有限会社藤井牧場様(牛乳の生産・販売、乳製品の製造・販売 北海道)

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有限会社藤井牧場様(牛乳の生産・販売、乳製品の製造・販売 北海道)

人事制度の導入で、3年かけて覚える仕事が半年で一人前になります

人材育成を体系化するため、成長塾で人事制度づくりを学ばれた
有限会社藤井牧場 代表取締役社長 藤井 雄一郎氏に、
その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 有限会社藤井牧場
所在地 〒076-0184 北海道富良野市八幡丘
資本金 500万円
設立 1990年2月(法人設立)
従業員数 約35名
事業内容 牛乳の生産・販売、乳製品の製造・販売
URL  http://www.fujii-bokujo.com/

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1.富良野で先進的な牧場を運営

― 藤井牧場の会社概要をお聞かせください。

1894年に初代の藤井 喜一郎が淡路島より渡道し、1904年に10ヘクタールの土地を購入し農場を開いたのが当社の始まりです。以来、酪農に携わり品質の高い牛乳を毎日生産し続けています。乳製品の開発・製造・販売にも注力しており、モッツァレラ、ゴーダ、チェダー、ルブロッション、さけるチーズの5品目は当社の主力製品。地元特産品を集めた「フラノマルシェ」「富良野藤井牧場 飲むヨーグルト」も、チーズとともに人気商品となっています。さらに、移動販売車で地域の祭事などで販売するソフトクリームも人気商品のひとつ。大阪の「リクローおじさんのチーズケーキ屋さん」でも好評をいただいています。台湾の物産展にも参加しており、海外進出も目標にしております。

皆様に安心・安全な乳製品をお届けするため、管理体制も万全を期しています。牧場からお客様まで一貫した衛生管理を構築した証「農場HACCP(ハサップ)」を2012年に国内認証第一号として取得。さらに、サンドセパレーター(液体と固形分を瞬時に分離・除去する装置)の導入、事業継続計画(BCP)など、酪農業界としては全国初の事例にも多数取り組んできました。

藤井牧場は規模や売り上げ、利益だけを求めるのではなく「酪農と地域資源の開拓によって社会に貢献すること」を目標に掲げて日々精進しています。酪農と地域資源が持つ限りない可能性を追求し、顧客と一体になってオンリーワンの牛乳を開発し続け、活発な人材交流を通して科学的、文化的、人間的に成長し、真に豊かな生活と充実した人生を実現していきます。

<藤井牧場で製造されている商品の一部>
モッチャレラチーズさいしょはゴンダチーズふぞろいなさけるチーズたち
・モッチャレラチーズ  ・さいしょはゴンダチーズ ・ふぞろいなさけるチーズたち

2.人材育成を体系化したい

― 成長塾を受講したきっかけをお聞かせください。

2009年に私が社長に就任して以降、数多くの業務改革に取り組んできました。そのなかで会社が組織として大きくなるにつれて、人材育成の面で課題が出てきたことが成長塾を受講するきっかけになりました。

発端は2014年、私が現場を離れて中間管理職が現場の長として部下を指導する体制を構築したいと思い、社歴が長く経験豊富な4人の従業員を幹部に据えたこと。もちろん、突然そうした体制にしたわけではなく「これからもっと業績を伸ばしていきたいから、現場は幹部が私の代わりになって頑張ってほしい」という旨を常々伝えていました。ところが、いざ幹部4人体制をスタートさせてみると上手くいきませんでした。

その理由は幹部に人材育成というスキルがなかったことです。よくよく考えるとそれも当然で、幹部とはいっても私の後ろ姿を見て自ら学んできた従業員ばかり。私自身、人材育成の方法を教えたことはほとんどありませんでした。私が勝手にできると思い込んでいただけで、いきなり「中間管理職になれ」と言われても人材育成が上手くできるわけがないのです。実際、幹部として現場を回していかなければならない、部下を指導しなければならないというプレッシャーやストレスで一人の幹部が退社することになってしまいました。

ただ、会社や組織を大きくするうえで人材の確保と育成はもっとも大事なところ。それには、やはり幹部の人材育成スキルは必要になります。そこでいろいろと思案した結果、人材育成を体系化できないかという考えにたどり着きました。従業員の働き方やスキルアップを共通の枠組みで評価するような体系があれば、個々の幹部が自分の指導方法に悩むことはありません。

― 人材育成を体系化する方法として成長塾を受講されたわけですか。

最初は顧問契約している社労士に相談していましたが、就業規則などには詳しくても会社の運営に関わる人材育成の体系化となると、なかなか的を射た話には発展しませんでした。

あるとき、定期的に通っていた経営者団体のセミナーがあり、そこで講演されていた松本先生に出会い成長塾の従業員を成長させる仕組みを知りました。正直なところ、人材育成の体系化は当社の喫緊の大きな課題でしたから、すぐに成長塾を受講したいと思いました。

⇒成長塾についてはこちら

3.成長シートに落とし込み可視化していく人事制度に共感

― 成長塾を受講されてどんな感想を持ちましたか。

123期生として2015年の1月に受講しました。北海道と東京の往復で大変な部分もありましたが、人材育成問題が解決するのであればと思って最後まで受講しました。心に響いたのは「価値観だけでなく、仕組みをつくらないと変わりません」という言葉です。確かに形のない価値観や精神論は、業務で疲弊してしまうと最終的には行き詰まりますが、優秀な従業員の期待成果、重要業務、知識・技術、勤務態度を成長シートに落とし込み可視化していくという考えは非常に魅力を感じました。まさに私が求めていた人材育成の体系化にピタリと合致しました。

そもそも、私自身が一人前の酪農家の育て方を思い描けていない部分があったのですが、成長塾でその道筋が見えてきた気がしました。もっと言うと、成長塾の人事制度で従業員が一人前に育ってくれれば、我々のような酪農でも企業化していくことができると思いました。

― 人事制度はすぐに導入されたのでしょうか。

受講するなかで「社歴が長い従業員が多い場合、導入は慎重に進める必要がある」という話を聞いていましたが、当社の場合は業績拡大とともに社員も随時採用していた状況でしたので、受講後の2015年4月には人事制度を導入しました。

4. 5年間運用し続けて大きく進歩

― 人事制度の導入後、どのような効果を得ることができましたか。

2014年4月~2015年3月期をBefore、2019年4月~2020年3月をAfterとした、成長塾受講による人事制度導入の定量的成果を以下に示しました。

・定量的成果
定量的成果の表

・新卒採用人数と3年以内の離職人数
新卒採用人数と3年以内の離職人数の表

― 人事制度を運用してきた5年間の総括をお聞かせください。

まだまだ道半ばではありますが、5年前と現在を比較すると大きく進歩したという印象です。導入当初は成長シートの成長要素が50以上あり、バランスも悪かったと思います。現在は成長要素を30以下に再構築し、より注力して指導する部分にフォーカスした成長要素になっています。

また、幹部の指導も最初は表面的なものに過ぎず、なかなか現場にフィードバックされていませんでしたが、続けていくなかで部下の指導が自分たちの業務だという意識に変わっていきました。そして、幹部がそれぞれの従業員の成長を支援していくことに責任を持つようになりました。

あらためて成長塾の人事制度には感心させられます。あとは人事制度を運用しながらブラッシュアップすれば、次のステージに行けると思っています。

5.3年かけて覚える仕事が半年で一人前に

― 定量的成果について個々に伺います。まず、売上高、粗利益、粗利益率が大幅にアップされていますね。

単純に従業員数が倍以上になり、それにともなって売上高がアップした面はありますが、やはり人事制度導入の効果が大きいと思います。とくに2015年以降に採用した新卒の従業員は物覚えが良く、成長シートと相まってどんどん成長していきます。例えば、今までは3年かけて一人前になる仕事が、半年ぐらいでできるようになっています。なかには3か月ほどで覚えてしまう従業員もいます。成長する項目を成長シートに可視化していますから、できる従業員はどんどん先に進んでいく感じです。

― 定量的成果に人時生産性がないのはなぜですか。

飼育されている牛人時生産性は従業員1人が1時間働く際の生産性のことで、成長塾ではもっとも重視しているのは承知しています。しかし、当社の場合は一般的な人時生産性では指標になりません。なぜなら、牛乳の生産量は従業員の働きと必ずしも一致しないからです。そもそも牛には個体差があり、常に同じ生産量が取れるとは限りません。しかも生き物ですから、その日の体調にも左右されます。

つまり、従業員の搾乳スキルはあるにせよ、それが大きなファクターではないということです。

そこで当社では、牛乳1日の生産量を総時間で割るというスタイル、1時間あたりに搾乳できる牛乳の量を人時リットルとして換算しています。従いまして、ほかと比較できるものではないため、公表を控えさせていただきました。

6.全体の労働時間の削減に取り組む

― 月の労働時間は残業を意味するものですか。

酪農を含む農業は天候などに左右されることが多いため、単純に労働時間や休日、残業という区分で算出できない面があります。とはいえ、酪農は昔から長時間労働の現場というイメージが拭えませんから、時間に対する意識は変えていかなければならないと常々考えていました。

そこで残業時間という括りではなく、労働時間という大きな枠組みで捉え、人事制度導入を期に労働時間の削減に取り組みました。具体的な効率化は言葉では表現しにくい部分もあって割愛させていただきますが、労働時間はかなり削減されてきているという実感があります。もちろん、今後も労働時間の削減に取り組んでいくつもりです。

― 現在はどのような賃金制度になっていますか。

総利益の何%かを賞与の原資として分配することは従業員にも伝えていますが、実際には経理上の問題があってリアルタイムには反映できていない状況です。そういう意味では、利益を賞与にして従業員のモチベ―ションと連動させる賃金制度の運用はこれからです。今年は管理部門が増強されているので、おそらく来年はスムーズに連動できるのではないかと思っています。

7.若手従業員のキャリアプランを模索中

― 定着率についてはいかがですか。

藤井牧場様の若い従業員の方々2年目までの定着率は94%とこの業界では非常に高い数字ですが、3年目になると表のように82%となっています。その原因は、キャリアプランの認識の誤差によるものではないかと推測しています。

キャリアプランを語るうえでは、会社としてのプランが鍵になってきますので、まずはそのプランについてお話しさせていただきます。当社としては規模の拡大を目指し、第2牧場を建設する予定です。そうなると今の規模の倍になります。

また、2030年には開拓村の設立を目指しています。開拓村とは簡単に言うと日本の酪農の未来をつくり出す場所。全国各地から人が集まり、交流を通したコミュニティーの形成や新しい酪農の技術を開発していくことをコンセプトにした村です。

キャリアプランに話を戻すと、当社はこうした新たな牧場の牧場長や開拓村の管理職を用意することができるわけです。しかし、若い従業員は必ずしもそれを望んでいない言動が見られます。もちろん、酪農がしたいと入社してきた従業員ばかりですから、酪農に携われている現状には満足していると思います。ただ、その先がありません。もしかすると、藤井牧場を一生の仕事としてやっていく気持ちが定まっていないのかもしれません。

若い従業員の気持ちを理解すること自体が難しいですし、それぞれ個性も違います。そうなると当社でできることは、成長シートを通じて成長する喜びを感じてもらい、働くモチベーションを維持させつつ、その間にさまざまなキャリアプランを用意すること。牧場長という具体的なポジションではなく、富良野という場所でどう暮らしていくか、キャリアプランというよりはライフプランのようなものを提示するのが適切かもしれないと考えています。

― 藤井社長自身、成長塾を受講して得られたものはありましたか。

今までは私が何でも1人で「頑張らなければ」という気持ちがありましたが、それがなくなりました。幹部が人事制度を理解してくれたおかげで、人材育成を任せることができます。

また、毎年1回昇給のときに必ず個別面談を行っているのですが、これまでは給与の査定で明確な説明ができなかったため、私としては何か後ろめたい思いがありました。それが現在は、業績による昇給について成長シートをベースにしっかり説明できるようになりました。従業員との壁がなくなった感じで、従業員との接し方が変わってきたと実感しています。

8.成長を可視化して評価していくことは必要不可欠

― 最後に、成長塾の人事制度に対する率直的な評価をお願いします。

やはり非常に優れた仕組みだと感じています。そもそもマネジメントができる人間がいない状況が多い酪農という業種において、人事制度を導入すること自体、非常に難しい部分があります。しかし、進むべき方向としては間違っていなかったと考えています。

当社のようにリソースが限られていると、運用の負担が大きいという現実はありますが、成長を可視化して評価していくことは必要不可欠。それを実行しないと、会社として組織として成長する、そして人を成長させていくことは難しいと思います。

「従業員を成長させたい」「組織を大きくしたい」「さらに業績を向上させたい」のなら、成長塾の人事制度は必須。これからも松本先生のご支援に期待しています。引き続きよろしく
お願いします。

藤井牧場様の集合写真

有限会社藤井牧場様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


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