えています。これからたくさん出てくる新たな成功事例を広く横展開して、どんどん社内、グループ内にシナジーが起こることを期待しています。

その実現のために、出来れば「全国大会」にも積極的に参加したいですね。いろんな企業の成功例や失敗例を共有してもらえるので、非常に参考になります。

また時代は刻々と変化しており、労務に関する法律も年々変わっています。そうした変化に対応するように、「成長塾」もどんどん進化しているように感じています。これからも「成長塾」には定期的に参加して、私たちの考え方や制度もブラッシュアップしていきたいと思います。

株式会社八幡自動車商会様_集合写真
社員総会での集合写真の一幕。「成長塾」の「人事制度」の導入によって、ここに並んだ社員全員が、最高評価を目指して前向きに業務に取り組んでくれるようになりました。

株式会社八幡自動車商会様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※株式会社八幡自動車商会様のホームページ(https://yawatajidosha.net/)
※スポーク・ホールディングス様のホームページ(https://spoke-holdings.com/)
※取材2022年7月


第124話 全社員が優秀になったのは大切な理由がある

2022-08-30 [記事URL]

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私は44年前、中小零細の不況業種であった魚屋に入社しました。ご縁があって入社したその会社の経営者の考え方は、大学で学ぶ経営学とは違い社員をとても大事にしていました。その考え方に共感したことが入社した理由の一つです。

入社当時、その会社の社員は全て高卒だったため、私は大卒一号と言われました。高卒社員の中で大卒が入社すると、とても優秀に見えたそうです。私はとても得をしました。今では笑い話ですが・・・。その中であることに気がつきました。それは高卒の社員たちは自分を優秀な社員とは思っていないことです。どちらかと言うと「自分は出来の悪いダメな社員だ」という認識でいたように感じました。

しかし、どのような社員でも自分を本当にダメな社員だと心底思っている社員はいないと思います。どこかで自分は何か得意なものがあり優秀になれるのではないかという希望を捨てきれずにいます。そのことに道筋をつけることができたら、社員は全員優秀になると言えるでしょう。

一般論で申し上げますが、そもそも中小企業に入社した社員は自分たちを優秀だとはあまり考えていないかもしれません。中には大手企業に入社することができなかったから仕方なく中小企業に入社したと公言する社員もいるかもしれません。

しかし、高校時代に成績が悪かった生徒はどのような生徒でしょうか? ほとんど共通していることは大学に進学する気がなかったことです。頭が良い悪いではなく大学に進学する気がなければ勉強はしません。勉強しませんので試験の点数は当然低い点数になります。点数の低い結果を3年間見せられたら自分は優秀な生徒である認識は全くなくなるでしょう。

ところが会社の学びは学校とは違います。全ての会社は世の中の役に立つために存在しています。つまりそこで働く社員が少しずつ成長することを示すことが出来たら、その社員がこの会社を通じて世の中に貢献していることを明確に示すことができます。私はこれが経営者の大事な役割だと思っています。

例えば高校で学んだ様々な知識は世の中に出てどれだけ役に立ったか判断に悩むでしょう。しかし前職の魚屋では具体的に次のように示すことが出来ました。例えば「旬の知識」を学ぶことでお店に来店されたお客様に対して旬の魚をおすすめすることができるようになり、「接客販売」である重要業務を遂行することができるようになります。そしてお客様にその商品をご購入頂くことによって「買い上げ点数」を1点増やし、成果を上げることができるようになります。

つまり、自分が旬の知識を習得することにより重要業務である接客販売の仕事ができるようになり、期待成果である買い上げ点数を上げることができます。期待成果を上げたことはお客様のお役に立ったことになります。

これを成長点数という成長を確認するデータを活用すれば、例えば成長点数30点だった社員が35点に成長したことが分かります。この5点の成長を会社が認めることができれば、その社員は十分頑張ったとしっかりと確認することができ、また次の成長を目指すようになるのです。それを私は「成長シート」という全ての社員の成長を支援するツールとして作成しました。それによって社員は次の成長に向かって笑顔で元気で成長するようになっていったのです。

全ての社員は遅い早いの違いがあっても優秀になります。そのためには、全社員が優秀になるための方法をきちんと会社で仕組みとしてつくることが必要でしょう。社員に頑張れと言わなくても社員が自分で頑張るような仕組みをつくること。これが中小企業の経営者に今最も求められているものであると私は考えています。

特に今大変な経営環境の変化の中で社員間の成果のギャップが大きく広がっています。そのギャップを埋めるのは社員を成長させる仕組みであると私は考えますがどうでしょうか?


第123話 なぜ「働かないおじさん」問題を解決しなければならないのか?

2022-08-24 [記事URL]

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人事制度には大切な役割が三つあります。それは「社員の評価を決めること」、「その評価で処遇(昇給・賞与・昇進・昇格)を決めること」。そして、一番大切な役割は「社員を成長させること」です。

最近また話題になっている「働かないおじさん(おばさん)」とは、評価以上の賃金をもらっている社員のことです。誰がこの社員の評価以上の賃金を支給したのでしょうか。それはもちろん会社です。

私は人事制度の構築支援実績数が日本一の1,345社あります。今まで構築支援した会社の50%には人事制度、賃金制度はありませんでした。その制度のない会社の経営者に質問することがあります。

「人事制度がないから評価ができず、昇給・賞与も決められないのですから全員一律に昇給・賞与を支給していますよね?」
答えはほぼ同じで、「一律ではありません。全員金額が違います」と言います。

その経営者に私は次のように説明します。
「全員の賃金が一律ではないということは、経営者の頭の中に評価と処遇を決める仕組みがある証拠です。是非それを目に見える仕組みにしてください」

「人事制度は作り方を間違えると気がつけば働かないおじさんを次々と生み出してしまいます。不思議に思いませんか。働かないおじさんがいる会社には、働かないおじさんが誕生する人事制度が存在しているのです。解決方法は働かないおじさんを発生させない人事制度に改革すればいいだけです」

この改革は、現状の組織が既存の人事制度の上に成り立っているので簡単ではありません。しかし、働かないおじさんが生まれている現状のままでは、これからの厳しい時代を乗り切ることは難しいでしょう。

人事上の問題を解決すること自体が人事制度の本来の役割です。今やらなければ、現在の一部の解決策として存在する「働かないおじさんに対して割増退職金を支給して早期退職させる」というような、残った在職社員にとっても辛い嫌な思いを残さざるを得ないことになります。これは今後、在職社員が安心して力を十分に発揮させることができない、新たな問題の発生につながってしまいます。

賃金が増えなかった、失われた30年間を生み出した根本的な問題の一つは、この人事制度にあったと言っても過言ではないでしょう。人事上の問題のほとんどは人事制度の改善改革によって解決できることをご存じでしょうか? あまり時間はありません。至急対策を打ってください。

まずはその改革に取り組む前に、正しい改革の方向性が分からない方に次の書籍をお勧めします。『1300社が導入した日本型ジョブディスクリプション』(拙著)です。人事制度は作り方一つで「働かないおじさん」を生み出すことがないことが良く分かります。

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人事制度は失敗を許されない制度の一つです。是非、どのような解決策を講じたら良いのかをじっくり検討してその改革に取り組んでもらいたいと思います。


第122話 最低賃金を気にしなくて済む経営への挑戦

2022-08-09 [記事URL]

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2022年8月1日、中央最低賃金審議会は最低賃金を前年から31円上げることを決めました。全国平均は961円になります。

特に中小企業はこの賃上げによってパートさんの時給を31円上げることになり、既存パートさんとの賃金バランスもあって経営に大きな負担になるでしょう。たとえば現在、時給940円のパートさんが勤務していた場合、最低賃金が961円になると、940円のパートさんの時給も961円以上に賃上げしなければなりません。だからといって、新しく採用したパートさんと同じ時給961円という訳にもいかないでしょう。

政府は「全国平均1,000円を目指す」と発言していますので、これからさらに約40円は上がることになります。その覚悟と準備が必要になります。

パートさんは、往々にして単純作業をする従業員という固定概念があるかもしれません。単純作業であれば確かに時給1,000円の支給は難しいかもしれませんが、正社員がやっている仕事に挑戦をするなら、時給1,000円は決して高くありません。現在の東京の高卒初任給は17万円ぐらいです。仮に所定労働時間が160時間だとすると、高卒の新入社員の1時間あたりの単価は1,111円になります。ここでのパートさんと正社員の違いは、能力の違いではなく労働時間の長短だけです。

私は前勤務先の魚屋で新規事業(寿司事業)を立ち上げた経験がありますが、このとき主力となった従業員はパートさんでした。それまでパートさんは単純な作業をしていましたが、このときは寿司職人と同じ寿司ネタの切り込みをする仕事をしてもらいました。

もちろんこれは通常正社員の仕事です。しかしこれをパートさんにしてもらうことで、時給を大幅に上げてもいいほど成果を上げました。驚くことに労働分配率30%の新規事業が実現できました。

今、単純な仕事を任せているままで時給を上げれば、その分利益は減少すると想像はつきます。近い将来また最低賃金が上がることは分かっています。そうであれば最低賃金を上げざるを得ないパートさんに関して、この機会に今までの仕事よりもっと難易度の高い仕事に挑戦してもらうことが必要でしょう。

これから労働力不足の時代が続きます。パートさんでも難易度の高い仕事に挑戦したいという方は少なからず存在しています。その挑戦をしてもらうことで、例えば一般職層の正社員の最高の賃金が30万円であれば、同じ仕事をしているのであれば1,800円でも支給可能です。問題に追いかけ回されるよりもその問題を我が社の根本的な解決策を講じることによって、パートさんも良い、会社も良い、お客様も良い、三方良い解決方法になります。

パートさんを含めた非正規雇用者を、単純作業からもっと難易度の高い仕事に挑戦させる仕事の見直しが必要であると言えるでしょう。


第121話 中小企業が初任給を引き上げるために絶対必要な準備

2022-08-02 [記事URL]

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毎日のようにマスコミから新卒の初任給引き上げのニュースが報道されています。初任給を上げるためには、その原資が必要です。その原資は、生産性の向上によって生み出すことが可能です。

日本の大手企業と中小企業には生産性に大きな違いがあります。この理由は何であるかご存知でしょうか。

大手企業の生産性が高い理由は、生産性を上げる仕組みが多くあることです。大手企業には優秀な社員がいるため生産性が高いと考える方もいるかもしれませんが、それは違います。長い歴史の中で仕組みを多くつくってきたため、新入社員でも生産性の高い仕事ができるようになっているのです。

そのため、これから続くであろう初任給の見直しのために、中小企業でもやらなければならないことがあります。それは仕組みをつくっていくことです。

「ではその仕組みをどうやってつくればいいですか?」と質問をしばしば受けますが、決して難しく考える必要ありません。成長シートをご存知の方は、成長シートの構造を思い出してもらいたいと思います。

成長シートは優秀な社員をモデルにつくります。例えば、生産性の高い社員が何をしているのか、その業務を「重要業務」として特定します。この段階の成長シートにある重要業務は、あくまでも仮説です。高い生産性を上げている社員の重要業務が、成長シートを見ると分かります。そして、他の社員はその重要業務を知らず実施していなかったために生産性が低かった理由が分かります。

その重要業務が成長シートに可視化されると、高い生産性を実現したいと考える多くの社員がその重要業務に取り組むようになります。そしてその重要業務を遂行することによって高い生産性を実現できれば、初めてこの重要業務は仮説から多くの社員の検証を通じて実証されたことになります。

全ての社員がこの重要業務に取り組むことで、生産性が同じように高くなります。その時、この成長シートに書かれていた重要業務はすでに成長要素の役割を終えたことになります。そして、成長シートから外します。なぜなら、全ての社員がこの重要業務をやっているからです。

この重要業務を成長シートから外した時に、経営者・経営幹部はこの重要業務を仕組みにしなければなりません。この重要業務を仕組みにするとどういうことが起きるでしょうか。新入社員が入社してきても、この仕組みを使うことによって先輩社員が上げていた高い生産性を意識せずに実現することができるのです。

我が社の生産性の高いやり方を全社員が実行し、確かにその通りだと思ったことが仕組みになれば、全社員が喜んでその仕組みを使って高い生産性を実現することができます。この時にはもう「生産性を上げよう」という意識を持たなくても、その業務を行うことによって高い生産性を実現することができるようになっています。中小企業はその仕組みを次から次へと多くつくることが求められます。

仕組みがあれば、通常は一人前になるためには10年かかる新入社員が、入社時点で高い生産性を上げることができるようになります。この仕組みをつくることを継続して行うと、新卒の初任給は毎年上がっていく可能性がありますが、それを補えるほど生産性を上げられますので心配はいりません。

これからの時代は、中小企業であったとしても新入社員が入ってくる前に多くの仕組みをつくっておくことが必要であると思ってください。生産性は頑張れば上がるわけではありません。仕組みによって生産性を上げることで、継続的に生産性の向上を実現することになります。


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