第58話「人事制度に成功するためには失敗の理由を知ること」

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第58話「人事制度に成功するためには失敗の理由を知ること」

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人事制度に失敗した経営者からの最初の質問は、「どうやったら成功できますか?」です。

この質問に答える前に経営者は、なぜ失敗したのか理由を知らなければなりません。

失敗した理由がわからないのに、成功するその方法を説明してもよく分かりません。それでは、なぜ日本ではこれほどまでに人事制度で成功しないのでしょうか。

それはもちろん自分でつくったのではなく、誰かにつくってもらった人事制度であるからです。これが最大の理由です。結局、つくってもらった評価や賃金の決め方に自分は納得できない。

もともと自分の評価や賃金の決め方に自信が持てず、専門家に助けを求めたことがなぜ失敗した理由になるのか?その理由が分からないという方は多いでしょう。

しかし、人事制度をつくってもらった経営者に質問すれば分かります。理由は簡単です。

つくってもらった人事制度のため、昇給・賞与の金額を経営者自身が説明できないのです。

例えば、賞与を支給した後にA社員から「なぜ私はB社員よりも賞与が10万円少ないのですか?」と質問されたとしても、その理由を答えられません。

そのため、経営者は質問してきたA社員に対して「B社員に比べて、A社員がいかにだめであるか!」を様々な言葉で説明することになるでしょう。

「成果が低い」「失敗が多い」「クレームをもらう」「明るく挨拶ができない」とにかく粗探しのようなことをして、A社員を「ギャフン」と言わせることになります。この賞与の金額の違いについて少しも説明ができないのです。

経営者は驚くでしょう。人事制度を導入し、賞与を決める仕組みを作ったにも関わらず、説明できないという現実に愕然とします。

説明ができないために、「賞与を支給した後、質問に来るな!」と言った経営者もいるぐらいです。

一方でこの社員の質問に答えられたら、社員は昇給・賞与の決める仕組みを知ることになります。昇給・賞与を減らそうと考えている経営者はいないのです。

ただし、「少ない」という質問に対して「なぜ少ないのか」という回答をするから、社員のモチベーションを落としてしまうのです。

経営者はすべての社員の昇給・賞与を増やそうと思っている。そのため苦しんでいるのです。

自分の決めてきた評価や昇給・賞与の決め方をすべて可視化して仕組みにすると、もう社員が質問してくることは無くなります。

そして最も重要なポイント、わが社の経営者は社員を成長させて、昇給・賞与を増やそうと考えている経営者であることがはっきりと分かります。

それはそれはいい会社です。人事制度で成功するためには、まず、その失敗した理由を知ることです。そして、経営者自らの言葉で昇給・賞与の金額を説明できることです。

実は、もう1つ重要なことがあります。

経営者が説明することと全く同じことを社員の上司が説明できることです。これがまず不足しています。中小企業では、部下が上司に昇給・賞与の根拠について聞くと、「金額を決めているのは社長だから社長の所に行って聞け!」との発言になるのです。

これでは、上司もその昇給・賞与が決まった計算式が分からないことになります。だから社員は不安を持ち、会社を辞めるのです。

社員に説明できる人事制度。それこそが成功する人事制度と言えるでしょう。御社は昇給・賞与を支給したときに説明することができるでしょうか。



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