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第108話 消費者物価指数に合わせてベースアップしますか?

2022-04-26 [記事URL]

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多くの会社が4月に昇給を決定されたかと思います。

連合が4月5日に発表した2022年春闘の中間集計によると、平均賃上げ率は2.11%でした。その賃上げ率には、ベースアップ昇給(定期昇給)の二つの要素が入っています。

ベースアップは「消費者物価指数の向上」「生活レベルの向上」「生産性の向上」「需要と供給の関係」などの理由により賃金を上げます。

基本的に、人口が減っている国は総じて需要が減っていくため、インフレになる可能性はほとんどなく、デフレになる傾向があります。

ところが、昨今の世界的な環境変化によって、30年ぶりと言われるほど日本の消費者物価指数が向上しています。今年いっぱいは物価の上昇が続くと言う話も耳にします。もともとこの30年間、賃金があまり上がっていないことや、物価もあまり上がっていないこと自体、世界的にみたら驚きでしょう。

これからも日本の消費者物価指数が上がっていく場合、今までのようにベースアップをする必要性があると考える経営者が増えてくることでしょう。

しかし、業績が良くなければベースアップはできません。このことを知って頂く必要があります。

万が一、業績が悪いのにベースアップをしてしまえば、会社の労働分配率が悪化することは、火を見るより明らかです。その分、賞与は減らさざるを得ないでしょう。最終的には経営者の判断になりますが、私は成長塾で「ベースアップをするかどうかは、必ず業績を見て判断すること」をお勧めしています。

なぜなら、賃金を上げるためには「昇給」という制度があるからです。成長塾では「会社の業績が良かったら昇給する」という前提で、さらに社員が成長したときに昇給することを仕組み化します。

つまり、消費者物価指数が上がっても、会社の業績が良くなければ昇給のための原資を確保できず、賃金を上げることはできないと、社員に説明することは可能でしょう。社員に「昇給するためには会社の業績が良いことが前提である」と説明することが、今の時代には最も重要であると知って頂きたいと思います。

「社員の賃金を上げたい」という経営者が私のメルマガを読んでいると思います。賃金を上げるための条件を事前に明確にすることはとても重要だと思ってください。

「会社の業績が良い時」、そして「社員の成長(成長等級が昇格すること、社員の成長点数が増えていくこと)」が必要です。この二つの基準によって昇給することを事業のスタート時に説明しなければなりません。なぜなら、ベースアップを含めた賃上げをした企業の情報が流れてくると、当社の賃上げ率が低いことが、社員の不満になる可能性があるからです。

しかし「昇給」だけの賃上げであれば、昇給決定の仕組みをつくれば企業の労働分配率が悪化することはありません。環境が厳しいからといって昇給しなくてもいいと考える社員はいませんので、昇給するために全社員で協力し合って業績を上げる方向に向かっていきます。つまり、経営者の考えと社員の考えのベクトルが一致することになります。

この先の見えない環境だからこそ、昇給を決める仕組みをつくらなければなりません。


第107話 学校と会社の基本的な違いは何か

2022-04-19 [記事URL]

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新卒社員が入社し、会社でさまざまな新入社員研修を実施しているでしょう。その研修を受けて、新卒社員はこの会社で優秀な社員になるまでをイメージします。

この研修では、新卒社員に「学校」と「会社」の”ある”違いを説明しなければなりません。

それは、会社には長期間かけて目指すべきゴールがあることです。具体的には「目指すべきゴールである優秀な社員になるまでに何年かかるか」を説明します。

学校では、試験の対象範囲を勉強すれば短い日数で高い点数(=高い評価)を得ることができます。成績表などで自身の評価を学期ごとに確認できました。1年生は1年後には2年生に進級します。中学・高校なら入学から3年後には卒業できると、ステップアップするまでの年数がハッキリと分かります。

しかし、会社は学校と違い知識の勉強だけで評価されることはありません。社員が優秀になるために必要な要素も、会社によって違いがあります。

ほとんどの会社で、新卒社員は入社後5年~10年の年数をかけて優秀な社員になります。この年数を表すのが「ステップアップ基準」昇格年数です。一般職層で何点を取り、何年在級すると中堅職層になるのか、そして中堅職層から管理職層になるのに何年かかるか。これをオープンにすることです。
仮に、優秀な社員の成長点数が80点として、80点をとるためには入社後7年かかるとします。その場合「優秀な社員になるためには7年かかる」との説明になります。

入社して1年目でこの優秀な点数80点を取れることはあり得ませんが、「優秀な社員」を目指す社員は「こんなに頑張っているのだから、自分は80点だろう」と考えてしまう可能性があります。入社してから7年かけて点数を増やしていき、優秀な社員の80点を目指すということを、最初に説明しておかなければなりません。

会社によってこの昇格年数は違いますが、これを説明することで新卒社員が何年ぐらいかけて一般職を卒業して中堅職に行くのかがわかり、新卒社員の中期的な成長の計画に役立ちます。

7年かかるとすれば、1年間に点数が10点も上がれば十分優秀です。1年経った新卒社員に「あなたは今年1年間で10点成長して30点と立派な成長をしました」と言ってあげられることがとても大事です。
これによってその新卒社員は自分が成長したことに自信を持ち、次の点数を目指し成長するようになります。

「点数が低いから優秀ではない」という学校時代の考え方から「前の点数から伸びたことが成長であり、素晴らしいことである」と会社での成長の仕方を説明することができなければなりません。これによって新卒社員のモチベーションは継続的に向上することになります。

この学校との違いを説明することによって、一歩一歩、社員は焦らずに成長することができるようになります。

急いで次の階層へ行くのではなく、一般職層の段階でプレーヤーとして我が社のお客様に喜んでもらうための経験を積む。その大事な役割について知っておくことは、10年後、20年後、その社員が管理職になった時に大いに役に立ちます。

我が社の社会的な役割は、具体的には一般職層の社員の時代でしか実感することができません。新卒社員には何年かけて成長していくのか、標準昇格年数を説明し、じっくりと世の中の役に立っていることを実感しながら成長してもらいたいと思います。


第106話 新入社員研修では教えていない大切なこと

2022-04-12 [記事URL]

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4月になり、新入社員の研修が花盛りです。

この最初の新入社員研修で教えなければならないことがあります。それは外部の教育研修会社に依頼しても教えられないことです。必ず自社内でやらなければならない研修です。

新卒入社は、人生で1回しかありません。人生で初めて会社に入社した新卒社員に向けて、自社で“ある”ことを説明してもらいたいことがあります。

それは「採用三種の神器」の説明です。

「この会社でどのように成長していくのか。そして成長のゴールはどこか?」
「そのゴールに向けてステップアップするための条件は何か?」
「自分の賃金は将来的にどうなっていくのか?」
新卒社員の40年間を説明しなければなりません。

これらは社員にとってもっとも関心のあることですが、詳しく説明している会社は多くありません。社員の定着や成長のためにも、ぜひこの採用三種の神器を説明してもらいたいと思います。

三種のうち、一つ目は「三階層の成長シート」です。

就職活動をしている人は、自分の適性を考えて会社を選びます。その業種の中にある職種が自分に向いているかどうかで会社選びをしているでしょう。一般的には「就職活動」という言い方をしますが、正確には「就社活動」です。この会社に就社することで自分の人生に役に立つのかを考えています。

ここで問題となるのが、新卒社員は関心のある仕事内容を見て入社を決めており、他の職種の仕事内容には関心を持たずに入社した可能性があることです。例えば、営業職で40年間プレイヤーとして活躍する社員はほとんどいません。しかし、就社した時点では営業職・一般職層のプレイヤーとして40年間働くイメージを持ったまま入社し、入社後にイメージとは異なるギャップを感じる可能性があります。

そうならないためにも、研修で「我が社には一般職層と中堅職層と管理職層がある」と説明しなければなりません。そして社員の成長のゴールは、20年後には管理職層として活躍してもらうことです。新卒で入った会社で、20年先をイメージできる社員と、そうではない社員とでは、成長のスピードも違います。

そして二つ目は「ステップアップ基準」です。

その一般・中堅・管理職層をどのようにステップアップしていくのか。これは「ステップアップ基準」を用いて明確に説明します。例えば、一般職層から中堅職層になるにはどれくらいの年数がかかるのか、そして各階層をステップアップするためには成長シートで何点とらなければならないのかなど、成長の階段を上るために必要な条件を説明します。この説明がないと、社員はその階段に沿って具体的に成長していくイメージが湧きません。

最後に「モデル賃金」です。

中小企業は賃金が低いと言われています。事実、私が新卒で入った前勤務先の中小企業は、入社当時の初任給はとても低かったことを今でも覚えています。しかし、入社16年後の年収は、大学の同級生の中でトップレベルになっていました。中には一部上場企業に勤めていた友人もいましたが、それと比べても遜色がないほど賃金をもらっていました。それは、入社した会社が連続で増収増益を続けてきたからです。この会社は入社後、30年連続増収増益を実現しました。小売業界では驚きの実績です。

社員の賃金を決めるのは「社員の成長」、そして何より「会社の業績」です。賃金を増やすためには、自分の成長と、会社の業績が良いこと、この2つがとても重要であると教えることが必要でしょう。そのために経営目標があり、経営目標を実現することは、社員の昇給・賞与を増やすことであると関連づけて説明しなければならないでしょう。

モデル賃金は、会社の業績が良く、社員が成長していくことができた場合の賃金を表しています。これを社内研修で新卒社員に説明しなければなりません。

「昇給・賞与は与えられるものではなく、自分たちの成長によって獲得するものである」という説明を、入社段階で説明すべきだと考えます。これは自社内で説明するべきことであり、他社に任せて説明することはできないのです。

この説明を受けた新卒社員は、自分の40年間の成長をしっかりと計画して成長していくことでしょう。大事なこの説明を忘れずに行ってもらいたいと思います。社員の成長のスピードが全く違ったものになります。


第105話 事業年度の最初に忘れず発表すべきこと

2022-04-05 [記事URL]

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4月から新事業年度になる会社は多いでしょう。新年度の経営目標や事業計画を発表する時期でもあります。

今まで多くの会社から、この経営目標の発表会での講演を頼まれて話をしてきました。その際、どの会場でも共通して気がつくことがあります。それは、会社が発表した高い経営目標に賛成していない社員が少なくとも2割いることです。

このことから、社員は組織原則2:6:2通りの反応をすると言わざるを得ません。2割の「高い成果を上げている優秀な社員」が大きな拍手を送り、6割の「まあまあの成果を上げている社員」が半信半疑で首をひねり、2割の「まだ成果の上がっていない社員」は経営者のその目標を聞こうともしません。
これではこれから1年間、経営目標に向けて組織一丸となって取り組むことは難しい状況だといえます。

社員のこの反応の差は、経営目標を社員の処遇と連動させて説明していないことが一つの原因です。

一般的に経営目標は会社の存続発展のために発表すると考えている社員が多いでしょう。もちろんその側面もありますが、それだけではなく「社員の処遇を良くしてあげたい」という経営者の考えが、この高い経営目標に含まれています。この状況を変えるためには、経営者のこの考えを社員へ説明することが大切です。

例えば年商3億円の会社が次年度の経営目標を3億6000万円にしたとします。年商3億円の時は賞与原資が500万円だとすると、経営目標の3億6000万円を実現できたときの賞与原資は600万円になると、通常は社員に説明していません。

もしこのように経営目標が実現できた場合、賞与原資はどうなるのか。さらに、社員それぞれの成長に合わせて賞与額はどうなるのか。

また、来年度の昇給は今年度の実績によって決まりますが、社員がそれぞれ成長すると昇給はいくらになるか。これも経営目標の発表会で説明しなければなりません。
仮に、経営目標が実現できず前年度と同じ実績だった場合、昇給はありません。賞与も他の経費が増えていれば、残念ながら前年度を下回ることになるでしょう。

このことを説明している会社はほとんどありませんが、経営目標を発表するときに賞与原資の計算方法を明示し、それから各個人の賞与額の可能性、そして昇給の可能性を必ず説明してください。全ての社員は経営目標に関心を持ち、そして全社一丸になってその目標達成に取り組むようになります。

全社一丸となって取り組まなければならない理由の一つは、高い成果を上げている社員のやり方を全社員で共有化することが、経営目標を実現するのに最もふさわしい方法だからです。これによって全ての社員の処遇が良くなります。そのことを社員に説明することが必要でしょう。

会社の業績を毎月毎月発表しているのにもかかわらず、「今年の賞与はどうですか?」「昇給はいいですか?」という的外れな質問を社員からされないようにしなければならないでしょう。


キムタカ税理士法人様(財務会計顧問、法人の決算申告等 沖縄県)

2022-03-31 [記事URL]

「顧問先企業の悩みに共感し、まずは我々が先駆けて成長塾の人事制度を導入。素晴らしい成果を上げることができたので、現在は顧問先企業にフィードバックしています」キムタカ税理士法人 代表社員税理士 大濱真三朗 氏(写真)

「顧問先企業の人事制度の悩みに共感し、まずは我々が先駆けて成長塾の人事制度を導入。素晴らしい成果を上げることができたので、現在は顧問先企業にフィードバックしています」
キムタカ税理士法人 代表社員税理士 大濵真三朗 氏

●会社プロフィール
社名 キムタカ税理士法人
所在地 〒902-0068 沖縄県那覇市真嘉比1丁目1番1号(那覇事務所)
代表者 代表社員税理士 大濵 真三朗
創業 2002年12月
職員数 30名(税理士6名/パートを含む)
事業内容 財務会計顧問、法人の決算申告、個人所得税申告、相続税・贈与税の申告、
相続対策相談/事業承継にかかわる業務
URL  https://www.tax0123.jp/

 

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1.夫婦2人で税理士事務所を開業

―― キムタカ税理士法人の法人概要をお聞かせください。

キムタカ税理士法人様の全体会議の様子(写真)
全体会議の様子

2002年、私と妻2人の税理士で沖縄県那覇市に大濵真三朗税理士事務所を開業したのがキムタカ税理士法人の始まりです。実は東京と神奈川で計11年、税理士事務所での勤務経験があり、そのまま首都圏で税理士事務所を開業することも考えていました。しかし、長男として高齢の両親を支えなければと思い、故郷の沖縄で開業するに至った次第です。

最初はアパートの一室から始まりましたが、2012年10月にはキムタカ税理士法人を設立。その後、2014年1月に名護事務所、2016年4月には中部事務所も開設しました。おかげさまで現在は計3拠点、パートを含めて総勢30名を抱える税理士事務所へと成長することができました。

さらに、グループ企業としてお客様の経営を支援する株式会社キムタカ経営、企業および従業員の安心・安全のための保険体制構築を支援するキムタカFP、そして行政書士を兼ねる妻が運営する大濱行政書士事務所を展開。「社員と家族と顧問先の夢・目標の支援者となって、幸福社会の創造に貢献する」「自律型人間・自創経営企業を創る」「社員一人一人が輝く組織づくり」を理念・使命として、沖縄県の中小企業の成長と発展を応援し続けています。

キムタカ税理士法人の“キムタカ”は、勝連城十代目城主である「阿麻和利(アマワリ)」の半生を演じる現代版組踊「肝高(キムタカ)の阿麻和利」が由来です。キムタカには「心豊か」「気高い」「高い志」などの意味があり、我々キムタカ税理士法人職員一同の礎となっています。

これからも、キムタカの精神を持ってお客様の中長期的なビジョン・夢を共有するとともに、その実現に向けたサポート、そして継続的なお客様の黒字化を目指していきます。

2.顧問先と職員が増えて、正式な人事制度の必要性を感じる

―― 成長塾受講の背景をお聞かせください。

2006年から戦略経営のマネジメントシステム「バランススコアカード経営」のコンサルティングをお客様に提供しています。具体的に何をするかというと、お客様である企業の代表と幹部をホテルもしくは研修施設に集まっていただき、「バランススコアカード戦略会議」を1泊2日で開催。バランススコアカードに基づく理念・ビジョン・戦略・アクションプランをつくっていきます。実はこの「バランススコアカード戦略会議」が成長塾受講のきっかけでした。

会議中は経営戦略だけでなく、どうしても給与や労働時間などの人事制度に関してもアドバイスを求められることがあります。当初、人事制度は社労士さんが扱う分野で、我々は専門的知識もないので、具体的な助言はできませんでした。しかし、当法人の規模が大きくなるにつれ、各経営者が吐露する人事制度の悩みは、当法人の課題でもあることに気づきました。

そこで、まず我々こそが人事制度を導入しなければならないと考えました。そして、人事制度の運用成果をお客様にフィードバックできれば、それが当法人の理念にもつながると思うようになりました。

―― 会社が大きくなることでの悩みや課題とは?

キムタカ税理士法人様の中期経営計画書作成会議の様子(写真)
関与先企業の中期経営計画書作成会議の様子

顧問先のお客様が増えて事務所が大きくなってくると、どうしても職員への負担が増えてきます。それが退職につながってしまうこともありました。

もちろん、残業の削減にも取り組んできましたが、我々の業界は2~3月の確定申告、5月に集中する法人申告の繁忙期は残業が避けられません。しかも、当時は簡単な評価制度のみで正式な人事制度がありませんでした。

残業の削減には今後も取り組むとしても、業務的に限界はあります。そこで、根本的な悩みを解決するには、やりがいや自身の成長を感じられる仕組み、成長が適正に給与へ反映される仕組み、つまり人事制度の導入しかないと考えるに至りました。

⇒成長塾についてはこちら

3.自分でつくることに共感

―― 人事制度の導入に成長塾を選んだ理由をお聞かせください。

さまざまなセミナーを受講しました。人事制度の本もたくさん購入し、手あたり次第読みました。しかし、成長と給与がリンクしない不透明な人事制度が多く、しっくりくるものには出会えません。もしかしたら合うかもしれないと導入しても、すぐに行き詰まってしまって定着しませんでした。

成長塾は私が所属している沖縄県中小企業家同友会からのお誘いでした。さまざまなお誘いの中のひとつに成長塾があって興味はありましたが、全6回の講座を受講する時間がなかなか捻出できませんでした。結局、最初の話を聞いたときから4年後、2015年6月に受講する機会をやっと得ることができました。

―― 受講後の率直な印象をお聞かせください。

成長塾の人事制度は導入事例が豊富で、さまざまな業種に幅広く導入されていましたから、最初は松本先生がそれぞれの企業ごとにベースをつくってくれるものと期待していました。ところが松本先生いわく「人事制度を継続的に運用していくためには、自分でつくらなければなりません。だから成長シートは自分でつくりましょう」でした。正直、最初はびっくりしました。

しかし、よく考えてみると我々もお客様に普段から言っていることだと気づきました。理念・ビジョン・戦略・アクションプランも自分でつくらないと回っていきません。「自分でつくるからこそ運用できる」は我々の考えと一緒だと思い直し、あらためて松本先生、そして成長塾を信頼するようになりました。

4.今でも成長シートは自分でつくる

―― 受講後の進捗を教えてください。

受講後、すぐに導入しました。導入直後は仮運用で、本格的な運用は1年後です。もちろん、職員にも人事制度導入の話はしました。それまで正式な人事制度がなかったこともあって、職員は概ね歓迎の意向でした。

成長シートづくりは苦労しました。所長である自分の頭のなかや優秀な職員の考え・行動を可視化しようとすると時間がかかりました。また、部門別・階層別に複数の成長シートをつくることも苦労を強いられました。現在は成長要素を削減し、なるべくシンプルにするように心がけています。

成長シートの運用や評価は幹部に任せていますが、成長シートの作成自体は今でも私が行っています。私が作成する理由は、成長シートを経営計画と連動させるためです。幹部の意見を取り入れつつ、職員の業務を俯瞰し、現場目線で見たりしながら、連動させる意識で作成しています。

5.成長支援会議で甘辛評価を是正

―― 人事制度の運用方法をお聞かせください。

キムタカ税理士法人様の成長支援会議の様子(写真)
成長支援会議の様子

成長支援会議および成長シートをベースにした幹部から職員へのフィードバックなど、成長塾で学んだことを忠実に実施しています。とくに私と幹部で行う成長支援会議は、幹部の甘辛評価を私が指導するうえで非常に重要だと感じています。

当法人では、ある重要業務で「一人前になる」と表現しているところがありますが、実は成長基準を社内統一するため、あえてこうした抽象的な表現にしています。

一人前の捉え方は幹部それぞれに異なり、「外に出てお客様と話ができるようになったら一人前」という甘め評価の幹部がいれば、「上司の手を借りずに一人で業務を回せる」という辛めの評価をする幹部もいます。この基準がバラバラでは職員が戸惑ってしまいますから、差が出ないように同じ物差しを持つという意味で成長支援会議はとても重要です。

ちなみに、私は成長支援会議の様子をオブザーバーとして見ているだけです。成長支援会議の運営を幹部に任せることで、評価の解釈の統一も幹部が自主的に行います。これにより、幹部たちの成長をヒシヒシと感じることができます。

―― 人事制度の導入後、どのような定量的効果を得ることができましたか。

導入前の2014年10月~2015年9月をBefore、直近の2020年10月~2021年9月をAfterとして比較した定量的成果を以下に示しました。

キムタカ税理士法人様の定量的成果の表
(クリックで拡大します)

6.人時生産性を高めて、職員が独立してもカバーできる体制をつくる

―― 人時生産性を重要視していると伺っています。

成長塾を受講して以来、松本先生が重要視する人時生産性については当法人も大きな指標にしています。

税理士という業務の特性上、資格を生かして独立開業を目指し退職する職員がおります。
そもそも資格の取得は奨励していますし、資格手当も支給しています。しかし私自身、税理士の資格を取得して独立しているわけですから、税理士の資格を取得した職員の独立を阻むことはできません。むしろ、応援しなければならないでしょう。

当然ながら、そうした職員の退職は大きな痛手です。職員が担当する顧問先は十数件ありますから、これを別の職員に割り振るとなると誰かが残業でカバーしなければなりません。
もちろん、新たな職員を採用しますが、一人前になるまでにはかなりの時間を要します。
そこでまずは、現状のリソースにおけるパフォーマンスの質を高め、人時生産性を向上させることに注力することにしました。人時生産性が高ければ、退職者が出ても早々にカバーできる体制を構築できます。

実際、多くの職員が「粗利を増やす」と「労働時間を減らす」ことを同時に取り組む意識を持って業務にのぞみ、業務の効率化を求めるようになりました。自宅に早く帰る意識も芽生えますから、自ずと業務環境も改善されていきます。
毎月の幹部会議で、顧問先ごとや職員ごとの人時生産性を分析しています。顧問先にも、可能な限り人時生産性をKPIにするように指導しています。各職員が担当する顧問先で6,000円以下のところはアラームを出すなど、常に人時生産性には注意を払っています。

顧問先の人時生産性を追及することで、職員自身も人時生産性の意識が定着してきます。現在はそういった良いスパイラルが構築できています。

―― 残業時間も削減できていますね。

残業時間の削減は、働くモチベーションにもつながってきますから、長年取り組んできました。おかげさまで、2~5月の確定申告・法人申告の繁忙期を除けば、18時過ぎには職員は事務所を出て、家路に向かっています。平均すると残業は月12時間、休日は年間120日、固定残業代も撤廃できました。これは大きな成果です。

―― 人事制度を導入して良かったと思うところをお聞かせください。

「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」を成長シートで細かく設定し、四半期ごとの成長支援会議と個別面談でフィードバックすることで、職員の成長スピードが高まったと感じます。現にそれは人時生産性の数字にも表れています。

7.きっかけとなった顧問先に人事制度をフィードバック

―― 人事制度の運用成果は顧問先にフィードバックできていますか。

キムタカ経営者セミナーの様子(写真)
キムタカ経営者セミナーを開催

当法人の人事制度運用に目途がたったところで、「バランススコアカード経営」のコンサルティングを行っている各企業にもフィードバックしています。

現在、計5社の顧問先に成長塾の人事制度の導入と運用支援、コンサルティングを実施。もちろん、人事制度を導入するうえで、社長もしくは人事担当幹部の成長塾受講は大前提となります。

おかげさまで、成果が見え始めてきたところです。

―― 人事制度に悩んでいる企業に向けて、キムタカ税理士法人からアドバイスがあればお願いします。

働き方改革が叫ばれている時代ですが、単に「自宅でも働ける」「好きな時間に働ける」という「働きやすさ」を整えても、社員の「やりがい」や「給与」につなげることができなければ、結果、モチベーションが低下して退職してしまうケースもあるのではないでしょうか。

まずは、会社の理念やビジョン、従業員への想いなどを明確にすることが先決。そのうえで、どんな働き方であっても、やりがいや給与にリンクさせることが大事だと思います。そして、それを実現できるのが成長塾の人事制度です。我々は運用し成果が出ているからこそ分かります。ほかに、こんな素晴らしいシステムはありません。ぜひ導入すべきです。

―― 最後に一言お願いします。

2019年7月に当法人はENTOENTOが主催する「成長塾 第14回全国大会」において、「日本で一番社員を大切にしている企業大賞」で優勝(2018年は準優勝)という栄誉を手にすることができました。素晴らしい賞をいただき、今でも職員一同感激しています。主催者側からの評価は、人事制度のさらなる推進の励みになります。

さらに、2020年3月には「沖縄県人材育成企業」の認証を得ることもできました。これは企業に積極的な人材育成の取り組みを促し「雇用の質の向上」を図るためにつくられた制度で、人材育成に優れた企業を沖縄県が認証するものです。「沖縄県人材育成企業」の一員に加われたのは、松本先生のおかげであることは間違いありません。

全国には松本先生のサポートを欲している経営者がたくさんいると思います。そういった日本全国の中小企業の方々に、松本先生にはこれからも笑顔で元気に人事制度を伝えていってほしいですね。私もできることはサポートしていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。
キムタカ税理士法人様の集合写真

キムタカ税理士法人様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


キムタカ税理士法人様のホームページ
※ 取材 2021年11月


第104話 なぜ人事制度を自分で見直しできないのか?

2022-03-29 [記事URL]

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戦後の日本企業は、経営をする中でさまざまな学びを得て、さまざまな経営改善・改革を行ってきました。製造業務や営業業務は、10年前と比べても隔世の感があるでしょう。

全ての経営改善は経営者が陣頭指揮を執り、中核メンバーが実践してきました。現状に合わなくなったものは、その都度見直しをして経営環境の変化に適応させてきました。

営業、製造、工事でも、思ったように成果が上がらなくなれば改善は必要であり、その改善結果をなんらかの数字で確認することを継続して行ってきたのです。

ところが人事業務はどうでしょうか。特に、人事制度は時代にいつも遅れています。

企業経営は経営環境の変化により、さまざまな問題が発生し、その問題を解決することの連続ですが、「人事に関しては特別な分野のため、専門家の手を借りなければ自社の問題を解決することはできない」と考えている企業が多いのです。

例えば、今ある人事制度(一般的には評価制度、賃金制度、昇進・昇格制度)は「全ての企業に使える」と提案されたものを専門家にもらった可能性があります。そのため、人事制度に問題が発生すると、その都度専門家に見直しを依頼しなければならず、自社で変えることができない不思議な状況に陥っています。

さらに、この「人事制度のどこに問題があるか?」が分かる企業自体少ないことも事実です。

私は人事制度の構築や運用の支援をしていますので、企業のさまざまな問題点を伺うことによって、その都度的確なアドバイスをすることができます。もちろん、企業が人事制度に期待している成果を明らかにした上でのコンサルティングとなります。

例えば期待している成果が「定着率を高めたい」場合、どの年代が定着しないのか。「社員を成長させたい」場合は、どの階層、どの職種の社員を成長させたいのか。企業によって人事制度の目的は異なり、コンサルティングする内容も違います。この期待している成果の詳細、つまり人事制度の目的を明確に答えられる企業があまりにも少ないことに驚きの連続です。

全ての人事制度は何らかの目的を持って構築され運用されています。その目的を明らかにしなければ、永遠に見直しができません。そればかりか、自社で現状の問題をタイムリーに解決する方法すら分からない大変な状況になってしまいます。

大手企業が終身雇用の問題や年功賃金の問題を自ら解決できないことがそのことを象徴しています。今後ますます、かつてないほどの大きな変革の必要性が企業に迫っています。それに対応していかなければ存続発展はできません。人事の問題は先送りにはできないからです。

「事業は人なり」です。社員が成長しなければ、事業を継続していくことが難しいと誰しもが分かっています。そのために「事業は人なり」を支える最も重要な仕組みである人事制度を、本来の役割を持った制度に見直すときが来たと考えなければならないでしょう。

人事制度をつくる時に、誰もが「失敗したくない」と思うでしょう。しかし、企業経営においては失敗を恐れていたら改革はできません。
社員の成長のために仕組みを見直すことを明確に伝え、社員と一緒にコミュニケーションを取りながら見直しをしなければならない時が来たということです。

それによって「終身雇用の問題」「年功賃金の問題」「働かないおじさんの問題」も全て解決することができます。


第103話 社員の賃上げ原資は社員自身でつくる?

2022-03-22 [記事URL]

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今、4月からの社員の賃上げ(昇給とベースアップ)をどうするか悩んでいる経営者が多いでしょう。

今年の賃上げをどうするか、経営者の最初の確認事項は「前事業年度の業績が良いかどうか」です。前年度の業績が良ければ賃上げは可能でしょうし、業績が悪ければ賃上げは難しいでしょう。ごく当たり前のことです。

これは経営者が一人で悩んでいることです。この状態が続く限り、社員はいつになっても業績に関心を持つことはないでしょう。なぜなら、賃上げは経営者の考え一つで決まると思っているからです。そして社員は社長の賃上げ決定を、固唾を飲んで見守っているのが現状です。

この賃上げのための「賃上げ原資」は、社員が全員で業績を向上することによって獲得するものであり、経営者一人で賃上げ原資をつくるのではありません。この基本的な教育ができていない現状があります。

これから日本の経営環境は企業規模によって安泰であり続けることはできなくなりました。どのような規模であろうと、どのような業種であろうと、この経営環境に適応していく必要があります。それはつまり、全社員が業績に関心を持ちながら成長していかなければならなくなりました。

今、日本の全ての会社にとって重要なことは、環境変化に適応して社員がチャレンジすることでしょう。それによって、会社自体もこの変化する経営環境に適応していかなければなりません。そしてその環境に適応して全社員で一緒になって業績を上げ、賃上げ原資をつくっていく時代です。この教育をしなければならない時期になりました。

もし仕組みがあれば、事業年度の最初、経営目標の発表時にこのことを教育することができます。今年の経営目標が実現できれば、どのぐらいの昇給ができるのか、去年と同じ業績で全く業績が変わらなかったら昇給はどうなるのか、逆に今年の経営目標以上の業績になった場合には昇給はどれほど増えるのか。つまり、賃上げはそれぞれの会社の業績によって変わることを説明し、教育しなければなりません。

環境が厳しく目標が達成できなければ賃上げすることはできません。そしてこの時期に大切なことはこの賃上げ原資を獲得する最も有効な方法は「生産性向上」だということです。

厚生労働省は時間当たりの労働生産性という言い方をしていますが、これは従業員一人が、1時間当たりに稼ぐ粗利益高ということです。一人一人が1時間あたりの稼ぐ粗利を増やさない限り、賃上げ原資を増やすことはできません。逆にこの生産性が高まれば、賃上げ原資を増やすことができるのです。

今、この生産性は社員間で大きく差が開いていることをご存知でしょうか。つまり、生産性の高い社員と低い社員がいるのです。その生産性の高い社員のやり方を全社員で共有化することが、全社員の賃金を上げるベストな方法なのです。この生産性の高い社員のやり方を今すぐ全社員に教育をし、そして社員がお互いに協力し合って賃上げ原資を獲得してもらいたいと思います。

そのためにも具体的な賃上げ額の計算式は示さなければなりません。それによって全社員が協力して生産性を上げる会社になるでしょう。チャレンジして頂きたいと思います。


第102話 新しい部署に異動になったら昇給・賞与は下がりますか?

2022-03-15 [記事URL]

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3月決算の会社は、4月に人事異動を行うことが多いと思います。

社員は異動によりさまざまな職種の仕事を経験することで、徐々に自身の適性が分かってきます。例えば「営業職」から「生産職」や「企画職」といった、全く別の職種の部署に人事異動することで、今まで想像していたものと実際の仕事内容は大きく異なると初めて知ることもあるでしょう。

欧米のジョブ型雇用と違って、日本はメンバーシップ型雇用で現在採用しているため、入社してからさまざまな職種を経験できることは社員本人にとっても良いことだと思います。

この職種間異動に関して、考えなければならないことが一つあります。それは異動した社員の昇給・賞与についてです。

仮に、会社に成長シートがあったとします。成長シートは各部署それぞれの優秀な社員をモデルにしてつくられており、その点数(成長点数)で社員の成長の度合いを計ります。

Aの部署でとても優秀な社員が、Bの部署に異動します。今のA部署の成長シートでは成長点数が80点ですが、新しいB部署に行って仕事に取り組み始めた時、B部署の成長シートでは成長点数が20点(スタート時の成長点数)になる可能性があります(もっとも、我が社の社員として守ってほしい勤務態度は部署によって変わることはありませんので、スタート時から成長点数が40点以上となるケースもあるでしょう)。A部署の成長点数をそのまま引き継いで80点からスタートすることはありません。A部署とB部署の成長シートの内容が異なるからです。

このとき、成長点数で昇給・賞与を決める仕組み(賃金制度)を運用していた場合、「職種が変わって成長点数が下がった時の昇給・賞与はどうなるのか?」と社員は心配します。

私はその会社の人事制度構築のアドバイスをする時に「新しい部署に異動したら昇給・賞与は減りますか?」と経営者にお聞きします。経営者が「いいえ、チャレンジによってその社員がさらに大きく成長することを期待して異動してもらいますので、昇給・賞与を下げることはありません」と答えたとすると、この会社は昇給・賞与を決める時には、異動前の成長点数80点で昇給・賞与を決めていたということです。今まで決めていたことを、問題がないのに変更してはいけません。もちろん、異動後は新しい部署の成長シートで評価をしますが、あくまでそれは社員の成長を確認し指導するために活用します。

全ての会社の人事制度は「どうやったらうまくいくのか?」ではなく、「現在やっていること(評価・処遇)」を可視化して構築します。今回の会社の場合は「成長確認をする成長点数」と、「処遇(昇給・賞与)を決める時の成長点数」は違うことを可視化し、仕組みにしました。

現在やっていることを仕組みにすることからスタートです。そしてその後、仕組みを運用しながら問題があったら見直しをしていきます。

人事制度の導入とは、仕組みとして可視化して社員に説明することを意味します。「どうやったら正しいか?」という“仮定”ではなく、「今までどうやってきたのか?」という“前提”を可視化するということ。これができなければ社員にとって訳の分からない、運用できない人事制度になります。この点は特に注意が必要でしょう。

人事異動の時期になるとこのような質問が一気に増えます。参考にしてください。


日本経済新聞にポケットブックの広告が掲載されました!

2022-03-09 [記事URL]

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3月9日日経新聞

 

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第101話 ベースアップは今の時代も必要ですか?

2022-03-08 [記事URL]

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現在、マスコミから各大手企業の春闘労使交渉についての報道が続いています。その中で、ベースアップの実施企業の割合も合わせて発表されています。2022年のその割合は昨年より増えそうです。

この大手企業の動向を参考にして、ベースアップを行いたいという中小企業の経営者が一定の割合でいます。

日本全体として、今までの傾向で考えればそれも頷けます。もともとベースアップは消費者物価指数や、労働力の需要と供給の関係、または生産性の向上とさまざまな理由で行われてきたものです。その中で一番中心となる要因は、やはり消費者物価指数でしょう。

賃金を30万円支給されている人が、仮に消費者物価指数が2%アップすれば6,000円分の可処分所得が減る可能性があります。これでは生活が厳しくなりますので、社員からすれば6,000円分ベースアップの要求になるでしょう。企業もその消費者物価指数を参考にベースアップしてきた過去があります。

しかし、総務省統計局の消費者物価指数(総合)のデータを見ると、2015年は前年比0.5%アップ、2020年は前年比0%と変わらず、2021年には前年比0.2%ダウンという結果が出ています。

仮に消費者物価指数を基にベースアップするのであれば、消費者物価指数が下がったときにはベースダウンしなければなりません。このベースダウンの話は当然今まで出てきたことはありません。もし実施したら、社員からの反対は必然でしょう。だからこそ、消費者物価指数を基にしてベースアップをしてはいけないと考える経営者もいるでしょう。

ここで考えておくべきことは、ベースアップをするにしても昇給をするにしても、この賃上げをするための原資は同じところから出ていることです。そのため、中小企業の場合は、経営環境の変化で社員に一律にベースアップすることよりも、昇給をどのように決めるか、明確にすることが大事でしょう。

この昇給は「企業の業績」と「社員の成長」によって決めることができます。社員の成長は基本的に成長等級と成長点数の二つのデータで確認することができます。これによって、昇給を実施する1年前の時点で、昇給の決め方について明確に説明することができます。

ベースアップを労使交渉や消費者物価指数で決めるよりも、会社の業績に合わせて昇給原資を決め、そして社員の成長に伴って昇給金額を決めていく方が、納得できる説明を社員にすることができるでしょう。

この昇給額は交渉ではなく、仕組みによって決めることがベストです。社員にとっても安心です。そしてこの仕組みがあれば、社員はこの先自分の40年間の賃金がどうなるのかも分かります。

労働人口が減っていく日本において、ベースアップの役割はほぼ終わったと考えていいでしょう。その一方で社員の昇給がどう決まるかを仕組み化して、交渉をせずに昇給が決まるような仕組みが求められるようになりました。

この仕組みをつくることは、社員の定着率を高めるためにとても重要な仕組みといえます。


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