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第120話 人生100年時代には、40年間の○○賃金計画が必要

2022-07-26 [記事URL]

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厚生労働省は公的データを民間開放し、将来の年金額を簡単に試算できるアプリの開発を後押しするようです。これにより資産形成の助言を受けやすくし、貯蓄から投資への流れを加速させようとしています。

老後2000万円問題などに対応できる、新たな動きといえるでしょう。この厚生労働省の公的データの開放は、若い人たちにとってとても役に立つ情報になるでしょう。

現在は65歳から年金を受給できますが、近い将来、この受給年齢が70歳以降になることは間違いありません。それ以上に「年金が支給されるとしても、果たして生活できるほどの金額が受給できるかどうか」が、今の若い人たちの悩みです。

この悩みを解決する方法を構築することは、企業にとって若い社員を採用できるチャンスだと私は考えています。特に中小企業で終身雇用制を採ることは、新卒採用の大きな武器になります。

ここで大事なことは、社員に自分の生涯賃金はどのくらいか、事前に分かるようにしなければならないことです。基本的に賃金は会社の業績が良い時に増えていきます。会社の業績と社員の成長、この二つの要素によって賃金は増えます。これは企業の大小にかかわらず、全て同じです。そのため、今までの昇給を基に分析をして、全ての社員がその会社での生涯賃金が計算できるようにしなければならないでしょう。

そして、生涯賃金には賃金と賞与が含まれています。生涯賃金を計算する時には、転職をしないことを大前提として計算します。

日本企業では、転職して一年目の賞与は満額出ないのが一般的です。そのため、転職する=生涯賃金を増やすことではないと、会社は社員教育をしなければならないでしょう。この会社で成長し、一般・中堅・管理職としてステップアップする。そして世の中に大きな貢献をすることで、自分の生涯賃金を増やすことができると説明する時が来たように思います。

人生100年時代に向けてどのように蓄財をしていけばいいのか、それを考えるためのデータが必要になってきます。生涯賃金を把握することで、初めて自分の将来の年金支給額が分かるでしょう。

将来の年金支給金額は、今の自分の生涯賃金がいくらであるか分からなければ計算はできません。決して難しい計算ではありません。今まで昇給してきた過去を分析しながら、社員が自分の生涯賃金を計算できるソフトを作成することをおすすめします。

このソフトだけであれば簡単にエクセルで作成できます。そのエクセルでつくった生涯賃金計算ソフトを、ぜひ若い社員を採用するための武器にしてもらいたいと思います。

単純に初任給の賃金を上げて採用する時代から、将来のことを考え、人生を計画する社員を採用する時代が来たことを忘れないでもらいたいと思います。


夏期休業のお知らせ

2022-07-25 [記事URL]

平素より大変お世話になっております。ENTOENTOです。
弊社では誠に勝手ではございますが、本年度の夏期休業日につきまして、以下の通りとさせていただきます。

◆ 休業期間 2022年8月13日(土)~2022年8月21日(日)

【セミナー・研修へお申込みいただいた際】のご請求書の郵送につきましては、以下の通りとなります。

8月9日午前8時までにいただいたお申込みにつきましては、12日(金)までにご請求書を発送いたします。
8月9日8時以降のお申込みにつきましては、22日(月)以降に順次請求書を発送させていただきます。

【ご注文いただいた商品の発送】につきましては、以下の通りとなります。

(1)【代金引換便】でのお申込の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までに発送いたします。
※在庫切れの場合にはその限りではございません。ご了承ください。

(2)【銀行振込】でのお申込の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までにご請求書を発送いたします。
8月9日8時までにご入金が確認できた商品につきましては、12日(金)までに商品を発送いたします。

(3)【払込書】でのお申込(小冊子)の場合
8月9日8時までにご注文いただいた商品につきましては、12日(金)までに発送いたします。
8月9日8時以降のお申込みにつきましては、22日(月)以降に順次発送させていただきます。

なお、夏期休業中もFAXやEメールによるお問い合わせは受付けておりますが、9日8時以降のお問い合わせ等につきましては、22日(月)以降に順次対応させていただきます。

大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。

ご不明な点等がおありでしたら、お気軽にお問い合わせください。


第119話 賞与の配分の仕方が社員の成長を左右する

2022-07-19 [記事URL]

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ある大手企業が、ホームページ上で賞与の配分の仕方をオープンにしていました。そこには「賞与は成果の大きさで配分する」と示されています。この配分の仕方はバブル崩壊の時に問題を発生させた成果主義の考え方のままです。大至急、改革が必要です。

賞与は成果の大きさで配分すると知った社員の次の行動はどうなるでしょうか。全ての社員は賞与をたくさんもらいたい気持ちがあるため、一生懸命成果を上げる努力をすることになるでしょう。企業はそれを狙っていると思います。

社員は成果を上げるための業務を行うようになるでしょう。中でも、成果の高い社員はその業務を優れたやり方で行っています。もっとも、それが優れたやり方かどうかは社員本人も十分に認識していない可能性もあります。

ところが、成果の高い社員が「自分は成果が高いからたくさん賞与がもらえる」と分かると、できるだけ他の社員よりも高い成果を上げた方がいいと考えるようになります。そのため、残念なことに自分より成果の低い社員がいる状態を密かに維持しようと考えるでしょう。

仮に成果を上げるやり方が分かったとしても、それを他の社員に教えてしまえば、自分の成果と他の社員の成果のギャップが少なくなります。極論を言うと全員自分と同程度の成果になってしまうと、自分の賞与の金額は増えないと考えるようになるでしょう。

そのため、明らかに優秀な社員は他の社員に成果を上げるやり方を教えようとはしません。自分がいかに高い成果を上げたかを会社にアピールし、自分だけ高い賞与をもらおうとします。この社員は組織の中で尊敬される社員になれるとは思えません。しかし実際成果さえ上がっていれば、この社員が賞与をたくさんもらうことになります。そして、他の社員より早く昇進昇格するでしょう。

賞与は配分の仕方よりも大切なことがあります。それは賞与の原資を増やすということです。賞与の原資は会社の業績によって決まります。業績が良ければ全社員の賞与が増え、業績が悪ければ全社員の賞与は減ります。

このことを社員に教育しなければなりません。仮に成果を上げている優秀な社員が、そのやり方を全ての社員に教えることができて、全ての社員が成果を上げたとすると、会社全体の業績はとても高くなります。つまり、全社員の受け取る賞与は増えることになります。

そして大切なポイントは、その成果を上げる重要業務のやり方を教えた社員に、賞与をもっとも高く配分することです。そのためには成果の大きさだけではなく、この重要業務の遂行度の違いを明確に評価する仕組みを持たなければなりません。

その仕組みによって、教えた社員がたくさん賞与をもらえたとき、他の社員はそれをどう見るでしょうか。
「あなたが一番高い賞与で私も嬉しい。あなたのおかげで私もたくさん成果を上げることができて、賞与をたくさんもらえた」
教えたこの社員は他の社員から尊敬されることになります。そしていつか上司になって多くの部下を成長させることができるようになるでしょう。

賞与の配分は、その会社の社員がどのように成長するかを決定します。もう一度配分の仕方を見直してください。


第118話 社員の65歳以降の雇用のためにこれから準備すること

2022-07-12 [記事URL]

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70歳までの雇用が努力義務になり、企業は65歳以降の継続雇用について取り組む必要がでてきました。しかし、中小企業では推定4割以上の企業で70代の社員を実際に雇用しているのに対し、厚生労働省の調査によると、大手企業ではわずか2割程度しか対策をしていません。中小企業よりも随分遅れていることが分かります。

ここで大事なことは、どのような仕事をしてもらうのかを考える前に、65歳以上の社員に求める成果の種類を明らかにすることです。

一般的に、会社では社員を何らかのシートで評価をし、そしてその評価を基にして賃金を決めます。もし、上げるべき成果が分からなければ、社員は取り組むべき仕事内容を的確に知ることは困難でしょう。これでは具体的な成長を評価することはできません。つまり、成果の種類を明確にしなければ賃金を決めることはできないのです。

仮に、社員の成長を確認できる成長シートがあれば、「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」この4つの構成要素で社員の成長確認をすることができます。

・専門的な技術を持って行う仕事でどのような「成果」をあげるのか。
・後進に仕事を教えることでどのような「成果」を上げるのか。
・マネジメントをすることで、どのような「成果」を上げるのか。
この成果の種類を明らかにせずに65歳以上の社員の働き方を考えてしまうと、賃金との連動ができなくなってしまいます。65歳以上の社員を評価し賃金を決めるためには、現在在職している社員の評価と賃金をまずは一致させることが最も重要であることに気がつくでしょう。

この考え方があれば、65歳を過ぎた時、または70歳を過ぎた時に、その成長シートの期待成果の大きさが基本的に社員の賃金を決める大きな判断基準になります。

いまだ65歳以上の雇用に関してはかなり未知数であり、そのことが阻害要因になっています。悩むことが多いでしょうが、こればかりは実践してみない限り、結果は分かりません。

あらゆる社員はこの会社で成長して世の中に貢献する。そしてその評価を組織の中で決め、処遇に反映させる。この考え方に基づいて仕組みを動かしながら、徐々に見直すことが必要でしょう。

元々私は人事制度を構築して運用するときには60%の品質でスタートすることを勧めています。もちろんこの段階では処遇の決定には活用できません。最も大事な「社員の成長」を考えれば、見直しする箇所が相当あります。

65歳以上の雇用はこれからどんどん進んでいくでしょう。「社員のために」という目的でつくるこの人事制度についても、最初から完璧を目指すのではなく、運用しながら見直すことを考えて実践してください。


第117話 出社かテレワークか。どちらにするかは判断基準が必要になる

2022-07-05 [記事URL]

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テスラのイーロン・マスク氏がテレワークを認めない考えを示し話題になりました。日本では、NTTが社員3万人をテレワークにすることを発表し話題になっています。「出社」がいいのか「テレワーク」がいいのか、まだまだ多くの企業がどちらの働き方にするか決めかねているようです。

どちらがいいかは企業の業種・業態によって違い、一概に説明することはかなり難しいテーマではありますが、大切なのは「生産性指標」で判断することです。生産性を判断できる指標があれば、どちらの働き方がいいのか簡単に分かります。

しかし面白いことに、大切な経営判断にもかかわらず具体的な生産性指標を示している企業はほとんどありません。生産性は感覚で語るものではなく、数字で語るものです。具体的な数字で判断しなければ、社員に説明しても納得することはありません。企業として考えるときには、必ず判断するための指標を決めてディスカッションすることです。

「出社がいい」という社員もいれば、「テレワークがいい」という社員もいるでしょう。さらに「社員の定着率」や「社員の成長率」を比べて、どちらが社員は働きやすいか判断する必要もあるでしょう。

しかし、どちらにしても生産性指標を明確にせずに決めてしまえば、反対する人たちは納得しません。納得しなければ「辞めてもらって構わない」という考えもあるでしょうが、これでは残った社員も疑問を持ったまま仕事することになります。必ず生産性指標を明確にして、どちらが良いのか判断しなければなりません。

今後の様々な経営環境の変化に合わせて、一度決まったことも途中で変更することはありえます。しかし今後、「出社」か「テレワーク」について様々な企業が意見を発表し、マスコミを賑わせたとしても、その話題に振り回されてはいけないのです。我が社は我が社なりの指標を明らかにし、経営判断をしてもらいたいと思います。

この問題は、この機会に全ての社員を巻き込んでこの「生産性」「定着率」「成長率」を考えることができれば、素晴らしいことです。今後ますます生産性向上のヒントを掴むことができるでしょう。

一度、この機会に我が社の生産性指標を考えてください。


臨時休業のお知らせ

2022-07-04 [記事URL]

平素より大変お世話になっております。ENTOENTOです。
今年の成長塾第17回全国大会(オンライン大共有大会)開催に伴い、次の日程で臨時休業させていただきます。

◆ 休業日 2022年7月14日(木)~2022年7月15日(金)

ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。


有限会社グリーンフィールド様(農産物の生産、加工、販売 沖縄県)

2022-07-01 [記事URL]

「新卒の正社員が納得する人事制度を構築。今後は自社農場の沖縄ファーム、そしてアルバイトやパート、技能実習生を含め全従業員の頑張りも評価できるようにしたいと考えています」有限会社グリーンフィールド 代表取締役社長 大城 洋 氏、常務取締役 大城 千賀子 氏お二人の写真
新卒採用の正社員が安心して長く働ける会社にするため、成長塾で人事制度づくりを学ばれた有限会社グリーンフィールド 代表取締役社長 大城洋 氏と、常務取締役 大城千賀子 氏にその経緯と効果について詳しく伺いました。

●会社プロフィール
社名 有限会社グリーンフィールド
代表取締役社長 大城 洋
所在地 〒900-0001 沖縄県那覇市港町4丁目2番地
資本金 1,735万円
設立 2005年 8月
従業員数 180名(アルバイト、パート、技能実習生を含む)
事業内容 農産物の生産、加工、販売
URL  https://114.co.jp/

 

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1.安心・安全に配慮したカット野菜・カットフルーツを製造・販売

――グリーンフィールドの会社概要をお聞かせください。

グリーンフィールド様のカット野菜とカットフルーツの画像
真心がこもっている安心・安全なグリーンフィールドのカット野菜、カットフルーツです。これは自慢の沖縄県産カボチャです。

大学卒業後、沖縄県内で肉の卸の仕事をしているとき、野菜の仲卸業を営んでいた父から、カット野菜の製造・販売を手掛ける会社を立ち上げるから加わってほしいと声をかけられたのがグリーンフィールドの始まりでした。そこで父と私、そして叔父を加えた3人で、2005年に有限会社グリーンフィールドを立ち上げました。

ところが、カット野菜に関する知識は誰も持っていません。そのため、私が福島県のカット野菜専門の会社で1年間修行し、技術とノウハウなどを持ち帰ってようやく事業がスタートしました。最初は苦戦しましたが、従業員一丸となってカット野菜、カットフルーツの品質と生産能力を高めることにまい進。その結果、現在は大手外食企業や大手スーパーマーケット、学校給食など、数多くの顧客を獲得するまで成長することができました。

原材料となる野菜やフルーツに関しては、当初は契約農家から仕入れていましたが、現在は私が代表を努める自社農場、有限会社沖縄ファームで賄っています。これにより、生産から製造・出荷まで一気通貫のワンストップ体制で、皆様のもとに新鮮で美味しいカット野菜、カットフルーツをお届けしています。

当社は「野菜に新しい価値を吹き込み、野菜でゆとりと活力を提供する。」をサービステーマに、子供から若い共働き世帯、そして年配の方々の輝くライフスタイルの創造に貢献していきたいと考えています。そのために大切なのは、品質と美味しさにこだわった安心・安全な食品をお届けすること。細心の注意を払い、衛生管理基準をクリアしたものだけをお客様のもとに届ける生産工程の構築に研鑽を重ねてきました。おかげさまでその努力が実り、数ある食品安全規格のなかでも難易度が高い食品安全システム認証の国際規格「FSSC 22000(Food Safety System Certification)」認証を取得することができました。

FSSC22000認定を受けた品質管理部の写真
FSSC22000認定を受けた品質管理部

有限会社沖縄ファームにおいても、食品安全、労働環境、環境保全に配慮した「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる事実上の国際標準「GLOBALG.A.P.(グローバルギャップ)」認証を沖縄で初めて取得。この認証の取得に満足せず、これからも当社は大いなる夢を持ち、地域社会と皆様に愛される会社づくり、人づくりに精進してまいります。

2.優秀な新卒社員が安心して長く働ける会社を目指す

――成長塾を受講した背景をお聞かせください。

新卒で入社した従業員が納得して働くことができる環境づくりを求め、成長塾を受講させていただきました。そもそも創業して10年ほどは従業員の数は揃っていましたが、ほとんどがパートやアルバイト。正社員を雇う財務的な余裕がありませんでした。

事業が軌道に乗った10年目、大学を卒業する新卒を正社員としてようやく数名採用することができました。そうした新卒の子たちと一緒に働いて思ったのは「本当に優秀」だということ。物覚えにしても段取りにしても、さまざまな業務の場面で「やっぱり新卒社員は違う」と感心させられました。そうなると、今後も毎年数名ほどの新卒を採用し、人材育成・成長支援に注力していきたいと思うようになります。

また同時に、そうした新卒社員が辞めることなく、誇りを持って安心して長く働ける会社を目指さなければならないと考えるようになりました。そのためには、就業規程の整備はもちろん、「何を頑張ったら給与が増えていくのか」が分かる仕組みが必要になります。そこで求めたのが、透明性が高い人事制度でした。

――成長塾受講の前、別の人事制度の導入を検討されたと伺っています。

まずは社労士のコンサルティングのもと、独自の人事制度を1年かけてつくりました。ところが完成した人事制度は、何等級の何段階という等級制度や賃金テーブルなどが非常に複雑で、我々は本当にこの人事制度を運用できるかという不安でいっぱいでした。

複雑というだけでなく、幹部に求められるレベルが高すぎたというのも導入を躊躇する要因でした。人手不足で現場の兼任業務も多いなか、一般企業の課長や部長と同一のスキルを求められてもすぐには対応できません。もちろん、一般論で言えば幹部にはそうしたスキルが必要だというのは理解できます。

ただ、制度というものがほとんど存在しないところに、いきなり杓子定規の人事制度導入は厳しいというのが正直な気持ちでした。完成され過ぎていた人事制度ゆえに、当社には合わなかったという感じでしたね。

3.成長塾の人事制度なら自社に合った人事制度がつくれる

――成長塾を受講された経緯を教えてください。

前述した人事制度の導入に躊躇していたとき、お世話になっているキムタカ税理士法人から、松本先生が主催している成長塾を紹介されました。中小企業向けの人事制度では全国有数の実績があるとのことで、タイミング良く松本先生の沖縄講演に足を運ぶことができました。その後、2017年10月163期生として成長塾を受講させていただきました。

――受講後の率直な印象をお聞かせください。

成長塾の人事制度は「期待成果」「重要業務」「知識・技術」「勤務態度」のさまざまな成長要素を成長シートに展開するわけですが、これをすべて自分たちが可視化していくのが素晴らしいと感じました。これなら、当社に合った人事制度がつくれるのではないかと大きな期待を抱きました。

さらに感銘を受けたのは、競争ではなくて共有するという点です。優れたやり方をシェアするという考え方は、まさに目から鱗でした。会社の組織づくりを行ううえで、これまでは結果だけを見てしまいがちでしたが、受講してからは考え方が180度変わったような気がしました。

――人事制度を運用するうえで苦労はありましたか。

従業員のほとんどは製造部門に属していますから、細かく成長シートを分ける必要がないのは助かりました。しかし、自分の頭のなかにある成長基準を可視化する作業は四苦八苦しました。これまで感覚に頼っていた成長基準だったため、客観的な成長基準をつくるには時間を要しました。

実際、成長塾を受講してすぐに人事制度を導入しましたが、2年間は仮運用期間に据えていました。本格的な運用を開始したのは3年目からになります。

また、導入当初のフィードバックの面談では、成長塾を受講した私たちが必ず同席するようにしました。それまで面談自体ほとんどありませんでしたから、いきなり「成長シートに基づいたフィードバックの面談を実施しましょう」と言っても、何をすればいいか分からないと思ったからです。

面談の指導だけでなく、従業員一人ひとりに「プロセスを評価している」こと、そして人事制度の解釈に共通の認識を持ってほしかったというのもあります。人事制度を導入してから新卒社員が増えていきましたから、単純に労力という意味で大変でした。

4.正社員の定着率が向上

――人事制度の導入後、どのような定量的効果を得ることができましたか。

2017年4月~2018年3月をBefore、2020年4月~2021年3月をAfterとし、成長塾受講前後を比較した定量的成果を以下に示しました。

グリーンフィールド様の定量的成果の表
(クリックで拡大します)

注目してほしいのは定着率です。48%が75%ということで、一見すると低いと思われるかもしれません。そもそも当社の従業員数は繁忙期になると180名にのぼり、その多くはアルバイトやパート、外国からの技能実習生で占めています。現在、正社員は33名です。つまり、表の定着率は家庭の事情や技能実習生という立場で退職せざるを得ない従業員を入れた全体数で、正社員だけに絞れば約89%という高い定着率になります。

正社員が辞めないのは、人事制度のPDCAサイクルが機能するようになったこと、それとともに福利厚生が整備されてきたのが大きな要因だと考えています。

5.情報を共有し良いことを伝える文化が定着

――人事制度の導入による定性的な効果をお聞かせください。

人事制度を導入した当初は、多くの正社員が評価を受ける側でしたが、現在はそのなかからリーダーが育ってきています。そして、今はそのリーダーが自分の部下を指導するフェーズに入ってきました。すると、リーダーは以前に幹部から言われてきたこと、幹部ならではの悩みなどをようやく理解したようで、積極的に部下の成長を支援する動きが見え始めてきました。まさにそれはPDCAがうまく回り、人材育成の文化が根付いてきたと感じる瞬間です。

最初に感銘を受けた優れたやり方を共有する考え方は、成長シートのなかだけでなく、教え合う仕組みとして定着しつつあります。成功を全員で共有するのはもちろん、その成功を手にしたいと思う部下の能力を引き出すことができるリーダーが増えてきました。

同時に良いことを伝える文化も根付いてきたと感じます。例えば、褒められればどんなに小さなことでもうれしいもの。本人にとっては大したことではないやり方でも、リーダーや幹部からの言葉を通じて賞賛はしっかり本人に伝わっています。我々にも聞こえているわけですから、それは間違いありません。

また、フィードバックの面談が社内の雰囲気を変えてくれました。リーダーや幹部が部下に関心を持って勤務態度や仕事ぶりを評価しますから、自ずとコミュニケーションの量が増えていきます。コミュニケーションの量が増えると社内の風通しが良くなり、それが会社全体の雰囲気につながっていきます。実際、会社に活力がみなぎっていると思うときが度々あります。

6.グローバル化に対応する成長シートをつくりたい

――今後の展開をお聞かせください。

最終的には、すべての従業員が「グリーンフィールドなら安心して30~40年働ける」と思える会社にしたいと考えています。そういう意味では、これからも人事制度のブラッシュアップは必要だと思っています。ブラッシュアップのひとつとして考えているのは、グローバル化に対応する成長シートです。

限られた時間のなかで技術の習得を目指す外国からの技能実習生なども在籍していますから、当社としても実務にあたってから適職を見極めていく従来型のメンバーシップ型雇用では対応しきれません。スキルや実務能力を適正に判断し、専門性の高い人材を雇用する方法へのシフトチェンジが必須で、成長シートもそれに対応するグローバル化が求められます。

また、今後は冒頭で紹介させていただいた自社農場、沖縄ファームをグリーンフィールドに吸収する構想があります。その際には、すべての正社員を成長シートで成長の確認をする仕組みを構築できればと考えています。また、正社員だけでなく、パートやアルバイトを含めた全従業員の頑張りも成長シートを通じて可視化できるようにしたいと思っています。

例えば、現在は賞与原資をオープンにしていますが、「誰がいくらもらえるのか」までオープンにする施策を模索しています。競争を促すのではなく、成長等級と成長点数が賞与に反映されることを把握してほしいという想いからですので、従業員の理解は得られると思っています。

沖縄ファーム様のキャベツ畑の写真

沖縄ファーム産のキャベツは11月から6月にかけて収穫期を迎えます。新鮮なままカットされ、お客様の食卓へお届け

7.5~6割程度の完成度でもスタートさせることが重要

――人事制度に悩んでいる企業に向けて、御社からアドバイスがあればお願いします。

人事の問題は多くの経営者が悩むところで、一人では解決できない部分も多くあるかと思います。当社が良かったのは、私、大城 洋と大城常務が二人三脚で人事制度の導入を推進したこと。相談し合いながら、より良い人事制度の構築を目指したことで、悩みを抱え込むようなことがありませんでした。心にゆとりを持って人事制度の構築・導入に取り組めたと思います。

あとは完璧を求め過ぎないことですね。考え過ぎてスタートが遅れてしまっては前に進みません。当社の場合「運用しながら、その都度ブラッシュアップをすればいい」と考え、とりあえず5~6割程度の完成度でスタートさせました。実際、最初の段階はころころと変わったため、現場は混乱したと思いますが、そこは理解を求めながら完成度を高めていきました。

もちろん、先ほども申し上げた通り、今後もブラッシュアップは必要ですが、全従業員に納得してもらえる人事制度を構築できたと自負しています。

――最後に一言お願いします。

松本先生の「労って、褒めて、認めて、感謝する」という言葉が今でも心に残っています。今いる従業員に感謝する気持ちを忘れないように、いつもその言葉を反芻しています。

それと、松本先生のちょっとした冗談は沖縄にぴったり合いますね。いつも笑わせてもらっています。これからもご活躍をお祈りしています。

グリーンフィールド様の集合写真

有限会社グリーンフィールド様、お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。


有限会社グリーンフィールド様のホームページ
※ 取材 2022年4月


第116話 賃金は社員の成長の後からついてくる

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「賃金を上げてください…」社員の心の声が伝わってくるようです。

次から次へと様々な商品の価格が上昇しています。原材料費が高くなれば、当然企業側も売価をその分高くしなければなりません。これは世界の常識です。

このままでは生活が大変なので「賃金を上げてください」という社員の思いは強くなっていることでしょう。この時、経営者がどう考え、どう行動するかによって社員の成長は大きく左右されます。

日本では元々ベースアップという賃上げの方法があり、消費者物価指数が上がったときに社員の賃金を一律で上げてきました。しかし、この先行き不透明で混迷な時代に、物価指数が向上したからといって単純にベースアップをすることは難しいでしょう。

賃金を上げるために、まずは「賃金原資」を増やす必要があります。賃金原資は売り上げ・粗利益の中に存在しています。つまり、この売り上げ・粗利益を増やさない限りは賃金を増やすことはできません。このことを社員に明確に教育する必要があります。

賃金原資を増やすためには業績を上げることです。業績を上げるためには、社員間の成果の違いを生みだしている「やっていることの違い」を共有化することです。このような時代だからこそ、社員間で成果の大きさに差がついていることにお気づきでしょうか。その成果の違いを生みだしているやり方を、全ての社員に教育をすることができれば業績を上げることができます。

もしこの教育ができれば、厳しい環境であっても社員は具体的な仕事の仕方を教えあい、全社員が一緒に成長していくことになるのです。1社の例外もありません。このことは大切な社員教育です。

この会社で賃金を上げるためには、全社員で全社員の成長を願いながら、支えながら教え合うこと。これによって会社の業績は間違いなく向上します。

今までのような、成果の高い社員だけ賃金が増えることをモチベーションにして、さらに成果を上げさせようとする、個人主義の考え方ではこの時代を切り抜けることは難しいでしょう。

今までの賃金の考え方に対する大きなターニングポイントだと理解して頂く時が来ました。社員にしっかりと教育してもらいたいと思います。


第115話 人事制度が役に立つ絶対条件

2022-06-21 [記事URL]

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人事制度はもともと、社員の評価を決め、昇給・賞与を決めるためにつくられます。上司の評価によって昇給・賞与が決まることを明確にする制度、それが人事制度です。

ところが、実際は多くの企業で人事制度による評価を実施した後に評価調整会議を行い、そこで昇給・賞与の金額を決めています。人事制度による評価はあくまで参考資料にすぎず、実際の金額は会議の中で決めているのです。この段階で(上司の)評価と昇給・賞与の金額は無関係になります。

ここで最も大事なことは、人事制度による評価が昇給・賞与を決めるためのデータとしてほとんど活用されていないことです。これがどれほど大きな問題を起こすか気がついていない方が多いでしょう。

社員は誰しも昇給・賞与をたくさん欲しいと思っています。少なくとも、自分の評価に見合った昇給・賞与を出してほしいと考えているのです。昇給・賞与を決めた最終的な評価を、社員は知りたいと思うでしょう。しかし、上司の評価がそのまま部下の昇給・賞与を決めることになっていなければ、部下はこの上司評価は組織の中で正しい評価であるかどうか分からず、全く自分の成長を確認することができません。

この状態ではどれほど上司が管理者研修を受けてマネジメントスキルを学んだとしても、部下を成長させることは不可能と言わざるを得ないでしょう。自分(部下)がどこまで成長しているのか分かるからこそ、さらに次の成長を考え上司の部下指導を求めるのです。この評価調整会議をすることが、上司が部下指導の力を十分に発揮できない最大の原因です。

社員を成長させたいと考える経営者ならば、まずは上司の評価でストレートに昇給・賞与が決まる仕組みにしなければなりません。そうすることで部下に上司の評価を伝えることができ、そしてそれに基づいた具体的な部下指導ができるようになります。部下はその上司の部下指導を歓迎することになるでしょう。

「上司は今の評価(成長)から次の評価(成長)へ向かって成長させようとしてくれている」。このことを明確にすることが組織に求められています。

上司の評価に甘辛があると考えて経営者が調整したり、調整会議を行なったりしてはいけないのです。上司の評価をそのまま部下の昇給・賞与を決めるデータとして使わなければならないのです。

社員数が少ない頃は、人事制度はなくても社員の評価と昇給・賞与は一致していました。「人事制度が出来てから、評価と昇給・賞与が一致しなくなった」ことは人事の不思議そのものです。

この激動の時代で生き残るためにはこの「評価」と「昇給・賞与」が完全に一致していることが大前提になっています。そうでなければ、社員は成長できません。


第114話 本当はチャレンジしたい社員が最低2割いる理由

2022-06-14 [記事URL]

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100年に一度の大変革期が訪れています。あらゆる業界の現場で、さまざまなチャンスが生まれています。中小企業の経営者はそのチャンスをしっかりと掴むため、様々な経営戦略を検討しているでしょう。

幸運の女神には前髪しかないことは多くの方が知っています。「いつか」と考えているだけでは、そのチャンスを永遠に掴むことはできません。この時代で全ての社員を巻き込んでチャレンジし、チャンスを掴める新しい制度をつくることをおすすめします。

その新しいチャレンジ制度が成功する条件は三つあります。

一つ目は「成長シートがあること」です。
成長シートは今いる優秀な社員が、どのような業務でどのような成果を上げているのか可視化したシートです。この会社には優秀な社員がいて、成長シートに書いてあることを実行すれば、同じように優秀になれると全社員が理解していなければなりません。

二つ目は「成長シートの成長点数で100%処遇を決めること」です。
成長シートにより、社員がどれだけ成長したかを確認できる「成長点数」が算出できます。成長点数は20点から始まり、100点が満点です。仮に優秀な社員は80点以上の社員だとして、この点数を実現するため、入社から通常10年かかるとすれば、一年間で平均6点増えたら順調に成長したことになります。最初は20点、そして次の年に26点と、毎年徐々に成長することによって、その結果がストレートに昇給・賞与に反映されると分かる賃金制度が必要です。

三つ目は「失敗したことをマイナス評価にしないこと」です。
成長点数で100%処遇を決めるのであれば、事業年度の最初に社員は「経営目標が実現できた時の自分の昇給・賞与」を計算し確認することができます。仮に、この時点で失敗をマイナス評価にしないと明確にしておけば、社員は嬉しそうな顔をして挑戦をします。チャレンジしている社員の顔を見たことがあるでしょうか。我が社で初めてのことをしているにもかかわらず、ワクワクしながら笑顔で挑戦をしています。

もっとも、チャレンジの成功の確率は最大30%、一般的には10%ぐらいの成功率しかありません。しかし、この10%の成功がやがて成長シートに組み込まれ、全ての社員をさらに優秀にしていくことになります。マイナス評価をしないこと、処遇が悪くならないことを社員に明らかにする必要性があります。

そしてこのチャレンジ制度を運用しながら、チャレンジした社員の成功事例だけでなく、失敗事例も社内報等で告知しなければなりません。これによって今の激動の時代を生き抜くため、ワクワクしながら挑戦している社員がいることを、全ての社員に共有化してください。その挑戦の事例を見て、また他の社員の挑戦を呼び起こすことができるでしょう。

全ての社員に成長してもらいたいと考えている経営者であれば、ぜひこの「成長チャレンジ制度」の導入をご検討ください。


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