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第41話 60歳定年時の賃金カットの裁判が続いています

2020-11-10 [記事URL]

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「60歳定年時に賃金カットをしてはいけないのでしょうか?」

先日、名古屋地裁で60歳の社員の継続雇用時に基本給の60%を割る賃金カットは不合理であるという判決が出ました。そのため、先ほどのような相談をする経営者が増えています。

当然裁判がこれで決着した訳ではありません。最高裁まで最終判決が持ち越されます。ですから「カットしてはいけない」「カットしてもいい」と単純に答えられないのが現状です。

ハッキリしていることは、60歳定年時の賃金カットは、そのときの仕事の状況によって判断することになります。

ただ、裁判の内容では「同じ仕事をしている場合には」という前提がつきますが、仕事の内容が同じであるかどうかは、実は仕事をしている内容だけで判断することはできません。必ずその仕事によってどれほどの成果を上げたのか、成果の大きさも同時に検討しなければなりません。

弊社のコンサルティングでは、成長シート(R)を作成します。成長シートでは成長の確認の際、行った仕事の内容と同時に、それによって上げた成果の大きさを確認します。

今60歳定年の社員が上げている成果、そしてその成果を上げるためにやっている業務自体が会社の評価によって決めている成長給と一致していて「問題ない」のであれば、基本的に60歳を過ぎた段階で全く同じ成長給の金額の支給の仕方になるでしょう。賃金カットそのものはできません。

ただし、多くの大手企業が60歳のときに賃金カットをしている話を聞くと、「我が社も」と中小企業の経営者は考えるようです。大手企業のほとんどは、60歳よりも前、50歳や55歳で役職定年があるために、その年齢で一度賃金の見直しがされている場合も多くあります。

つまり、60歳で賃金カットをしたときに仕事の内容が変わっている、期待する成果の大きさが変わっていて、同じ仕事をしていることはほとんどないと思ってください。

逆にいうと、同じ仕事をしているのであれば、同じ賃金を支給することが必要です。中小企業の場合には、60歳から仕事内容を変えることはない企業が多いでしょう。その場合には、原則的に賃金カット自体はできません。

日本はすでに労働力不足の国になっています。それゆえに、60歳を過ぎても元気で気力も体力もあり、そして知識や経験も持っている社員に元気に働き続けてもらうこと、それに合わせてどのように賃金を決めるかを考えることが日本全体でとても重要になりました。

弊社では、そのことについてすでに10年前から事前の対策方法をお教えしています。また、どのような判決が出たとしても驚くことはありません。どのように自分の考えを可視化して人事制度をつくっていくか、不合理にならないためにどのように考えればいいのかをお教えしているからです。自分でつくった人事制度を環境や時代、変わっていく法律に合わせて変更することができます。

これから次々と判決が下されていくでしょう。そして最高裁で判決が出れば、それに沿った形で私たちは変更を余儀なくされます。しっかりと準備してください。

しかし、必要以上に恐れることはありません。大事なことは、同じ評価(成長点数)であれば、同じ賃金を出すことです。ここが一番重要です。そして、どのような働き方になるとしても、すべての社員に元気に継続して仕事をしてもらうことを考える。これは非正規雇用の社員の場合も同じです。

同一労働をどのように評価するか。このことを社員が納得するように、つまり「不合理ではないように」人事制度をつくっている会社は社員から訴えられることはないでしょう。毎年評価のフィードバックをすること自体がその証です。

混迷の時代、社員が納得する人事制度がますます必要になりました。


第40話 人事制度の見直しのベストなタイミングとは!

2020-10-27 [記事URL]

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※祝日のため、11/3の今週の提言はお休みいたします。
 次回の今週の提言は、11/10に配信予定です。

「大手企業が最近人事制度の見直しを始めたようです。やはり今は人事制度を見直すタイミングでしょうか?」

先日、ある経営者から受けた相談です。
日本にはある傾向があります。大手企業が何かを始めると、特に人事制度の変更を行うと、中小企業もそれに右に倣えをしようとすることです。

何かを「改善」するのは、何か問題があったときです。問題がなければ、何も改善することはありません。もちろんより良い状態にしたいと「改善」することはあるでしょう。しかし基本的に、「改善」は何かの問題を解決するために行うのです。

たとえば、電話応対の仕方に「問題があり」とお客様からクレームを受けたときには、電話対応の仕方の「改善」を行うでしょう。また、お客様からより信頼を得られるように独自に「改善」を行うこともあります。しかし、現在何も問題がないのに「大手企業が電話応対の仕方を変えたから」といって電話応対の仕方を変更する中小企業はあるでしょうか。

確かに、良い部分を真似て改善しようという考えはあるかもしれません。それは、その改善を行うための自社に解決すべき問題があった場合のみです。何も問題がないのにただ真似れば、社内を混乱させるだけです。

それはわかっているにもかかわらず、人事制度は大手企業に右に倣えしようとします。例えば、大手企業の「年功序列型賃金廃止」というニュースが流れると、多くの中小企業が同じように年功序列型賃金を廃止しようとします。文字通り年齢給や勤続給があって、社員の成長とは関係なしに一方的に賃金が増えていくことで同じような問題が起きているなら、同じような見直しが必要でしょう。しかし、もしそのような問題がないとすれば、一切賃金制度を見直しする必要はないのです。いや、見直しをしてはいけないのです。

人事制度上のすべての問題は、「問題だ」と明確になったときに初めて解決のための改善に着手することになります。

ある会社では、職能資格制度を導入することによって職能等級が自動昇格に近い形で進み、社員の成長とは関係なしに職能給が増えてしまうという問題がありました。問題だと感じたからこそ、何が問題であるのか、どのようになれば解決だと言えるのかがわかります。
自動昇格をする仕組み自体に問題があり、社員の成長をきちんと確認して昇格させられるようになれば解決です。もっとも、職能資格制度の場合は、社員の成長を確認することは不可能に近いですが……。問題とゴールが分かれば見直しは簡単です。

先ほどの大手企業では社内の職能資格制度の昇格基準に問題がありました。とても曖昧な基準で、「どうして昇格するのか」も「どうして昇格しないのか」も曖昧で、評価する人によって評価基準が揺れていました。

ではどう解決すればいいのか。それは昇格の際の基準を明確にするということです。
これは経営者が「何を見て判断するか」を可視化する必要があります。

9等級制であれば、1等級から2等級、2等級から3等級と8つの基準が必要なわけですが、まずは一般職層を卒業して中堅職層へ昇格する基準を考えてみます。
一般職層を卒業するということは、プレーヤーとして一人前になるということですから、当然ながら高い成果を上げられるかどうかの判断がまず必要でしょう。
そしてその高い成果を上げるためにやるべきことをやっていることが必要でしょう。
そのやるべきことをやるために必要な知識・技術を身に着けていることも必要でしょう。
そして好ましい勤務態度であることが必要でしょう。

それが確認できた社員を中堅職層に昇格させる明確な基準がつくれたらどうでしょうか。
一般職層についての昇格の問題は解決します。

このようにして「どこに問題があるのか」「何をもって解決とするのか(ゴール)」を明らかにすることなしに、制度の変更をしてはいけないのです。

これから大手企業の様々な見直しがニュースになるでしょう。この厳しい環境の中で赤字決算になることがもしあるとすれば、様々な施策の見直しを行うことも考えられます。

そのニュースを参考にしながらも、右に倣えではなく、「現状にどのような問題があるか?」「何をゴールとするか?」を必ず確認して頂きたいと思います。


第39話 嫌な人事の問題を2度と発生させない方法とは

2020-10-20 [記事URL]

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「最近、社員から不平不満の声が出るようになり、頭が痛いです。この不満を上手になくす方法はないでしょうか?」

この質問は、社員数が増えてきた会社の経営者から投げかけられます。だんだん社員が増えてくると、社長と社員のコミュニケーションの時間が減り、社長の想いが伝わらなくなっていくからです。そのため、コミュニケーション不足から誤解やすれ違いが生じ、不平不満が発生しやすくなるのです。

この不平不満を「有難い情報だ」と思えるかどうかで会社の未来が大きく変わってきます。
人事上の問題は通常「臭い物に蓋をする」と言われるくらい、見ないふりをしてしまうものです。また、蓋をしたいと思うくらい、経営者にとって頭が痛いことでもあります。対応したとしても社員を説得しておしまい、というパターンも多いでしょう。

そのため、同じ問題が繰り返し起きることになります。人のことで悩む経営者にあることを尋ねるとそれがわかります。

「これまでどのような人事上の問題が起きましたか?」

この質問に、すぐに的確に答えられる経営者は意外と多くありません。だいたい社員を説得したら、その問題をすぐに忘れてしまっているからです。だから、また同じ問題が発生するのです。もっとも、嫌な問題はすぐ忘れたいと思う心境も十分に理解できます。

社員からの不平不満は、実はお客様からのクレームと全く同じです。期待をしているからこそ、お客様はクレームを言ってきます。もう二度と付き合う気がなければ、クレームを言ってくることはないのです。会社に期待することを辞めた社員は、黙って去っていきます。または、当たり障りのない理由を言って辞めていきます。

クレームはダイヤモンドの原石
と言われるように、お客様からのクレームにはしっかり対応することを重要視しているでしょう。そして同じクレームが発生しないように仕組みを考えているでしょう。では、社員からの不平不満も同じように、一つひとつ解決しながら仕組みづくりをしているでしょうか。

たとえば、社員が定着しないという問題はどの会社にとっても大きな問題でしょう。新卒社員は入社して3年以内に30%辞めるといわれていますが、この問題を解決することができる会社はどれくらいあるでしょうか。

新卒社員がが辞めてしまう理由は、会社によって様々かもしれません。しかしどのような理由があったとしても、解決策を知る方法は1つです。
それは新卒社員が我が社で何を問題と思っているかを聞くことです。たったそれだけです。
何が問題なのかがわかれば対処できます。そして対処方法がわかったら、その都度対処するだけで終わるのではなく、問題自体が起きない仕組みをつくるのです。

たとえば、新卒社員が「将来が不安です」と言ったとします。恐らく経営者は将来が不安ではないことを一生懸命説明することになるでしょう。そして説明を受けた新卒が「よく分かりました」と言って次の日から元気よく仕事をするようになったら安堵するでしょう。それはかまいません。ただし、安堵しっぱなしは危険です。

実際にクレームを伝える人は不満を感じた人のうちたった4%で、残りの96%はサイレントクレーマーだと言われています。つまり、1人でも先ほどの不安を抱えている社員がいるのであれば、他に24人も同じ不安を持っていると考えなければならないのです。
ですから最低限、経営者が新卒社員に話したことを、社内に共有する必要があるでしょう。

たとえば、「我が社には一般職層、中堅職層、管理職層があり、この成長階層を成長していくことになります。あなたは自分の好きなプレーヤーの仕事がしたくて入社したかもしれない。けれど順調に成長していけば10年後くらいに優秀な社員として中堅職層にステップアップすることになり、またさらに10年後くらいに管理職層にステップアップすることになります。20年を過ぎた頃には、私と一緒になってこの会社を通じて世の中に大きな貢献をしていく、そのように働く内容が変わっていくことになります」と話したとします。
それを同じように社内に手紙やミーティングなどで共有しなければならないのです。

そしてさらに私が行っていただきたいと考えているのが、次の仕組みです。先ほどのように話したとすれば、
「我が社には一般職層、中堅職層、管理職層がある」⇒3階層の成長シートをつくる
「一般職層、中堅職層、管理職層があり、この成長階層を成長していくことになる」⇒ステップアップ基準をつくる
と、問題解決の仕組みをつくってほしいのです。

問題が解決したと言えるのは、社員が納得して社長室を去ったときではありません。仕組みをつくり、同じような不平不満を持つ社員が1人もいなくなったときです。

悲しいことですが、社員は経営者の言ったことを本当は信じていません。口ではどんないいことでも言えることをわかっているからです。しかし、仕組みは違います。仕組みは経営者と社員との約束です。仕組みとして示され、その通りに実行されたとき、初めて社員は「社長が話していたことは本当だったのだ」と安心します。

問題があったら、すぐにそれを仕組みにできるかどうか。これが重要なポイントです。

私は前勤務先で人を定着させる仕組みをつくりました。それによって70%だった定着率を95%まで高めることができました。上司の指導力が高まったことも、給料が上がったことも関係ないとは言いません。しかし定着率95%は、定着率を高めるための仕組みをつくったからなのです。

さあ、では、定着率を高める仕組みをどれくらいお持ちでしょうか? ぜひ今日考えてください。


第38話 営業研修の効果が続かない理由とは

2020-10-13 [記事URL]

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新型コロナの影響で、組織の中にある様々な機能が変更を余儀なくされています。営業職であろうが、工事職であろうが、製造職であろうが、様々な変化を求められています。

その中で特に「優秀な社員像」は様変わりしたでしょう。「緊急事態宣言」「オリンピック延期」「三密を避ける」「テレワーク」「GoToキャンペーン」「プレミアム付商品券」など、今年は特に大きく目まぐるしく環境が変化しています。それでもその環境の変化に適応し、成果を上げている社員がいるのです。

このような環境の変化に適応して成果を上げている優秀な社員は、チャレンジャーと言われる社員です。大きな変化、特に悪い変化があったとしても諦めず、そのピンチをチャンスに変えようと果敢に挑戦しています。

このとき、「Aさんは本当に優秀だなあ」と考え、その社員をちょっと褒めるだけで終わってしまっていませんか。これでは社内でどのように優れた成果の上げ方が生まれたとしても後に残りません。

経営者に褒められれば、社員は嬉しいでしょう。ところが、褒めてもらったことが会社の評価に結びつくのか、そして処遇(昇給・賞与・昇進・昇格)に反映されていくかどうか、社員には皆目見当がつきません。

確かにチャレンジが楽しみであると言えるでしょう。しかし、そこには大きな苦労が伴います。その苦労をしながらでもキチンと会社で評価してくれて、処遇に反映されているのであればその気持ちを失うことはありません。しかし経営者が「Aさんは優秀だから大丈夫だろう!」とほったらかしてしまったら、いつか評価が処遇に反映されていないことが分かったときにAさんは挑戦を止めることになります。これは挑戦だけの話ではありません。

「営業研修を行い、高い成果を上げた社員がいた。にもかかわらず、気が付いたら営業のやり方が元に戻ってしまっていた」
「生産性向上に全社で取り組んだ。自分が音頭を取っていた間は生産性が上がり続けたが、部門長に任せたとたんに上がらなくなってしまった。その後、生産性も元に戻ってしまった」

これらはすべて、良かった評価の内容(期待成果、重要業務、知識・技術、勤務態度)を可視化して処遇に反映させなかったために起きることです。

営業の仕方が変わったら、製造の仕方が変わったら、工事の仕方が変わったら、一緒に評価や処遇の仕組みを変更してください。そうしなければ残念なことに、現場の社員の挑戦はいつか静かに停止してしまいます。そのことに気が付いてもらいたいと思います。

評価や処遇の仕組み、それが人事制度です。
私が申し上げる人事制度は、すべての社員を優秀にするための人事制度であり、すべての社員の昇給・賞与を増やす人事制度です。ダメな社員の賃金を下げよう、会社を辞めてもらおう、という考え方の人事制度ではありません。多くの経営者はそんなことを考えて経営をしていません。

あらゆる企業にとって人事制度はインフラであり、企業全体の全体最適を実現するための重要な制度です。
インフラは古くなれば新しく変える必要があります。
環境に適応して優秀な社員が変わったらまずは成長シートの見直しを始めてください。


第37話 賞与の不平不満の解決方法に金額は無関係

2020-10-06 [記事URL]

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「賞与支給日になると『社長、話があります!』と言って来る社員がいます。この大きなストレスになる問題、何とかなりませんか?」

この問題は簡単に何とかなります。どうして社長のところに、話があると言ってくるのか。その最初のきっかけはほとんど同じです。

質問してきたAさんは賞与明細書を受け取ったときに、隣にいたBさんと賞与明細書の金額を比べます。

比べる理由は、自分は優秀だと思っている社員が、自分よりも優秀ではないと思っている社員(この場合はBさん)の賞与の金額を知りたいからです。

自分の方が優秀であるかどうかはその賞与の金額が示します。今回その金額を比べたら、自分が30万円なのに、Bさんは35万円です。Aさんは、Bさんの方が5万円多いことに納得できません。間違いなく自分の方が優秀だと思っているのにBさんの方が賞与が多い。そのためにAさんはその理由を社長に聞きに来ます。

社長の説明がうまく行かなければ、最悪の場合Aさんは辞めてしまいます。「それが心配だ!」と思ってこのAさんの賞与を5万円プラスして、Bさんと同じ金額にしたとすれば、その噂が社内にあっという間に広まり、次から次へと社員の増額要求への対応となります。

中小企業では、この問題を抱えている会社がほとんどと言って良いでしょう。しかし、簡単にこの問題は解決することができます。

賞与を決める仕組みをつくれば良いだけです。

賞与の金額を社員が比較するのは、賞与を決めている仕組みがないために、どうしても他の社員と比べざるを得ないのです。仕組みが分かれば、もう二度と相談に来ることはありません。万が一、金額の違いがあったとしても、その違いの理由を社員はしっかりと理解できるからです。

そして最も大事なことは、この仕組みをつくって、全ての上司に賞与を決める仕組みを完全に理解させることです。

中小企業では、賞与の質問は最初に上司にするものです。なかなか、ストレートに社長には聞きづらいからです。そこで、上司に「どうして私はBさんに比べて賞与が少ないのですか?教えてください」と質問したら、上司は次のような対応をします。

「賞与を決めたのは社長なので、社長に聞いてみたら!」

この上司も賞与がどうやって決まっているか分からないのです。つまり、この上司がこの会社での賞与の決め方に、不平不満、いや不安を持っている可能性があるのです。

日本全体が安定的な経済成長をしてきた時代であればいざ知らず、これからの厳しい環境の中で業績が乱気流に巻き込まれる可能性が大きいでしょう。場合によっては急降下する場合もあるでしょう。

どのような環境になっても、社員が不平不満、不安を持たずに賞与額に納得する方法は、たった1つ。それを仕組みにして全上司にしっかりと理解させることです。

上司が、その賞与をたくさんもらう方法を、仕組みを通じてしっかりと理解させることができれば、一般職層で賞与の問題で辞める社員はいなくなります。モチベーションを落とす社員もいなくなります

その解決策は決して難しいことではないことを知ってください。


第36話  社員の成長の前に定着が必要です

2020-09-29 [記事URL]

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「先生、どうして中小企業は定着率が低いのでしょうか? 中小企業だからでしょうか?」

これが私にとって一番残念な相談です。どうして中小企業だと定着率が低いのでしょうか?

「賃金が低いから」

「雇用条件が悪いから」

「福利厚生が悪いから」

「休みが少ないから」

「残業が多いから」

これらは全部勘違いです。まずは、中小企業だから賃金が低いというのはほとんどが間違いです。

実際に賃金が低いとすれば、継続して収益を上げることができないことの結果であることは確かでしょう。企業規模は無関係です。ましてや、賃金を出したくないというわけではありません。賃金を出したいと思っている経営者はたくさんいます。ただ、継続して業績を上げる方法を知らないだけです。

その一番大切なことは、全ての社員のやっていることの毎日の共有化です。このデイリーマネジメントをすることが業績を上げる最も簡単な方法です。マネジメントサイクルを1年間で365回転させるのです。通常の30倍の速さです。

それによって、業績が向上し、多くの(残念ながらその割合は減ってきたと感じています)経営者は社員の物心両面の豊かさ、昇給・賞与をたくさん増やそうと考えています。業績の向上と昇給・賞与を連動したいと考えている中小企業の経営者が確かにいます。

それはその会社の人事制度を見ればハッキリと分かります。「昇給・賞与は頑張ったら出す」ではなく、「業績が良くて社員が成長したら昇給・賞与が増える」ことが人事制度の中に明示されていればいいのです。

経営者のその考え方が可視化されていないために、実は多くの中小企業の社員は「誤解退職(R) 」してしまっています。

社員を大切にし、そして成長させ、業績を向上させたら昇給・賞与をたくさん出してあげたいと思っている経営者のいる中小企業を辞める社員は、誤解して退職しているのです。残念で仕方がありません。

その会社であれば、40年間継続して成長することができたでしょう。全社員が継続して成長することになったら、その社員の賃金は間違いなく上がっていきます。結果として休みも増え、残業せずに収益を上げることも可能になるでしょう。

今、誤解して退職している社員を食い止めるたった一つの方法は、経営者のその想いを人事制度の中に可視化する以外にないのです。

間違っても、賃金が低いから社員は定着しないという経営者の誤解を払拭し、自分の考え方を可視化することがどんなに業績を向上することになるか、今まさに実践する時が来ました。


2020年10月にオンラインセミナーを開催いたします!

2020-09-23 [記事URL]

2020年10月20日(火)に
「新型コロナに負けない組織をつくるための人事制度セミナー」
をライブ配信による、オンラインセミナーを開催いたします。

人事制度構築支援実績数日本一(2020年9月現在1,280社)の講師、松本順市による、コロナ禍の環境に適応する人事制度を、分かりやすく解説するセミナーです。

受講された方から「まさに、目からウロコ!」「考え方がシンプルでわかりやすかった」「人事の悩みを解決する道筋が見えた」とお声を頂いております。

日時や費用は次の通りです。

10月20日開催要項

セミナーの詳細、お申込みはこちらから


日本経済新聞に新刊ポケットブックの案内が掲載されました!

2020-09-18 [記事URL]

本日、9月18日の日本経済新聞の一面に弊社代表 松本順市の最新ポケットブックの広告が掲載されました。

9月18日日経新聞

新型コロナの影響が続いています。この環境の変化がいつまで続くのか、またいつ終息するのか、その後どのような影響を与えるのか、私たちには全く見当がつきません。

この新型コロナを過去に経験した経営者も専門家もいませんので、提案される対策は全て仮説であり、セミナーをいくら聞いても、本をたくさん読んでも、完全な対策はできないと言ってもよいでしょう。

しかし、この新しい環境下でも確実に適応できる方法があります。その対応の仕方を分かっている社員がいます。

すべての会社に組織原則2:6:2があります。優秀な社員が2割、まあまあの社員が6割、これからだという社員は2割です。この中で、2割の優秀な社員を環境適応社員と私は呼んでいます。つまり、いつの時代もどの企業においても、優秀な社員は、そのマーケットの顧客ニーズに適応して成長しているのです。

その優秀な社員さえ分かれば、私たちがこの新型コロナの影響下でどのように事業展開をしていけばよいのか、ハッキリと分かります。

その方法を1冊のポケットブックにまとめました。経営者が1時間で読み切れるボリュームです。
それにもかかわらず、「そういうことだったのか!」経営者が思わず膝を打つ内容です。
来年以降のアフターコロナを考えるよりも、今すぐ行動を起こしてください。

1冊わずか1,000円(税別)です。ご注文はこちらです。
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第35話 中小企業に入社した社員が「幸せ」と言える時代が来た

2020-09-15 [記事URL]

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「もうこの時代は、終身雇用は守れないということですね!大手企業のニュースで知りました。私たちもその対応が必要になったと感じています」

新聞で、大手企業が日本の雇用の特徴である終身雇用が守れないという発言が連続して報道されました。それを見た中小企業の経営者から、

「当社もそろそろ、終身雇用を守れないことを、社員に説明が必要でしょうか!」

という質問が増えてきました。人事制度は大手企業が見本だと思っている中小企業の経営者が、いかに多いかということです。

「営業の仕組み」も「製造の仕組み」もすべてそうですが、仕組みは最初は小さく生み出すことが大切です。そしてその仕組みをしっかりと運用しながら、さまざまな問題がでてきたときに、その問題を解決しながら仕組みに盛り込んでいくことになります。

社員が10人のときの仕組みと、50人になったときの仕組みは内容が違います。ましてや、100人、1000人と増えていくと、さらに大きな仕組みとなっていくでしょう。つまり、大手企業の人事制度は中小企業ではほとんど機能しないことを知って頂くことが必要です。

そして、今回の終身雇用に対する報道です。大手企業が終身雇用を守れない理由に何があるかを知って頂く必要があるでしょう。

大手企業の中には「評価と賃金が一致していない」という人事上の問題を抱えている企業があり、同一労働同一賃金を守らなければければならないとすれば、最も大きい問題は、その問題を本人に納得できるように説明できないことです。同じ賃金額で60歳を超えて仕事をしてもらうのはとても難しくなります。賃金が払い過ぎだからです。

そのため、60歳を過ぎた段階で、職務内容を変え、責任の範囲も変えて賃金を見直すことになります。その変更に伴う賃金の減少は、社員が納得すれば大きな問題になることはありません。

最近の弊社で行っている成長塾に参加している経営者に65歳以上の雇用状況をうかがうと、その雇用率は、すでに50パーセントを超えています。これは、社員を大切に成長させている経営者であるからこそ、「元気であればいつまでも働いてもらいたい」という思いがあるからでしょう。

もっとも、仕事をしている65歳以上はとても元気です。仕事をしている65歳と仕事をしていない65歳がもし横に並んだとすれば、明らかにどちら仕事をしているか分かります。活気が違います。目の輝きが違います。

中小企業の経営者は今、声を大きくして、世の中に宣言しなければなりません。

当社は社員の雇用を守りたい。厳しい時代だからこそ、大手企業と違い今後も終身雇用を守っていきたい

社員にとってみれば、65歳過ぎの生活も心配だし、同時に健康にも関心があります。両方叶えることができる仕事、好きな仕事をする社員は幸せだといえるでしょう。

「中小企業に勤めることが幸せである」と断言できる時代が来たのです。大いに声を上げてもらいたいと思います。


第34話 企業全体の生産性を上げるためのキーマンとは

2020-09-08 [記事URL]

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「先生、なかなか人事制度の構築が進みません。やはり人事制度の構築は難しいのですね!」

このような相談なのか愚痴なのか分からない連絡があります。

人事制度の得意な経営者はどこにもいません。人事制度が得意だから創業した経営者は日本には一人もいません。もっとも世界にも一人もいないでしょう。

ただ、経営者は専門家より評価や処遇を決める経験を持っています。その経験を可視化してまとめる方法が一番人事制度で失敗をすることがない方法であると一貫して説明しています。

ではなぜ、その経営者はその人事制度構築を進められないのでしょうか。

今までの経験上、理由は経営者の生産性の低さにあります。もっとも幹部も生産性が低いのです。

一般的に生産性が高いのは製造職です。そして、一般的に生産性が低いのは営業職です。そしてどの会社でも共通なのは、マネジメント層の生産性が低いことです。特にその低い理由の1つは、生産性を計測しないまま仕事をしていることにあります。

これからは成果を上げるだけではなく、経営者も経営幹部も生産性を向上させるような仕事の仕方をしなければなりません。そのためには、マネジメントの生産性を計測することです。計測するとすぐ分かります。
長く働いているときは残念なことに、経営者本来の仕事をせずにプレーヤーの仕事をしている時間が圧倒的に多いことがハッキリします。

組織拡大につれてそのプレーイングの仕事を、どんどん現場の社員に落とし込んで自分はプレーヤーの仕事をしない工夫は必要でしょう。今までの仕事の仕方の問題点は、生産性を考えないで仕事をしていることにあります。

それは前号で説明しました組織原則2:6:2は、優秀な社員が2割、まあまあの社員が6割、これからの社員が2割いることを示しています。

そのため経営者に共通の認識は、成果を上げている社員がいる一方で、成果の低い社員がいることに悩んでいます。この成果の低い社員がどうも真剣に仕事をしているように見えません。そこで、「根性がない」「やる気がない」と思いこみ、この成果の上がっていない下位の2割の社員に対してあることをします。それが説教です。

説教がマネジメントの一部だとは言いませんが、説教する経営者や経営幹部は結構多いと言えるでしょう。ある会社では幹部が社員を呼んで説教したら、社員がキョトンとした顔で「どうして私は部長に説教されなければならいのですか?」と質問してきました。幹部の返す言葉が笑えます。

「今日は暇なんだ!」

暇だからやる説教は生産性は高いでしょうか。生産性はイメージの話ではありません。何かの成果をこの説教で上げようとしているのです。

社員は成長シートで成長していきますので、この説教をすることによってこの成長シートの何らかの成長要素の成長点数が伸びたときに始めて、この説教は生産性が高いということになるでしょう。

ところが次から次へと話はしますが、いったいどの成長要素を成長をさせたいか、を分からずに話をしているため、説教されている社員もよくわかりません。

そして、30分も話した頃、説教しても何も反応しない社員に幹部が「ふう~」とため息をついたときに、その説教をされていた社員が慰めるのです。

「部長、そんなため息をつかないでください。私もこれから少しは頑張りますから」

生産性が低いのが説教です。経営者の仕事、幹部の仕事はこのように下位の2割の社員を説教することではないのです。上位の2割の社員をもっともっと成長させること。そしてそれを成長シートに可視化し、8割の社員がその成長の目標に向かうことです。

この成長シートをつくるために、優秀な2割の社員をますます成長させること。この2割の社員が成長して、また成長シートが変われば、会社全体の業績がどれだけ変わるか想像はつくでしょう。

生産性の計測は社員の伸びた成長点数がいいです。その向上のためにマネジメントの時間を上位の2割の社員の教育に使ったら、どれほど業績が上がるか、想像が簡単にできるでしょう。


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