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第181話 同じ部下指導を繰り返すより、優先されることは何か?

2023-10-31 [記事URL]


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「頑張れ!」と何度も言う前に、頑張らなくても成果が上がる仕組みをつくることが大事です。

経営者は会社全体の業績を上げるために、なかなか成果の上がっていない社員への指導に多くの時間を割いています。

しかし、いくら時間をかけて指導しても、この社員の成果の向上につながることはほとんどありません。なぜなら、指導されている社員は自分なりに一生懸命仕事しているという思いがあるからです。

この場合、やるべきことを次から次へと指導しても、社員は混乱をきたすだけであり、成果が上がることは決してありません。その結果、この社員は意欲の低さを指摘され、会社の中でとても評価が低くなり、昇給・賞与もほとんど増えないでしょう。社員は徐々にモチベーションが下がっていきます。

この社員も入社した時はやる気に満ち溢れていました。ところが、思ったようには成果を上げられず、上司や経営者から厳しい指導を受け続けることで、やがてやる気がなくなり、ついには会社を辞める決断をしてしまうでしょう。

経営者からすれば、なんとしてでも成果の上がらない社員の成果を上げなければならないと悩み続けているかもしれません。この成果の上がっていない社員を指導する前に、大切なことがあります。

それは自社には成果が上がっている社員が存在していて、その社員は成果が上がるやり方をしていることです。このことに注目です。

会社としてこの成果が上がるやり方を特定し、そのやり方で実施すると他の社員でも同じように成果が上がることを、成果の上がっていない社員に対して指導するのです。

さらに、その都度社員のやり方を指導するのではなく、成果を上げられるやり方を仕組み化して常に活用できるようにすることです。このことが、成果が継続して向上しない企業には抜けている可能性があります。

例えば営業社員が「しっかりと情報を集めてきなさい」と指導されていたとします。成果の上がっていない営業社員は、情報を上手く集めることができません。しかし、この社員は上司に「しっかり情報を集めるように」と指導されても、自分なりに一生懸命やっていると思っているため、この指導を受け入れることはありません。

しかし、成果を上げている社員がしっかりと情報を集めているのであれば、その情報収集のやり方を「情報収集シート」というシートにまとめ上げ、成果の上がっていない社員に渡すことで「どのような種類の情報を、どのように集めればいいのか」を明確に伝えることができるようになります。

つまり「情報収集をしなさい」という指導ではなく「この情報収集シートに沿って情報を集めてください」という指導に変えるのです。これによって情報を集められなかった営業社員は情報を集めることができるようになり、やがて高い成果を上げることができるでしょう。この指導が一般的にはできていません。

私たちが部下指導する理由は、全社員に高い成果を上げてもらうことです。
そのためには、次のようなステップで仕組みをつくらなければなりません。

1.高い成果を上げている社員のやり方(重要業務)を特定する
2.その重要業務の情報を全ての社員に共有化する
3.共有化した重要業務によって全社員の成果を上げることが確認したら、それを仕組みにする

このことがとても重要です。生産性の高い会社はこの仕組みをつくることに時間を割いています。成果の低い社員に「頑張れ!」と言う指導は必要ありません。

もし成長シートがあれば、成長シートの中にある重要業務が全員4点以上(その業務を優れたやり方で実施していた)になったときには、成長シートから外すことになります。そして今度はその外した重要業務を仕組みにするのです。仕組みにすることによって、来年入社してくる新卒社員は、その仕組みを活用することで先輩社員、ベテラン社員と同じような成果を上げることができます。

実は新卒採用には、このように仕組みをつくってから取り組まなければなりません。仕組みをつくらずに新卒を採用したら、労働分配率が一気に悪化し、既存社員の昇給・賞与を下げることになります。

今、優秀な社員のやっている重要業務を仕組み化しているでしょうか?

 


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第180話 全社員が本音で目指す経営目標の立て方

2023-10-24 [記事URL]


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令和6年以降の賃上げ率は、毎年3%以上が当たり前になるような状況になってきました。令和6年は7%賃上げすると発表した会社もあるほどです。令和5年に3%以上賃上げした中小企業は、決して多くないでしょう。そのため、この傾向に対して頭を抱えている経営者も多いかもしれません。

賃上げ率3%以上にするためにはそれだけ賃金原資を増やす必要がありますが、果たして自社は賃上げできるほどの原資をつくることができるかどうか、経営者は不安に思われているでしょう。

最大の悩みは、経営目標の達成に社員が賛成しない可能性があることです。この問題を解決しない限り、決して賃上げ率を3%以上にすることはできません。大切なことは経営者が社員の賃金を上げたいと考えて経営目標を設定したことを、社員に理解させることです。

経営目標の決め方は、経営者によってさまざまでしょう。その決め方を社員に一番理解させるためには、賃上げすると年間の人件費がどれだけアップするか、その人件費を負担するためにはどれほど粗利益を増やさなければならないか、そして最終的に売り上げはどれほど増やさなければならないか、全て計算して社員に説明するのです。

「3%賃上げするための経営目標は○○円です」
「4%賃上げするための経営目標は□□円です」
「5%賃上げするための経営目標は△△円です」
上記のように全て目標設定の根拠として賃上げ率を社員に示すことができます。
この経営目標を発表した時に、社員がどういう行動をとるか想像がつくでしょうか。ほとんどの社員は、賃上げ率5%の経営目標を目指そうとします。

もちろん全員がこの賃上げ率5%の経営目標を目指そうとはしないかもしれません。しかし、この経営目標を目指す社員が、反対する他の社員を説得するようになります。なぜなら、優秀な社員がいくら一人で頑張っても5%賃上げすることはできません。全社員が一緒に成長して成果を上げ、経営目標を達成することで初めて5%賃上げできると理解するからです。

一番簡単な方法は、一番高い成果を上げている社員のやり方を全員で共有化をして実施することです。これほど経営目標を簡単に、確実に実現できる方法はありません。こうして全社員で経営目標に取り組むようになります。

もちろん、賃上げ「率」の場合は現在の賃金が20万円の社員と30万円の社員で賃上げする額は違いますが、全社員が同率で賃上げできるため公平といえるでしょう。誰からも不平不満はでません。

この経営目標の発表の仕方をすることによって、経営者が先送りにしていた社員にとって最も大事な「賃金は業績連動であること」を教育できるようになります。賃上げするために経営目標があり、達成できなければ賃上げはできないことを知ることで、社員は厳しい環境だとしても全社員一丸となって目標に取り組み、優秀な社員は高い成果を上げているやり方を共有化するようになります。そしてこのことをよく理解した社員は、会社の高い経営目標に対して反対することはなくなります。

今の賃上げせざるを得ない経営環境は最悪だと発言する経営者もいるでしょう。しかし、その最悪の環境を最も簡単な方法で解決できることに気が付いてください。そのことに取り組んでもらえれば、この問題を解決することができます。

令和6年は賃上げ率3%を実現するための経営目標を発表しませんか?

 


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2023-10-17 [記事URL]

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第179話 上司が部下指導する前に会社が絶対やるべきこと

2023-10-17 [記事URL]


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「部下を成長させたい」と上司は考えています。しかし、上司のやっていることが、逆に部下の成長を妨げていることに気が付いていない場合が往々にしてあります。

例えば、上司は朝から晩まで部下に指示命令をしています。これが部下の仕事量を増やして成長を妨げていることに気が付いている上司はあまりいません。

上司に一度、部下に1日どれぐらいの仕事を指示命令しているか確認してみると分かります。上司本人は指示したことは忘れている可能性がありますが、指示命令を受けた部下はたくさんの仕事を次から次と言われるために、どこからその仕事をこなせばいいかその順序が分かりません。優先順位を妨げる行為をしているのが上司であることが往々にしてあるのです。

社員の働く所定労働時間は決まっています。この限られた時間の中で仕事をこなさなければなりません。そしてその取り組む仕事は、必ず社員に求めている成果(期待成果)を上げるための業務(重要業務)でなければなりません。

上司の仕事は部下にたくさんの仕事をさせることではありません。上司の仕事は期待成果を上げる重要業務を特定して、その業務に集中して取り組める環境を与えることです。決して仕事を増やすことが上司の役割ではないのです。

では、上司は部下が成果を上げるためには何をしたら良いか明確に分かっているでしょうか。そしてそのことは上司間で共通の認識はしているでしょうか。A上司とB上司で部下に言っていることが違う場合、この組織では上司それぞれで違った指示命令をし、部下はそれぞれ違った成長をすることになります。

これを防ぐためには、組織全体で部下に対してやるべき重要業務を統一して指導させなければならないでしょう。この体制ができる、やるべきことを明確にすることができるのが「成長シート」です。

成長シートは1つの期待成果に対して、重要業務は3つまでしか書きません。つまり、1つの成果を上げるために必要な重要業務を3つまでに特定し、絞り込むのです。そして成長シートの期待成果は最大5つまで書けます。つまり、重要業務は最大でも15個です。

通常、社員の稼働率(=重要業務に投入できる時間÷所定労働時間)から考えて、基本的に所定労働時間内でこの重要業務に費やす時間の割合は経験上2割程度です。一度自社の稼働率を計算してみてください。相当驚くことになるでしょう。

仮に所定労働時間が174時間だとすれば、34時間しか重要業務に費やせていないのです。残りの時間は付帯業務をこなしています。つまり、この「仕事を絞る」ことをしなければ、部下は成果の上がらない付帯業務を一生懸命取り組むことになります。これではいつになっても部下は高い成果を上げることはできません。

上司の仕事は部下にやるべき仕事を明確に示し、それをできるように環境を整備することです。この体制ができることによって、部下は初めて高い成果を上げる社員として成長していくことになります。この体制ができなければ、いつになってもやることは分かっていても、それ以外の仕事をやらざるを得なくなり、成果は上がらないまま仕事をするようになります。

大事なことは部下に生産性の高い仕事の仕方をさせることです。つまり、(1)取り組む仕事を特定させて、(2)その仕事をやりきらせることなのです。部下が仕事をする上で、この環境を構築することが上司の最も重要な仕事です。

このことができなければ、上司は結果として社員の成果を妨げる、生産性を下げるような指示命令をしていることになります。

このことに早く気が付かなければなりません。上司はこのことに気がついているでしょうか。
またその指導を経営者はしているでしょうか?

 


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阿部鋼材株式会社様(鋼材の切断および加工販売 北海道)

2023-10-11 [記事URL]

従業員の成長を正しく評価し、従業員のベクトルをひとつの方向に向かせるため、成長塾を受講し人事制度づくりを学ばれた阿部鋼材株式会社 代表取締役社長 阿部 大祐氏に、その経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名:阿部鋼材株式会社
所在地:〒063-0830 北海道札幌市西区発寒10条11丁目2番14号
代表者:代表取締役 阿部 大祐
資本金:4,500万円
設立:80名(2023年4月現在)
社員数:90名(契約社員・パートを含む)
事業内容:鋼材の切断および加工販売
URLhttps://abekouzai.jp

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1.切板加工を主軸に曲げ加工や溶接加工も展開

――阿部鋼材株式会社の会社概要をお聞かせください。

当社は1951年、私の祖父が創業した鋼材の切断および加工・販売の会社です。業務の半数以上は、大型レーザー切断機やプラズマ切断機、ガス切断機、シャーリングマシンなどを使って鋼板を切断する切板と呼ばれる加工です。切板の用途は建築用がメインですが、プラントメーカーからも依頼があります。そのほか、鋼板やステンレスの曲げ加工・溶接加工も当社を支える業務で、これらさまざまな鋼材加工技術を駆使した「トンネルの骨組みとなる支保工(しほこう)」の製作は、当社の大きな柱となっています。グループには、上部が柵状になっている水路(柵渠:さっきょ)のコンクリート部分を造るコンクリート2次製品会社もあります。

北海道札幌市の本社。製造は石狩工場、発寒工場で行う

当社は会社の姿勢を「新価値創造支援業」という言葉で表現してます。お客様が製品・商品を通してこの世に生み出そうとする価値を、当社の技術力や提案力で全力サポートしていこうという想いを込めた言葉です。これからも、お客様から必要とされる会社であり続けるために、日々研鑚を重ねていく所存です。

――阿部社長が阿部鋼材に入社された経緯をお聞かせください。

1996年4月に入社し、2015年に代表取締役に就任しました。父が二代目、私で三代目となります。事業承継は頭にあったものの、大学を出てから工業系機械メーカーの会社に就職しました。少なくとも5年はその会社で働くつもりでしたが、会長(祖父)の病気を機に2年ほどで地元に戻り、阿部鋼材に入社しました。

2.現場を見ずに従業員の処遇を決めるやり方に疑問

――成長塾を受講された背景をお聞かせください。

私が社長に就任する前、当時は社長である父が全従業員の処遇(昇給・賞与)を決定していましたが、その決め方に疑問を抱いていました。処遇の算出方法は父の頭の中にあるソロバンのみ。従業員の働きぶりは見ていません。当然、従業員からは「現場を見ずにどうやって評価しているのか」とクレームがあります。それに対し、「見ているから、ちゃんと伝えているから」と何とか私が従業員をなだめている状況でした。

父がどうやって評価しているのか、私なりに考察しました。すると、最初の印象が後々の評価にもつながっているようでした。例えば、最初の面談や業務の取り組みでAさんは仕事ができる人、Bさんはあまり仕事ができない人という判断を下してしまうと、それがずっと後々まで影響していきます。実際は1~2年経過すると、AさんとBさんの業務成果が逆転していることはよくあることです。しかし、そうした現場を見ていませんから、それが処遇に反映されることはありません。Aさんは仕事ができる人、Bさんはあまり仕事ができない人のまま、ずっと評価し続けるわけです。もちろん、私としては現在の業務とマッチした評価をすべきだと感じていました。

もうひとつ、会社としてまとまりがない点も問題視していました。従業員それぞれに個性があるのは良いことですが、それが野放しになっている状態。ベクトルがバラバラでしたから、どうにかしてひとつの方向にまとめていきたいと思っていました。いろいろ思案し、最終的に行き着いたのが人事制度です。私が社長に就任したら、すぐに人事制度を導入しようと考えていました。

3.求めたのは従業員の業務をありのまま評価する人事制度

――成長塾の受講に至った経緯をお聞かせください。

社長に就任して早々に人事制度の導入に取り掛かりました。まずは、以前から当社に協力いただいているコンサルタントにお願いし、その方が推奨する人事制度のプログラムを当社用にアレンジして導入することにしました。ところが、当社には合わない人事制度だということがすぐに分かりました。

合わない理由は「理想の人材像」というのが要因です。「理想の人材像」に照らし合わせてあなたは何点という人事制度だったため、いくら優秀な従業員でも、理想像に近づくことはあっても理想像になることはありません。つまり、永遠に100点にはならない仕組みでした。当社に必要なのは理想像を追い求める人事制度ではなく、ありのままの現実を評価する人事制度だということにあらためて気づかされました。

多様なニーズに応える切板加工の様子

そんなとき、若手経営者向けセミナーなどを通じて社長業を支援する企業を経由し、松本先生が主催する成長塾の案内を入手。人事制度を上手く運用できていないこともあり、すぐに受講してみたいと思いました。北海道から会場となる東京までは遠いと思いましたが、人事制度の導入は当社の最重要課題ですから、私と営業マネージャー、工場長の計3人で2017年12月に受講させていただきました。

――成長塾を受講し、どのような印象を持ちましたか。

「それぞれの部門の業務を可視化する必要がある」というのはまさにその通りだと思いました。一方で、その可視化が本当に処遇につながっていくのかという疑問はありました。ただ、現時点で人事制度導入の障壁はありませんから、まずは「松本先生の教え通りにやってみる」というのが受講した3人の結論でした。

――人事制度の導入プロセスと現在の運用状況を教えてください。

製造、営業、工務、総務、購買、エンジニアリングの部門ごと、一般職、中堅職、管理職の3階層に分けて成長シートを作成。計18の成長シートをもとに2018年5月から仮運用を開始しました。一年後には処遇にも結びつく本運用を開始。また仮運用以降、上司と部下が面談を行うフィードバックと成長支援会議は実施し続けています。

4.人事制度導入後は粗利や人時生産性が大きく向上

――人事制度導入後の定量的効果をお聞かせください。

2018年5月~2019年4月をBefore、2022年5月~2023年4月をAfterとし、成長塾受講直後と直近の状況を比較した定量的効果を以下に示しました。売り上げはあまり変わっていませんが、粗利や人時生産性などは大きく向上しています。これは成長塾が重視する人時生産性を追い求め、効率化を図った結果です。

また、人事制度導入後は残業時間が減り、定着率が向上するという好循環も生まれています。もちろん、忙しいときは残業もありますが、「帰ることができるときは帰る」を徹底。各部門独自にノー残業デーも設定しています。従業員の様子を見ていると、仕事のメリハリの付け方が良くなったと感じます。その結果だと思いますが、2022年度入社の社員は現時点で誰も会社を辞めていません。入社しても会社に残るのは25%程度だった2018年5月~2019年4月期と比べると、会社の環境は大きく変わったと思います。

5.3回目までのフィードバックを社長自ら実施

――阿部社長が考える人事制度導入の成功の秘訣などはございますか。

秘訣かどうかは分かりませんが、従業員の反応を確かめたかったこともあって、3回目までのフィードバックはすべて私が行いました。15~20分のフィードバックを約80名の従業員全員と行うわけですから、容易ではありませんでした。でも、やって良かったと思っています。

最初のフィードバックは「面倒くさい」「また社長はコンサルタントを入れて何か始めた」といった雰囲気で訝しんでいる様子。まずは従業員に人事制度導入の話をするわけですから、それも当然だと思います。ISOの取得や5S活動のときも、コンサルタントを入れて全社的な取り組みを行っていましたから、かなり社長はコンサルタント好きと思われたかもしれません。

鋼板・形鋼の曲げ加工、溶接組立加工の現場

2回目のときは従業員に落ち着きが見られました。ですが、まだお互いに様子を伺っている状況。3回目になると、成長シートを通じて従業員の頑張りが見えてきます。それを従業員に伝えると、とても喜んでくれます。私自身、そこで可視化の重要性を実感することができました。4回目以降は中堅職、管理職の成長を促すため、彼らに任せていますが、私としては非常に貴重な時間だったと考えています。

6.成長支援制度が新卒採用に大きな効果を生む

――そのほか、人事制度導入のメリットと感じるところはございますか。

業務内容が可視化されると、従業員自身の進む道も見えてきます。それをもとに多くの従業員が成長しようと頑張ってくれますから、会社にまとまりが出てきたように思います。これだけでも、人事制度を導入して良かったと感じてます。そのほか、以下の点も人事制度導入のメリットとして挙げさせていただきます。

<公平な処遇に納得感>
この人事制度は、成果を上げた人が昇給・賞与・昇格という処遇の恩恵を受けることができる仕組みです。性別や年齢は評価の対象ではありません。作為的なものが入る隙間はありませんから、従業員から高い納得感が得られています。

<複数の目によるチェック>
人事制度導入以前は社長の頭のなかだけで評価と処遇を決めていましたが、人事制度導入後は成長支援会議を通じ複数の目で何重にも評価のチェックが入り、成長シートをもとにしたフィードバックの明朗な仕組みで評価されれば、従業員も納得しないわけにはいきません。

<新卒採用時に活用>
成長塾の受講直後から新卒社員を採用するようになりました。その選考プロセスで、工場見学と同時に勤務態度・知識技術(スキル)・重要業務を期待成果(数値)として評価する成長シートをベースとした成長支援制度の話をさせていただいています。すると、学生の皆さんは一様に安心した様子で頷いてくれます。実際、この数年間、毎年数名ずつの新卒社員を採用することができ、今では工場の大きな設備を自由自在に操っています。

現在は、中途採用にも成長支援制度を活用。これにより、工場の経験がなくてもキャリアプランを描けますし、食品会社や旅行会社にいた人が営業で活躍することも可能です。

7.システム導入による効率化にも取り組む

――現在、取り組んでいらっしゃることはございますか。

工場ですから、やはりシステム導入による効率化ですね。設備や機械でできることなら設備や機械に任せようという発想で、先日も品番を印字する設備を導入しました。切板の場合、切った鋼板に一枚ずつ水性のペンで品番を書かなければならないのですが、それが1,000枚もあると非常に時間がかかり、従業員の負担にもなります。

そこで、導入したのがこの設備です。効率化を図れば業務にゆとりが生まれ、別の業務に取り組むこともできます。それらが積み重なっていけば人時生産性が向上。さらに業務の属人化を排除することも可能です。

工場と連携し、納期・工程管理やCAD設計を行っている現場

8.成長塾の人事制度は従業員に安心感を与える仕組み

――人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

成長塾の人事制度は、従業員に安心感を与えることができる重要な仕組みだと思っています。実はリーマンショックのあおりを受け、2011~13年にかけて3年連続で赤字を出したことがありました。当時は社内に大きな不安感が漂い、かなりの危機感を覚えました。しかし現在は、従業員の評価に応じた処遇を仕組み化した人事制度があるため、またリーマンショックのような試練があったとしても、社内に不安感が漂うことはないと思っています。ですから、他の経営者から成長塾の人事制度について問い合わせがあった場合、いつも「おすすめですよ」と答えています。

――最後に一言お願いします。

こうした人事制度の仕組みを考案していただき、非常に感謝しています。社長の頭のなかにある雑然とした諸問題を、うまく紐解いて可視化できるところは凄いの一言です。もっと全国の中小企業の経営者に広げて欲しいと思っています。今後とも、引き続きよろしくお願い致します。

阿部鋼材株式会社様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

※阿部鋼材株式会社様のホームページ(https://abekouzai.jp)
※取材2023年6月


第178話 社員教育の究極の目的は稼げる社員にすること

2023-10-10 [記事URL]

社員の賃金を上げるためには、社員を稼げる社員に成長させる必要があります。しかし、中小企業には「社員を成長させる仕組み」があまりありません。

中小企業では基本的に自己育成が中心であり、入社したばかりの社員に対しても先輩がその都度仕事を教える程度でしかありません。教育の仕組みがあれば5年で身に付く仕事でも、仕組みがないために10年かかっていることもあります。

会社で社員が一人前になる年数が10年かかる場合、社員を成長させるために10年間は教育投資をしていることになります。その最たるものが人件費でしょう。

もしこの10年間で社員が一人前といえるほどの成果を上げられなければ、その社員の人件費(昇給・賞与)を増やすことは当然できません。

社員を早く一人前にするためには教育の仕組みが必要です。この教育制度を1から構築したり、社内外の教育研修を受講したりする必要があるとすれば、中小企業では難しいと思われるでしょう。

しかし、社員を一人前にする教育の仕組みをつくることは決して難しくありません。どの企業にも組織原則2:6:2があり、成果の高い社員が2割、まあまあな成果を上げている社員が6割、これからの社員が2割存在しています。つまり、自社にも成果を上げている社員が2割は存在しているのです。

もっとも、この中小企業で成果を上げている社員は、社内教育によって成果を上げられるようになったわけではなく、ほとんどが自己育成の中で失敗を繰り返しながら成長し、大きな成果を上げられるようになっています。

そのため、この高い成果を上げている社員は、その成果を上げるやり方をなかなか他の社員に教えようとはしないでしょう。

そこで、この優秀な社員をモデルにして成長シート(評価シート)をつくります。その社員が何をやって成果を上げているのか(重要業務)、そしてどのような知識技術を持っているのかを評価する要素とします。成長シートは全ての社員を優秀にする教育ツールになります。

社員はこのシートに書いてあることを実行すれば成果が上がり、上司はこのシートを活用して部下指導することで、より早く部下を成長させることができます。

さらに、この優秀な社員が他の社員に対して積極的に教えるようにするために「教えた社員を最も評価する」と成長基準に明記します。優秀な社員は教えることに対して若干のためらいがあります。しかし、教えたことを最も評価すると約束すれば、成果を上げるやり方を隠すことはなくなります。

そして最も大事な指導は「教えた社員が最も優秀になる」ことです。
一般階層で優秀な社員は、いずれ中堅階層にステップアップします。中堅階層になれば部下を持ち、今度は仕事を教える立場になります。しかし、一般階層で人に教える経験をしてこなかった上司は、教えることがとても下手です。部下指導に相当苦労することになるでしょう。

今までやってこなかったことを、成長階層が上がったからといってすぐできることはありません。そのため、一般階層の段階で「仕事を教える」ことを経験しておかなければならないのです。

教育制度というと、大きな仕組みで到底中小企業ではできないと考えるかもしれません。しかし、難しく考える必要はないのです。

教育制度の元々の目的は、社員の成長を促進させることです。教育制度の根幹をなす成長シートは、教育投資も、新しい組織も必要ありません。それでも全ての社員を成長させ、上司の部下指導にも活用できる、ツールが成長シートです。効果はすぐに上がります。

自然と社員が成長し、上司は成長シートを使ってその成長を支援する。その結果社員がどんどん成長する。これによって仮に社員が10年かかって成長していたことが、5年で成長することができたとすれば、社員は今までより2倍早いスピードで稼げるようになったのです。

稼げる社員に育つことによって、社員は自ら賃金原資をつくっていることになります。「賃金をたくさん得るためには成長しなければならない」。この教育が全くされていません。

自ら稼げる社員になること、それは同時に世の中に大きな貢献ができる社員になっていることだと教育すること。これも大切な教育でしょう。

今いる社員をいかに早く一人前の社員にするか、そのための仕組みをつくって教育することで、社員は大きな成果を上げる、稼げる社員になります。

社員は思った通りに成長しているでしょうか?


第177話 2024年新卒の初任給の見直しが必須です

2023-10-03 [記事URL]

最低賃金が大幅に上がったことで、2024年卒の初任給も上げざるを得なくなりました。

実際に初任給を上げる会社が増えてきています。東京都では10月1日より最低賃金が1113円になったため、所定労働時間が174時間の会社であれば、高卒の初任給は19万3662円以上でなければ最低賃金を下回ることになります。東京都の高卒初任給は今までおよそ18万円でした。この19万3662円を下回る会社は、賃上げすることが必須です。

さらに大卒の初任給も上げる必要があります。高卒と大卒の初任給は現状で約4万円差があるため、大卒初任給は少なくとも23万円以上にせざるを得なくなります。

もちろん、既存社員の賃金が大卒初任給23万円を下回るわけにもいきませんので、こちらも上げざるを得なくなるでしょう。社員全体の賃金が上昇することで、一気に労働分配率が悪化して利益が減少する可能性があります。

今後は初任給を大幅に見直す企業が増えたため、現在の大手企業と中小企業で採用力に大きな違いが出ています。

すでに今の就活生は、初任給の金額を見て就職先を決める傾向が強くなっています。3年前であれば企業規模によって初任給が変わることはほとんどなく、地域による差だけでした。

しかし、これからは企業規模によって初任給に差ができてしまい、初任給によって選別されるようになります。これは今後最低20年間、改善する可能性はほとんどありません。人口が増加しない限りは、この問題が解決することはありません。賃金を上げられるほどの利益が企業になければ、採用はますます厳しくなり人材不足が続くことになります。

利益を増やして賃金を上げなければ中小企業は採用することができない時代になりました。
この経営環境でやるべきことは、現在いる社員を生産性の高い社員に成長させることです。特に、1時間当たりの労働生産性(付加価値÷労働時間)を上げる必要があるでしょう。

どの会社にも生産性の高い社員がいます。生産性の高い社員と低い社員で、生産性の差は通常 1.5倍以上あります。生産性の高い社員がやっている仕事のやり方を可視化し、共有化することでこの緊急事態を乗り切ることができます。

自社にあるものを共有化するだけだからです。組織全体で新しいことに取り組むことには時間がかかりますが、自社の優秀な社員がやっている生産性の高いやり方を組織の中に共有化させるだけなら、その共有のスピードは格段に早くなります。

会社全体の生産性を上げることで、賃上げは可能になります。
例えば、「1時間あたりの労働生産性が現状の3600円から3708円になったら、賃金を3%上げます」と説明ができるようになります。

この説明で、会社が賃上げしたいと考えていることを社員は理解します。そのためには優秀な社員が行っている生産性の高いやり方を真似すればいいだけだと分かれば、社員は生産性を上げることに邁進していくでしょう。

生産性を上げることは経営課題の中で最も優先順位の高い課題になりました。
今すぐ、生産性の高い社員のやり方を社内に共有化してください。その共有化をするためには「成長シート」が役に立ちます。成長シートはもうつくられましたか?


第176話 飛躍的に生産性が向上できる会社の特徴

2023-09-26 [記事URL]

生産性を上げるために、作業効率だけを求めていても限界があります。

1時間当たりの労働生産性は、粗利益÷労働時間で計算することができます。生産性を上げようと考える多くの人は、この計算式の「労働時間」を短くすることを考えます。

仕組みをつくることでこの労働時間を短くすることは可能です。極端なことをいえば、仕組みによって今やっている仕事をやらなくても成果を上げられるようになる可能性はありますが、ただし、今やっている仕事を全てなくすことは現実的に考えて無理でしょう。

しかし、新商品を今まで以上の高付加価値で販売することは可能です。つまり、生産性向上は労働時間を短くする以上に、高付加価値な商品・サービスを開発することに取り組むことなのです。

新しい商品や新しいサービスを開発するとなると、とても難しく、専門的な知識がなければできないというイメージがあるでしょう。しかし今いる顧客のニーズを分析し、それに応えられる商品・サービスを新たに開発すればいいだけの話です。

その顧客ニーズはどこにあるかというと、現場で働いている社員とお客様の間に発生しています。お客様と会話をしていると「○○が欲しい」「□□で困っている」等々、お客様の困っていることやニーズを直接聞けることがあります。

優秀な社員はその声を拾ってニーズに応えられる新商品・サービスを提供する努力をするでしょう。さらに優秀な社員は、実際の要望だけでなく顧客自身も気が付いていない「潜在ニーズ」を発見しています。これにより顧客満足度がとても高く、他社には真似できないような新商品・サービスを提供しているのです。

つまり、生産性を高めるために大切なことは、お客様も気が付いていない潜在ニーズをとらえ、それに対応できる商品・サービスを提供することです。

このこと自体は高付加価値の新商品・サービスを提供できることにつながるため、時間の短縮を考える以上に大きな生産性向上になります。独自的なものであれば、値引き交渉はされません。

一般階層の社員は自分で仕事をして顧客に喜んでもらう、プレーヤーの階層です。しっかりと顧客のニーズを捉え、それに対応することがこの会社の使命であると学べる階層といえるでしょう。

このように成長することで、会社の20年後30年後の事業展開を、既に一般階層の現場で培ってきていることになるでしょう。

この顧客のニーズは日々変化していきます。その変化を把握できるのも、顧客と直接やりとりをする一般階層の社員でしょう。この変化するニーズに対応している社員は「環境適応社員」と呼べます。

今は「マネジメント」という言葉で上司が部下を指導して成果を上げていることばかり強調されています。これでは上司が過去のニーズを基に部下指導をするため、部下は上司以上に成果を上げることはできないでしょう。

上司は現場の部下が把握した顧客ニーズを早期に収集し、新商品・サービスの検討をすることが求められます。

生産性を上げるための対策は立てていますか?

 


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第175話 最低賃金1500円時代の到来に向けて準備する

2023-09-19 [記事URL]

毎年仮に3%の賃上げをしていくと、東京都の場合10年後の2033年には最低賃金が約1500円になります。現状でも、過去最大の引き上げ41円アップは、中小企業にとって頭の痛い問題です。

最低賃金を上げることによって間違いなく人件費はアップするため、労働分配率を一気に悪化させる可能性があるでしょう。中小企業はその余力があまりないかもしれません。しかし、中小企業でも賃上げすることは決して不可能ではありません。

もちろん賃上げするためには、その賃上げに見合った売上・粗利を上げることが必要になります。特に現在、日本では1時間あたりの生産性「人時生産性」の向上が求められています。生産性を向上させることができれば、賃金を上げることは可能です。

同じ会社の社員でも生産性の高さは大きく違います。生産性を向上させている優秀な社員と、生産性がなかなか上がらない社員が混在しています。その差は今までの経験上、1.5倍以上はあります。

その生産性の違いは「やっていること」の違いです。仮に現在の人時生産性が平均3000円だとして、その優秀な社員が生産性を向上させているやり方を全社員に共有化し、全社員が真似すれば1.2倍の3600円まで上げることは簡単なのです。

それだけではありません。実際に優秀な社員のやり方を真似して全員が高い生産性を上げられたとき、社員はそれ以上の生産性を実現するために様々な工夫をするようになるでしょう。つまり、この3600円が最終ゴールではなく4000円、4500円と人時生産性を押し上げることができるのです。

私はかつて人時生産性2600円から5600円の実現を経験しました。これは新しいことに会社が取り組んだのではなく、会社の中にある優秀な社員がやっていることを共有化したに過ぎません。この共有化をすることが一番のポイントです。

同じ会社の社員がやっていることを難しいと考える社員はいませんでした。そのため、社員は共有化したそのやり方にいち早く取り組み、高い人時生産性をすぐに実現できたのです。

今こそ、この人時生産性の向上に取り組む必要があります。しかし、人時生産性は「粗利益÷総労働時間」で計算されますが、日本全体では、生産性を向上するために労働時間を短縮することばかり考えているのが現状です。

人時生産性を上げる最も大切なことは粗利益を増やすことです。その粗利益を増やす方法を社員間で共有化することがとても重要なのです。では、粗利益はどこで稼ぐのでしょうか。それは当然、現場です。現場の社員のやっていることを共有化することによって、この粗利益を増やすことができるのです。

現在、残業の上限規制をしている日本では、残業して粗利益を稼ぐ方向性はもうありえません。短い時間で粗利益を稼ぐことであれば、反対する社員は誰もおらず、笑顔で取り組むでしょう。そして自身の行動によって粗利益を増やすことができるのであれば、社員は「もっと挑戦しよう」となるでしょう。

これからの日本では 現場の社員が新しいことにどんどん挑戦することを認めることです。ただし、この結果としての成果を人時生産性で見るとき、挑戦は全て成功するとは限りません。そのため、これから様々な挑戦を求めても失敗は決して評価しないことを社内に宣言しなければなりません。

貴社は社員の挑戦が失敗したときに、マイナス評価をしていないでしょうか。

 


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