鮮コーポレーション株式会社様(飲食・販売等 広島県)

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鮮コーポレーション株式会社様(飲食・販売等 広島県)


従業員の労働環境を改善するため、「働き方改革」の一環として成長塾で人事制度づくりを学ばれた鮮コーポレーション株式会社 取締役社長 西田 龍一氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
会社名:鮮コーポレーション株式会社
代表者:代表取締役会長 西田 昌史/取締役社長 西田 龍一
従業員数:80名(他パート・アルバイト450名)
所在地:〒738-0042 広島県廿日市市地御前5丁目19-14
事業内容
1.本格グルメ回転寿司「すし鮮」「すし辰」のチェーン展開事業
2.新しいスタイルの焼肉屋「カルビ屋大福」のチェーン展開事業
3.鮮魚販売事業「新鮮市場」の経営
4.素材にこだわったとんかつ屋「とんかつ日刈り」の経営
5.精肉販売「ミートファクトリーあんずお肉の工場直売所」のチェーン展開事業
URLhttps://www.v-style.co.jp/

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1.全5業態の飲食店をチェーン展開

――鮮コーポレーション株式会社の会社概要をお聞かせください。

1949年、私の祖父が広島県庄原市で創業した西田鮮魚店が当社の原点です。1979年、地元にできたショッピングセンターへの出店がきっかけで、町の魚屋から大きく事業転換。1984年に株式会社西田鮮魚店となり、私の父が代表取締役に就任しました。その後、回転寿司の展開で会社は大きく飛躍。2001年に鮮コーポレーション株式会社となって、焼肉店なども手掛けるようになりました。

本格グルメ回転寿司「すし鮮」
寿司屋本来のきめ細やかな技で、お客様に楽しんでいただける店づくりを目指しています

現在は広島県を中心に、寿司7店、焼肉1店、鮮魚1店、とんかつ1店、精肉2店の全5業態をチェーン展開。
これからも、地域住民の方々に愛される店舗づくりを目指し、日々精進してまいります。

――西田社長の経歴を教えてください。

鮮コーポレーションを事業承継するつもりでしたが、会社勤務の経験もないまま会社を継ぐのは不安だったため、大学卒業後は東京の大手食品会社に就職しました。3年ほど勤務した後、もう1社で経験を積みたいと思い、香港の食材輸入販売会社に転職。輸入業を通じて国内外の業務に携わりました。そうした経験を経て2015年、鮮コーポレーションに入社しました。

鮮コーポレーションでは、現場のお店に立つことからスタートしました。その後、寿司店の店長から常務取締役を経て、2020年5月に取締役社長に就任し、現在に至ります。

2.「働き方改革」に取り組んで課題解決を目指す

――成長塾の受講に至った背景・課題をお聞かせください。

大きく3つの課題を感じていました。1つ目は過酷な労働環境です。私が寿司店の店長をしていた当時、とにかく人手が足りませんでした。人手不足が相まって、長時間労働が避けられない状況。正直、当時は自分も従業員も心身がすり減っていました。それで私としては、「一人ひとりの生産性を高め、労働環境を改善したい」という想いを常に抱いていました。

2つ目は不透明な給与体系です。当時は人事制度や基準があったわけではなく、現会長の父が全従業員の給与を決めていました。要は会長のさじ加減です。それで80名前後(アルバイト・パートを除く)の全従業員の給与を決めていたのは、ある意味凄いことですが、従業員側からすると「どうすれば評価されるのか」「どうすれば給与が上がるのか」が分かりません。そういった声は、いずれ社長に就任する私のところに集まってきます。しかし、私自身も分かりませんから、はっきりしたことは何も言えません。何度も歯がゆい思いをしていました。

3つ目は事業承継への不安です。従業員のほとんどは現会長の父のもとで育ってきた人たちばかり。従業員の人となりや貢献度合いを把握しきれていないなか、私より年長者で経験も豊富な人たちをどう評価すればいいのかとても不安でした。

――人事制度が確立されている大手企業での勤務経験がある西田社長からは、当時の鮮コーポレーションはどう映っていたのでしょうか。

確かに大手企業は目標設定やフィードバック面談など、人事制度がしっかり確立されていました。その大手企業と比較すると、鮮コーポレーションは仕組み化されていないところが多く、私も気になっていました。ただ、香港の食材輸入販売会社は鮮コーポレーションよりも企業規模が小さく、人事制度も皆無に等しい会社でした。両極端の会社を見てきた私からすると、鮮コーポレーションは人事面を改善すれば飛躍が期待できる会社と感じていました。

こだわったお寿司を提供
毎日自ら仕入れを行い、新鮮さ・美味しさにとことんこだわったお寿司を提供しています

実は私が感じていた3つの課題は、父も同じ危機感を持っていたようです。そこで私と父が出した結論は「働き方改革」です。「働き方改革」なくして鮮コーポレーションの飛躍はないと考えました。その「働き方改革」の施策のひとつが人事制度の導入でした。

3.魚屋が原点の松本先生の人事制度に共感

――成長塾にたどり着いた経緯を教えてください。

経営者向けセミナーの企画・運営会社から父のところに届く教材のなかに、松本先生が講演されている様子を収録したCDがあり、偶然拝見して興味を持ったのがきっかけです。一番共感したのは、松本先生の原点が魚屋だというところ。当社も原点が魚屋ですから、これはピッタリだと思いました。

システム的な部分で特に興味が湧いたのは、教える文化を根付かせる成長シートの存在です。当時は上司と部下の関係性が希薄で、「教える」「育てている」ということが会社の中で不足しているのではないかと漠然と感じていました。こうしたことが相まって2018年1月、人事制度導入のため、私と人事部長と営業部長の計3人で成長塾を受講しました。

4.他の働き方改革とともに計画的に人事制度を導入

――人事制度導入のプロセスをお聞かせください。

受講後、半年ほどかけて成長シートをつくりました。作成した成長シートは4部門(寿司部門、焼肉部門、鮮魚部門、本部)×3階層(一般、中堅、管理)の計12種類です。その後、社内に人事制度および成長シートの導入を啓蒙しつつ、他の働き方改革の施策にも着手。仮運用は2020年4月からになります。

仮運用ということで、1年間は成長シートによる評価のみ。また、この仮運用期間を新賃金制度に移行する準備期間として、現給与と成長シートで求める成長点数を照らし合わせ、必要な成長点数を理解する猶予期間としました。次の年、2021年4月から給与にリンクする本運用を開始。全従業員、成長シートの成長点数を反映した処遇(昇給・賞与)に移行しました。

――処遇(昇給・賞与)はオープンにされているのでしょうか。

オープンにしています。ですから、従業員に「どうやったら給料は上がるんですか?」と言われたときは、成長シートですべて説明が可能になりました。よく分からない言葉で濁さなくてもいいというのは、精神衛生上、非常に良いと実感しているところです。

賞与に関しては、営業利益の3分の1を原資としています。細かい計算式についてはオープンにはしていませんが、営業利益をオープンにしていますから、従業員は自身の賞与をイメージできると思います。

――人事制度導入における従業員の反応はいかがでしたか。

仮運用期間を設けたこともあり、スムーズに導入することができました。加えて導入した時期がコロナ禍真っ只中。従業員としては、人事制度よりも「営業できるのか」「働けるのか」が最優先事項でした。

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

2019年4月~2020年3月をBefore、2022年4月~2023年3月をAfterとし、成長塾受講前後を比較した定量的効果を以下に示しました。まず、売り上げ、粗利、労働分配率に関しては、コロナ禍の影響のため、単純な比較はできません。売り上げは上がっていますが、これはとんかつ店などの新事業が寄与しています。逆に新事業の収益構造上、全体の粗利は減少しました。

人事制度導入後の定量的効果
詳細な分析はまだできていませんが、明らかに人時生産性の向上と残業時間の削減は人事制度導入の効果と言えます。ただ、人事制度は導入したばかりですから、結果を求めるのはこれからです。当社としても、人事制度を継続的に活用していきますので、中長期的な視点で見てもらえると幸いです。

5.店舗のマネジメントにも教える文化が浸透

――西田社長の目から見て、人事制度を導入してから変わってきたところはありますか。

人事制度導入の効果が如実に表れているのは、教える文化が芽生えてきていることです。人事制度導入前は、自分の持ち場の業務のみに勤しむ姿がほとんどでしたが、人事制度導入後はあちこちで教えるシーンを見かけるようになりました。

教える文化
現場も店舗のマネジメントも教える文化が根付きつつあります

成長シートでは教えることが成長点数の5点に相当し、給与に反映しますから、従業員は教えることが自分のためになることを理解したのだと思います。この教える文化は、人事制度導入のきっかけでもあるため、私としては狙い通り。嬉しい限りです。

――どういったところで教えるシーンを見かけますか。

魚や肉をさばくなど、技術的な部分はもちろん、店舗のマネジメントや人的リソースの管理という部分でも見かけることができます。この部分は店舗運営の根幹で、中堅の従業員に求められるところですから、マネジメントの成長を促すことができたのは会社として大きなプラスです。

6.就活生が興味を持った成長シート

――ほかに人事制度導入の効果を感じるところはありますか。

リクルート活動で効果を感じます。会社説明会の際、成長シートがあることを就活生に伝えると、キャリアプランの道筋が見えるせいか、一様に安心してもらえます。実際、会社説明会後のアンケートでは「成長シートに興味を持ちました」という意見をたくさん頂戴しています。会社の成長のためには、人材獲得が欠かせないところですので、この点でも人事制度を導入して良かったと思ってます。

――コロナ禍の影響はいかがですか。

飲食業ですから、当然、大きなダメージがありました。業態を変えながら何とか営業を続け、現在はコロナ禍前の8~9割ぐらいまで回復している状況です。従業員に関しては、全員の雇用を継続しています。そもそも人手不足の業界ですから人材は宝。これからも従業員を大事にしていきたいと考えています。

7.「働き方改革」で従業員のための制度を導入

――「働き方改革」の施策のひとつが成長塾の人事制度とおっしゃっていましたが、ほかにも「働き方改革」の施策はございますか。

人事制度と平行して、3shine(サンシャイン)制度、アニバーサリー休暇制度、逆ドラフト制度を導入しました。3shine制度は(1)残業あり・異動あり、(2)残業あり・異動なし、(3)残業も異動もなし、という3つの働き方を選べる制度です。正社員向けの制度ですが、実はアルバイトやパートの社員登用の際に活用する制度でもあります。とくにパートの場合、「子供から手が離れたから長く働ける」というケースが少なくありません。そういった際、3shine制度を利用し(1)~(3)のなかから働き方を選んで正社員として働くことができます。

アニバーサリー休暇制度は期末の2~3月、翌期のスケジュール内にあらかじめ2日間の年休取得日を申請しておく年休取得の促進制度です。飲食業はなかなか休暇のタイミングが難しい面がありますから、これによって休暇取得の先延ばしを防ぐ狙いがあります。逆ドラフト制度は、新卒の従業員が勤務する店舗を自分で選べる制度です。3カ月の研修期間終了後、新卒の従業員に対して各店舗の責任者が自身の店の強みやビジョンをプレゼン。これをもとに、新卒の従業員は自身で配属店舗の希望を提出することができます。

これに成長塾の人事制度が加わり、「働き方改革」は大きく前進したと実感しています。実際、こうした「働き方改革」の取り組みが認められ、広島県の「広島県働き方改革実践企業」に認定されました。

従業員みんながイキイキと働ける環境づくり
「働き方改革」のもと、従業員みんながイキイキと働ける環境づくりを行っています

さらに「広島県働き方改革実践企業」が厚生労働省の目にとまり、厚生労働省の働き方特設サイトに当社の取り組みが事例として掲載。当社の取り組みが公に認められた格好ではありますが、これに驕ることなく、これからも着実に一歩ずつ「働き方改革」を推進していきます。

8.大手企業よりもきめが細かい人事制度を構築できる

――人事制度に悩んでいる中小企業に向けて、アドバイスがあればお願いします。

成長塾の人事制度は、大手企業よりもきめが細かいと感じています。処遇(昇給・賞与)の仕組みは大手企業の方が複雑だと思いますが、社長の想いが込められた成長シート、年4回のフィードバック面談と成長支援会議などを含めた仕組みは、大手企業と同等あるいは上回ると実感しています。もちろん、自身の大手企業での勤務経験に照らしわせた主観の感想ではありますが、中小企業でここまで人事制度を回せていることは自信につながります。飲食業をはじめ、人事制度で悩まれている中小企業の経営者はぜひとも、成長塾の受講をおすすめします。

――最後に一言お願いします。

人事制度の効果を実感できるのは、業績が結びついてこそだと考えています。まだまだその域には達していませんので、まずはこれからも人事制度を運用し続けてまいります。合わせて、引き続き松本先生には忌憚なきご意見とアドバイスを期待しています。よろしくお願いいたします。

鮮コーポレーション株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※鮮コーポレーション株式会社様のホームページ(https://www.v-style.co.jp/)
※取材2023年3月



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