第148話 生産性を上げる最も大切な1つの条件

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第148話 生産性を上げる最も大切な1つの条件

2023-02-28

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経営者も学者も専門家も、賃金を上げるためには生産性向上が必要であると発言しています。誰一人このことを疑わないでしょう。

日本では元々、1人当たりの獲得する付加価値を生産性として見てきました。そのため、残業をして成果を上げれば、生産性が上がるようなイメージがあったでしょう。

「残業するのは当たり前だ」という時代も確かにありました。現在40代以上の人たちは、あるCMを否定せずに受け入れてきました。

「24時間戦えますか! ○ゲイン!」というCMです。今の時代ではこのテレビCMは流すことができないかもしれません(笑)。

残業する社員を褒めるような時代が確かにあったのです。これはとにかく長時間働くことで、組織全体の生産性が上がっているようにすら見えます。実際、1人当たりの労働生産性が生産性指標であれば評価されるでしょう。

しかし、時間外労働の上限規制が中小企業でも始まった2020年からは、社員の評価を「売り上げ」「契約件数」「工事高」「生産高」といった成果の大きさから、別の成果の種類に切り替える必要がでてきました。それは「1時間当たりの労働生産性」です。従業員が1時間働いて稼ぎだした付加価値、ここでは粗利益としますが、その金額の大きさで評価することが必要になりました。

※ 1時間当たりの労働生産性 = 付加価値(粗利益) ÷ 総労働時間

たまたま私は以前小売業に勤めていましたので、40年前からこの1時間当たりの労働生産性を「人時生産性」と表現し、常にこの人時生産性を高める活動をしてきました。人時生産性が高い店舗の優秀な社員は、2つの行動を取っています。1つは粗利益を増やす行動、もう1つは労働時間を減らす行動です。これは同時に行っています。

現在、日本全体が残業時間を短縮する方向に進んでいるように感じますが、これは間違った方向性です。「残業時間を減らす」のではなく、「生産性を高める」としなければ、残業時間を短縮した社員は優秀な社員になってしまいます。残業時間を短縮したからといって、必ずしも粗利益が増えているとは限りません。これでは賃金は増やせません。

今、それぞれの会社に評価シートがあると思います。そしてその評価シートの中にはその社員に求める成果の種類が書いてあるでしょう。これからは、その成果の1つに「1時間当たりの労働生産性」を入れなければならなくなりました。これを評価の対象にすることが、生産性向上の絶対条件です。

そしてもう1つ大事なことは、会社には生産性の高い社員と生産性の低い社員が混在していることです。今スグこの生産性の高い社員のやり方を可視化、共有化することです。生産性を高めるやり方を全社員が真似すれば、今スグ生産性を上げることができます。これはとても簡単ですが、効果のある取り組みです。

今、生産性の高い社員は誰であるか、そしてその生産性の高いやり方を把握していますか? そして、あなたの会社ではその生産性の高いやり方を全社員に共有していますか?



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