第127話 事業承継をするときに必要な仕組みがある

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第127話 事業承継をするときに必要な仕組みがある

2022-09-20

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日本は今、後継者がいないことが問題になっています。2025年には70歳以上の経営者が245万人、その半分の127万社は後継者不在による廃業や倒産の危機に直面すると予測されており、問題が表面化しています。

事業承継が問題になっている会社のほとんどは、後継者以外の問題はありません。例えば、累積赤字がある、競合に負けている、商品開発ができない等々の問題がある訳ではありません。今後の「事業存続」が難しい会社では、そもそも「事業承継」の問題は俎上に載りません。この問題は顧客に存在を求められている会社に発生しています。この会社には顧客がいて、その顧客に対して十分満足をしてもらっている商品・サービスがあります。

しかし、後継者が存在している残りの118万社にも、事業承継のときに大きな問題になることがあります。それは、創業経営者の今までの評価や処遇の決め方が本人の頭の中にあり、後継者にその経験を引き渡すことができないことです。

しばしば、弊社で開催している成長塾に後継者だけ参加することがあります。その後継者は評価や処遇の決め方を自分で考えて、人事制度を構築しようとします。しかし、これでは社員が納得する人事制度にはならないでしょう。

創業経営者の評価や処遇の決め方があるからこそ、今まで事業が存続発展してきたのです。それが可視化されていない、仕組み化されていないために、社員が理解できないことが問題なのです。

それが理解されていないにもかかわらず、社員が定着して成長し、成長した幹部がいることは、評価や処遇の決め方に社員が納得しているからです。ただ、この決め方が明確になっていないために、後継者がその創業経営者の評価や処遇を変えてしまう暴挙に出る可能性があるのです。あえてここで暴挙と申し上げたのは、これまでの評価や処遇の決め方は、創業経営者が実践の中で生み出した経験則であり、それを否定して上手くいくはずがないからです。

そのため、創業経営者は今までの評価と処遇の決め方を可視化して後継者に渡し、このように伝えなければなりません。

最低5年間は、この評価と処遇の決め方を可視化した人事制度を遵守してください。変えたいという気持ちが湧く可能性がありますが、一切それはまかりなりません。それは私の長年の経験の中で生み出されたものであり、経験の少ないあなたに違和感があるのは当然です。そしておかしいと思ったら、必ず私に聞きに来てください。理由を説明します」

「そして5年ほど過ぎたあたりから、自分はここはこうしていきたいという小さな改善案が生まれてくるでしょう。それを社員や幹部に説明しながら見直しをしていってください。全てのことは“守・破・離“です。最初はこの人事制度をそっくりそのまま守ってください。そして少しずつ見直しをしていってください」

「さらに10年ほど経つと、あなたが経営する中で、私が可視化した人事制度とは全く違った新しい人事制度に生まれ変わっている可能性もあるでしょう。そのときでも今まで私についてきた社員、幹部は、あなたについていくでしょう。それは評価も処遇も守ってくれた後継者であることが分かったからです」

この評価や処遇の決め方を可視化した人事制度をつくることが、創業経営者のとても大事な仕事です。



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