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4/4(月)~4/8(金)の営業について

2022-03-01 [記事URL]

弊社では誠に勝手ではございますが、下記の期間中、社内研修のため、通常の業務をお休みさせていただきます。

◆ 休業期間 2022年4月4日(月)~4月8日(金)

期間中はお電話をお受けすることができません。折り返しご連絡させていただきますので留守番サービスへ伝言をお残しいただくか、メールフォームからお問い合わせください。

各種お申込みや商品の発送につきましては順次対応させていただきますが、通常よりも日数がかかる場合がございます。ご了承ください。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


第100話 今、経営者が社員に一番優先して教育しなければならないこと

2022-03-01 [記事URL]

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最近のテレビコマーシャルや雑誌等を見ていると、賃金を上げるためには転職が必要であるようなイメージの転職サイト広告が多いと感じます。

確かに、転職してさまざまな会社で仕事を経験することで、視野を広められることは間違いないでしょう。その点においては、転職をして学ぶことは決して無駄ではないと考えます。

しかし「転職すれば賃金がアップする」ことについては、大きな誤解があります。転職すれば必ずしも賃金がアップするわけではありません。前の会社より高い賃金で採用されたとしても、生涯賃金の視点から見ると、転職により低くなる可能性があるからです。

転職して同じ職種に就いたとしても、会社によって細かい仕事内容は異なります。つまり、Aという会社で優秀だと評価された社員が、Bという会社でも優秀だと評価されるとは限りません。
優秀だと評価されるAの会社で働き続けた方が、最終的な賃金は高くなることは想像に難くないと思います。

社員を評価する違いは、成長シート(その会社で優秀な社員をモデルにしてつくったもの)を比べれば分かります。今まで1,331社の成長シートを見てきましたが、業種は同じでも同じ成長シートは一つもありませんでした。

採用する側は前の会社の評価をそのまま鵜呑みにしてはいけないのです。応募者の前の会社の評価を聞き、優秀だと思って採用した中途社員が、思ったほど力が発揮できないことは、多くの会社で常々実感しているでしょう。

ただし、面接時に前の会社に成長シートがあれば持ってきてもらい、成長点数を聞くことで、前の会社でどのような評価をされていたのか、そして我が社で採用したときにどのくらい活躍してもらえるか、参考にすることはできるでしょう。

この評価の違いがあることを知らない社員は、さまざまな転職の情報を聞くたびに「転職を繰り返すことで徐々に賃金が上がる」と誤解している場合が散見されます。安易にその広告に乗って転職を決めてしまったら、その社員の人生にとってプラスにはならないでしょう。

そうならないためにも、前もって社員に教育しなければならないことがあります。それは「今の会社でさまざまな仕事をしながら自分の適性を見極め、そして優秀になっていくことで賃金が上がる」と明示することです。

欧米と違い、日本では一つの職種で転職を繰り返しながら賃金を向上させ続けることは難しいと言わざるを得ません。なぜなら、日本では一生一般職層(プレーヤー)として仕事をするのではなく、一般職層で優秀であれば次は中堅職層にステップアップし、部下を成長させる仕事に携わります。その成長に応じて賃金が増えていくのです。この考え方を日本のほとんどの経営者が持っています。

賃金を上げるために転職を繰り返すよりも、一つの会社で一般・中堅・管理職層と成長する方が将来的な賃金は高くなると社員に説明しなければなりません。社員はじっくり腰を据えて成長することになるでしょう。

私の前勤務先の定着率は、44年前の入社当初は70%でした。しかしその後、人事制度によって「我が社で成長することで生涯賃金が増える」と明確に説明できるようになったことで、定着率は95%までアップしました。その後、社員の定着とともに社員が確実に成長していき、業績が向上しました。

日本では最近、社員の定着率はさらに低下していくだろうという風潮が高まっています。正しい教育が、中小企業の経営者に今最も求められていることだと考えてください。

今年の新卒社員の採用時の教育はここからスタートです。


第99話 2019年以降の優秀な営業社員は生産性が高い社員

2022-02-22 [記事URL]

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ありがとうございました。
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今までの日本では、成果の高い社員は優秀な社員と褒められていました。この成果の高い社員の特徴の一つに「がむしゃらに仕事をしていた」ということがあるかもしれません。

優秀だと褒められていたある社員は、残業を厭わずに仕事をしていました。さらに、休日出勤も嫌がらずにしていました。つまり、長時間労働と引き換えに高い成果を出していたのです。
この実態から、高い成果を得るためには残業をすること、そして休日出勤をすることが条件のように思え、そうした社員を褒める習慣が日本では長く続いてきました。

しかし、本当に優秀な社員は「成果の高い社員」ではなく、「生産性の高い社員」であることを明確に、そして数字で語ってこなかったことが今大きな問題になっています。

今まで、人事制度の構築支援をしてきた会社で、営業社員の賃金の中に固定残業代を支給している確率は80%以上という現実があります。これは「通常の所定内労働時間ではとても高い成果を上げることはできない」という意味合いで出しているのでしょう。これが営業社員の生産性を下げる結果になっていることに気がついていません。

例えばカーディラーで、月間20台販売しているA社員と、月間19台販売しているB社員ではどちらが優秀でしょうか? これは誰が見ても月間20台販売しているA社員となるでしょう。しかし、これに1台販売するのにかかった時間(生産性)を出すと、そうとも言えないのです。

A社員は残業含めて300時間で20台を販売しています。B社員は残業含めて200時間で19台を販売しています。生産性を出すとA社員は15時間で1台、B社員は約10時間で1台販売しています。どちらが優秀か、生産性を考えれば明らかにB社員の方が優秀なのです。

このB社員があと100時間残業したらどうでしょうか。さらに10台売れることは計算上はっきりと分かります。大事なことは成果を上げるのではなく、生産性を上げることです。生産性を上げる考え方を会社の中に取り入れれば、いつかは200時間で19台から170時間で19台を販売できるようになっていくでしょう。

この生産性が高い社員が優秀だという評価の仕方が、ほとんどの会社の評価の中には入っていないのが現状です。生産性の高い社員を優秀だと認め、そしてその生産性の高い社員をモデルにして、成長シートをつくることが求められるようになりました。

実はこの考え方を持つと、営業社員は原則的にエンドレスで成果を上げることが可能になります。今までのように残業をして成果を上げるやり方はどこかで必ず問題が出てきます。今の長時間労働によって成果を上げていることは、この先会社にとっても本人にとっても利益はありません。大きく舵を取る時が来たと言えるでしょう。

生産性の高いやり方を共有化するだけで、会社全体がとんでもなく高い生産性を実現することができます。

私はそのやり方で人時生産性2,600円から5,600円にすることができましたが、これは生産性の高いやり方を共有化した結果に過ぎません。全ての社員が優れたやり方を共有化する組織は、今後の時代に生き残ることができる会社と私は断言します。

どうぞ生産性向上に取り組んで下さい。


第98話 基本給をベースに決める賞与や退職金はとても不公平

2022-02-15 [記事URL]

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人事制度をつくった会社、特に賃金制度をつくった会社は、その制度をつくるときに間違ったつくり方をしていることに気がついていない場合が多くあります。
特に賞与や退職金を、基本給をベースに計算している会社は、ある大きな問題を抱えていることに気がついていないため、この問題は現在もずっと存在しています。

日本のほとんどの企業は、賞与の計算や退職金を「基本給」を基にして計算しているでしょう。基本給の構成する項目は仕事給や属人給です。その合計である基本給をベースに、賞与や退職金を計算しているケースがほとんどです。

例えば賞与の場合には、基本給に1か月や2か月掛けるという計算をしているでしょう。退職金は基本給に、勤続年数を基に決めた勤続係数をかけて計算していることが一般的です。このこと自体に問題があるとは誰も思っていないでしょう。

しかし、気づかないままその計算を続けていることでどれほど社員間に不公平を生じさせているか、その事実を知った経営者は驚きを隠せません。
それは、中途採用の賃金の決め方が正しく行われていないからです。

中途社員を採用するときのことを思い出して頂くとよく分かります。優秀な社員を採用したいと思う経営者は、当然ながら優秀な社員には高い賃金を支払ってもいいと思っています。これは通常の考えでしょう。

ところが中途採用の場合、ほぼ100%と言ってもいいぐらいに賃金が払い過ぎになっています。そしてどのくらい払い過ぎになっているかを知らない経営者がほとんどなのです。

ある会社では中途社員Aさんに、基本給30万円のうちなんと5万円を払いすぎていました。この基本給30万円は、本来支給する25万円と払いすぎている5万円の合計で30万円になっていますが、採用時に賃金を30万円と言ってしまった以上、思ったほど仕事ができないからといって25万円に引き下げる交渉をするのは無理です。

ところがこのことを社員に説明することができないまま、夏の賞与を1か月支給したらどうなるでしょうか。基本給の30万円に1か月を掛けて30万円の賞与になります。基本給の中の5万円は払い過ぎですから、賞与も5万円払い過ぎていることに気づいていません。
ただし、ENTOENTO式賃金制度をつくるとこの事実がはっきりと分かります。

そして退職金の計算でもそうです。この30万円の中に仮に5万円の払い過ぎの金額があるとすれば、これに例えば勤続係数20年を掛けて100万円という過払い退職金を支給することになります。

それでいいでしょうか?

払い過ぎていない社員は正しい退職金の支給ですが、この毎月の賃金を5万円払いすぎている社員に対しては100万円多く支給することになります。これではあまりにも不公平です。

もっとも、この事実を知れば経営者自身も納得しないでしょう。
ENTOENTO式賃金制度をつくれば、スグに解決できます。
経営者の考えをそのまま賃金制度にすることにより、払い過ぎている毎月の賃金の問題をどう解決したらいいか明確になり、なおかつこの賞与や退職金の計算も、このような問題のある支給の仕方をしなくてもよくなります。

社員の不平不満を解消することはとても大事ですが、経営者もこういった事実があることを知って経営者の納得する賞与や退職金の支給の仕方へ改善してもらいたいと思います。


第97話 「なぜ挑戦する社員がいないのだ」と悩んだときに確認すること

2022-02-08 [記事URL]


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成長塾第200期達成記念の社長・役員向けセミナーは満席となりました。
ありがとうございました。
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いよいよ、環境の変化に適応する企業が増えてきました。これは世界的な流れでしょう。

モノを売らない百貨店、ラーメン自動販売機を設置したラーメンチェーン店、オンライン飲み会用の食事提供にシフトする居酒屋などなど。今までの固定概念を壊す新しい取り組みがどんどん始まっています。

ほとんどの経営者は、今の環境に適応すべく新しいチャレンジを始めていることでしょう。そんなチャレンジをしている経営者から、次のような相談をよく受けます。

「うちの社員は新しいことに挑戦しません。どうしてでしょうか?」

この経営者は、挑戦しないことを社員本人の問題として捉えています。実はその本質的な問題は会社側にあることに気がついていません。

大手企業を中心に、社員の評価を「減点主義」でしている会社がとても多いのです。つまり、失敗するとその社員の評価は下がります。そうなれば「減点されたくないから新しいことに挑戦するのは控えよう。毎日を失敗なく過ごすことが自分の評価を高めることになる」と社員が考えるようになることは必至です。

これほど環境変化が激しい時代に、今のままでは生き残ることは難しいことは分かっています。その変化に合わせてお客様の変化するニーズにどのように対応していけばいいか。自分の仕事を通じて考えることはとてもワクワクして楽しいはずです。もし、挑戦する社員がいない場合は、この減点評価が原因であることに早く気がつく必要があるでしょう。

多くの会社では、社員を評価するためのツールとして評価シートを使っているでしょう。しかし、実際にその評価シートで決まった評価点数で処遇(昇給・賞与・昇進・昇格)を決めている会社が日本にどれだけあるでしょうか。そしてその決まった評価を社員本人にフィードバックしている会社はどれだけあるでしょうか。この問題の大きさを今の日本企業の停滞、特に生産性の低さが物語っています。

今すぐやるべきことは、社員に「当社は今後、減点評価をやめます」と高らかに宣言することです。

そもそも、経営者が組織の中で一番失敗が多いと思いますが、もし経営者が失敗が嫌だからといって挑戦しなかったら、その会社の明日はないと考えても良いでしょう。経営者が失敗するのですから社員も失敗するのは当然です。どちらも成功の確率は2、3割でしょう。そして成功したことを全社員で共有化して取り組めば良いのです。

しかし、「当社はこれから、挑戦して失敗してもマイナス評価はしません、どんどん挑戦してください」と発言しても、評価と処遇のプロセスを可視化しない限り、社員は誰もそのことを信じません。それが今の人事制度の問題です。

ただし、この問題はすぐ解決します。社員に「マイナス評価はやめる」「成長点数は減点せずにそっくりそのまま処遇に反映させる」ことを宣言し、可視化してください。

驚くほど社員が挑戦的になるでしょう。

この可視化を先送りすれば、気がついたときには「時既に遅し」となるでしょう。そうならないためにも、今すぐ評価と処遇の可視化をしてください。それが、経営者の最重要課題です。


株式会社群協製作所様(継手、レーザー加工機消耗品製造販売、機械販売 群馬県)

2022-02-02 [記事URL]

「『勤務態度』と『人に教えること』を評価する成長塾の人事制度に感銘を受けました。残業のない会社にするなど、私も従業員が働く環境の改善に努めています」株式会社群協製作所 代表取締役 遠山 昇氏 (写真)

矛盾がなく、すべての従業員が納得する人事制度をつくりたいという想いから、成長塾で人事制度を学ばれた株式会社群協製作所 代表取締役 遠山 昇氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名 株式会社群協製作所
所在地 〒370-0031 群馬県高崎市上大類町392-2
代表者 代表取締役 遠山 昇
資本金 1,000万円
設立 1963年10月
社員数 50名(パートを含む)
事業内容 継手製造販売、レーザー加工機消耗品製造販売、機械販売、その他
URL http://www.gunkyo.co.jp/

 

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1.継手とレーザー部品の精密旋盤加工技術に特化

―― 群協製作所の会社概要をお聞かせください。

継手の写真
創業以来、つくり続けてきた継手

当社は1963年、私の父が群馬県高崎市に銅管継手メーカーとして設立した会社です。
継手とは二個の機械部品をつなぎ合わせるジョイント部品で、一般的には水道管などに用いられています。当社が手掛ける継手は、空気圧や油圧など主にプラント関係の工業用として用いられるもので、とくに設立当初の高度成長期は多くの需要がありました。

その後、精密旋盤加工の技術を活かし、レーザーの分野に進出しました。当社が手掛けるのはレーザーのノズル部分で、この部分を旋盤という設備機械で製作します。レーザーは美容整形やレーシックなどで我々の日常でもお馴染みかと思いますが、当社が手掛けるのは鉄板を切る3~5kWの高出力レーザー。こうしたレーザーのノズルは利用頻度に合わせて消耗していきますから、定期的な交換が必要になってきます。そこで当社が、素材に銅を用いた高品質なノズルを開発し、多くの生産現場に提供しています。

当社の成長・発展の原点は、経営理念「和を以って製造業となす」の精神。これからも新規需要の開拓や新製品の開発に積極的に取り組み、より多くの“群協製作所ファン”のご期待にお応えしながら持続的成長を目指してまいります。そして、当社はお客様により近いところで製品を生産し、安定的に供給していくという考え方を基本に製造・販売体制の強化に努めて行く所存です。

2.大手メーカーや海外で働いた経験を持つ

―― 遠山社長の経歴をお聞かせください。

群協製作所に入社したのは1989年、私が29歳のときです。それまでは、大学の工学部でエンジニアの勉強をして制御・計測機器の大手メーカーに就職し、生産技術の仕事をしていました。

就職して3年間ほど経ってから父に「帰ってこい」と言われましたが、その声を振り切り、思い切って会社も辞めてワーキングホリデービザを取得。実はあの頃「もっとグローバルな仕事をしたい」と思っていました。オーストラリアとアメリカに行き、現地で働いて生の英語に触れることができたのは本当に良い経験でした。

こうしたさまざまな経験を経て群協製作所に入社し、2008年の4月に代表取締役に就任しました。

3.従業員が納得する制度で会社をまとめたい

―― 成長塾受講の背景となった課題をお聞かせください。

どの中小の製造業も一緒だと思いますが、やはり社長の鶴の一声でルールが決まってしまうところが課題でした。それが原因で、あちこちで矛盾も起きていました。顕著だったのは給与です。当時、従業員は中途入社がほとんどで、給与は前職の給与プラス1万円というざっくりとした決め方でした。例えば、前職で25万円をもらっていたら26万円を給与として支払っていました。

能力に応じて決めているわけではありませんでしたから、給与の低い従業員が給与の高い従業員に設備の使い方や業務フローを教える場合も多々ありました。いくら社長が決めたこととはいえ、従業員の納得感は薄かったと思います。

もうひとつ、入社してからずっと考えていたのが工場の環境改善です。入社したばかりの頃は、昭和の職人気質が強い会社で「良いものをつくれば何をやってもいい」という風潮がありました。そのため、工場のなかは散らかっており、私には耐えられませんでした。

そもそも私は最初に就職した大手メーカーでトヨタ生産方式を叩き込まれており、「良い製品をつくるにはきれいな職場が必須」という意識がありました。実際、さまざまな経験を積み、環境が良くない会社は「業績が伸びない」「倒産の可能性がある」ことも理解しています。

これらをすぐに解消したい思いはありましたが、結局従うのは社長である父の言葉。というのも、苦労もせず部長になって次は社長に就任する私に従業員一同、面白くない気持ちがあったようです。そこで、私は「自分が社長になったときには従業員が納得する人事制度をつくって会社を、そして従業員を引っ張っていきたい」と考えていました。それが成長塾の受講に至った背景になります。

―― 成長塾との出会いを教えてください。

とりあえず、人事制度に関するさまざまな本を読みました。そのなかで出会ったのが松本先生の本でした。最初に購入した本のタイトルは思い出せませんが、松本先生の本はほとんど購入させていただいています。

その後、対面で学べる成長塾の案内をいただき、直接松本先生の話を聞きたいと思って、2008年4月の代表取締役就任とほぼ同時に62期生として成長塾を受講しました。私には少し難しいところがあったため、2回受講させていただき、トータル1年ぐらいかけて人事制度を学びました。

⇒成長塾についてはこちら

4.勤務態度と教えることを評価する点に感銘

―― 実際に成長塾を受講された印象をお聞かせください。

群協製作所様のミーティングの様子(写真)
教え合う文化も根付いている

本当に素晴らしい人事制度だと思いました。とくに感銘を受けたのが、勤務態度が成長シートで大きな割合を占めていたこと。

父は「良いものをつくれば多少勤務態度が悪くても構わない」という考え方だったため、「身の周りを整理整頓しない」「遅刻をする」「従業員同士のいざこざ」といったことにも目をつぶっていました。

しかし、この人事制度を導入すれば、勤務態度が悪い従業員は点数も給与も上がりません。これならきっと、労働環境を改善できると思いました。

もうひとつ、人に教えることを評価する点も、私が求めていたものと合致しました。前述した通り、昭和の職人気質が強い会社でしたから、技術は「教えない」「人から盗め」が基本。経験が浅い従業員は、技術を習得するまでに時間がかかりました。その点、成長塾の人事制度は「その業務を優れたやり方で実施していた」だけなら4点ですが、「その業務を優れたやり方で実施しており、他の従業員にも教えていた」なら5点になります。つまり、技術がある従業員が給与を上げるには、他の従業員に教えなければならないのです。この人事制度なら、従業員の技術向上をスピードアップできると考えました。

―― 受講後の運用をお聞かせください。

受講後の半年後に1年間の仮運用を行い、その後、本運用に移行しました。人事制度の導入にあたり、ほとんどの従業員は賛成してくれましたが、一部には反発する従業員もいました。時間をかけて説得した結果、その反発してきた従業員は辞めませんでしたが、数人の若い従業員は退職しました。

そもそも私が入社した当時の従業員数はわずか12名で、社長になった頃は30名強、現在は50名に増えています。従業員が増加するなかで人事制度はガバナンスの要ですから、このときの数名の退職者はとても残念ですが、致し方ないと思っています。

5.成長シートを運用し続けてリーダーの成長を感じる

―― 成長シートが根付いてきたと感じたのはいつぐらいからですか。

5年ぐらい経過してからだったと思います。リーダーの立場にある従業員の成長で実感しました。

それまでは私が成長シートを作成していましたが、ある日、主任や係長といったリーダーの立場にある従業員から「成長シートのこの部分をこうしませんか」と提案がありました。現場のことは現場で指揮を取るリーダーがよく分かっていますから、私はすぐに「とても良い傾向」だと思いました。同時に「成長シートが根付いてきた」と感じた瞬間でもありました。

現在の成長シートづくりはそれぞれの現場のリーダーに任せ、私が承認して正式採用になる仕組みになりました。

―― 人事制度の導入後、どのような定量的効果を得ることができましたか。

導入直後の2008年3月~2009年2月をBefore、直近の2020年3月~2021年2月をAfterとして比較した定量的成果を以下に示しました。

群協製作所様の定量的成果の表
(クリックで拡大します)

6.成長シートが重要な役割を果たす

―― 売上高が大きく向上していますが、その要因をお聞かせください。

私や役員の営業の成果という部分も少なからずありますが、何よりも従業員の頑張りが売り上げに大きく貢献しています。

もちろん、重要業務を遂行するためには、さまざまな知識や技術、経験が必要になります。以前なら知識や技術、経験は一部の従業員の特権だったわけですが、現在は従業員の隅々まで浸透しています。現にその結果が売り上げに反映されています。

そして、従業員の隅々まで浸透させる重要な役割を果たした要因こそが成長シート。成長シートがなければ、今の当社に姿はなかったと実感しています。

7.海外を例に残業しない働き方を実現

―― 表では残業がほとんどなくなっていますが、その要因もお聞かせください。

海外で働いた経験が生きています。高度成長期真っ只中の大手メーカーで働いていた頃は私自身も夜遅くまで残業していましたが、オーストラリアとアメリカに行って働くことの概念が180度変わりました。

オーストラリアやアメリカでは残業という考え方がなく、夕方の5時には普通に帰ってしまいます。そして、ショッピングや食事、映画などを楽しむわけです。かなりのカルチャーショックでしたが、同時に「日本でもこんな働き方をしたい」と心から思いました。

群協製作所も入社当時はかなり残業がありましたが、私が部長になったあたりから残業時間の減少に向けて対策をしてきました。ただ、いくら残業を制限しても、顧客から大口の発注があれば、納期に間に合わせるために残業せざるを得ません。

そこで、会社のスタンスも変えました。それは、大手企業の下請けではなく、自社製品を売るメーカーとして自立するスタンスです。会社運営を方向転換するわけですから、簡単ではありません。しかし、すべてではないにしても、メーカーなら自社で価格を設定でき、出荷量も在庫量も納期も決められます。そして、働き方も決められるのです。

最初はいろいろと大変でしたが、徐々に割合は変わっていき、現在は自社製品が9割、下請けが1割までのところまで改革することができました。もちろん、人事制度が掲げる人時生産性の向上も、こうした業務のシフトに大きく寄与しています。

今は夕方5時のチャイムが鳴れば従業員全員が帰宅の準備に取り掛かり、5時半になれば誰もいません。まさに、私が海外で体験した働き方を群協製作所で実現することができています。

8.公平な従業員の評価とともに工場の環境も大きく改善

―― 人事制度を導入して課題は解決できたのでしょうか。

成長等級と成長点数によって評価される人事制度の仕組みにより、勤務態度を遵守して知識・技術を習得し、重要業務を遂行する従業員が公正・公平に昇給・賞与が得られるようになりました。

さらに当社は売上高の2%を賞与原資に設定。どんなに業績が悪くても賞与が出る仕組みにしました。そして、従業員ごとのプラスアルファの賞与は粗利益から出すようにしています。
これに合わせ、月1回、全体朝礼で先月の売り上げと内訳を細かく発表するなど、売り上げもオープンにしています。おかげさまで、従業員から不平・不満は出なくなりました。

群協製作所様の向上の様子(写真)
整理整頓された工場

工場の環境も大きく改善されました。勤務態度が評価の対象になるため、「塵一つ落ちていない」と言っても過言ではないほど、工場のなかはきれいになりました。いつ顧客が来社しても恥ずかしくない環境になったと思います。

9.中小の製造業こそ成長塾の人事制度は最適

―― 人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

当社のような中小の製造業こそ成長塾の人事制度は最適だと考えます。私も同業の方々に成長塾をすすめていますが、ほとんどが面倒くさがってやりたがりません。本当に騙されたと思って一度やってみてほしいですね。

社長や職場のリーダーの想いがこもった成長シートにそって従業員が育ち、それが会社の成長につながっていく様子を想像してみてください。それが成長塾で叶います。

遠山社長

群協製作所様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


株式会社群協製作所様のホームページ
※ 取材 2021年11月


第96話 中小企業に欧米のジョブ型雇用は適さない

2022-01-18 [記事URL]

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大手企業が続々とジョブ型雇用を導入し、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成しているニュースが続いています。
「これからはメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り替えなければならない」と誤解している中小企業の経営者がいるかもしれません。中小企業は絶対に欧米のジョブ型雇用に舵を切ってはなりません。

一番重要なポイントは、大手企業のように規模が大きくなればなるほど「単能工」という仕事の仕方をしています。入社時に就いた職務を基本的に定年まで続ける仕事の仕方です。

中小企業は「多能工」です。入社してから様々な職務を経験しながら会社全体の仕事を経験し、そしてやがては中堅職にステップアップすることになります。ステップアップする条件は多能工であると断言する経営者もいるほどです。

もし、この職務記述書による、職務に応じて賃金を支給する考え方に舵を切ってしまったら、社員を配置転換することは難しくなります。やったことのない職務に着手すると賃金が下がることになります。結局、いわゆる単能工の社員に育て上げることになります。これでは中小企業の総合力を高めて成果を上げる、そして生産性を上げることはまずできないでしょう。

その他にも問題があります。この職務記述書は現段階の経営環境に合わせて作成することになります。つまり、常に経営環境が変われば、職務内容は変わり、職務記述書をつくり変える必要があるのです。果たしてタイムリーにそれはできるでしょうか。

ある大手企業の職務記述書には450種類の職種に合わせて作成したと発表されていました。この450種類の職務記述書を、経営環境に合わせてどんどん変えていく必要がありますが、対応していくためには人事部の人員が100人単位でいないと見直すことはできないでしょう。それだけの対応を中小企業はできません。もっとも、今のこの激変する時代では、大手企業でも常に職務記述書をつくり変えることは相当難しいと私は密かに思っています。

さらに、賃金を決めるためにジョブ型雇用にするという観点もありますが、職務記述書に書いてある、どのような職務ができたらどれだけの賃金を出すかという決め方を日本では過去にしてきていません。同じ営業職であっても、営業に関する職務がどれだけできるかで賃金を決めることはありませんでした。実際にはその営業社員がどれぐらいの成果を上げられるのかを前提として賃金を決めていました。

つまり、日本では社員の賃金を決める時には職務の種類ではなく、その仕事によってどれぐらいの成果を上げたのか。これが社員の賃金を決める時の最も大事な要素となります。

これから大手企業が職務記述書を作成するニュースが続くかと思いますが、中小企業の経営者は全て無視して構いません。人事制度は全て社員の成長のために必要であり、賃金を決めるのは二次的なものであるからです。

そして、良い人事制度は社員を定着させ成長させることが実証されて初めて良い人事制度と評価されます。このことを忘れないでください。これが分かっていれば大手企業がどんな人事制度の見直しをしたとしても慌てることはなくなるでしょう。大事なことはこの環境に適応して生き残ることです。それを支えるのが人事制度です。


YouTube更新されました!

2022-01-12 [記事URL]

弊社代表の松本のYouTubeチャンネルに、新しい動画が投稿されました! YouTubeでのご視聴はこちらから⇒ https://youtu.be/3IobaLJJJto


日本経済新聞にポケットブックの広告が掲載されました!

2022-01-11 [記事URL]

本日1月11日の、日本経済新聞一面に弊社代表 松本順市の最新ポケットブックの広告が掲載されました。

1月11日日経新聞

 

社員をダメにした目標管理と社員を成長させた目標管理

経営者は常に社員の成長を望んでいます。入社したときには大きな成長を期待していた社員が、気がついたらあまり成長していないことに憤りを感じているかもしれません。それには理由があります。社員の「高い目標を設定して成長しよう」という考えが入社後に失われてしまったからです。社員のせいではありません。

その理由は、目標管理制度です。目標管理制度を導入している会社の社員は必ず「目標が低い」傾向があります。これには1つも例外がありません。理由は簡単です。根本的な原因は目標達成率で評価しているからです。この目標達成率評価を止めない限り、永遠に社員は高い目標を設定しないでしょう。どうしたらよいか頭を抱えている経営者がほとんどです。

その問題を解決する方法があります。社員が楽しそうに高い目標を掲げ、挑戦できるようにするための仕組みを導入すれば良いのです。その目からウロコの目標管理制度の方法を、一冊のポケットブックにまとめました。60分で読み切れて『一生』役に立ちます。

今までの目標管理について納得できなかった、満足できなかった、そして思うように社員が成長していないと感じている経営者、経営幹部の方に読んで頂きたいです。
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第95話 企業が経営環境適応業であることが証明されるとき

2022-01-11 [記事URL]

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今年最初のメルマガになります。今年もよろしくお願い致します。

新型コロナの影響は2022年も継続的に続くと思われます。そんな中、この新型コロナに適応して業態を変える会社が増えてきました。業態の変化を支えているのは当然ながら社員です。その全ての社員の行動を変えることができれば、会社全体も大きく変化することになるでしょう。

私は今まで1,330社の人事制度の可視化のお手伝いをしてきました。経営者によって評価(褒めること・叱ること)は違います。それに伴って決める昇給・賞与の金額も全く違います。それで経営をしてきたことに間違いはありません。1,330社、1,330人の経営者がつくった人事制度は全く違ったものになりました。今年も、この環境の変化に合わせて新たな動きをする社員が生まれてくることでしょう。それを常に成長シートに可視化して、この環境を乗り切ってください。

どのような環境の変化があっても、組織原則2:6:2が存在します。全社員その環境に適応すべく挑戦するでしょうが、やはり成果を上げるのは上の2割の社員です。これは他の社員が頑張っていないという意味ではありません。その成果を上げた2割の社員がやっていたことを成長シートに可視化し、みんなでそのゴールに向かって成長していくのです。

会社には損益計算書があります。この損益計算書の数字は社員の成長の平均値が表現されています。成長シートをつくれば成長点数が80点の社員、60点の社員、40点の社員がいることが分かります。そしてこの会社の損益計算書の数字は、社員の平均点数50点で成り立っています。つまり、全社員の成長によって、まだまだこの損益計算書の数字を変えることができます。

損益計算書の数字を変えるためには、全ての社員を80点以上にすることです。そして80点以上にする簡単な方法は、現在優秀な社員が成果を上げるためにやっている業務を、全ての社員に可視化し、共有化することです。

なかなか成果が上がっていない、苦労している社員は、この優秀な社員がやっている重要業務を真似して同じように実施することです。それによって、今まで以上に簡単に成果を上げることができるでしょう。結果として損益計算書の数字が大きく変化することになります。

5年後くらいには、何をすればこの時代に生き残れたのか分かるでしょう。しかしそのためには時間が必要です。その前に会社が厳しくなる可能性もあるでしょう。環境の変化を嘆かずに、優秀な社員のやっていることを全社員で共有化すること。たったそれだけでこの時代を生き残れます。

優秀な社員を可視化する成長シート、ぜひ今年はこの成長シートの運用を経営課題の最優先事項にして頂きたいです。そのための情報提供をこれからまた1年続けて参りたいと思います。よろしくお願い致します。


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