第63話「評価の目的を正しく理解する」

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第63話「評価の目的を正しく理解する」

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11月に入りましたので、多くの企業は評価シートを配って、社員に評価をさせていることでしょう。

本人評価(一次評価)、上司評価(二次評価)をして、多くの場合、経営者がその上司の評価の甘辛を調整し、最終的に昇給・賞与の金額を決めています。

ここで経営者が評価を変更しなければ、社員の昇給・賞与は上司の評価の甘辛の違いによって金額を決めることになります。上司が決めた評価で昇給・賞与を出すことはまずありません。

そのため、評価は、まさにこの昇給・賞与を決めるために実施すると経営者は考えています。

しかし、本来評価は、昇給・賞与を決めるためにあるのではありません。

経営者は上司に、「部下を指導してください」と指示しています。上司が部下を指導するためには、大前提があります。それは上司が部下の行動を評価することができることです。

例えば、部下の行動を成長基準1~5点で評価するとき、その評価が本人評価と上司の評価が一致したときに限って、上司の評価は有効になります。

ところが、この評価がなかなか一致しません。それを正さない限りは、上司の指導は決して有効になることはありません。

部下本人の自己評価が5点であり、上司の評価が3点であった場合、上司は一生懸命部下を指導しますが、部下はその上司の指導を嫌がっています。なぜなら、自分の自己評価が5点だからです。

この評価は「昇給・賞与を決めるためである」と考えているから、調整するという考え方があります。調整をしてしまったら、社員にフィードバックをすることができず、部下に評価を伝えることはできません。

評価は社員が入社してから1つの業務を遂行するまで、5年、7年、10年とかかります。一歩一歩階段を上るようにその仕事ができるようになっていきます。

誰しもが成長基準5点を目指していることでしょう。しかし、簡単にはいかないのです。

5点でなければだめだと言っているわけではありません。社員の成長は一歩一歩階段を上るように成長していくことを、前もって社員に説明する必要があるでしょう。

そして、上司が部下に対して評価についてしっかりと説明を行い、部下の納得が得られたことによって、上司の指導が初めて有効になります。

「指導を有効にするために、評価をする」

このことを理解していないと、評価は単なる処遇を決めるためのものになってしまいます。ですから、今までの日本ではいい加減に評価を決めきたという歴史があります。

真剣に、上司に部下を指導をさせたいという思いがあるなら、部下の評価を決める、その決め方に真剣に取り組む時が来たと言えるでしょう。

間違っても、コンサルタントに「評価者訓練」をお願いしてはいけません。それをやってうまくいった会社はないことも知ってもらわなければなりません。

社員の評価を全上司が集まって決める。そしてその評価の仕方を経営者が指導する。そして評価を社員が納得する形で決められ、伝えられるようにならないといけません。これは先送りのできない大切なことです。

「しっかり部下指導しろ」

と大事なことを言う前に、この評価を決めること自体が最も優先順位が高いことを知らなければなりません。



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