第68話 生産性向上のためには仕事を増やさない

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第68話 生産性向上のためには仕事を増やさない

2021-06-08

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今の日本では、生産性を向上させることがとても重要です。例えば「人時生産性」という生産性指標がありますが、環境の変化によって成果が低い時には低い分だけ、投入する労働時間を減らさなければなりません。このコントロールができない会社が新型コロナで一気に生産性を下げています。

春の来ない冬はありません。この新型コロナがいつか終息する時が来ます。今、成果が下がっているときに労働時間をコントロールしないで生産性を下げてしまうと、元の成果の大きさに戻った時、つまり成果が新型コロナ前の状態に戻った時に「人手不足」になり、社員の採用を現場から求められるようになります。

この問題を解決するためには、成果が低い時には必ず、それに合わせて投入する人時をコントロールしなければならないのです。そして、その余った労働時間で今までできなかったことをやるべきでしょう。

内部体制固めに取り組むのも良いでしょう。

マニュアルをつくるのも良いでしょう。

教育訓練を充実させるのも良いでしょう。

未経験の仕事にチャレンジする、つまり、多能工化に取り組むということもあり得るでしょう。

この考え方が、この未曾有の経営環境の変化に合わせて経営者が取り組まなければならない大事なことなのです。

全ての社員の生産性を高めるためには、成長シートのやるべきこと、つまり、重要業務を特定することがとても重要です。その成果を上げるためのやり方を徹底してやることです。この考え方が必要な時代です。

いろいろなことをたくさんやるのではありません。やっても成果の上がらないことを1日も早くやめ、その時間で新しいことに取り組むのです。

特に経営計画書をお持ちの会社はこのことが問われています。経営計画書で期初に何をするかを決めたでしょう。この決めたものは、ほとんど経営者・経営幹部が取り組むことだと思います。

ところがこの厳しい環境の中で、経営者・経営幹部がいろいろなことに取り組んでいますが、うまく成果を上げることができない、つまり、「因果関係のない重要業務と分かっていながらその業務を継続し、さらに新しいことに取り組む」という問題の行動を取っている会社が多いようです。やることの「追加」です。これは明らかに生産性を下げています。

経営者・経営幹部が余計なことをする時間は全くないと考えなければなりません。経営計画書で掲げた業務を、3か月間取り組んでも経営目標の達成に繋がることがないと分かれば、すぐに止めなければなりません。幹部と合宿などでじっくりと計画を考えたとしても、今の環境には役に立たないことをマーケットが教えてくれたら、止めることです。次の3か月は、今この3か月間でマーケットが教えてくれたことを踏まえて、新しい業務に取り組むことです。

このこと自体が実は経営者・経営幹部の生産性を左右しており、かつ組織全体の生産性に影響するでしょう。今までのように頑張って長い時間働くという考え方を持っている会社は、この時代を生き抜くことはできません。成果を上げるやり方に注力していけるかどうか。そして実際にやってみても成果が上がらなければ、止めると判断できるかどうか。それが問われている時代です。

中小企業であれば、経営者も管理職の成長シートを活用することになりますが、その成長シートに書いてあることをやりながら、成果を上げるやり方を明確にしていきます。それ以外のことは優先順位が低いことがわかっていますので、常に見直しをしてください。



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