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第48話 環境適応社員を見つけ出そう

2021-01-06 [記事URL]

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「2021年、まだどのように経営をしていけばよいのかわかっていません。今年はどのような計画を立てたらよいでしょうか?」

この悩みはすべての経営者の共通の悩みでしょう。特に、売り上げが下がっている業界の経営者には大きな問題でしょう。

ところが、ある原則を思い出してもらえれば打つ手はあります。それは組織原則2:6:2です。

私は44年前、町の小さな魚屋に入社しました。やる気のある人はあまりいない会社でしたが、組織原則2:6:2はありました。つまり、比較して優秀な人が2割、まあまあの人が6割、これからだという人が2割です。

この会社は16年後に売り上げが55倍超の年商167億円の会社になりましたが、実はこのときも組織原則2:6:2がありました。どんな売上規模でも、どんな経営状態でも、どんな経営環境の変化があってもこの組織原則2:6:2は存在しているのです。

それであれば経営者は、成果の低い下の2割の社員に悩むよりも、成果を上げている上位の2割の社員が、どのようなことをやっているのかを調べることです。間違いなくそこに今後の企業の成長の方向性があります。

優秀な社員は「環境適応社員」と私は名付けています。つまり、そのときの環境に合わせて仕事を変え、成果を上げていく社員です。この社員のやっていることをすべての社員に共有化すれば、基本的にこの社員と同じような高い成果を上げることができます。

仮にこの優秀な社員が前年対比90%だとしても、会社全体の業績を向上させる可能性はあります。なぜなら、このとき会社全体の業績が前年対比80%だとすれば、中には70%の社員もいます。前年対比70%の社員が、前年対比90%の社員のやり方を学んで実行したら、同じような成果が上がります。この70%の社員が90%になったときに発言することは次の通りです。

こんな環境でもやることをやれば成果を上げることができる

「どんな環境でも成果を上げることができる」と成果の低い社員が思ったのです。そして一方では成果を上げている上位の2割の社員は自分のやっていることに間違いがないことが他の社員が成果を上げたことによって確実になり、「では、もう少しこんな工夫をしたらどうだろう?」と新たなアイデアが生まれてきます。そして上位の2割の社員はまたそこに挑戦をし、今まで以上の成果を上げることになります。

経営環境が厳しいときには何をやってもダメという諦めのムードが社内に生まれるでしょう。その中でも何かちょっとした工夫改善により、成果が上がることを社員が知れば、それは次の行動を起こす大きな原動力となります。

「業績が厳しい」は社員の成果の平均値を見たときの経営者の思いです。そこを見るのでなく、高い成果を上げている社員がいることをもう一度確認して頂きたいと思います。

同じ業界であれば、この確認をした会社がその業界で最も早く業績を回復することになるでしょう。今すぐその高い成果を上げている社員が何をしているかを調べて頂いて、全社員を元気にしてください。


株式会社和晃様(設備工事業 滋賀県)

2021-01-01 [記事URL]

人事制度は会社を自立させるためのバイブルです

※掲載内容は2016年の取材に基づくものです。
  2021年現在
  取締役会長  永田竜太郎 様
  代表取締役  永田修 様


成長塾第72期を受講し、人事制度づくりを学ばれた
株式会社和晃 代表取締役 永田竜太郎様に伺いました。

●会社プロフィール
社名 株式会社和晃
所在地 〒529-1422  滋賀県東近江市五個荘小幡町55-6
資本金 2,000万円
設立 1973年
従業員数 正社員19名
事業内容 設備⼯事業
URL  https://siteoffice-wako.co.jp/

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1. 和晃 について

― まず、和晃様について教えてください。

三方よしで有名な近江商人発祥の地の1つとして知られる滋賀県の五個荘地区というところで事業をしています。業種としては設備業ですが、一般の設備工事ではなく、生産工場などで出てくる特殊な排水を処理する設備や、有害物質を除去する換気設備を引き受けています。

昭和48年に私の父が創業し、私で二代目です。現在で44期になります。元々は父が50歳くらいのときに地元でLPガスを供給している商事会社のガス工事や住宅設備工事の部門を分離して立ち上げたのが始まりです。

― 事業承継されたのはいつごろですか。

私自身は大手のゼネコンに勤めていて、当時はシンガポール支社にいました。このまま順調にいくんだろうなあと思っていたときに、日本にいる父親から2枚のFAXが届きました。そこには会社の状況などがびっしり書いてあったんですが、要約すると「会社を継いで借金をつぐか、会社を継がないで借金をつぐか」ということだったんです。

当時は3人目の子どもが生まれたばかりで、4人目の子どもが妻のおなかにいることもわかっていたのでかなり悩みました。でも、何もせずに諦めるよりもどこまでやれるのか自分を試したいという気持ちが最終的に強く働いて、引き継ぐことにしました。それがちょうど2000年、そのときおなかにいた子が4月から高校生になります。帰国して2年後に代表取締役に就任して交代し、今に至ります。

帰国してからは債務超過解消のために必死で仕事をしました。もともとは住宅設備や公共工事を多くやっていたんですが、シンガポールにいたときにいろいろな民間企業の工場の立ち上げのプロジェクトなどにずっと関わっていて自分の得手だったこともあり、工場の付帯設備工事を主業にしようと舵を切りました。それが結果的にいい方へ働き、順調に売上を伸ばしました。

2.社員数が10人を超えて人事制度が必要だと感じた

― 資料を見せていただくと、会社を引き継がれてからは順調に来られたように感じます。その中でどうして人事制度をつくりたいと思われたのでしょうか。

社員を絶対に辞めさせたくなかったので、そのためには儲けなければならないと、とにかく昼夜働きました。昼間は設備工事をして夜は会社の事務の仕事をしていましたね。社員の人には「とにかく外に出て工事を取ってきてくれ。稼いできてくれ」と言っているような感じで、個人事業主の集まりみたいでした。

5~6年そうしたことが続いているうちに儲けがそれなりにあって、社内で「和晃バブル」と呼んでいるんですが、ぽーんと大きい工事を続けていただいて、1年ごとに売上が1億円ずつ上がっていくことが続きました。

当然その中で債務超過も解消されたんですが、結局私の仕事が売上の半分以上を占める事態になっていて、会社として形になっていない状態でした。

でも売上が上がってくると人も欲しくなるので2004年頃から高校の新卒採用や中途採用を始めたんです。しかしなかなか育たないし「これはあかんな」と思い始めました。どう育ってほしいのか、漠然としたイメージはあるんだけれども、具体的には、先輩社員とペアにして働かせているくらいでした。

そんなときに社員が10人を超え、就業規則を届出する必要性が出てきて、社労士さんと「評価制度は大事ですよ」という話になったんです。それでいろいろサンプルや他の企業の事例を持ってきてくれるんですが、やっぱり馴染まないんです。それが社員をきちっと評価してそれを処遇に反映する仕組みが必要だなと気付いた発端でした。

3.「2日間でつくりましょう」という謳い文句に惹かれた

― そこからどこでENTOENTOを知られたのでしょうか。

仕組みづくりが大事だと思って自分なりにも勉強をして、ネットで調べていたら松本先生のHPがヒットし、平成19年4月にセミナーに参加しました。
「2日間で人事制度をつくりましょう」という謳い文句で、「何を言うてはんねん。2日でできるわけないやろ」と思いながらも、怖いもの見たさで参加しました(笑)。

そのセミナーの中で「給料やボーナスの決め方は、皆さんの頭の中にあるんです」「それを私がこれから説明する仕組みに落とし込んだら人事制度はすぐにできます」という言葉が腹に落ちました。どうせやるんだったらこういう考え方でやりたいと思いました。そのときは結局できなかったんですけどね(大笑)。

平成21年に東京で第72期成長塾を受講して、その年の7月には成長シートだけ運用スタートしました。翌年には京都の第85期成長塾を幹部社員と4人で受けて、そのあとに給料と賞与をリンクさせる処遇制度を運用開始しました。だから今7年目に突入したところです。

4.みんなにちゃんと給料を分けたいと思った

― 新人を育てる仕組みがなかったということ以外に、人事制度に取り組む以前から問題だと感じられていたことはありましたか。

賃金についてですね。当時、何人かの社員は月額固定制みたいな感じで給料を払っていました。創業者が決めたことだったので、なんでそういう風になっているのかが最初わかりませんでした。残業代を抑えるためだと思ったら、人によってでこぼこしている。そこは怖くて聞けないし触れないし、何年かは放置した状態で、「とにかく頑張って働いて行こう」という状態が続いていました。結局本人の売上や業績や能力と何ら結びついてないと感じたんですが、実際に不明確なんで分かりにくかったことがまず問題として大きかったです。

債務超過を解消した以降も売上などが割と順調に伸びて、やっぱりみんなにちゃんと給料を分けたいと思いました。「儲けは山分けや」といっても山分けのルールを何も決めていなかったので、非常に悩みました。儲けをどのくらい会社のために残しておくのかや昇給をどのくらい上げたらいいのかということが最初はわからなくて、日本のGDPに合わせて上げてみたりしていました。

― 人事制度をつくり始めてから感じた問題はありましたか。

やっぱり、頑張った人が頑張った分だけ昇給・賞与が変わっていくという考え方が必要だなとは思っていたんですが、そこがいい加減だったなと思います。

それから問題というか不安だったのが、みんながつくった成長シートに馴染んでくれるかということです。成長塾で言われる「一番優秀な人をモデル」にしてつくっていけばつくっていくほど、「これやったらいけるやろな」と思いましたが、「自分はもうちょっとこうなのにな」とちょっとレベルを上げてしまったりして、果たして社員に導入できるかなと感じましたね。でもとにかく成長シートから運用を始めました。

― 人事制度をどのように運用されていったのかを教えてください。

平成21年2月に成長塾に1人で参加して、(当時は1か月に1講座で6か月かけていたため)成長塾を修了した7月から成長シートの運用を開始しました。導入したのは技術職と事務職の一般職層と中堅職層です。フィードバックは同じ年の9月から行っています。その後平成22年2~7月に幹部と成長塾に参加し、7月から処遇制度も運用を開始しました。

5.創業者の想いを大切にしたかった

― 会社を引き継がれた際に、創業者であるお父様とはそういったお話しをされたのでしょうか。

毎日朝礼で唱和している「社員心得」
全くないです(笑)。引き継ぐという話は先ほどの2枚のFAXだけですね。会社のみんなは知ってますけど仲は悪いです(笑)。実は「何だったら辞めたるわ」といって出て行ったことも何回もありました。

でも、何もないところから立ち上げた創業者精神というものを非常に尊敬しているんです。ですから創業者のつくった毎日朝礼で唱和している「社員心得」を大切にしたいと思っていました。ですから人事制度をつくるときにはこれらをもとにしました。

― 社員心得を毎日唱和するのはいつごろからされていたのですか。

私が会社に帰ったころにはありました。父がつくって、毎日朝礼で念仏のように唱和する習慣になっていました。

6.成長シート運用成功の秘訣はフィードバック

― 導入されたのは先ほどお話のあった「ちょっとレベルを上げてみた成長シート」ですか。

はい。何度かやりとりして松本先生に添削してもらいましたが、成長塾では「すぐ始めなさい」「出来損ないでもいいからとりあえずやりなさい」「1日も早くスタートさせなさい」と繰り返し言われていたので、とりあえずということで成長シートの運用をスタートさせました。その中で特に力を入れたのがフィードバックです。

成長点数をつけたら終わり、じゃなくて、本人に「どういうところができていて、どういうところがあかんのや」という話を個別にきちんと説明しなかったら意味がありません。本人も意識づけしやすいですし、後々伸びてくるスピードも違います。始めた当時は「とにかくしっかり話をして成長点数を本人に伝えよう」ということでやっていました。

― 永田社長が全国大会(第5回<青森>)で発表された「フィードバックシートは部下へのラブレター」という名言は、成長塾でよくお話しさせていただきます。

自分では恥ずかしくて中々言えないんですけど(笑)。それくらいの気持ちでやっていこうと社内で常に話をしていました。

― 評価決定会議(現:成長支援会議)の議事録にフィードバックについて書かれていますが、フィードバックは上司の重要業務とされていたのですか。

成長要素とは別に話していました。最初の頃はフィードバックの仕方もみんなまちまちだし雑談で終わったり、個人的な話に突っ込んだりしていました。でもとにかくフィードバックの心構えはしっかり根付かせたくて、このように書いて伝えていました。

その頃はまず心を込めて手で書いてその人のためを思って作り込む。それを渡して説明する。これはもうほんまに告白と一緒やなみたいな。だから「ラブレター」という言葉が出てきたんですけど、だから「そういうことをとにかく理解してちゃんと見てよ」ととにかく伝えていました。

その他にも「教えるのではなく教えさせてもらう。自分のように染めるのではなく、個々の色に染めることを意識して臨んでください」ということも話していました。

まずは人対人。ちゃんと信頼関係をつくっていくという意味では、「フィードバックはとてもいい仕組みやな」と思ったので、特に手抜かずにやっていこう、一個一個の成長要素を丁寧に確認して書く行為そのものが大事にしようと思いました。

― 1枚のフィードバックシートをどのくらいかけてつくられましたか。

フィードバックの面談で1時間話すと思ったら1時間かけてつくっています。それから回数を重ねてくると同じことを何回も書いてしまったりして、紙ベースでつくることに限界を感じて最近はデータとして残せるようにしています。

― 最初、フィードバックを嫌がる上司の方はいらっしゃいませんでしたか。

それは幸いなことになかったですね。みんな恐る恐るながらも「一応やるで」と言ったら「分かりました」といって取り組んでくれました。「この先給料どうなるのかな」って不安はきっと抱えてたと思うんですが、導入した時期は業績が非常にぐっと上がっていたので、大きく減ることはないだろうという感じだったと思います。

― フィードバックするためには上司と部下の関係をつくる必要があったと思います。フラットな組織であった中で、どのように組織をつくられたのでしょうか。

成長シートを導入した際に組織上はリーダーを決めて部下をつけました。上司と部下の関係性ができたのはフィードバックをしていく中でのことです。

最初は「あの上司はいいけどあの上司は嫌」という意見が部下から出てくることもありました。ですから適当に区切りをつけて入れ替えたり、調整していた頃はありました。最近はあんまり大きな問題じゃなくなってきましたね。

― 設備工事をされていると、現場ごとにグループのメンバーが入れ替わることがあると思います。その際はフィードバックや評価はどうされるのでしょうか。

そうですね。きちっと縦割りにしてしまうと暇なグループや忙しいグループができてしまうので、その辺は柔軟に行ったり来たりしています。評価は基本的に現在の上司が行っています。

成長支援会議で集まって決めるので、見ていなかったところがあっても大丈夫です。3か月間まるまる別のリーダーのところに行っていて見れなかったとしたら、リーダー同士で情報をやり取りすべきでしょうし、外に出している方のリーダ-が役割上上司評価をするんですが、それがいいかどうかというのも会議の中ですりあわせできるので、そういう意味でも成長支援会議はいいですね。

― たくさんの部下を入れ替わりで見ていながらフィードバックをするために、メモをつけたりはしているのでしょうか。

そういうのは特にないです。知識・技術は特にそうなんですが、一回身に付いて4点だったものがいきなり次の3か月で1点になることはよっぽどじゃないとないと思います。そういった形で会議も何年もやっていくと、どうしても違うというところの指摘が出るくらいで、振れ幅はだんだん狭くなってきています。逆に良くできている部分や悪くなっている部分が目につきやすく分かりやすくなっています。

このフィードバックを通して、実は権限移譲もできたんです。それまでは私が全社員と個人面談をしていました。半期に1回、1人に1時間くらいかけていました。帰ってきたときは社内のことがわからないからということもあったんですが、それぞれのことがわかった気になれただけで、解決ということもできないし、そのうち解決できないことがストレスになってしまいました。

社長の個人面談というのは、自分の満足が得られるだけで、風通しが良くなるなんて間違いやったし、幻想で思い上がりだったんだと思いました。ですから今は私も直属の部下にしか面談、フィードバックをしません。

― 成長支援会議にはどのくらい掛けられていますか。

14名分が1時間くらいで終わります。最初は2時間くらいでした。また、最近はシートそのものに関する不具合の話が成長支援会議で出るようになってきました。みんな5点を取れる項目が出てきているので、それはもう入れ替えないといけない時期になってるのかな?と思います。

「これはこの言葉だけで捉えるとちょっと可哀想やで」という不具合も出てきたので、成長シートもマイナーチェンジをする時期に来たと思います。

7.最も高い成果を上げた社員の数字をハイライト

― 成長シートについてお聞きします。成長シートはこれまでにどれくらい変更されてきましたか。

最初の1年仮のシートを運用してから一回大きく変えた部分があります。2年目3年目以降はほとんど変えていないです。

それから一般職で一番上げられた実績をみんなに分かりやすいように「最高新記録や」みたいな感じで期待成果の5点に持ってくることを、3~4年前ぐらいからやり始めていますね。「これぐらいやれる人間が社内におるんや」と、そういうのをここにずっと書き留めています。うちの会社の最高新記録をハイライトしてあげることで、「こんな時期があったん」とか「この先輩こんなにすごいな」とかもわかりますし、こっちもそういう記録を確認できるので、これはずっと載せていこうと思っています。

― 一般職層と中堅職層は成長要素自体は同じで、成長基準とウェートが違うというつくり方をされていますね。

そうですね。期待成果は特に一般職層よりも中堅職層でウェートを高くしています。

― 「グループ員の成長点数(部下の伸びた成長点数)」だけで2.5も占めていますね。

成長塾で「絶対入れるように」と言われましたからね(笑)。

― 「教えられて伸びるんじゃなくて背中を見て自分で苦労させて育てるべきだ」というような声はありませんでしたか。

それをしていたら今につながっていないですね。たとえば誰が失敗したり苦労したりしたことをみんなが知り得るだけで、同じ失敗や苦労をしないで済みます。知らんがために同じ間違いをするっていうことは世の中にいっぱいあるじゃないですか。教えるということは、先輩や上司が失敗や苦労してきたことを疑似体験させることだと思います。そのほうが成長のスピードが結果的に上がりますよね。

成長塾でも言われますが、「教える人間が一番優秀だ」ということはまず導入の時に説明しました。「背中を見て育て」ということは成長シートの中に出てきませんから、教えることがしっかり根付きました。

8.モデルとなった優秀な社員には創業者の想いが伝わっていた

― 成長シートをつくるときに一番悩まれたところはどこでしょうか。

先ほどもお話ししたように、成長塾でも言われましたが「創業者が考えてきたこと」を大事にしたかった。会社を引き継ぐにあたって、成長シートは創業者の経営理念や社訓が身につくような構成にしたいという思いがずっとあったんです。毎日成長シートで仕事をしていたらいつのまにかうちのカラーや理念が伝わっている、という感じにしたかったのでそこにはすごくこだわりました。

「和晃十則」を分けると健康・前進・努力・人だなと考えて、たとえば健康であれば人が安全であるということですから、工事をしている我々にとっては「安全第一やな」ということから期待成果を「工事の無事故率」にしたりしました。

「前進」なら「儲けていこう」みたいなことだからと「人時生産性」という期待成果を導き出したり、創業者の想いと成長シートを合致させていくという作業をすごくこだわっておこないました。

事業を引き継ぐってやっぱり創業した人の想いを引き継ぐのが一番実は大事なんやなと思いました。いくら借金を返したとしても「パッと見たらやってること一緒やな」ってなったら意味がないわけで、その辺にとっても気づかされたというのがここですね。

成長シートは社内で一番できる人を分析して良いところを可視化してまとめていきましょうというのが、成長塾で教わるいの一番の部分じゃないですか。それをやっていく過程で、仕事のスタイルとか重要業務とか「親父がよう言っとった話があるなあ」「こういうことを大事にしてたんだよなあ」と見えてきました。

優秀な社員を分析することを通じて、父親がやろうとしてきたこと、どう社員を育てて会社としてどういう風に行きたいと考えていたのかが見えてきました。父がよく「騙すより、騙されろ。絶対に騙す側の立場になるな。正直にあれ」みたいなことを言ってたんです。それがモデルとなった優秀な社員から見えてきたりすると、「伝わってるな」ということが嬉しかったです。

それからかなり先生に相談してつくった項目が「クレーム改善数」です。これによってトラブルクレームに対する意識ができてきました。トラブルになったことを責めるんじゃなくて、みんなの前で発表して共有化したら同じ間違いをしなくて済むから、それを評価しようということにしています。週に1回15分の勉強会をやっているんですが、社内的にいろんなトラブルが出てくるんです。そういうのを掲示してみんなでどうすればこういうことを起こさずに済むかということを考えてコメントを入れています。

トラブルはつきものだという言い方をしたらだめですが、「起こったことに対して『じゃあどうすればいいか』ということをみんなに知らしめることのほうが大事やで」といってこういうことをやりだしてから、みんなの意識が変わってきたと思います。ミスは誰でもするし、毎回工事の内容が違う以上、クレームがないように取り組みはしますが出てしまうことがある。でもそれを「隠そう」みたいな雰囲気はなくなってきました。

― 成長シートに「売上高」という項目がないのがすごく特徴的だと思います。

成長塾で「売上は単価×件数ですよ」とよく言われました。我々は受注産業なので、見積を出すことで最終的な受注率が上がるし、良い見積もりであれば利益も当然出ます。ですから見積もりの提出がとっても大事だという認識はそれまでにもあったんです。どんだけ小っちゃくてもいいんですが、最初の取り組みとしては見積もりをたくさん出した社員が一番受注できるからということでそのようにしました。

もちろん、結局見積もりを出すというのは単に「FAXを送っておしまい」じゃなくて、「どうですか?高いですか?安いですか?」「こんなん安いわ」とか「こんなん高くてできへんわ」とかやり取りがあるわけです。そのプロセス、お客さんとそういった一対一の交渉がしょっちゅうですね。年間を通じてその人を見てあげたら、そのプロセスも含めて最終的には、「見積もりをこれだけ出したら受注はこれぐらいになる」と見込み件数みたいな数字が出てくるわけですね。そしたらあんまり売上とかざくっとした感じよりも本人がわかりやすいのが見積もり件数でした。

うちは商品を売ってなんぼじゃないですし、1個1個の案件が全部違うし、利益幅も変わってきます。ある時はマイナスになってたりするので売上とか利益ばっかり着目して評価してしまうと、人によっては可哀想という差が出てくる。そこよりもプロセスの方が大事ということでこういう成長シートになりました。

9.会社として仕事をしていこうという風潮ができた

― この成長シートを導入して、次に処遇制度を運用されたということなのですが、解決できた問題は何でしょうか。

うちの会社がどういう集団でありたいか、どういう社員になってほしいのかということを説明できるようになりました。せっかく新卒を入れても右往左往していた時期もありましたが、今では「標準で10年間かかりますよ」とステップアップの方向性をちゃんと示せます。

それから、今までは個人事業主の集まりで担当の範囲外のことは協力的ではなかったことが、グループとしてだけでなく会社として仕事をやっていこうという風潮が出来上がってきたことが解決できたことだと思っています。

あとは、組織をつくると舵を切ったことで、自分がいつまでもプレーヤーのトップで会社の売上の半分を持っているようやったらあかんということで、現場に出ることをぐっと我慢したこともありました。2~3年前からは「新卒採用3種の神器」を持って採用活動をしていて、今はそこに一番時間を費やしているかもしれないですね。

― 現場に出ることを我慢されたということですが、売上が下がる不安はありませんでしたか。

それはもちろんありました。だから「徐々に自分の担当を減らそう」という意識でお客さんを部下に任せていきました。まだひとつかふたつは直接電話がかかってくるような得意先もありますが、年間で数えてもひと月分くらいだと思います。

実はリーマンショックのときには、私が会社に帰ってきたときと同じくらいまで売上が落ち込みました。社員数は増えているのに、です。赤字も3,000万円くらい出して本来ならむちゃくちゃ悩むべきところだったんでしょうけど、「今はもう勉強しよう」といって落ち着いて教育に注力しました。「いつまでもどん底のはずはないんやから」と不思議と変な安心感がありましたね。

その通りにその後順調に売上が上がってきたんですが、去年思い立って売上と社員の成長点数の合計を対比させてみました。そうしたらぴったりと一致していて驚きました。人事制度を導入したパフォーマンスを見える化できたということです。社員の成長点数の合計が会社の売上や利益に結びついているのがはっきりとわかりました。

― 会計学の中で40年くらい研究されてきた「人的会計」がありますが、初めて出されたデータだと思います。

僕自身のパフォーマンスを計ることができるようになったことはとても大きいです。成長シートに取り組んで、みんなが成長して点数を上げていってさえくれたら、利益にも生産性にも結びついていくんだということが証明されたということですからね。それが定量的成果の一番大きい数字ですね。

最近、「社員を成長させ始めたら規模拡大しかないんですよ」と言われた意味がやっと分かるようになってきました。若い子を入れたら受け入れられる下地もできたし、人を入れたら後は育つだけやという感じです。ただ悲しいかな、マーケットの限界があるので、これから考えなければいけません。

10.リーマンショックのときに制度が会社を守った

それから、毎月経理の社員から人件費総額について発表してもらっているんですが、毎月毎月労働分配率だとか人時生産性ということを聞かせていくと、意識するようになってきました。結局は会社の経費も昇給や賞与の原資も利益の中から生まれるというお金の流れをみんなが分かってくる。だから本来だったら社長の自分だけが胃を痛くして「どうしよう」と悩む話を、堂々と「今月はマイナスです」とみんなの前で言えます。コスト意識を高める意味でも良かったなと思っています。

― 役員報酬なども入れて発表されているのでしょうか。

はい。役員の報酬などもすべて入っています。

― これを発表されるのは怖くありませんでしたか。

初めは怖かったですよ。でももう慣れました。もういいや、って(笑)。

今は今期の労働分配率の目標を出しているんですが、売上高も各リーダーが「来期の見込みはこのくらいです」と言ってきたのを単に合算しているだけなので、僕が決めているわけでもなんでもありません。

― 賞与原資は労働分配率で計算されていらっしゃるのですか。

はい。成長塾で習った通りに目標の労働分配率から実績の労働分配率を引いた残りを付加価値に掛けて、毎月積み上げていっています。

会社の最終利益も残っていますし、社内留保にもつながっています。毎年業績の予測をしながら目標の労働分配率をちょっとずつ下げていっています。

実はリーマンショックで売上ががくっと落ちて、「昇給もなし、ボーナスもなし」というのが2年ぐらい続いたんですよ。成長シートに続いて処遇制度についても発表した後でした。本来やったら「どうやって説明しようかな……」って悩むところなんですけど、予め期首に「業績がこうなって総合評価がこうなったらこうなります」という昇給予定表や賞与原資を見せて、「原資がなかったら昇給もない。賞与もない」と説明していたんです。社員からしたら本当はどうだったか分からないですけど、約束したことを我慢してでもやるみたいな感じでなってくれて、こっちも言い訳することもなく、人間関係が壊れることもありませんでした。制度が我々の会社を守ってくれたところがあります。

ここ1年ボーナスも昇給もできているので、本当に会社の利益が上がっていったら分配されるというのもわかって、配分についてもみんなから苦情が一切出てきていません。昇給・賞与に対する社員の納得感っていうのは実は一番心配はしてたところでもあるんですけど、それに対しては何も出てこなかったので良かったです。「成長シートに書いてあることだけ取り組んでいれば、昇給・賞与はまた自動的に決まるんだ」というのを実感してくれているから、不満などが出ないんだろうなと思っています。

11.「自分がやる」と決めたらもうやるだけ

― 人事制度の構築や導入、運用にあたって最も悩まれたことは何でしょうか。

先ほどもお話しした成長シートのつくりこみです。債務超過を返すまでは、念仏(和晃十則)を唱えたって飯は食えんぞという気持ちが実はありました。同じようにこの人事制度もただ唱える念仏のように形骸化してしまわないようにと成長シートは考えましたが、「こんなんできません」と社員に言われたらとそこが一番怖かったし、悩みましたね。

それから人事制度に創業者の思いが残ってるかどうかも悩んだ部分なんですが、そこはお話ししてきたように「何となくいけてるやろ」と思って解決できたと思っています。あとは「自分がやると決めたらもうやるんや」というだけですね。続けるとなったら絶対続ける。覚悟を決めてやると。

― 会社の売上の半分を持ってらっしゃったということで大変お忙しかったと思います。成長シートをつくったりフィードバックシートつくったり、時間がないと悩まれませんでしたか。

売上を半分やってた頃は「このままやったら早死にすんな」とか思いながら仕事をしてましたね。TTM研修を受けて時間の使い方をもうちょっと大事せなあかんなと思いましたし、振れる仕事は部下にほとんど振っていきました。それでも成長シートやフィードバックシートは夜中まで掛かってやったりしました。社員のための制度づくり、組織づくりだと信じてそこに疑問の余地があったら、多分できなかったですね。でも結局社員のためだと考えた自分のためだと納得していたし、その覚悟を決めていたから悩むことではなかったです。

12. 会社を自立させるバイブル

― 和晃様にとって人事制度とは何でしょうか。

会社を自立させる、成長させるバイブルです。さっき念仏ということを言いましたけど、誰もそんなの置いてあっても読み解かないですよね。

でも横に置いておきたい。普段意識することはないんですけど、信仰みたいなそういうものが国を守ってくれたりしますよね。うちにとっては人事制度がそういうものだと思います。

今更それを読み解いてどうのこうのという必要はなくなって来てるんですけど、趣旨を理解して運用していけば、会社は伸びていくというのが分かる。特に新入社員なんかは今まで苦労してきたことを知らず、どんどん伸びていくでしょうから制度そのものが空気みたいになっていくと思います。うちの会社にとってはこれだけ運用してきて初めて分かるんですけど、そういうものだと思っています。

成長シートもまた社員の成長に合わせて見直す作業は出てくるんですが、それはもう少ししたら権限移譲していこうかなと思っています。

13. 創業者の想いと向き合ってほしい

― 最後に、構築と運用で悩まれている成長塾メンバーにアドバイスをいただきたいと思います。

人事制度をつくる際には創業者の想いと向き合って創業者の想いを受け止めてほしいと思います。自身の実体験として、それができたことがとても良かったと思っているので。

それから、運用を継続できないというお話をチラチラ聞いたりするんですが、じっくり継続することが大事だと思うんです。こうやってお話しさせていただいていますが、僕も途中ずぼらになったり、フィードバックが大事だって言いながらも伸び伸びになったりしたこともあるんです。でもそこにこだわるんじゃなくて、「それでも続けていく」ということがやっぱり一番大事かなと思います。そういうことで継続されるとこんなに成果が上がるんですよとお伝えしたいです。

― 去年とても嬉しいことがあったということをお聞きしました。

去年、中堅職に昇格した平成16年高卒入社社員の昇格面接を居酒屋でやったのですが、その社員から言われたことがあるんです。

「社長、うちの会社は夢がありますわ~」

嬉しくて泣けましたね。ステップアップ基準どおりに上がってくれて、必要な資格も取得してくれた社員なんです。その社員にそう言ってもらえて、経営者としてやってきたことに最高の評価をもらったと思っています。同じ気分を皆さんにもぜひ味わってほしいです。

「和晃十則(社員心得)」の前で永田社長と弊社の代表と記念撮影

株式会社和晃様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


株式会社和晃様のホームページ
※ 取材 2016年


第47話 人事制度には「あたり前」がつまっていますか?

2020-12-22 [記事URL]

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※冬期休業のため、12/29の「今週の提言」はお休みいたします。
 次回の今週の提言は、2021/1/6に配信予定です。
 冬期休業に伴う対応につきましてはこちらをご参照ください。

「高卒社員が入社した4年後に、大卒社員が入社してきました。年齢は同じ22歳ですが、高卒4年目社員が大卒社員に仕事を教えているにもかかわらず、賃金は大卒社員の方が高いという現状があります。これは問題と思いますがどうでしょうか?」

はっきり言って私も問題だと思います。
教えている社員の賃金が低いことはまず考えられません。もし、万が一そういうことになっているとすれば、成長支援制度(評価制度)や賃金制度が問題です。至急、見直しをしなければならないでしょう。

もっとも、この問題にはステップアップ制度(昇進昇格制度)も絡んでいます。

一般的に、4年前に入った高卒社員が標準で昇格した場合に、4年後に入社した大卒社員と比べてどちらの成長等級が高いですか? まず、経営者がその確認をしなければなりません。

私の前勤務先であれば、高卒と大卒両方採用していましたので、この検証を現場でしました。やはり4年前に入社した高卒の方が、大卒よりも仕事ができており、後から入った大卒の新入社員に仕事を教えている現状がある以上は、高卒社員が標準ステップアップした場合、高卒社員の給与はこの大卒社員の初任給を上回るのが普通であると決めました。

もちろん、この成長は成長点数で確認し、そして成長点数によって昇格をしていくことになりますので、高卒で入社した社員全員がそうなるとは限りません。

なぜなら、社員の成長には最短昇格年数で昇格する社員も、標準昇格年数で昇格する社員も、もっと時間をかけてゆっくりと成長する社員もいます。人の成長はさまざまです。そのさまざまな成長に応じて一律に処遇を決めることは、到底無理です。ただし、標準以上で昇格した場合には、大卒の初任給を上回ることが、高卒社員も大卒社員も事前にわかっていなければなりません。

一方では、学歴で賃金を決める会社は割と多いのです。厚生労働省の調査でも学歴で賃金を決めている会社が2割以上あります。

学歴で賃金を決める考え方をしている会社がある以上、それを否定することはできません。それはそれぞれの会社の経営者が考えるべきでしょう。

ただ、この高卒社員が大卒社員に仕事を教えていながら、大卒社員より成長等級が低かったり賃金が低いことを知ってしまえば、高卒社員は今後の40年間の成長に対して半ばあきらめの気持ちを持つ傾向が出るでしょう。それは企業の損失につながると思います。

大事なことは、さまざまな成長に合わせて、処遇は変わっていくことを説明できる会社になることです。

この説明は前もってすることが大事です。前もって説明されていないと、問題になったときにこのあたり前のことを説明するのに相当な時間を要しますし、場合によっては社員が辞めてしまうという最悪の事態も招きかねません。

人事制度は、成長支援制度、ステップアップ制度、賃金制度、そして教育制度も含めて、常に何かを変えるときには全体的に見直しをすることが必要です。いわゆる全体最適を考えなければならないのです。

今回の問題もそのことをしっかり現場で検証してもらいたいと思います。


第46話 女性社員の育休後の活躍はすごいです

2020-12-15 [記事URL]

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「女性社員が育休から戻ってきました。この社員の賃金はどのように決めたら良いのでしょうか?」

2021年4月から同一労働同一賃金の遵守が必要ですので、やっている仕事が同じであれば同じ賃金を支給する必要があります。ただし、この女性社員が育休に入る前の雇用条件と同じであるかどうかが問われます。

たとえば、「残業ができるできない」「フルタイムで仕事ができるできない」「休みの希望がある」「勤務場所は変えられない」「職種も変更ができない」等これらの条件を加味して賃金を決めることになります。

元々日本には属人給といわれる年齢給・勤続給と仕事給があります。どの賃金を支給するかは企業が自由に決めます。年齢給、勤続給、仕事給がすべてある会社もあるでしょうし、また仕事給一本であるという会社もあるでしょう。様々です。

しかし、この仕事給には職能給や職務給、資格給という種類がありますが、中小企業の経営者の考え方は社員の成長に合わせて賃金を増やしたいと考えており、それを可視化して私は「成長給表」という賃金表をつくってもらいます。

今まで1,294社の成長給表をつくりましたが、成長給表は全社違います。元々支給してきた昇給も賞与も違うのですから、この成長給表が違うのも当然といえば当然でしょう。その成長給表もすべて自分でつくってもらいます。

「え~、自分でつくるの!」と驚く経営者も多いのですが、自分でつくる理由は1つです。一度成長給表をつくったからといって、未来永劫変更しないことはあり得ないからです。つまりこの成長給表をつくり直すことが必要になるのです。

そればかりか、今この成長給表が総合職と限定職、限定職も職種限定と勤務地限定、短時間と3種類 、場合によっては勤務地と職種限定で短時間の社員がいれば、4種類の成長給表をつくります。

これもまた会社によって様々であり、同じであることは基本的にありません。今後はこのように成長給表の種類を増やす必要があります。

自分でこの成長給表がつくれる経営者は必要になったら何種類の成長給表もつくれるでしょう。実際に追加で5種類の成長給表をつくった経営者もいます。成長給表をつくる仕組みがありますので、専門的な知識がなくても昇給・賞与を決めた経験があればサクサクとこの成長給表がつくれます。

企業では、その女性社員が育休から戻ってきた時までに準備しなければならない成長給表があるのです。

雇用条件は人によって違います。今までであれば、それぞれの社員の要望に応じて個別に賃金を決めてきたでしょう。一番大切なのは成長点数です。それ以外に雇用条件が様々ありますので、それを総合検討して賃金を決めてきたでしょう。

ところがこの個別に決めた金額も間違っていませんが、もし二人の女性社員がいた時に、その金額の違いを説明することができません。それで問題になって社員が辞めたという相談もあります。

成長シートで成長等級も決められますので、賃金はすべて成長給表で説明できます。問題は残業の問題、時間数の問題、休みの曜日の問題、勤務地の問題、職種の問題、様々な雇用条件によって成長給表を今までの4種類から5種類、6種類、7種類と働きたいその女性社員の要望によって作成していけば良いのです。

女性社員は育休から戻ってきて、その後に、子供が保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、基本的にはここまでですが、その子供の成長に合わせて生活をしなければならないことになります。それが基本的に優先されるでしょう。

その優先された状況に合わせて働く条件が異なり、賃金が違うのは当然と言えます。その成長給表をたくさんつくることによって、あらゆる雇用条件に合わせて仕事をすることができます。

これからの日本では、欧米のように女性の活躍する場所を提供できるかどうかが生産性向上へのとても大きな条件になりました。賃金は仕組みで決まりますので、成長給表を雇用条件の違いによって作成しておくことで、経営者が賃金を決定する場にいなくても良くなるのです。

賃金は個別交渉ではなく仕組みによって決めるようにすることです。


第45話 これでは人事部は総入れ替えですね

2020-12-08 [記事URL]

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「大卒社員はなかなか定着しません。大手企業も困っているようですが、何か定着率を高める方法はないでしょうか?」

最近のマスコミ報道では、「大卒採用を一括採用から年間を通じての通年採用に切り替える」という話題が取り上げられています。これも新型コロナの影響で一括採用ができない、先の予測ができない企業の対応策です。同じように採用方法を変更する企業がこれから増えていくでしょう。

ただ、ここで考えて頂く必要があるのは、今回のご質問のように「大卒社員は定着しない」と考えている企業が多いことです。マスコミから報道される、たとえば「大卒社員は3年経つと3割辞めてしまう」というデータがそれを証明しています。しかし、それを見て大卒社員は3年間で3割辞めるのが当たり前と考えることは正しくありません。

なぜなら、中小企業の経営者から「大卒社員の定着率が悪い」という相談はありますが、その問題に応じた解決策を講じることによって「定着率が高まった」、中には「定着率が100%になった」企業すらあるのです。

そもそも、大卒社員がなぜ辞めるかという理由を一般的な話で取り上げてはならないのです。どうして大卒社員が辞めてしまうのかは、会社によって違いがあるからです。

大卒社員が3年以内に辞める理由の1つに、「大卒社員は上司に褒めてもらえることがあまり無い」があります。

仮にその企業に成長シートがあるとすれば、大卒社員は全員20点からスタートです。その20点からスタートした社員が25点や30点になるときの成長の中身は、勤務態度を少し守ったり知識技術が少し身に付いたりという程度でしょう。しかし、この程度の成長について社員が褒められることは、まずありません。もちろん成果を上げることはあまりありませんので、成果の大きさは褒められないでしょう。

夢や目標を持って入社したのに、3年間「褒めてもらうことがなかった」「認めてもらうことがなかった」という事実は大卒社員には耐え難いものだと私には思えます。

仮に、この大卒社員が20点で入社して21点に1点成長したとします。そのとき、この1点の成長を具体的に「協調性のある行動が少しとれるようになったね」と認めてもらうことで、この組織の中で確実に成長したと理解することができます。このように小さな成長を褒めることで、社員は「この会社で明日も成長していこう!」となっていきます。

このことを知っている私たちは、大手企業の大卒社員の定着率は70%で、3年後に30%の大卒社員が辞めたという話を聞いたとき、その人事部は人事部本来の重要業務を遂行していないと判断をせざるを得ません。

私たちは中小企業で社員を定着させることに一生懸命取り組んでいます。そのために大卒社員の30%が辞めてしまうことを簡単に容認することはできないのです。何かの縁があって入社した社員を一人も辞めずに定着して欲しいと必死になって定着率を高めているのです。

大事なことは、なぜ定着率が低いのか。しっかりとその理由を把握して対応して欲しいと思います。必ず定着率は高まります。そうでなければ今以上に存続発展できません


冬期休業のお知らせ

2020-12-04 [記事URL]

弊社では誠に勝手ではございますが、本年度の冬期休業日につきまして、以下の通りとさせていただきます。

◆ 休業期間 2020年 12月25日(金)~2021年 1月4日(月)

【セミナー・研修へお申込みいただいた際】のご請求書の郵送につきましては、以下の通りとなります。

12月18日(金)16時30分までにいただいたお申込みにつきましては、24日(木)までにご請求書を発送いたします。

【ご注文いただいた商品の発送】につきましては、以下の通りとなります。

●お支払方法【代金引換便/払込書】でのお申込
12月18日(金)16時30分までにいただいたご注文につきましては、24日(木)までに発送いたします。
※在庫切れの場合にはその限りではございません。ご了承ください。

●お支払方法【銀行振込】でのお申込
12月18日(金)16時30分までにご入金いただいたご注文につきましては、24日(木)までに発送いたします。

12月18日(金)16時30分以降の商品のご注文・ご入金につきましては、1月5日(火)以降に発送させていただく可能性がございます。

なお、冬期休業中もFAXやEメールによるお問合せは受付けておりますが、12月21日(月)8時以降のお問い合わせ等につきましては、来年1月5日(火)以降に順次対応させていただきます。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


第44話 社員が業績に関心を持つ会社には、ある特徴がある

2020-12-01 [記事URL]

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「厳しい環境が続いていますが、社員はまったくそのことに関心を持っていません。危機感を持っているのは経営者だけかもしれません。どうしたらよいでしょうか?」

会社の存続や業績の低迷に危機感を持つのは経営者・経営幹部だけというのは、決してこの1社の問題ではありません。ほとんどの会社がそうでしょう。

しかし、こういった場合、「その問題はすべて社員にある」と考えているケースがほとんどです。そのため経営者も経営幹部もそのことにストレスを持っていることは間違いないでしょう。
「いつになったらその気になるのか!」
「どうしたら彼らは本気を出すのか!」
と、解決できない問題に頭を抱え悩み続けています。

確かに、今回の新型コロナで業績が落ちたにもかかわらず、危機感を持たずに仕事をしている社員には、ある問題があります。

特徴的な話をしましょう。
成長塾では、参加される企業の2割は賞与の決め方を「夏は1か月、冬は1.5か月」と決めています。そしてその理由はほとんど同じです。
「社員にも生活があり、そして高額商品を購入するときにボーナス払いで買っている以上、それを支援してあげることは会社経営者として当然のこと」
と考えているからです。

「優しい経営者」という言い方もできるでしょう。しかし、このような会社には共通の問題点があります。それは、「社員が業績に関心を持たない」ことです。

もともと賞与は業績連動型でなければなりません。
業績がいいときは、賞与が増える。業績が悪いときは、賞与は減る。場合によっては賞与がゼロということもあるでしょう。それを望んでいる経営者も社員もいませんが……。
ところがどのような業績でも賞与の額が決まっているのであれば、社員にしてみればそれは安心でしょう。いい会社だと思うでしょう。
しかし、社員は業績に関心を持たなくなるのです。

賞与はお客様からいただいています。お客様に喜んでもらうことによって業績が良くなり、賞与が増えるのです。この中継ぎをするのが「成長シート」です。社員が「成長シート」で成長することで成果を上げ、結果として業績を高めることにつながります。

社員が成長することで業績が向上し、そしてそれは賞与という形でまた社員に返ってくるのです。このことを示さない限り、いつになっても社員は業績に興味を持ちません。

「この新型コロナの影響で業績が落ちた」会社が、「賞与を前年対比で50%ダウンになったら、優秀な社員から辞めた」という相談もあります。

逆に、これをきちんと連動するようにした会社の経営者からは次々とこんな報告を貰います。
「社員がこんなに業績に関心を持つとは思わなかった。信じられない。今は私が「業績を上げろ、がんばれ」と言わなくても社員は勝手に頑張っています。これが仕組みですね」

そうなのです。社員を成長させるためには社員一人一人のモチベーションを問うのではなく、どうなったら社員が成長するかを考えること。それが優先されるとお考えください。


第43話 社員がチャレンジしない深い理由

2020-11-24 [記事URL]

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「松本先生、私は今の時代はチャンスが山のようにある時代だと考えています。ところが社員は、新しいことに挑戦しようとはしません。今の時代はそういう時代なのでしょうか?」

実は、私は40年前からこれと同じような悩みを多くの経営者から聞いてきました。40年前、経営者の勉強会に参加している経営者から「社員は挑戦しない」という悩みを耳にしてきました。今の時代の特徴ではありません。

そのころ、私の前勤務先では挑戦する社員が2割くらいいました。あることを仕組みにしたら、挑戦するようになったのです。そのため、挑戦しない理由は、おおよそ見当はつきます。

それは、組織原則2:6:2で説明すると、すべての社員が挑戦するわけではなく、上位の2割の社員が「挑戦する」役割を持っています。

そのため、この2割の社員が挑戦をしなければ、企業の存続発展は危ういことになります。なぜなら、この2割の社員がそのときの環境に合わせてさまざまな挑戦をすることで企業の永続的な発展が約束されます。もっとも挑戦の成功の確率は最大3割、通常1~2割でしょうが、それでも挑戦しない限り、この会社の将来はありません。

現状のままの事業内容、つまり同じ商品・サービスを同じマーケットに提供していたのでは、当然ながらいつか頭打ちになり、その頭打ちになった頃に競合が増えれば利益が出なくなり、結果は想像がつきます。

環境の変化にいち早く気がつき危機感を持つはずの経営者が、現場を離れていると想像がつかない状況になっています。経営者が現場にいれば必ずやっていること、「新しい挑戦」を、現場の社員がやっていないとすれば、大変な危機的な状況にあると言えるでしょう。

では、なぜその上位2割の社員は挑戦することをやめているのでしょうか。簡単な理由があります。

この社員が新しいことに挑戦して失敗したら社内の評価はどうなるでしょうか。場合によっては評価が落ち、そして処遇(昇給・賞与・昇進・昇格)が下がることはないでしょうか。

当時悩んでいた経営者の会社の幹部から、社員が新しいこと、たとえば新規事業に取り組み、失敗したため、大幅に昇給・賞与が下がったことをずいぶん聞かされてきました。

私は前勤務先で新規事業(寿司事業)を立ち上げるときに社長にお願いしました。

「新規事業が成功する確率はせいぜい1~2割です。もし失敗したとき、新規事業に配属した優秀な社員の処遇が下がることになれば、誰も新規事業に手を挙げなくなります。ですから、これから1年は挑戦の期間として、失敗しても処遇を下げないでください

嬉しいことにこの提案は承諾されました。ですから、前勤務先での新規事業(寿司事業)は、初めての新規事業でしたが成功したのです。最大の理由はそこにあります。

今の社員が「挑戦しない」という話は、この話とまったく同じことです。新しいことに挑戦してマイナス評価にならないとすれば、新しいことをやりたいという社員は少なくとも2割います。その社員が10のチャレンジをして成功が1~2割あるとすれば、成功は成功と評価し、失敗は評価の対象にしないとしたらどうでしょうか。

「そんなことぐらいで社員は挑戦するのか!」

と心配をする前に実践してもらえばわかります。

ただし、一方では「あなたの評価は何でするか?」このことがしっかりと納得する形で仕組み化されていなければなりません。

仮に、あなたの会社に今、成長シートがあって、その成長点数だけで処遇を決めるということが明確になっているのであれば、失敗したことでマイナスすることが仕組みの中にないことが明らかです。だから、社員は安心して挑戦できます。

経営者が悩む「社員が挑戦しない」という問題は、社員の問題ではなく、我が社の評価や処遇を決定する仕組みに問題があると、お考えください。


第42話 中途社員の賃金は同一労働同一賃金になっていない!

2020-11-17 [記事URL]

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「60歳定年後に継続雇用をする社員で、その時点で賃金を払いすぎている社員の対応はどのようにしたらいいでしょうか?」

実は、この質問はとても重要な質問であり、その対策方法を知っている専門家はあまりいません。

実は、中途で採用した社員のほぼ100%に賃金を払いすぎています。そのことを明確に説明できない会社が多いようです。

たとえば、基本給30万円を支給している社員の5万円分が払い過ぎだとします。そして、驚くことにその払い過ぎの5万円を含めて、賞与を支給しています。

基本給30万円(本来の金額25万円+払い過ぎ5万円)×1か月=賞与30万円

つまり、1か月分の賞与を支給している会社は、30万円の中にある5万円の調整給(払い過ぎ分)の1か月分も賞与として支給しています。本来であれば25万円が賞与の適正な金額でしょう。

問題に気がつかずにこのようなことを毎年繰り返しながら、実質的にこの問題解決を先送りにし、最終的に60歳で解決することになるでしょう。

しかし、事前にこの説明をできていない会社で60歳になった社員に「あなたの基本給は5万円払いすぎていましたので、60歳でカットします」という突然の説明は、当然ながら有効にはなりません。

中途採用をしている社員の払い過ぎの分は、今すでに払い過ぎだと宣言する必要があるでしょう。仮に、この払い過ぎの5万円が退職のときに存在していたとすれば、「5万円は払い過ぎであるので60歳の定年退職時にカットします」と説明を今しなければなりません。

もっともこの社員が成長して調整給が成長給に算入されていれば、この問題は60歳のときには、発生しません。もしそれがそのまま存在しているのであれば、60歳のときにカットする必要性があります。

この払い過ぎている社員の賃金の問題も、退職金の問題も、その時になってから相談をされても、その時はすでに遅しです。

経営者が考えている通りに処遇が決められない残念さが残るだけです。問題だと思ったことは、今すぐに可視化をしてその対応を始める必要があります。

この対応をすることによって、経営者も社員も納得するように対策ができます。その後は、公平公正な評価と処遇をすることができます。

曖昧なままで物事を進めることはできません。いよいよその大事なこと、同一労働の評価をどうするのか。そして社員にどのように説明するのか、それによって全社員が納得し、満足して仕事をすることができるようになります。そのチャンスがいよいよやってきました。

その仕組みのベースになるのは、いつもの通り経営者のやってきたことですから、ご安心ください。全社員に人事制度が必要であることを改めて知ってもらえます。


成長塾修了企業の藤井社長が11/17にテレビ番組に出演されます

2020-11-11 [記事URL]

116年続く北海道・藤井牧場の挑戦▽酪農を働きやすい仕事に。

成長塾修了企業の「有限会社藤井牧場」の藤井社長からテレビ番組に出演されるとご連絡がありました。藤井社長からのメッセージです。


この度、とんねるずの石橋さんとの対談をさせていただく機会がありました。
「石橋、薪をくべる」という番組です。当社の取り組みとともに、
成長支援制度についてお話しさせていただきましたので、ご報告いたします。
放映は17日の深夜です。
全国放映ではなく、関東ローカルなので、私も見られませんが、よろしくお願いします。
by藤井

 


放送予定は次の通りです。
●フジテレビ 11月17日(火) 24:25~24:55(火曜深夜)

その他の放送情報につきましては、各地のテレビ局のHPをご確認ください。

番組公式HP:https://www.fujitv.co.jp/makiokubel/
番組公式Twitter:https://twitter.com/makiokubel


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