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第57話 企業寿命30年時代の組織運営と処遇の仕方とは

2021-03-16 [記事URL]

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企業寿命30年説はご存じでしょう。
企業は一つの事業モデルでもう30年以上存続することはないでしょう。もっと短くなっているかもしれません。人間の寿命よりも企業の寿命の方が遥かに短くなっていることが今の現実です。

そのため、多くの経営者は新しい事業を立ち上げることになるでしょう。若い世代のために、新規事業を立ち上げて「さあ、さらなる飛躍を」と、経営者は将来を考えます。しかし、実態は新規事業を立ち上げたことによって「既存事業と新規事業の社員の人間関係がうまくいかなくなった」という相談が多いのです。経営者はその理由について、なかなか正確に把握されていないようです。

本来であれば、新しい事業を立ち上げるということは、現在在職している全ての社員の新しい活躍の場所を作り、将来をさらに輝けるものにするためのものであり、社員にとっても共通の課題であることは紛れもない事実です。

それにもかかわらず、社員間の人間関係がうまくいかない原因を正しく理解していないと、解決することができません。

私は前勤務先において、新規事業(寿司事業)を立ち上げた経験があります。
新規事業を立ち上げるときの様々な問題点については十分理解をしていたために、”ある”工夫をすることができました。それは、経営者が理解してくれなければ絶対にできないことです。

新規事業は、既存の社員の中の優秀な社員をその事業に異動させているにもかかわらず、なかなかスタートから計画通りの収益を上げることはありません。そのため、通常であれば優秀な社員が高い成果を上げることになるはずが、新規事業はなかなか高い成果を上げることができません。

昇給・賞与を決めるときに「事業部門」ごとに決める経営者は、多分50%以上でしょう。
もし事業部門ごとに処遇を決めるのであれば、概ね新規事業の社員の評価は下がる可能性があります。新規事業の業績が良くないと、そこにいる社員の評価が高くなることはないからです。

そうなるとこの新規事業の社員は、今まで既存事業では高く評価されていたのに、新規事業に異動したために評価が下がる、そして処遇が下がるという何か割り切れない思いになります。
新規事業というとてもワクワクするような事業を行いながら、一方では処遇が悪くなるというこのアンバランスな状態で仕事をするのはとても辛いものです。

そしてこともあろうか、既存事業の社員は「新規事業に異動しなくて良かった」と胸を撫でおろしている可能性があります。困っている新規事業を応援しようともしません。このままでは、決して既存事業の社員と新規事業の社員は、仲良く一緒にその会社全体のことを考えることはできないのです。

解決方法は決して難しくありません。
既存事業と新規事業の合計の業績(つまり、会社全体の業績)によって社員の処遇を決めることです。
過去において、この全体業績で処遇を決める方法に変更して業績を飛躍的に上げた会社はたくさんあります。企業全体の業績は、全ての社員がお互いに協力しあって実現するものであることを証明しているといえるでしょう。

これからも全ての企業において新規事業を立ち上げていく必要があります。
このことは忘れないでもらいたいと思います。


4/1(木)~4/7(水)の営業について

2021-03-11 [記事URL]

弊社では誠に勝手ではございますが、下記の期間中、社内研修のため、通常の業務をお休みさせていただきます。

◆ 休業期間 2021年4月1日(木)~4月7日(水)

期間中はお電話をお受けすることができません。折り返しご連絡させていただきますので留守番サービスへ伝言をお残しいただくか、メールフォームからお問い合わせください。

各種お申込みや商品の発送につきましては順次対応させていただきますが、通常よりも日数がかかる場合がございます。ご了承ください。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


第56話 社員を成長させる人事制度の特徴とは!

2021-03-09 [記事URL]

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「弊社は常に新しいことに取り組もうとしています。それは企業の存続発展のためには必須のことだからです。それなのに最初の滑り出しは良かったものの、途中から中だるみし、気づいたら誰もそれに取り組んでいないことがあります」

“新しい取り組みが長続きしない”
実はこれは多くの経営者に共通の悩みでしょう。
この新しい取り組みが長続きしない理由について、正確に把握している経営者は少ないでしょう。私がこの理由を知ったのは、もう25年以上前のことです。

私はもともと、人事制度構築よりも生産性向上が主たるテーマのコンサルティングをしていました。前勤務先でサービス残業130時間を解消した実績を評価され、生産性を向上させるコンサルティングを依頼されました。営業職や販売職、経営者や幹部、あらゆる企業の生産性を向上させてきました。

私が前勤務先で実現した一番高い「人時生産性」は5,600円(/人時)でした。これは35年以上前の小売業の人時生産性としては、私の知る限り、大手企業も含めて業界トップでした。

一般的な生産性向上のコンサルティングは、そのコンサルタントのノウハウの提供を受け、生産性を上げることになるでしょう。たとえば人時生産性5,600円(/人時)を実現するためのノウハウを教えて生産性を向上させます。

しかし、残念なことに5,600円まではいくでしょうが、それ以上にはなりません。それは5,600円を実現するノウハウを提供されたに過ぎないからです。

私のコンサルティングはそれとはまったく異なっており、「生産性を上げる仕組み」を作ることによって、私がいなくなっても5,600円以上の生産性を継続して上げることができるのです。そういう仕組みを作ることが私のコンサルティングです。

このコンサルティングを提供したことによって、多くの会社が初年度から生産性を向上させることができました。概ね2年から3年ぐらいをかけて一つの会社でコンサルティングを行います。
そして、大いに経営者に喜んでもらい、その会社を後にすることを繰り返してきました。

ところが、コンサルティングを終えてから3年ぐらい経った段階で、コンサルティングをした会社の経営者から「せっかく生産性が上がったのに、また元に戻ってしまった」という連絡がありました。

私は首を傾げます。生産性を上げる仕組みを作ってあれほどまで順調に運用していたのに、どうして元に戻ってしまったのか。
急遽その会社に行って現場でヒアリングをしました。

その結果、成果の上がっている社員は「自分が評価されていない。そしてそれが処遇に反映されていない」と思っていることが分りました。
つまり、優秀な社員は「これ程成果を上げているのに評価も処遇も全く変わっていない」と考えて、元に戻っていたのです。

そのことを経営者に尋ねると、「いやいや、生産性の高い社員は評価しているし処遇も良くしている」と言います。

つまりこの問題は、「成果を上げた社員をどのように評価しているか、そしてその評価が処遇にどのように反映されているか」このことが可視化されていないことが原因だったのです。

多くの企業で、この評価と処遇の可視化ができていません。社長の頭の中です。そのため、何かに取り組んだとしても継続できないことがあるとすれば、原因はこの問題です。

社員をどう評価し、そしてどう処遇に反映させるかを、すぐに可視化することが必要です。そのことに早く気がつかなければなりません。


第55話 新規事業立ち上げの千載一遇のチャンスは今

2021-03-02 [記事URL]

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この新型コロナの影響で厳しい環境でありながら、多くの経営者が逆に「この時代はチャンスがたくさんある」とつぶやいています。その通り、10年後には新しい業界が生まれているでしょう。そのきっかけは、2021年にあります。

ところが残念なことに「社員はその話を何度聞いても行動を起こそうとはしません。場合によっては、その新規事業に反対するような感じすら受けます」という経営者の悩みはとても大きいです。幸運の女神には前髪しかありません。どうしてこうなるのでしょうか。

この社員の対応の理由に気が付いている経営者はあまりいません。

私はこの話を40数年前から、たくさんの経営者から悩みとして聞いています。そして、幹部社員ですら何故新規授業に取り組もうとしないのか、その理由も分かりました。

それは新規事業の成功確率がまず問題です。成功率は最大で3割、場合によっては1割程度でしょう。つまり、圧倒的に失敗する確率が高いのです。誰も失敗したいと思っていませんが、やはり新規事業に失敗はつきものです。

この新規事業での失敗を、経営者がどのように評価し、そして処遇に反映させるのかについて、明確に説明している会社はほとんどありません。

多くの会社が、新規事業で失敗した場合にその失敗を評価に反映させ、処遇を決めています。つまり、新規事業での失敗は、昇給・賞与が悪くなることを意味します。

この新規事業で失敗し処遇を下げられた社員の話を聞いた社員は、どのようなことがあっても次の新規事業の立ち上げで手を挙げることはないでしょう。独身ならいざ知らず、家庭があり毎年のその賞与も生活費の一部だとして考えるようになっている社員にすれば、新規事業で失敗して賞与が減ったら生活がままなりません。

しかし、もし新規事業に失敗しても評価が下がらず、昇給・賞与が下がらないと約束をしたらどうでしょうか。

きっとたくさんの手が挙がるでしょう。

誰もが新規事業という言葉に胸をときめかせるでしょう。1人の社員が1回の人生で新規事業を担うチャンスはそれほどありません。だからやってみたいという気持ちはあるでしょう。ところがどうしても、そのマイナス評価があるために、手を挙げることができないのです。

それを、「当社は新規事業をやろうとしない、意欲のない社員が多い」という表現の仕方をしてはだめなのです。本当であれば手を挙げるはずなのに挙げていないとすれば、当社にその社員の意欲を妨げる何かの阻害要因があると考える方が、筋が通っています。

もし成長シートがあって、成長点数だけで評価され処遇が決まるとしたら、この会社は新規事業で失敗したことをマイナス評価しないことがはっきりわかっていますので、ガラリとその社員の反応がプラス方向に変わります。

社員の行動をおかしいと思わずに、我が社の何か評価や処遇の決め方に問題があると考えた方が、楽に問題を解決できるでしょう。

「全社員の反応がおかしい」と思ったら、一度、我が社の阻害理由を考えてみてください。


第54話 賃金制度の本来の目的とは

2021-02-16 [記事URL]

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※2/23は祝日のため、来週の「今週の提言」はお休みいたします。
 次回の「今週の提言」は、3/2の配信予定です。

賃金を上げる賃金制度と賃金を下げる賃金制度、不思議に思う方は多いでしょう。

賃金制度とは、会社の業績と社員の成長に合わせて賃金がどのように決まるのかを説明する仕組みです。
ところが最近、大手企業の「働かないおじさん」の評価と賃金が一致してない問題がクローズアップされています。その解決策として、ジョブ型雇用を導入し、その際に作成するジョブディスクリプション(職務記述書)とその社員の賃金を照らし合わせ、賃金をカットしようとしている会社があるとうわさされるようになりました。

これはバブル崩壊のときの成果主義の再来といえるでしょう。もともと人事制度は社員の成長を支えるために構築・運用されるものです。万が一、社員の賃金カットのためにジョブ型雇用を導入しようとするのであれば、これは片手落ちと言わざるを得ません。

なぜなら、評価と賃金が一致しない状態をつくったのが現在の人事制度だからです。そして、その人事制度を運用しているのは、その会社であることは紛れもない事実です。そうであれば、どうしてその評価と賃金のギャップが生じたのかを明らかにする必要があるでしょう。

そして、その評価と賃金のギャップを埋めるために会社で運用する仕組みが、教育制度です。教育制度が不十分なため、社員の評価が高まらないまま賃金を上げたことになるとすれば、その評価を高めるための教育制度の見直しが至急に求められることになります。もしこの教育制度があれば、働かないおじさんはその教育制度に基づいて努力し成長することになるでしょう。

「働かないおじさん」と言われて、嬉しい顔をする社員はいないでしょう。もっとも自分では働かないおじさんという評価をされてるかどうかも気が付いてないかもしれません。その社員に突然あなたの評価と賃金は一致しないと言われた社員も困るでしょう。なぜなら、「おじさん」と言われる以上は、50代以上の社員であることが想定されるからです。定年まで残り10数年しかありません。

同じことが二度とあってはいけないと思います。この評価制度が、社員がどこまで成長したかを説明することができれば、その不足することを今すぐ教育制度に盛り込んでその社員を教育すべきだと思います。会社で副業を認めることがニュースになっていますが、そのこと以上にこの働かないおじさんを教育する制度を明確にして取り組むことが優先順位は高いです。このような社員を二度と会社では生み出してはいけないと思います。

全ての仕組みは同じ問題を繰り返さないためにつくります。しかし、同じことを何度も繰り返してしまうのは、そのときの問題点が何であるかを明らかにせず、仕組みにして解決してこなかったことが最大の理由です。

今ある問題をひとつひとつ解決することがとても重要です。特に教育制度は、今いる優秀な社員と同じように全ての社員を優秀にするための制度であることが最も重要であり、そしてその教育は我が社の中で完結することを知って頂くことが必要でしょう。

人事制度は4つの制度(成長支援制度、ステップアップ制度、賃金制度、教育制度)が有機的につながっています。一部だけ見直ししてもなんら抜本的な解決にならないことをもう一度確認して欲しいと思います。


グリンリーフ株式会社様(有機農産物の栽培・加工・販売 群馬県)

2021-02-12 [記事URL]

成長塾の人事制度は従業員の成長が会社の業績に反映されていきます

2016年、2017年と2年続けて成長塾を受講し、人事制度づくりを学ばれた
グリンリーフ株式会社 代表取締役社長 澤浦 彰治氏に、
その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 グリンリーフ株式会社
所在地 〒379-1207 群馬県利根郡昭和村赤城原844-12
資本金 9,550万円
設立 1994年
従業員数 約200名(グループ全体)
事業内容 有機農産物の栽培・加工・販売
URL  https://www.akn.jp/

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1.生産から加工・流通まで手掛ける農業生産法人

― グリンリーフの会社概要をお聞かせください。

グリンリーフ様の商品やパンフレット当社は有機栽培にこだわり、群馬の名産であるコンニャクをメインに各種野菜を生産する農業生産法人です。野菜生産のほか、漬け物や冷凍野菜、お料理セットの加工品などの製造も展開。それらを全国のスーパーマーケットや生協、外食産業などのお客様に届けています。

標高300~800m、赤城山の山麓に広がる豊かな大地に適地適作、単品目だけではない輪作体系、ハウス栽培などを取り入れ、生産から加工・流通までを自分たちの手で行っています。また、グループ会社が一体となった明確なトレーサビリティを構築しており、一年を通じて安心・安全な商品を安定してお届けすることができます。

グループ会社の社員が利用できる事業所内託児所当社の特徴は女性を積極的に採用していることでしょうか。役員も半数は女性です。その理由は、あるとき「小さな子どもを抱える女性は、働きたくてもなかなか採用されない」という話を耳にしたからです。小さな子どもを抱える女性は急な休みや長時間働けないという理由で採用されにくいようですが、我々とすれば、派遣社員を採用するよりも働く意欲が旺盛な女性を採用した方が生産性は向上すると判断しました。そのために、2016年には託児所もつくりました。託児所開設後に十数名の女性を採用していますが、皆さん頑張って働いていただいています。

今後については、農場に投資をして規模拡大を目指していく予定です。現在、耕作放棄地の増加や農業の再編が進んでおり、業界全体が混沌としている状況です。我々としては、こうした機会だからこそ農場にしっかり投資し、生産性の高い農場をつくりながら農業で従業員が働いて生活できる仕組みづくりを構築したいと考えています。これから5年ぐらいかけて実現させたいですね。

2.曖昧な給与体系を明確にしたい

― 成長塾を受講したきっかけをお聞かせください。

澤浦社長給与体系を明確にしたいという想いがきっかけです。当社は社員およびパートを含め、グループ全体で約200名の従業員が働いています。従業員それぞれのポジションに応じて給与を決めていますが、私の頭のなかにあるものを適用しているだけなので、なにか「モヤッ」とした感じで具体性がありませんでした。たまに従業員から評価方法や将来に向けたキャリアアップについて聞かれることもあるのですが、はっきりとは答えられませんでした。

また、地域のなかで他社と比較したとき、当社の従業員には高い給与を支払ってあげたいという気持ちがありました。しかし、業績と結びつかない高い給与を支払っていては会社が成り立ちません。従業員の能力が向上して会社の業績が良くなり、同時に給与も上がっていくのが理想です。さらに、事業規模が大きくなり組織化されてきたときに、そこでリーダーになる従業員の給与が上がっていく、新しく部門ができてくればその責任者になった従業員の給与が上がっていく仕組みを構築したいと思っていました。

― その仕組みとは人事制度ということでしょうか。

そうですね。私の頭のなかにある仕組みを具体的に示し、人事制度にしていく必要があると考えました。ところが、具体的にするための手段や道しるべがありません。大企業の成功事例を羅列したビジネス書なども数多く読みましたが、どれも当社にはフィットしないものばかり。当社の経営計画書にリンクしない評価基準や人事制度の話が大半で、参考になりませんでした。

3.人事制度構築のバイブルに感銘を受ける

― 成長塾にたどり着いたきっかけをお聞かせください。

実は松本先生の話は、私の友人が主催したある経営者団体の2012年の講演で拝聴させていただきました。その友人は「松本先生の人事制度は良いよ」と話しており、拝聴した私自身も「これは良さそうだ」と感じました。ただ、このときは人事制度の導入を考えていなかったため、具体的な話には進展しませんでした。

書籍『社員が成長し業績が向上する人事制度』その後、松本先生が執筆された人事制度構築のバイブル『社員が成長し業績が向上する人事制度』(日本経営合理化協会)を目にして思い出し、あらためて拝読させていただきました。すぐに「これはいける」と思いました。そこで、さらに十数冊を購入し当社の幹部に配布して読ませました。幹部会議で松本先生の人事制度についての意見を聞き、反対意見がなかったので私と専務が成長塾を受講することになりました。

4.成長塾を2回受講

― いつ成長塾を受講されましたか。

2016年に私と専務が成長塾全6回の講座を受講しました。まず、松本先生が指導されている人事制度の全体像や基本的な考え方を学び、その後に成長支援制度づくり、ステップアップ制度(昇進昇格制度)、賃金制度づくり、人事制度づくり、運用方法などのノウハウを学びました。ただし、1回の受講だけでは理解できないところがあったため、私だけ2017年にもう一度受講しました。

― もう少し詳しく再受講した理由を教えてください。

習得したつもりでも、いざ取り掛かってみると「これはどうすればいいのか」の連続で、なかなか運用するまでには至りませんでした。とくに成長シートで優秀な従業員を可視化することが難しかったですね。例えば、重要業務と知識・技術が一緒になっていたり、同じ成長要素が複数出ていたりと、まとめることが大変でした。

従業員のポジション別に成長シートを作成していたら30種類以上になってしまい、収拾がつかなくなっていたのも運用を妨げる要因でした。例えば、一般の従業員でも製造、開発、総務、経理、栽培、営業、資材、流通、野菜営業、野菜の品質管理、保育などのポジションがあり、さらに一般の従業員をまとめるマネージャーというポジションも加わってきます。農場・工場・食品製造・営業といった大まかなカテゴリーで共通する部分が必ずあるはずと、まとめる作業に必死でした。結局、悩んでいても埒が明かないと思い、再度受講することにしました。

運用の手前まではきていたので、2回目の受講時は具体的な評価の仕方や仕組みなどをピンポイントで学ぶことができました。

⇒成長塾についてはこちら

5.2019年度から本格的に運用

― 人事制度はすぐに導入されたのでしょうか。

成長塾の受講後、すぐに人事制度を導入しましたが、当時は成長シートづくりに右往左往している状態。本格的な運用は2019年度からです。そのとき、従業員全員に「従業員の成長のための人事制度を導入して働き方を明確にします」というアナウンスもしました。

― 人事制度の導入後、どのような効果を得ることができましたか。

2018年11月~2019年10月期をBefore、2019年11月~2020年10月をAfterとした、成長塾受講による人事制度導入の定量的成果を以下に示しました。

業績

― 2019年11月~2020年10月は売上が大幅にアップされていますね。

新型コロナウイルスの影響で多くの食品関連企業が軒並み業績を下げていますが、当社はスーパーマーケットや生協などの宅配事業が伸びたおかげで業績がアップしました。ただ、売上は市場の状況に左右されることもあるので、あまり重視はしていません。松本先生もおっしゃるように大事なのは粗利益ですね。

2019年から当社は粗利益が高い商品開発に取り組み、今期の売上に貢献した新商品がいくつかあります。また、人時生産性を高める業務の効率化に取り組んだことも大きかったですね。当社としては、売上よりも粗利益が大幅に増加したことに満足しており、それこそが今回の人事制度導入の大きな成果だと思っています。

6.従業員同士が意見を出し合う効率改善活動を開始

― 人時生産性を高める業務の効率化について詳しくお聞かせください。

工場松本先生の人事制度は、人時生産性を高めることを重要視していますから業務の効率化は必須。しかも、2019年度は退職者が多かったこともあって、業務の効率化は最重要課題でした。

そこで、従業員同士が意見を出し合う月2回の改善会議を設け、小さな改善を積み重ねていく効率改善活動を開始。具体的な効率改善活動としては、事務業務における1件あたりの伝票処理の短縮化に取り組みました。処理のフローや伝票の形式を変えることで、2019年は4分28秒だったのに対し2020年は3分47秒に短縮。これによって生み出された時間は、別の事務業務にあてること
ができます。

野菜くらぶほかにも以下のような改善を行いました。
・輸送運賃を下げるため、Excelで表を作成して最安値を算出
・商品に混入ミスがないようにシールを貼って対応
・検品のスピード向上を図るため、パレットから台車に変更
・処理の手法を変更して野菜のスライス時間を短縮

さらに、効率改善活動に対して「どこが良かった・どこが悪かった・次はこんな改善をしよう」といった意見を出し合う業績評価会議を毎月1回実施。これによってPDCAのサイクルが回り、業務が日々効率化されていきました。

7.従業員一人ひとりから高いモチベーションを感じる

― 澤浦社長から見た定性的な効果についてはいかがでしょうか。

従業員のモチベーションが高まったと感じます。仕事のやりがいに加え、それにともなった所得の向上、この2つがモチベーションに欠かせない要素だと思っていますが、今回の人事制度の導入によってそれがもたらされたと考えています。

仕事のやりがいとは、前述した効率改善活動の部分にあたります。自ら効率改善活動に関わって成果が見えれば、従業員は大きなやりがいを感じます。すぐに成果が見えなくても、改善会議や業績評価会議を通じて部門内でのコミュニケーションが活発化されますので、積極的に仕事に参加している感覚が強いと思います。

所得については、業務が効率化され、人時生産性が高まり、粗利益が増えれば、それが給与に反映されることを従業員全員に対してオープンにしました。「粗利益が多くて労働経費が少なければ賞与原資が増える」「粗利益が少なくて労働経費が多ければ賞与原資が少なくなる」という単純な構造ですが、仕事も給与も可視化できたおかげで従業員一人ひとりから高いモチベーションを感じます。私としても、みんなが同じ方向に向き始めたことに大きな期待感を抱いています。

― 業務の効率化で残業時間は減っていますか。

成長塾の受講以前は、残業が1か月あたり100時間を超えるのが当たり前でした。今となってはお恥ずかしい話ですが、1か月120時間の残業をして「よく働いた」といって褒めていたほどです。しかし、人時生産性を追及するようになってからは、繁忙期を除いて残業は原則45時間以内としました。労働時間が短くなっても給与は下げない方針を従業員に伝え、効率的な短時間労働で結果を出す働き方にシフトしたわけです。これにより、従業員は疲弊することなく、いつもフレッシュな気持ちで業務に臨めるようになりました。

8.ポジショニングによる働き方を前進させる

― 今後の事業展開をお聞かせください。

当社はもともとポジションに応じた給与を設定していましたが、松本先生の「一人ひとりに働き方を選ばせてカスタマイズしていけばいいんですよ」という話を参考に、ポジショニングによる働き方をさらに進める予定です。すでに、フルタイムで働ける総合職、専門的な仕事ができる一般職、子育てなどによる時間制限がある限定職という3つの働き方は選択できるようになっています。

3つのポジションはベースとなる成長給が異なります。例えば、限定職の従業員は早く帰宅したり、子どもの病気などによる突然の休暇が許されている分、総合職や一般職の従業員よりも成長給は低く設定されています。こうしたポジショニングを設定することで、子どもを持つ女性は堂々と働ける、そして堂々と休めるわけです。ポジショニングはすべての従業員にオープンになっており、給与の部分で公平性を担保していますから不平不満は出ていません。

このポジションによる成長給のほか、勤続給、成績給、特定時間給、皆勤手当などを整えた新たな給与制度を2021年4月から運用する予定です。

9.すべてが連動し線となって結びつく素晴らしい人事制度

― 人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

まず、いろいろ考えるよりも松本先生の人事制度を導入した方が良いと思います。受講して運用し始めると「できていないこと」がたくさんあることに気づきます。「できていないこと」が分かったら「どうしたらできるか」一つずつ解決していくことが大事。それが自ずと従業員の成長とともに会社の業績に反映されていきます。こんな具合に、すべてが連動し線となって結びついているのが松本先生の人事制度の素晴らしいところですね。

― 最後に今後の人事制度の運用についてお聞かせください。

実質2年の運用だけでこれだけの結果が出たわけですから、松本先生には本当に感謝しています。もちろん、人事制度の仕組みに完璧はありません。成長シートについても、これから随時更新していく必要があると思っています。松本先生に助言をいただきつつ、当社にとって最適な人事制度づくりをブラッシュアップしていきたいと考えています。引き続き、よろしくお願いいたします。

顔写真

グリンリーフ株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


グリンリーフ株式会社様のホームページ
※ 取材 2020年11月


第53話 なぜ新米の上司は部下指導ができないのか?

2021-02-09 [記事URL]

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「どうして部下指導が上手にできる中堅職の社員が少ないのでしょうか?」

多くの経営者は中堅職の社員に部下指導をしっかりやって欲しいと期待をしていますが、期待しているほど部下指導が上手にできていないと感じているようです。しかし、これには大きな誤解があります。

日本と欧米ではステップアップの考え方が全く違います。日本では、一般職層で優秀だと評価を得た社員を、中堅職層にステップアップさせます。しかし欧米では、一般職層で優秀な社員であるかどうかはあまり問いません。大切なことはマネジメントの経験があるかどうかです。もし経験がないのであれば、経営学修士(MBA)を修得しているかどうかを尋ねるでしょう。

今まで成長塾を受講された1,301人の経営者に尋ねたことがあります。
「中堅職層にステップアップさせる社員に『あなたはMBAを持っていますか?』と聞いたことがありますか?」。
この質問に「イエス」と答えた経営者は一人もいませんでした。1,301人中ゼロ人です。

つまり、一般職層で優秀な社員が中堅職層にステップアップする時には、部下指導を行うためのマネジメント知識や技術がないままに部下を任されるのです。これは何を意味するでしょうか。

中堅職層の成長シートには、必ず「部下指導」という重要業務が加わります。この部下指導を評価するときに、中堅職層にステップアップしたばかりの社員の成長基準は1点からのスタートになります。このことを経営者は忘れています。

期待はするでしょうが、この部下指導という重要業務が成長基準1点から5点へと成長するためには、相当の期間が必要でしょう。プレーヤーの一般職層を卒業するために仮に10年かかるとすれば、この部下指導ができるようになるためには、10年以上かかると考えなければならないでしょう。

一般職層は、「自分で仕事をして自分で成果を出す」階層ですので、うまくいかない理由は自分ではっきりと分かります。しかし、部下指導には相手がいます。部下がどう考えているのか、上司にはそのことが分かりません。相手のあるこの仕事が上手にできるようになるためには、1年や2年では無理です。相当な年数がかかるでしょう。

部下を持った最初の数年は、上手に部下を指導することができなくても当たり前でしょう。大手企業と違って中小企業では、上司の言うことを聞かないという困った相談もあります。それならまだいい方かもしれません。上司に反発する部下がいるという相談もあります。

しかし、このような部下に上手く対応できないからといって、その上司が、部下指導が不得手である、適性がないと勘違いしないように経営者が前もって説明する必要があるでしょう。

まさか上司が「部下指導が不得手です」と言ったことを受けて、経営者が残念そうに「そうか。では君から部下を外そう」と応じてはいけません。上司になった社員には、前もってこの事実を伝えておかなければなりません。もちろん管理者研修やマネジメント研修は必要でしょう。しかし十人十色の部下に対して、研修で学んだことが全てその通りストレートに全部下に役に立つことはあまりありません。

部下指導は実践です。徐々に部下が成長することイコール部下指導が出来るようになることに気がつかなければなりません。このことを前もって説明していないために、せっかく中堅職層にステップアップさせた優秀な社員を、また一般職層に戻してしまった経営者もいます。

日本には日本のステップアップの仕方があります。いわゆる「卒業方式」で中堅職層に上げていることを知ってください。そしてじっくりと部下指導の仕事に就かせてもらいたいと思います。

部下指導ができることによって、社員は3倍、5倍の組織貢献、そして世の中に対する貢献ができます。とてもやりがいのあるこの仕事を避けることのないように、その目的や成長の仕方を事前に説明することが必要です。


厚生労働省の「中小企業も働き方改革 成功の秘訣はやわかりガイド」に成長塾修了企業が掲載されています

2021-02-03 [記事URL]

成長塾修了企業の方々が厚生労働省の「中小企業も働き方改革 成功の秘訣はやわかりガイド」に掲載されています!

1.株式会社群協製作所様(群馬県)

働きやすさ確保で優秀な人材獲得へ

群協製作所様の記事はこちら

2.鮮コーポレーション株式会社(広島県)

成長の「見える化」で社員の毎日を「鮮やか」に

鮮コーポレーション様の記事はこちら

3.株式会社WORK SMILE LABO(岡山県)

事業の構造転換を進める中で改革を進展

WORK SMILE LABO様の記事はこちら


第52話 経営者が組織風土を変える一言とは

2021-02-02 [記事URL]

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「この環境なのに組織が一丸になれません。どうしてでしょうか?」

経営者は、成果を上げるためには組織が一丸となる必要があると経験上わかっています。ところが、なかなか組織が一丸になれないという相談が多いのです。それも様々な経営施策に取り組んでいながら、という場合が多いようです。

特に不思議なのは、「人事制度を導入したのに社内がバラバラになった、組織風土が壊れた」という相談です。今までは評価の内容や処遇の決め方が曖昧であり、社員にとって不安であった状況を改善するために人事制度を導入したのに、どうして組織風土が悪くなるのか、経営者には理解ができないようです。

たとえば、人事制度をつくった後に次のような発言をしていたら組織風土は自ずと壊れます。「頑張った社員にはたくさん昇給・賞与を出す」という発言は、実は最悪な発言と言えます。

社員が100人いたら、1番トップの社員と100番目の社員では、当然ながら昇給・賞与は違います。頑張ったとしても、社員が一般職層を卒業するためには約10年かかりますので、入社当時は成長点数が低くて小さな昇給・賞与になるでしょう。

ところが、頑張った社員には昇給・賞与をたくさん出すという発言は、この金額の差は頑張ったことに対する経営者の評価と言わざるを得ません。経営者が頑張ったかどうかを判断する最初の項目は成果です。そうなると売上の高い社員は頑張っていて、売上の低い社員は頑張っていないことになります。

そして成果の高い社員は昇給・賞与が多いと説明したら、もうこの段階で組織は完全に崩壊します。もう成果の高い社員は、成果を上げるやり方を他の社員に教えません。

組織が一丸になって組織運営するときの特徴は社員同士の仲が良いということです。仲が良いと言っても、趣味のサークルではありませんので、1つの目標に向かって社員が切磋琢磨して全社員が教えあって一緒に成長することで会社の業績が良くなります。

すべての社員がたくさん賞与をもらいたいと思っています。そして、その優秀な高い成果の社員がそのことを強く思ってしまったら、高い成果を上げているやり方を他の社員に聞かれても教えようとしません。

今までだったら困っている社員がいたら教えていたはずなのに、経営者が頑張った社員にはたくさん出すという NG の発言をすることによって、気がつかないところで組織を壊しているのです。このような理解をしてしまった組織は、とても一丸となることはできないのです。

具体的に “一丸” というのは、優秀な社員がまだこれからだという社員に寄り添うようにしっかりと指導している、教えている状況をいいます。どんな規模であったとしても、できる社員とそうではない社員はいるのです。それでもそんなこと関係なしに一緒になってゴールに向かう。これを一丸となっていると言います。

経営者のその発言によって社員がどのような理解をするかを経営者は前もって知らなければなりません。社員の立場になって考えることがとても重要です。組織風土が壊れて一丸になれなくなった理由は、このケースの場合、社員を競争させる間違った人事制度をつくったからです。

どんな場合も問題が起きたときに、なぜなのかを、きちんと原点に戻って考えなければなりません。


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