第170話 上司に教えるべきことは部下の成長のゴール
2023-08-08
上司が2人以上いる企業は、あることに気がついているでしょう。それは上司によって部下の成長度合いに差があることです。部下が成長している上司と、なかなか部下が成長しない上司を目の当たりにしているでしょう。
上司には部下をしっかり成長させてもらいたいという気持ちは、全ての経営者の想いです。ところが、部下の上げた成果を見比べて、上司によって部下の成長度合いに違いがあると、成果の低い部下の上司にはもっと積極的に指導してもらいたいと考えるでしょう。
部下の成長は、上司が部下指導に積極的かどうかによって違いが出るわけではありません。そもそも、上司は今までの経験や年齢、持っている知識技術もそれぞれ違うでしょう。同じように部下を成長させることは非常に難しいと知る必要があります。
部下が成長しているかどうかは、通常は部下が上げている成果で判断しています。営業社員であれば、売り上げで部下の成長度合いを考えることになるでしょう。
しかし、その成果を上げるためには、部下に大事な勤務態度を守らせ、知識技術を身に付けさせ、成果を上げるためにすべき業務(重要業務)を指導する必要があります。この成果を上げるためのプロセスの指導の仕方が、上司によって違うということに気がつかなければなりません。ここが部下の成果の違いを生んでいる大きな要因です。なかなか部下が成長しない上司は、このプロセスの指導が有効ではなく、どうしたらよいか分からないまま部下指導しているのです。
大切なことは、全上司に「成長のゴール」(優秀な社員像)を共通の認識にすることです。それは我が社の優秀な社員を基にした成長シートをつくり、その成長シート通りに社員を成長させることになります。
高い成果を上げている社員が優秀な社員でしょう。その社員がやっている重要業務、その重要業務を遂行するために必要な知識技術、そして我が社の社員として守ってもらいたい勤務態度を1つにまとめなければなりません。まとめることによって我が社の優秀な社員が可視化されます。つまり、部下の成長のゴールが上司によって変わることなく、同じものに統一できるのです。
そして指導する対象(プロセス)は全部同じです。勤務態度を守らせること、知識技術を身に付けさせること、そして重要業務を遂行させること。この指導を有効にするためには優秀な上司をモデルにすれば良いのです。
この指導内容の違いが部下の成長の違い、成果の違いを生み出しています。部下を成長させるためにはどのような指導が必要か、我が社で統一的なものにまとめることができれば、上司が「有効な部下指導」を指導することができ、上司によって部下の成長度合いが違うことは少なくなります。
上司の部下指導が上手にできていないという曖昧な情報だけでは、全上司の部下指導を有効にさせることはできません。まずは部下の階層である一般階層で、優秀な社員をモデルにした成長シートをつくり、そのシートを上司が部下指導する際に活用する。それによって全ての上司は同じように部下育成をすることができるようになり、全上司を優秀な上司にすることができます。
部下だけでなく、上司も一緒に成長できるような仕組みはあるでしょうか?
※ 成長塾についてはこちら ※ 資料請求はこちら ※ 松本順市の書籍はこちら