第41話 60歳定年時の賃金カットの裁判が続いています

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第41話 60歳定年時の賃金カットの裁判が続いています

2020-11-10

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「60歳定年時に賃金カットをしてはいけないのでしょうか?」

先日、名古屋地裁で60歳の社員の継続雇用時に基本給の60%を割る賃金カットは不合理であるという判決が出ました。そのため、先ほどのような相談をする経営者が増えています。

当然裁判がこれで決着した訳ではありません。最高裁まで最終判決が持ち越されます。ですから「カットしてはいけない」「カットしてもいい」と単純に答えられないのが現状です。

ハッキリしていることは、60歳定年時の賃金カットは、そのときの仕事の状況によって判断することになります。

ただ、裁判の内容では「同じ仕事をしている場合には」という前提がつきますが、仕事の内容が同じであるかどうかは、実は仕事をしている内容だけで判断することはできません。必ずその仕事によってどれほどの成果を上げたのか、成果の大きさも同時に検討しなければなりません。

弊社のコンサルティングでは、成長シート(R)を作成します。成長シートでは成長の確認の際、行った仕事の内容と同時に、それによって上げた成果の大きさを確認します。

今60歳定年の社員が上げている成果、そしてその成果を上げるためにやっている業務自体が会社の評価によって決めている成長給と一致していて「問題ない」のであれば、基本的に60歳を過ぎた段階で全く同じ成長給の金額の支給の仕方になるでしょう。賃金カットそのものはできません。

ただし、多くの大手企業が60歳のときに賃金カットをしている話を聞くと、「我が社も」と中小企業の経営者は考えるようです。大手企業のほとんどは、60歳よりも前、50歳や55歳で役職定年があるために、その年齢で一度賃金の見直しがされている場合も多くあります。

つまり、60歳で賃金カットをしたときに仕事の内容が変わっている、期待する成果の大きさが変わっていて、同じ仕事をしていることはほとんどないと思ってください。

逆にいうと、同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金を支給することが必要です。中小企業の場合には、60歳から仕事内容を変えることはない企業が多いでしょう。その場合には、原則的に賃金カット自体はできません。

日本はすでに労働力不足の国になっています。それゆえに、60歳を過ぎても元気で気力も体力もあり、そして知識や経験も持っている社員に元気に働き続けてもらうこと、それに合わせてどのように賃金を決めるかを考えることが日本全体でとても重要になりました。

弊社では、そのことについてすでに10年前から事前の対策方法をお教えしています。また、どのような判決が出たとしても驚くことはありません。どのように自分の考えを可視化して人事制度をつくっていくか、不合理にならないためにどのように考えればいいのかをお教えしているからです。自分でつくった人事制度を環境や時代、変わっていく法律に合わせて変更することができます。

これから次々と判決が下されていくでしょう。そして最高裁で判決が出れば、それに沿った形で私たちは変更を余儀なくされます。しっかりと準備してください。

しかし、必要以上に恐れることはありません。大事なことは、同じ評価(成長点数)であれば、同じ賃金を出すことです。ここが一番重要です。そして、どのような働き方になるとしても、すべての社員に元気に継続して仕事をしてもらうことを考える。これは非正規雇用の社員の場合も同じです。

同一労働をどのように評価するか。このことを社員が納得するように、つまり「不合理ではないように」人事制度をつくっている会社は社員から訴えられることはないでしょう。毎年評価のフィードバックをすること自体がその証です。

混迷の時代、社員が納得する人事制度がますます必要になりました。



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